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損益分岐点売上高とは?4つの計算手順と5つの応用法も併せて解説!

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損益分岐点売上高とは?4つの計算手順と5つの応用法も併せて解説!

事業運営で、プラス収益のためにはどの程度の売上を確保すべきか明確にしておくことは、費用の見直しや業績改善へとつながります。判断基準として役立つのが「損益分岐点売上高」で、売上目標の設定や新たなプロジェクトの策定などで活用できるでしょう。本記事では、損益分岐点売上高に関連する用語や活用方法など、分かりやすく解説しています。最後まで読むと、業績改善や成長を目指すためのヒントが得られます。

関連記事:財務分析に必須の収益性分析とは?重要な指標と収益性を高めるポイント

損益分岐点売上高とは?

電卓を眺めて悩む男性

損益分岐点売上高とは、利益も損失も出さずに事業を継続できる、最低限クリアすべき売上高を指します。売上から商品を作るための費用を差し引き、余ったお金で残りの費用をまかなえる状態です。

金額を下回るとマイナス収益となり、上回ればプラス収益となります。そのため、資金繰りやビジネス戦略を立てるうえで役立てられるでしょう。価格の見直しや、コスト削減を検討する際の判断材料としても活かせます。

ここでは、損益分岐点売上高を深く知るために必要な項目を解説します。安定したビジネスの判断に役立てるためにも、ぜひ読み進めてください。

損益分岐点売上高に関連する用語

関連用語は、以下の通りです。

関連用語

意味

売上高

商品やサービスを売ることで得られる売上金額

固定費

  • お店の売上に関係なく毎月かかるお金
  • 家賃や人材コストなど

変動費

  • 販売量によって変わる費用
  • 商品を作るための材料費や運送費など

損益分岐点

売上と費用が同じで利益も損も出ない基準

限界利益

  • 利益から変動費を引いた残りの利益
  • 残った利益で固定費を払う

営業利益

  • 限界利益から固定費を引いた残りの利益
  • 本業で得られた利益

安全余裕比率

  • 現状の売上が損益分岐点をどのくらい上回っているかを表す目安
  • 経営の安全性を示す目安

正しく理解するには、上記の用語も押さえておく必要があります。聞き覚えのある言葉もあるかもしれませんが、「限界利益」や「安全余裕比率」など、聞き慣れない用語もあるでしょう。

例えば、限界利益は「売上高 – 変動費」で求められます。安全余裕比率は、計算手順を分かりやすく説明しているため、気になる方は計算手順の項目をチェックしましょう。用語を知ることで、以下のメリットもあります。

  • お金の流れのイメージがしやすくなる
  • 収益バランスのうち見直すべき項目が分かる

ビジネスでお金の流れを知ったり、収益のバランスを定期的に見直したりするのは、必須の項目です。まずは上記の用語を覚えて、ビジネスで応用しましょう。今まで分からなかった内容が理解できるかもしれません。

損益分岐点と損益分岐点売上高の違い

それぞれの違いは、「状態」と「数値」という点です。損益分岐点は企業の売上と費用が同じで、利益も損失も発生しません。限界利益で固定費をまかなうため、収支はプラスマイナスゼロです。

損益分岐点売上高は、収支がプラスマイナスゼロへと達するうえで、必要な売上金額を示します。例えば、費用の合計が850万円であれば、損益分岐点売上高は850万円です。

損益分岐点は「状態」、損益分岐点売上高は「損益分岐点に達するための売上高」として使い分けられます。それぞれの違いを理解すれば、販売目標を立てるときや収支バランスの見直しをするときなど、役立てられるでしょう。

関連記事:【税理士監修】損益分岐点比率とは?計算手順や業種別の目安・改善方法について

損益分岐点売上高に関連する4つの計算手順

チェックリスト

損益分岐点売上高を応用するには、計算に関する基本的な知識について押さえておく必要があります。ここでは、ビジネスで活かせる4つの計算手順を紹介します。

計算手順を実践すると、会社の財務状況を客観的に理解できるでしょう。数字に基づいた事業運営を行い、ビジネス戦略の策定や修正などで活かすのが望ましいです。

損益分岐点売上高の計算手順

以下の式で計算します。

  • 限界利益率 = 1 -( 変動費 ÷ 売上高)
  • 損益分岐点売上高 = 固定費 ÷ 限界利益率

以下の具体例を用いて計算してみましょう。

項目

金額

売上高

2,000万円

固定費

600万円

変動費

400万円

  • 限界利益率:1-(400万円 ÷ 2,000万円) = 0.8(80%)
  • 損益分岐点売上高:600万円 ÷ 80% = 750万円

今回のケースの損益分岐点売上高は750万円で、始めに目指すべき指標です。まず数値を算出し、経営状態の確認から始めるとよいでしょう。数値の算出で、以下の項目に活かせます。

  • 具体的な数値目標の設定
  • 減らすべき費用の確認

各項目を参考にすると、どの部門に力を入れるべきかや、無駄な費用の出費がないかなどが分かります。数字をもとに判断し、スムーズな経営判断へと活かしましょう。

損益分岐点販売数量の計算手順

損益分岐点販売数量は、収益がプラスマイナスゼロの状態へと達するうえで必要な販売数を示します。計算手順は以下の通りです。

損益分岐点販売数量 = 固定費 ÷ 1個あたりの限界利益(販売単価 – 変動費)

具体例で計算します。

項目

金額

販売単価

4,000円

変動費(原価や送料など)

1,600円

固定費

120万円

  • 限界利益:4,000円 – 1,600円 = 2,400円
  • 損益分岐点販売数量:120万円 ÷ 2,400円 = 500個

今回のケースでは、損益分岐点販売数量は500個です。黒字化させるうえでは、販売数量の達成が始めの目標となるでしょう。

数値の算出によって、以下の項目が明確化されます。

  • 適正な販売単価の設定
  • 販売数量の目標設定

販売数量や販売単価の設定は、プラス収益を目指すうえで大切です。正確な数値を算出すれば、ビジネスプランの策定にも役立つでしょう。

損益分岐点比率の計算手順

損益分岐点比率は、現状の売上高に対する損益分岐点売上高の割合を示す目安で、計算手順は以下の通りです。

損益分岐点比率 = 損益分岐点売上高 ÷ 現状の売上高 × 100

具体例で計算します。

項目

金額

損益分岐点売上高

750万円

現状の売上高

1,000万円

損益分岐点比率:750万円 ÷ 1,000万円 × 100 = 75%

今回のケースの損益分岐点比率は75%です。100%よりも低い数値になるほどビジネスは良好と考えられます。100%に近い数値の場合はビジネスの改善が必要な状態です。計算手順の利用で、プロジェクトの状況確認に活かしましょう。

数値を算出すると以下の項目が明確になります。

  • ビジネスの状況は良好か
  • 環境変動へ耐えられるか

数値が低いほどビジネスの状況は良好ですが、環境変動も考慮しましょう。100%以下の数値であっても、自然災害や需要の変化などの環境変動が起きると、一気にマイナス収支になるかもしれません。

ゆとりを持ってビジネスへと取り組むためには、常に数字の改善や向上を目指すのが大切です。

安全余裕比率の計算手順

安全余裕比率は、売上が損益分岐点売上高と比べ、どの程度上回っているかを示す割合で、企業収益の安全性の指標として使われます。割合が高いほど、良好な経営状態だと判断できます。計算手順は以下の通りです。

安全余裕比率 = (現状の売上高 – 損益分岐点売上高)÷ 現状の売上高 × 100

具体例で計算してみます。

項目

金額

現状の売上高

1,000万円

損益分岐点売上高

750万円

安全余裕比率:(1,000万円 – 750万円)÷ 1,000万円 × 100 = 25%

今回のケースの安全余裕比率は25%です。すでに損益分岐点比率が分かっている場合は、以下の計算式でも求められます。

安全余裕比率 = 1 – 損益分岐点比率

どちらの方法も手軽に応用できるため、好みに応じて使い分けられます。比率を定期的にチェックすれば、安定したプロジェクトの判断に役立てられるでしょう。

数値の算出で以下の項目が明確化されます。

  • ビジネスでどの程度ゆとりがあるか
  • 部門ごとの予算調整

一般的に20%以上が望ましいとされますが、業種によって異なるため注意が必要です。20%以上を大幅に上回っている場合は、新たな投資検討の価値がありそうです。

正確な数値に基づいて、戦略的に意思決定するとよいでしょう。

損益分岐点売上高を応用する5つのポイント

ここまでの解説で損益分岐点売上高に関連する用語や、計算手順は理解できたでしょう。ここでは、損益分岐点売上高を応用する5つのポイントを、分かりやすく解説します。

5つのポイントを理解すれば、ビジネスで改善すべき点が分かります。ビジネス戦略を見直し、プロジェクトの安定や企業の成長を実現しましょう。

売上目標を設定する

1つ目に応用できるポイントは、売上目標の設定です。損益分岐点売上高は、プラス収益を目指す指標となるため、売上目標も明確になります。

例えば、損益分岐点売上高が500万円の企業であれば、売上500万円を目指すのが第一目標になるでしょう。そのうえで、利益を確保するために、600万円・700万円といった目標を段階的に設定するのが大切です。

根拠ある売上目標を立てれば、将来的にどの程度の利益を確保すべきか分かります。売上目標の設定に役立てましょう。

販売戦略を見直す

2つ目に応用できるポイントは販売戦略の見直しです。損益分岐点売上高を把握すれば、販売戦略に問題がないかを判断できます。具体的に見直すべきポイントは、以下の通りです。

  • 商品単価の見直し
  • ターゲット層の見直し
  • アプローチ方法の見直し

現状の売上が損益分岐点売上高に達していなければ、上記の見直しが必要です。例えば、販売個数は確保できているのに売上が伸びない場合は、商品単価が原因かもしれません。

売上全体を改善するには、ターゲット層やアプローチ方法も含めた見直しが大切です。目標を達成できていない場合は、正確な根拠をもとに販売戦略を見直してみましょう。

業績改善の目安にする

3つ目に応用できるポイントは、業績改善の指標として使うことです。業績改善において経費削減は避けて通れません。見直しやすい項目には以下が挙げられます。

  • 原材料費
  • 人材コストや家賃
  • 広告宣伝費

なかでも原材料費は、売上と連動して変化しやすいため、損益分岐点売上高も定期的に見直す必要があります。数値をもとに支出を見直せば、経費削減につながるでしょう。

また、経費削減だけではなく、強化すべき分野への判断にも応用できます。例えば、営業部門の強化で売上が伸ばせそうな場合には、積極的な投資も必要です。

継続的に業績改善するためのツールとして応用し、戦略の見直しに役立てられるはずです。改善すべき項目が明確になるかもしれません。

売上高を上げる

4つ目に応用できるポイントは、売上高を上げることです。売上高を上げるには、以下のポイントが大切です。

  • 商品単価を上げる
  • 販売戦略の見直し
  • SNSの運用

損益分岐点売上高は、損益を黒字にするための1つの指標です。収益を伸ばし続けるには、売上高を上げるのも大切です。簡単ではありませんが、上記のポイントはすべて売上向上に直結するでしょう。

先述した商品単価と販売戦略の見直しに加え、SNSの運用も併せて行えると、集客力を高める上で効果的です。SNSの運用は口コミの拡散が期待できるため、顧客の獲得や商品の認知向上が見込めます。売上高を上げて、収益の拡大に努めましょう。

固定費と変動費を改善する

5つ目に応用できるポイントは、固定費と変動費の改善です。損益分岐点売上高を下げるには、プロジェクトにおける費用の見直しが求められます。代表的な経費は以下の通りです。

固定費

変動費

人材コスト

原材料費

広告宣伝費

仕入原価

家賃

販売手数料

プロジェクトにおける費用を急に削減するのは、簡単ではないでしょう。そのため、長期的な視点に沿って、改善するのが大切です。バランスの取れた改善策を見つけるために、応用しましょう。

損益分岐点売上高の計算ツール

損益分岐点売上高の計算ツールは、Excelの活用が有効です。以下の表をExcelのシート例として解説します。

A

B

1

項目

1月

2

売上高

10,000

3

変動費

1,000

4

固定費

4,500

5

限界利益率

0.9

6

損益分岐点売上高

5,000

Excelで上記の項目を入力すれば、計算ツールとして応用できます。限界利益率と損益分岐点売上高は以下の式を使用し、他の項目の数値は手入力すれば算出可能です。

  • 限界利益率:=1-(B3/B2)
  • 損益分岐点売上高:= B4/B5

行や列に合わせて計算式を修正すれば、簡単に計算ツールとして応用できます。計算ツールとして、Excelを有効活用するとよいでしょう。

損益分岐点売上高を理解すればビジネスに活かせる

損益分岐点売上高は、業績改善や企業成長には欠かせない指標です。損益分岐点売上高を理解できれば、売上目標の設定や経費改善など、具体的なビジネス戦略を見直せます

また、損益分岐点売上高は定期的な見直しが大切です。相場の変化によっても数値は変わるため、常に把握するよう心がけましょう。

具体的なプロジェクトを設定できれば、戦略に沿って行動するのが大切です。損益分岐点売上高を指標に、ビジネスの安定化と成長を目指しましょう。

ビジネスの見直しや改善を図るときは、財務分析や経営コンサルティングの専門知識を持つ税理士に相談するのがおすすめです。小谷野税理士法人では無料相談を行っているため、まずはお気軽にご利用ください。

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この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
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