創業融資に限らず、融資は申請しても必ず利用できるとは限らず、審査に通過する必要があります。多くの創業融資制度は再申請が可能ですが、審査に落ちた原因を解消しなければ再申請してもまた落ちてしまうでしょう。そのため落ちた原因の分析や十分な対策が欠かせません。また、創業融資以外の資金調達方法をとるのも1つの手段です。
今回は創業融資の再申請について詳しく解説します。
目次
創業融資に落ちた後の再申請の可否
はじめに創業融資の再申請の可否について解説します。
多くの場合ルール上は再申請が可能
前提として、創業融資とは創業直後の実績がない段階でも利用できる融資の総称です。事業実績に代わり、創業計画や申込者の経歴などの情報を基に審査を行います。
単に創業融資と呼ぶ場合、日本政策金融公庫の実施する創業融資を指すケースが多くみられます。
そして、日本政策金融公庫の創業融資には再申請を禁止する決まりはありません。そのため創業融資の再申請は問題ないといえるでしょう。審査に落ちてしまった後すぐに再申請をすることもルール上は可能です。
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不許可となった直後に再申請をしても審査通過の可能性は低い
創業融資の再申請について特別な規定が存在しない以上、ルール上は審査に落ちた後の再申請が可能です。初回の申し込みから期間を空けずに再申請をすることもできます。
しかし、審査により融資不可となった直後に再申請をしても審査通過の可能性は低いでしょう。
審査に落ちてしまうのは、何らかの理由によって融資ができないと判断されたためです。不許可に至った原因を解消しなければ、再申請をしても審査に落ちてしまいます。
多くの場合、審査落ちの原因をすぐに解消することは難しいです。理由として以下の3つが挙げられます。
- 融資不可の判断に至った理由について特に説明は行われない
- 融資の審査基準は非公開
- 審査で重視されると考えられる要素には、代表者の信用情報や創業予定の事業に関する経験など、すぐに改善するのが難しいものも多い
再申請で審査に通過するためには、審査に落ちてしまった原因を解消する必要があります。しかし前述の理由から、何が原因で審査に通過できなかったのかを特定するのは容易ではありません。仮に審査落ちの原因と考えられる要素が見つかっても、内容によってはすぐに解消するのが難しい可能性もあります。
懸念事項が解消されていない段階で再申請をしても再び審査に落ちてしまうだけです。そして、審査落ちの原因の分析および解消には時間がかかります。適切な対策をしようとすれば、審査落ちの発覚から再申請までに期間を空けるのが自然といえます。
創業融資の再申請をする際のポイント
創業融資の再申請が可能とはいえ、何も対策せずに再申請をしても審査に通過できる可能性は低いです。以下では創業融資の再申請をする際に押さえるべきポイントを3つ紹介します。
原因分析を徹底する
再申請にあたり最初に行うべきなのは、審査に落ちてしまった原因の分析です。
審査に落ちてしまうのは何らかの理由によって融資不可と判断されたためです。融資不可の原因を解消しなければ、再申請をしても同じ理由によって融資を断られてしまいます。すなわち創業融資の再申請は、融資不可の原因と思われる要素を解消してから行うのが大前提といえます。
しかし、融資不可の理由は説明されない上に、創業融資の審査基準は非公開です。すなわち、審査落ちが発覚した段階では何が原因であるかがわかりません。そのため、まずは何故審査に落ちてしまったのかを分析する必要があります。
創業融資の審査でマイナスにつながると考えられる要素として以下の例が挙げられます。
- 創業予定の事業についての経験がない、少ない
- 創業計画に客観的な根拠がなく実現可能性が低い
- 自己資金が少ない
- 代表者の信用情報に問題がある
前述のように、審査基準は非公開のため審査落ちの原因を確実に特定することはできません。「これが原因で間違いない」と決めつけはせず、さまざまな面から分析し、懸念事項を徹底的に洗い出しましょう。
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懸念事項を解消する
創業予定の再申請を行う際は、原因分析によって発覚した懸念事項を可能な限り解消するのが理想です。審査落ちの原因を特定することができない以上、原因になり得る要素をゼロに近づけることが最善策といえます。
専門家のサポートを受ける
創業融資の再申請に向けた対策は専門家のサポートを受けながら進めるのがおすすめです。専門家のサポートを受けるべき理由は2つあります。
1つ目は、審査落ちの原因分析では広い視野が求められるためです。
創業融資の審査落ちの原因を特定することはできないため、懸念事項を徹底的に洗い出すべきと解説しました。しかし、当事者だけで原因分析をしようとすると、どうしても考えに偏りが生じやすくなります。懸念事項の見落としが起こり、解消するべき要素が残ったままになる恐れがあります。
考えの偏りを防ぐためには、第三者の力を借りるのが最善です。特に専門家であれば、融資支援の実績やノウハウを活かした原因分析が期待できます。
2つ目の理由は、質の高い審査対策を行うためには専門家の力が必要なためです。
一度審査に落ちてしまった以上、再申請に向けた対策は前回よりもさらに質を高めるべきといえます。しかし、創業融資の知識や経験がない人が質の高く効果的な対策を行うのは難しいでしょう。「時間や労力のわりに成果が出なかった」「何をするべきか判断できず、結果として無駄なことまでしてしまった」等の事態が起こり得ます。
融資支援に強みをもつ専門家であれば、質の高さと効率の両方を兼ね備えた審査対策のサポートが可能です。
小谷野税理士法人は創業融資の申請支援を行なっています。創業融資の再申請のサポートについてもお気軽にご相談ください。
創業融資だけではない!創業資金の調達方法
創業融資の再申請にはどうしても時間がかかります。早急な資金調達が必要であれば、創業融資の再申請ではなく、別の方法による資金調達も検討しましょう。以下では創業融資以外の資金調達方法の例を3つ紹介します。
補助金や助成金
補助金や助成金は基本的に返済不要です。補助金や助成金を上手く活用すれば、資金面での負担を抑えながら事業活動を進められるでしょう。
ただし、補助金と助成金はいずれも一定の要件を満たす必要があります。さらに、補助金は採択数や予算に限りがあるため、要件を満たしても審査に通過しなければ利用できない点に注意が必要です。
関連記事:返済不要!起業時に活用したい、知っておきたい補助金・助成金をご紹介
クラウドファンディング
クラウドファンディングとはインターネットを通じて不特定多数の支援者から資金を調達する方法です。返済不要なケースもあり、利用条件に特別な定めはありません。事業実績も問われないため、創業資金の調達手段としても実施できます。
関連記事:クラウドファンディングにかかる税金と節税対策について
出資を受ける
第三者から出資を受ける方法もあります。出資により得た資金は返済不要で、資金使途の定めもありません。
創業直後の企業に出資する投資家として、ベンチャーキャピタルとエンジェル投資家が挙げられます。
ベンチャーキャピタルとは、成長が見込まれるベンチャー企業や未上場企業を対象とする投資会社です。高額のキャピタルゲインの獲得を目的とするため、有望と期待できる企業や上場を目指す企業のみを投資対象とします。
エンジェル投資家は、個人投資家のうち起業直後で実績のない企業に投資を行う人を指す言葉です。あくまで個人による投資のため、ベンチャーキャピタルに比べると小規模のケースが多くみられます。
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創業融資の再申請に向けて万全の審査対策を行おう
多くの創業融資制度には再申請に関する規定はありません。そのため審査に落ちてしまった後、すぐに再申請を行うこともルール上は可能です。
ただし、融資不可の原因となった要素を解消しなければ再申請をしても再び審査に落ちてしまうでしょう。創業融資の再申請を行う際は、懸念事項を可能な限り解消するのが大前提といえます。
創業融資の再申請に向けた適切な対策を、創業融資の知識や経験がない事業者のみで行うのは容易ではありません。質の高い審査対策を行うためには、融資支援に強みをもつ専門家のサポートを受けるのがおすすめです。