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子会社との取引が利益供与に?知らないと危ないリスクと防止策を解説

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子会社との取引が利益供与に?知らないと危ないリスクと防止策を解説

企業グループ内の取引は日常的に行われるものですが、何気ない子会社との取引が「利益供与」とみなされる可能性があることをご存知でしょうか?取引の内容や条件次第では、思わぬ法的リスクを招くこともあるでしょう。本記事では、子会社との取引において注意すべき利益供与のリスクや判断のポイントについてわかりやすく整理して解説します。

利益供与とは

利益供与とは、会社が特定の株主や関係者に対して、不当に利益を与える行為を指します。例えば、金銭や物品を無償で提供したり、相場より著しく安い価格で取引したり、不当に高額な報酬を支払うといったケースが該当するでしょう。

このような行為は、他の株主の利益を損なう恐れがあるため、会社法によって明確に禁止されています。特に、会社法第120条では、会社が株主等に対して不当な利益を供与することを禁じており、違反した場合は、関与した役員が損害賠償責任を負う可能性もあります。

つまり、利益供与は単なるガバナンス上の問題ではなく、企業や役員個人にとって深刻な法的リスクを伴う行為であるため十分に注意しましょう。

子会社への利益供与は問題になる?

電卓を眺めて悩む男性

子会社との取引であっても、その内容によっては利益供与とみなされ、問題になることがあります。

例えば、親会社が子会社に対して不適切な支援や優遇措置を行い、それが実質的に特定の株主に対する便宜供与と判断される場合には、会社法上の利益供与に該当するおそれがあるでしょう。

リスクを未然に防ぐためにも、子会社との取引においては、適正性や妥当性を十分に確認しておくことが重要です。

関連記事:子会社を作るメリットは?設立における注意点や手続きの内容について

子会社との取引で利益供与とみなされやすいケース

子会社との取引は一見適正に見えても、前述したように、内容によっては利益供与とみなされるリスクがあります。

不当に安い価格で子会社に資産を譲渡した場合

親会社が子会社に対して、市場価格を大幅に下回る価格で不動産や設備などの資産を譲渡した場合、その差額分が実質的な利益とみなされ、利益供与に該当するおそれがあるでしょう。

取引の正当性を説明できない場合、株主や第三者から不当な資産移転と指摘され、会社法違反となる可能性があります。

実態のない業務委託に過剰な費用を支払っている場合

業務実態がない、あるいは内容が不明確な委託契約に対し、多額の委託費用を子会社へ支払っている場合は注意しましょう。

実質的な対価のない支出は、資金の不適切な流出と見なされるおそれがあります。契約の妥当性と業務内容の証明が重要です。

過大な債務保証や返済困難な貸付をしている場合

子会社の借入に対して、必要以上の債務保証を提供したり、返済能力が疑わしい子会社に対して貸付を行うことは、親会社による不当な支援と判断されることがあるでしょう。

実質的に子会社を経由して資金を移転するスキームと見なされ、利益供与と評価されるリスクがあります。

子会社の損失を補填し続けた場合

経営不振の子会社に対して、繰り返し損失補填を行うと、他の株主の利益を損なう行為として問題視される可能性があります。

継続的な補填は、子会社の自立性を損ねるだけでなく、親会社の財務にも影響を与えるため、利益供与と見なされるリスクが高まります。

子会社役員に相場以上の報酬や退職金を支給した場合

子会社役員に対して、市場の相場から著しくかけ離れた高額な報酬や退職金を支給した場合、その支出が正当な対価と認められないと、利益供与とみなされる可能性があります。

特に、報酬決定プロセスの透明性が欠けている場合には、ガバナンス上の問題としても指摘されやすくなります。

利益供与と認定された場合の3つのリスク

リスク

子会社との取引が利益供与と認定された場合、会社だけでなく、役員個人や企業全体に深刻な影響を及ぼす可能性があります。特に注意すべき3つのリスクについて解説します。

  1. 役員個人への損害賠償責任
  2. 株主代表訴訟のリスク
  3. 企業イメージと信用の低下

役員個人への損害賠償責任

会社法第120条では、会社が株主等に対して不当に利益を供与することを禁止しており、これに違反した場合、関与した役員個人が損害賠償責任を問われる可能性があります。

たとえ会社の利益を考えて行った行為であっても、その内容が不当と判断されれば、役員個人が訴訟の当事者になるリスクが生じます。ガバナンスの観点からも、慎重な対応が求められるでしょう。

株主代表訴訟のリスク

不当な利益供与が発覚した場合、他の株主が会社の代わりに役員の責任を追及する「株主代表訴訟」を起こす可能性があります。

代表訴訟は個人株主でも起こせるため、企業側の思わぬ落ち度が表面化しやすく、結果として役員や会社が長期的な訴訟リスクを抱えることになるでしょう。取引の透明性や正当性を社内でしっかりと確保しておくことが重要です。

企業イメージと信用の低下

利益供与が外部に報道されると、社会的信用の失墜は避けられません取引先や株主、投資家からの信頼を損ない、株価の下落や取引停止といった経営リスクに繋がることもあるでしょう。

企業のレピュテーションは築くのに時間がかかる一方で、失うのは一瞬です。利益供与のリスク管理は、ブランド価値の保全にも直結するため注意しましょう。

子会社との取引で利益供与を避けるための5つのポイント

事業承継のイメージ

親会社と子会社の取引においては、形式的に問題がなくても、実質的に利益供与とみなされるリスクがあります。そうしたリスクを未然に防ぐために企業が講じるべき具体的な5つの対策を紹介します。

  1. 取引価格の妥当性を第三者の視点で検証
  2. 社内ルール・ガイドラインを整備
  3. 開示義務と説明責任の徹底
  4. 継続的なガバナンス体制の見直し
  5. 税務・法務の専門家による事前チェック

取引価格の妥当性を第三者の視点で検証

親子会社間の取引が市場価格から乖離していないかどうかを検証することは極めて重要です。

自社だけで判断せず、必要に応じて第三者機関による価格査定を依頼することで、取引の適正性を客観的に示すことができるでしょう。特に資産譲渡や業務委託契約などは慎重な確認が求められます。

社内ルール・ガイドラインを整備

利益供与リスクを抑えるためには、子会社との取引に関する明確な社内規定を設け、取締役会や監査役の承認プロセスを含めたチェック体制を整えることが有効です。

ガイドラインによって取引の透明性と一貫性を保ち、役員・従業員が誤った判断をしない仕組みを構築しましょう。

開示義務と説明責任の徹底

親子会社間の重要な取引内容については、有価証券報告書や事業報告書などへの適切な開示が求められます。

さらに、社内外のステークホルダーに対して説明責任を果たす準備をしておくことで、後から疑義が生じた際にも、正当性を証明しやすくなるでしょう。

継続的なガバナンス体制の見直し

利益相反や不透明な支援が発生しないよう、組織全体のガバナンス体制を定期的に見直すことが不可欠です。

例えば、取締役会の構成、監査の独立性、社外役員の活用などを通じて、チェック機能を常に機能させておく必要があります。継続的な運用が信頼に繋がるでしょう。

税務・法務の専門家による事前チェック

実際の取引を実行する前に、税理士や弁護士などの専門家に相談することが、リスク回避への最短ルートです。

専門家による第三者的な視点を取り入れることで、法的・税務的な問題を未然に防ぎ、社内だけでは気づけないリスクも発見することができるでしょう。

子会社との取引が利益供与に該当するか不安な方は専門家に相談

子会社との取引が利益供与に該当するかどうか、判断に迷うケースは少なくありません。特に、取引条件が通常の市場価格から逸脱している場合や、債務保証・役員報酬などの定性的要素が絡む場合には、法的・会計的な観点からのチェックが重要です。

こうした判断を適切に行うためには、会計・法務の両面からサポートできる専門家に相談するのが安心でしょう

小谷野税理士法人は、企業法務や税務に精通した専門家が在籍し、子会社との取引に関する利益供与リスクの診断や適切な対応策の提案を行っています。子会社取引における利益供与の懸念がある場合は、ぜひ小谷野税理士法人にご相談ください。

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
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