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【2025年度税制改正】中小企業経営強化税制の延長が決定!制度の概要や要件を解説

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【2025年度税制改正】中小企業経営強化税制の延長が決定!制度の概要や要件を解説

2025年の税制改正により、中小企業経営強化税制の適用期間が2年延長されました。中小企業経営強化税制は中小企業者が新品の特定経営力向上設備等を取得し、事業の用に供した場合に利用できる制度です。要件や手続きのフローに細かなルールが定められているため、制度についての深い理解が必要です。

今回は2025年の税制改正によって延長が決まった、中小企業経営強化税制について詳しく解説します。

【2025年度税制改正】中小企業経営強化税制の適用期間の延長が決定

中小企業経営強化税制とは、中小企業者が一定の要件を満たす設備を取得・利用した場合に特別償却または税額控除を受けられる制度です。2025年度の税制改正により適用期限が2年間延長となり、令和8年度末(2027年3月31日)までになりました。

以下では中小企業経営強化税制について解説します。

参考:No.5434 中小企業経営強化税制(中小企業者等が特定経営力向上設備等を取得した場合の特別償却又は税額控除)|国税庁

参考:令和7年度(2025年度)経済産業関係 税制改正について|経済産業省

適用される措置の内容

中小企業経営強化税制では、特別償却または税額控除の適用が受けられます。

特別償却の限度額は取得価額から普通償却限度額を控除した金額相当です。すなわち取得価額の全額を減価償却費として費用計上(即時償却)ができます。

税額控除の限度額は対象設備等の取得価額の10%相当額です。ただし資本金等の額が3,000万円を超える法人では7%相当額となります。

関連記事:【税理士監修】特別償却と税額控除とは?節税のポイントや中小企業向けの控除について解説

中小企業経営強化税制の3つの類型

中小企業経営強化税制にはA、B、Dの3つの類型が存在します。以前はC類型もありましたが、2025年度の税制改正によって廃止されました。

それぞれの概要は以下の通りです。

対象設備

要件

確認者

A類型

生産性向上設備

  • 一定期間内に発売されたモデル
  • 生産性が旧モデルと比べて平均1%以上向上する

工業会等

B類型

収益力強化設備

投資利益率が年平均7%以上の投資計画にかかる設備である

経済産業局

D類型

経営資源集約化設備

修正ROAまたは有形固定資産回転率が一

定割合以上の投資計画にかかる設備である

経済産業局

中小企業経営強化税制の対象者

中小企業経営強化税制の適用を受けられるのは、以下の要件をすべて満たす事業者です。

  1. 中小企業者、農業協同組合等、商店街振興組合のいずれかに該当する
  2. 青色申告書を提出する者
  3. 経営力向上計画の認定を受けた特定事業者等

なかでも特に重要なのが3つ目です。設備を取得するよりも前に経営力向上計画の認定を受ける必要があります。

中小企業経営強化税制の設備要件

中小企業経営強化税制の対象となるのは、以下の要件をすべて満たす設備です。

  1. 経営力向上計画に基づいて新たに取得・製作等した設備で、中古資産や貸付資産ではない
  2. 取得価額が一定以上である
  3. 各類型ごとの要件を満たす

2の取得価額については、設備の種類ごとに以下のように定められています。

種類

金額

機械および装置

1台または1基あたり160万円以上

工具・器具・備品

1台または1基あたり30万円以上

建物附属設備

60万円以上

ソフトウェア

70万円以上

※複写・販売用の原本、研究開発用、サーバー用OSのうち一定のものは除く

関連記事:法人で利益が出過ぎた場合はどうする?知っておきたい節税対策を一挙にご紹介!

【2025年度税制改正】中小企業経営強化税制の変更点

決算月の変更手続きのイメージ

2025年度の税制改正では、中小企業経営強化税制について複数の変更が行われました。以下より変更点について詳しく解説します。

適用期限の2年延長

最初に取り上げたように、中小企業経営強化税制の適用期限が2年間延長となりました。当初は2025年3月31日までの予定だったものが、令和8年度末(2027年3月31日)までに延びています。

設備要件の一部を変更

税制改正により、設備要件の一部が変更されました。主な変更点は以下の通りです。

変更された項目

変更前

変更後

生産性向上設備
(A類型)の要件

生産性が年平均1%以上
向上する設備

生産性が旧モデルと比べて平均1%以上向上する設備

生産性は以下のいずれかを指標とする

  • 単位時間当たり生産量
  • 歩留まり率
  • 投入コスト削減率

収益力強化設備
(B類型)の要件

投資利益率5%以上の
投資計画に係る設備

投資利益率が年平均7%以上の投資計画に係る設備

参考:令和7年度(2025年度)経済産業関係 税制改正について|経済産業省

A類型の方は指標について見直しが行われました。税制改正前に比べると対象設備の範囲が狭まったといえます。

B類型の方は投資利益率が年5%から年7%に引き上げとなりました。税制改正前よりも条件が厳しくなったといえるでしょう。

B類型の拡充

B類型の拡充版として「経営規模拡大設備」に関する類型が追加されました。

B類型拡充では、対象設備に取得価額1,000万円以上の建物及びその附属設備が追加されています。なお、税制対象の設備投資総額の上限は60億円です。

参考:令和7年度(2025年度)経済産業関係 税制改正について|経済産業省

B類型拡充の主な追加要件として以下の5つが挙げられます。

  • 売上高100億円超の達成に向けたロードマップの作成
  • 売上成長率10%以上を目指す
  • 計画認定時の売上高が10億円超90億円未満である
  • 賃上げ率が一定以上
  • 投資規模が1億円以上または売上高の5%以上

参考:令和7年度税制改正|財務省

売上100億円超の中小企業は、地域経済の好循環をリードする存在とされています。B類型の拡充は「100億企業」のさらなる創出を目指して追加された、インセンティブ措置としての性質をもっています。

関連記事:2025年度の税制改正で法人税はどう変わる?概要や変更点を解説 

関連記事:中小企業の税制優遇とは?令和5年度の改正内容と活用方法のポイント

中小企業経営強化税制を利用する際の注意点

出資比率のイメージ

最後に、中小企業経営強化税制を利用する際の注意点を3つ紹介します。

特別償却は節税ではなく課税の先送り

中小企業経営強化税制では、特別償却と税額控除のどちらか一方を選択できると紹介しました。また、同税制は節税に効果的な制度として取り上げられる場面も多くみられます。

しかし明確な節税効果を得られるのは税額控除を選択した場合のみです。特別償却は節税ではなく、厳密には課税の先送りといえる仕組みとなります。

特別償却が節税といわれるのは特定の事業年度に高額の減価償却費を計上できるためです。減価償却費の計上により所得が抑えられるため、特別償却を行なった事業年度の法人税等を抑えられます。

一方、最初に即時償却を行うことで、翌事業年度以降は当該設備について減価償却費の計上ができません。すなわち、特別償却をした年以外は経費として計上できる額が少なくなり、かえって法人税等が増える可能性が高いのです。

高額の所得が見込まれる事業年度に特別償却を行い、その年にかかる法人税等を抑えるのは1つのテクニックといえるでしょう。しかしあくまでも課税の先送りであり、節税対策とは性質が異なる点には注意が必要です。

関連記事:減価償却とは?会計や税務の基礎知識と節税のポイントを徹底解説!

関連記事:法人税の節税対策とは?税金を減らすには何をすればいい?注意点とは

経営力向上計画の認定を受ける必要がある

中小企業経営強化税制の適用を受けるためには、中小企業等経営強化法に基づく経営力向上計画の認定を受ける必要があります。申請の大まかな流れは以下の通りです。

  1. 申請前の事前準備として「工業会等による証明書(A類型)」または「経済産業局による確認書(B・D類型)」を取得
  2. 中小企業庁公式サイトに掲載されている「事業分野に対応する事業分野別指針」を踏まえて経営力向上計画を策定
  3. 申請書および必要書類を提出
    ※提出先は事業分野によって異なるため要確認

税制の適用を受けるためには、税務申告書とあわせて認定申請書の写しおよび認定書の写しの提出が必要です。申請から認定までに約30日、場合によっては約45日ほどかかるため、早めに手続きを行いましょう。

参考:経営力向上計画策定の手引き|中小企業庁

税制適用の対象になるのは事業の用に供した日が属する事業年度

税制適用の対象になるのは設備を取得した日ではなく、対象の設備を事業の用に供した日が属する事業年度です。例えば設備を取得したのが令和5年度、実際に使用を開始したのが令和6年度の場合、税制適用の対象になるのは令和6年度になります。

関連記事:固定資産はいくらから計上できる?固定資産税についても解説

2025年税制改正で延長となった中小企業経営強化税制を活用しよう

中小企業経営強化税制は設備投資に伴い発生する負担の軽減効果が期待できる制度です。2025年3月31日までの予定でしたが、税制改正により2027年3月31日までに延長となりました。「適用期限に間に合いそうにない」と考えていた場合でも、今から準備を進めれば期限までに適用できる可能性が高いでしょう。

中小企業経営強化税制は細かな要件が多数定められている上、さまざまな手続きが必要とされます。ミスや漏れなく的確に手続きを進められるよう、専門家のサポートを受けるのが安心です。

中小企業経営強化税制についてのお困りごとやご相談は、ぜひ「小谷野税理士法人」までお気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
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