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資本金減資のメリット・デメリット?減資で中小企業化する背景も解説!

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資本金減資のメリット・デメリット?減資で中小企業化する背景も解説!

資本金の減資とは、資本金の減少による経営状況の改善が主な目的です。減資により、欠損の補填や節税などの効果が期待できます。近年では、コロナをきっかけに、上場企業が中小企業化する動きが加速してきました。今回は、減資の概要や手順などを解説します。最後まで読むと、自社が減資するべきかの判断を下すうえで役に立てられるでしょう。

資本金の減資とは

利益計算のイメージ

まず、基本情報として以下の点があげられます。

  • 資本金を減少させるための手続き
  • 有償減資・無償減資・100%減資の3種類

ここから詳しく見ていきましょう。

資本金を減少させるための手続き

減資とは、企業の資本金を減少させ、財務状況の改善が主要な目的です。理由として、以下の2つがあげられます。

  • 欠損の補填:赤字の事業年度でも株主へ配当を払える
  • 節税:資本金1億円以下になると、優遇措置を適用できる

そもそも資本金とは、事業を始めるうえで元手となる資金で、企業設立時に出資者から支払われたお金を示します。企業の経営状況を改善できる可能性がある点はメリットです。

近年では、企業の事業規模に合わせて減資をするケースもあるのが特徴です。一方で、既存の株主に不利益をもたらす可能性があるため、増資に比べると手続きは複雑だと言えます。

関連記事:【税理士監修】会社設立時の資本金とは?その意義や設定方法と法的な注意点を解説

有償減資・無償減資・100%減資の3種類

減資は3種類に分けられ、手続きなど異なるのが特徴です。具体的には以下の表にまとめました。

有償減資

  • 資本金の一部を減額し、株主に現金で払い戻す
  • 上場企業の場合、株主への財産の払い戻しが目的
  • 中小企業の場合、節税目的で実施
  • みなし配当が発生するケースもある
  • 利益が出ていない場合でも、株主に配当を支払える
  • 企業の資金が減少する

無償減資

  • 株主への払い戻しがなく、余剰資金が生じた場合は内部留保とする
  • 会計処理では純資産項目内で振替が行われる
  • 欠損金の補填や節税目的につなげられる
  • 金融機関などの信用度に影響を与える

100%減資

  • 発行している株式すべてを消却する
  • 企業再生を図るとき、既存株主の責任を明確にし、新株主のみに経営状況の変化による恩恵を与えるために適用
  • 株式の消却するもので、資本金の減少と一致しないケースもある
  • 欠損金の補填をしつつ、株主を刷新できる
  • 既存の株主の保有する株の価値がなくなり、不利益を与える点

減資のメリット

メリットは以下の通りです。

  • 欠損の補填:貸借対照表の数値を改善でき、金融機関や取引先への信用度アップにつなげられる
  • 節税:税制優遇措置の対象となり、外形標準課税の対象外となったりするケースがある
  • 分配可能額の増額:株主への剰余金の配当額をあげやすくなる

資金繰りの改善や節税などに効果が期待できると分かります。例えば、資本金が1億円以下の企業の場合、以下の通り優遇措置を受けられる可能性があるためです。

  • 法人税の軽減税率を適用できる:基本的に法人税率は23.2%であるものの、800万円以下の所得に対しては法人税率15%を適用
  • 繰越欠損金を控除・繰戻還付できる:赤字や黒字が出たとき、繰越や還付を受けられる
  • 年800万円以下の交際費or交際費のうち、飲食費の50%を経費として、全額処理できる
  • 中小企業経営強化税制を適用できる:即時償却か取得価額の10%(または7%)の税額控除を適用できる
  • 同族企業への留保金課税が適用されないなど:留保金課税とは、特定の同族企業が対象で、内部留保した場合、課税留保金額に10から20%を乗じた金額が別途課税される制度

法人税のほか、以下の税金を抑える効果も期待できます。

  • 法人事業税:超過税率ではなく標準税率が適用される可能性がある
  • 法人住民税:超過税率ではなく標準税率が適用される可能性がある、均等割の税額が減る可能性がある

欠損であっても株主に剰余金を配当しやすくなるため、既存の株主からの支持を得るうえでも効果的な方法だと言えます。

減資のデメリット

デメリットは、以下の通りです。

  • 企業の資産が減少する:将来的な投資や金融機関の審査へ影響が出る可能性がある
  • 企業の信用が低下する:資金調達や仕事の受注の面で悪影響を及ぼす可能性がある

減資は資金繰りの改善などに効果が期待できる一方、企業の信用力低下につながるリスクがある点に注意が必要です。企業の信用力が低下すると、金融機関からの融資や採用などに影響を及ぼします。

優秀な人材の確保や設備投資など、スムーズに経営を進めにくくなる点は要注意です。

官報公告や登記更新などの手続きを専門家に依頼すると、数十万円ほどの費用がかかる点も知っておきたいポイントです。さまざまな観点から考えたうえで、慎重に判断するとよいでしょう。

減資の手順

減資をするときの流れは、以下に示します。

  1. 株主総会での特別決議(株式発行と同時で、資本金の額が効力発生前の額を下回らない場合、取締役会の決議でも可)
  2. 資本金の額や効力発生日を決定(過半数を有する株主が出席し、出席した株主の議決権の3分の2以上の多数決で決定)
  3. 債権者保護の手続き
  4. 登記申請の手続き:効力発生から2週間以内に、変更登記が必要

登記申請をするとき、一般的に必要な書類は以下に示します。

  • 株主総会議事録
  • 官報
  • 催告書
  • 催告先一覧

自社で対応できるものの、専門家に依頼するほうが効率的に進められるでしょう。

減資で上場企業が中小企業化する背景

減資する企業が増加したきっかけは、新型コロナウイルスの蔓延です。企業の収支が悪化する傾向にある一方で、大企業の場合は収支に関係なく税金を納める必要があったためです。

2021年度から2022年度の場合、本年度より1億円以下に減資した企業は、約3割増えていると判明しています。2021年度の外形課税の対象となっている法人は20,000社で、2006年に比べると約3分の2に減少しているのが特徴です。

2024年度(令和6年度)税制改正では、前事業年度に外形標準課税の対象で、資本金と資本剰余金の合計10億円超の場合、外形標準課税の対象になると発表されました。

意図的に外形標準課税を適用対象外とする法人が存在すると、認められたためです。減資する企業の数については、税制や社会情勢などに影響を受けると言えます。

関連記事:中小企業の税制優遇とは?令和5年度の改正内容と活用方法のポイント

資本金の減資に関するよくある質問

クエスチョンマーク

減資に関してよくある質問をまとめました。ここから詳細に見ていきましょう。

減資した企業一覧はありますか?

ありません。

具体的な企業名は分からないものの、民間企業などの調査結果を通して、減資した企業数をチェックできます。

資本金1億円の企業一覧はありますか?

あります。

民間企業が運営するデータベースを活用すると、金額ごとに検索できるため便利です。経済産業省の統計の場合、資本金階級別の企業数を調べるうえで効果的です。

資本金1億円以下の有名企業は?

JTBや毎日新聞、スカイマークなどです。

2015年、経営再建中のシャープが資本金を1億円に減資するとき、官民から批判を集めたため、やむを得ず5億円に変更した事例があります。スカイマークなどが減資したときはコロナ禍であったため、理解を得やすい状況であったと言えるでしょう。

参考:シャープ1億円減資やめた批判受け「5億円」に:産経新聞

資本金を1億円ちょうどにするメリット・デメリットは?

中小企業者などを対象とする特例や融資、補助金などを受けられます。

一方、資本金1億円超の場合と比べ、金融機関から多額の融資を受けにくくなる点は要注意です。企業の置かれている状況や戦略などに応じて、資本金の額を決定するとよいでしょう。

資本金の減資に関する相談は税理士へ

ここまで、減資の概要や上場企業が中小企業化する背景などを解説しました。節税や株主への配当など、減資による恩恵を受けられる可能性もあるのが特徴です。

一方で、信用力が低下したり、投資するための資本が減ったりする可能性がある点は注意が必要です。

節税できるからといって、減資によって上場企業が中小企業化するのは望ましいものではありません。納税は企業にとって社会的な責任の1つで、2015年のシャープのような過度な減資は批判を浴びる原因にもなります。

正しい節税方法は複数あるため、資金繰りに関する相談は税理士へ依頼するのがポイントです。

小谷野税理士法人は、最適な決算戦略の策定や税負担軽減のサポートをしてきた実績が豊富にあります。まずはお気軽に無料相談をご利用ください。

関連記事:【税理士監修】法人が税理士に依頼する費用の相場はいくら?依頼内容別の相場と費用を抑えるポイントをご紹介!

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
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