創業融資の申し込みや対応をすべて自分で行う場合の成功率は、専門家のサポートを受ける場合に比べて著しく低いといわれています。創業融資の成功率を上げるためには、そもそもなぜ自分で申し込む場合の成功率が低いのかを知るべきでしょう。その上で成功率を上げるためのポイントを押さえることが大切です。今回は創業融資の成功率について解説します。
目次
創業融資の成功率はどれぐらい?
前提として、創業融資の審査通過率は公開されていません。そのため今回紹介する数値はあくまでも事例や体験談から推測される目安となります。
創業融資の成功率は、自分ですべて対応する場合と専門家のサポートを受ける場合で以下のように異なるといわれています。
- 自分ですべて対応する場合(専門家のサポートを受けない場合):50~60%程度
- 融資支援に強い専門家のサポートを受ける場合:90%程度
専門家のサポートを受けない場合、創業融資の成功率は決して高いとはいえません。一方で専門家のサポートを受ける場合は成功率90%程度と、成功率に30%以上もの差があります。
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自分ですべて対応する場合の創業融資の成功率が低い理由
前章で、創業融資の成功率は専門家のサポートを受けるか否かで大きく異なると紹介しました。以下では、なぜ自分ですべて対応する場合の創業融資は専門家のサポートを受ける場合と比べて成功率が低いのか、考えられる理由を3つ紹介します。
1.創業融資に関する情報やノウハウが少ない
創業融資の成功率が低い理由の1つが、創業融資に関する情報やノウハウが少ないことです。
創業融資の成否は、審査に向けた適切な対策ができるかに大きく左右されます。金融機関の担当者が審査でどこを重視するか、懸念事項となる要素は何か等を考慮した上で審査対策を行うのが前提です。
創業者が自分だけで創業融資の申し込み手続きをする場合、まずは創業融資に関する情報収集から始める必要があります。情報量がゼロに近い状態のスタートから短期間で不慣れな分野の情報収集を進めても、得られる情報にはどうしても限りがあるでしょう。
創業融資に関する情報やノウハウが少ないため、審査に向けた対策にも不足やズレが生じやすくなります。適切な対策ができず、結果として審査に落ちてしまう可能性が高くなるのです。
2.事業に向けた準備と並行しながら審査対策を行う必要がある
創業融資関連の手続きをすべて自分で行う場合、事業に向けた準備と審査対策を同時に進めることになります。どちらも大切ではありますが、事業に向けた準備の方を優先しがちになるでしょう。結果として、審査対策に充てる時間や労力が少なくなってしまう可能性が高いです。
このように、創業融資関連の作業を自分ですべて行う場合、そもそも審査対策が不十分になりやすいという問題があります。
3.客観的な視点を取り入れた対策ができない
創業融資の対策は「広く深く」が大切です。どこか一部の対策を徹底するのではなく、さまざまな面で徹底的な対策を行い、マイナス要素を可能な限りなくすべきといえます。対策の抜け漏れをなくすためには、第三者による客観的な意見も取り入れるのが理想です。
しかし、創業融資について専門家のサポートを受けない場合、書類作成や面接対策などを自分1人で行うことになります。すなわち、客観的な視点を取り入れた対策ができないのです。1人の視点ではどうしても視野が狭くなりやすいため対策が不十分となり、審査に落ちてしまう恐れが大きくなります。
創業融資の成功率を上げるためのポイント
創業融資の成功率を上げるために押さえるべきポイントを4つ紹介します。
1.説得力のある創業計画書を作る
創業計画書とは創業予定の事業の目的や方針、収支計画などをまとめた書類です。創業融資の審査において最も重要な書類といえます。
創業直後で事業実績がない以上、創業予定の事業に実現可能性や収益性があるかで審査の可否が判断されます。そして当然ですが、根拠のない楽観的な創業計画では高評価につながりません。
創業計画書を作る上で大切なのが説得力です。市場調査の結果や具体的な数値などを盛り込み、客観的かつ現実的な創業計画書を作成しましょう。
関連記事:創業計画書の作成ガイド!成功への一歩を踏み出すための書き方・記入例・テンプレート入手方法を徹底解説
2.自己資金をなるべく多く用意する
創業融資の成功率を上げるため、自己資金をなるべく多く用意するのが理想です。
創業融資による借入額の目安は、自己資金の3倍程度といわれています。数値の根拠は日本政策金融公庫による新規開業実態調査です。同調査結果の中で、開業資金の調達額や調達先についても公表されています。
2024年度の調査結果は以下の通りでした。
調達先
平均額
自己資金
293万円
金融機関等からの借入
780万円
配偶者・親・兄弟・親戚
54万円
友人・知人等
36万円
その他
34万円
合計
1,197万円
金融機関等からの借入額は自己資金の約2.66倍です。年度によって2.5倍〜3.3倍程度と多少の差があるため、おおむね3倍程度が目安といえるでしょう。
上記の調査結果から、創業融資で高額の借入をするためには、その分多くの自己資金を用意するべきと判断できます。反対に自己資金が少なければ融資で不利になる恐れや、借入額が少額になってしまう恐れがあると考えられます。
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3.創業予定の事業の経験を積む
創業融資の審査でチェックされる要素の1つとして申込者の経歴が挙げられます。創業予定の事業についての経験がない場合、知識や経験不足を理由に、創業計画の実現可能性に懸念があると判断されるリスクがあります。
創業予定の事業の経験がゼロの状態を避けるため、アルバイト等でも良いので少しでも経験を積むのが理想です。
4.融資支援に強みをもつ専門家のサポートを受ける
創業融資の成功率を上げるためのポイントを3つ紹介しましたが、自分1人だけではどうしても限界があります。ポイントを押さえた対策を徹底したつもりでも、前章で紹介した3つの懸念を解消するのは難しいのが事実です。
創業融資の成功率を上げる方法として最も効果的なのは、融資支援に強みをもつ専門家のサポートを受けることです。自分ですべて対応する場合の懸念がすべて解消され、負担を最小限に抑えつつも最適な審査対策を進められます。
創業融資についての疑問や不安の相談相手ができる点も大きなメリットです。単に創業融資の成功率を上げるだけでなく、創業時の資金調達に際して発生する不安・ストレスの軽減も期待できます。
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創業融資の成功率を上げるには専門家のサポートを受けるのが確実
創業融資の成功率は、専門家のサポートを受ける場合に比べて、自分ですべて対応する場合の方が著しく低いといわれています。創業融資の情報やノウハウが少ない、自分1人のため十分な対策ができない等の理由が挙げられます。
創業融資の成功率を上げるためには、審査対策を進める上でのポイントを押さえることが大切です。しかしどうしても、自分1人ですべて対応しようとするのでは限界があります。創業融資の成功率を確実に上げたいと考えるのであれば、専門家のサポートを受けることをおすすめします。
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