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税額控除とは?所得控除との違いや種類、控除額を解説

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税額控除とは?所得控除との違いや種類、控除額を解説

税額控除とは何なのか、どのように活用すればいいのか、など疑問に感じている方はいらっしゃいませんか?本来、控除とは、一定の金額を差し引くことです。例えば「税金を控除する」という文章の場合、一定金額を差し引き税負担を軽くさせるといった意味があります。しかし、日本の控除にはさまざまなものがあり、その中でも有名なのが「税額控除」と「所得控除」の二つが挙げられます。それぞれが、どのような控除であるのか、明確に把握している方は少ないのが現状です。そこで、この記事では税額控除と所得控除の概要に合わせてそれぞれの種類・違いについて解説します。

税額控除とは?

従業員 雇用 税金のイメージ

税額控除とは課税所得金額に税率を掛け、算出した所得税額から一定金額を控除できる制度のことです。所得税は課税所得金額に税率を掛けた数字が所得税額になりますが、その数字から一定金額を差し引くことができます。

仮に、所得が500万円で税率が10%だった場合、支払う所得税額は50万円です。税額控除を20万円とした場合、所得税額の50万円から20万円を差し引いた30万円が本来納めるべき税金になります。

なお、所得税を納付する必要がない方は税額控除を受けても税金に影響がないでしょう。

関連記事:税金の控除とは?節税のために知っておきたい種類や目的を詳しく解説!

所得控除とは?

所得控除とは、所得額から「納税者の生活状況に合わせた一定の額」を差し引く制度のことです。

収めなければならない所得税や住民税は、本来1年間の所得にあらかじめ定められている税率をかけて計算します。この計算の段階で所得控除を適用することで、所得金額を少なくすることが可能です。

所得金額が減少すると、その分課税金額も低くなるため、結果的に納税額を軽減できます。ただし、所得控除は15種類あり、納税者の生活状況によって適用される控除は異なります。

税額控除と所得控除の違い

税額控除と所得控除はいずれも節税を目的とした制度であるため、混同されやすい傾向にあります。それぞれの特徴を明確にした場合、下表のような違いがあります。

控除概要特徴
税額控除計算した税額から直接控除できる制度税率を掛けた数字から控除できるので所得控除に比べて節税効果が高い
所得控除税率を掛ける前の課税所得から控除する制度税率を掛ける前の控除のため税額控除に比べて節税効果が薄い

例えば、300万円の課税所得金額で20万円の控除、税率が10%だった場合を例に挙げます。

控除がない場合、課税所得金額300万円×税率10%なので30万円が納める税金です。所得控除と税額控除それぞれの式と納めるべき税金は下表の通りです。

控除の種類計算式
所得控除の場合(課税所得300万円 − 所得控除20万円) × 税率10% = 28万円

 

控除の種類計算式
税額控除の場合課税所得300万円 × 税率10% − 控除20万円 = 10万円

税額控除は所得控除に比べてより多くの節税効果に期待できることが分かります。所得控除と税額控除はいずれも税負担を軽減する手段です。それぞれの違いを理解し今後の税務状況に応じて適切な控除を選びましょう。

税額控除の種類一覧

税額控除にはさまざまな種類があります。自分に該当する税額控除はないか下表でチェックしましょう。

控除種類概要
配当控除剰余金の配当などの配当所得があったときに一定の方法で算出した金額に対する控除
外国税額控除居住者がその年において外国の法令により所得税に相当する租税を納付する場合に、一定の方法で計算した控除限度額を限度としてその外国所得税額を所得税額から差し引くことが認められた控除
政党等寄附金特別控除政党または政治資金団体に対して政治活動に関する寄附金で一定のものについて受けられる控除
認定NPO法人等寄附金特別控除所轄庁の認定または特例認定を受けた認定NPO法人もしくは特例認定NPO法人に対する寄附金に対して受けられる控除
公益社団法人等寄附金特別控除個人が支払った特定寄附金のうち国税庁が定める法人に対する寄附金に対して受けられる控除
住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)個人が住宅ローンを利用した際に利用できる控除
住宅耐震改修特別控除個人が自己居住用に使用する家屋を耐震改修した場合に利用できる控除
住宅特定改修特別税額控除個人が自己居住用に使用する家屋を省エネ、バリアフリー、耐久性向上等のために改修を行った場合に利用できる控除
認定住宅新築等特別税額控除個人が認定長期優良住宅の新築または取得したときなどに利用できる控除
中小企業投資促進税制青色申告書を提出した中小企業等が平成10年6月1日から令和7年3月31日までの間に新品の機械・装置等を取得した際に利用できる控除
中小企業経営強化税制青色申告書を提出した中小企業等が中小企業等経営強化法の経営力向上計画の認定を受けた場合に受けられる控除
試験研究を行った場合の所得税額の特別控除青色申告者のその年分の事業所得の金額の計算上必要経費に含まれる試験研究費がある場合に受けられる控除
カーボンニュートラルに向けた投資促進税制青色申告書を提出する法人が認定エネルギー利用環境負荷低減事業適応計画に記載された設備の取得または製作・建設した際に利用できる控除
雇用者給与等支給額が増加した場合の税額控除青色申告書を提出する個人が国内雇用者に対して支払う給与等支給額が平成25年度分の給与等支給額に比して一定割合以上増加した場合に利用できる控除

参考:国税庁

税額控除にはさまざまな種類・決まりがあります。詳細について知りたい方は、国税庁ホームページ等をご確認ください。

税額控除を活用する方法

医療費控除のイメージ

税額控除を活用する場合、下表のように必要な手続きや注意点があります。

ポイント詳細
確定申告が必要
  • 税額控除は確定申告の場合にのみ有効
  • 住宅借入金等特別控除においては、会社員が勤務先の年末調整時に2年目以降の申告をする場合を除き、確定申告が必須
使用する税額控除によって書類が異なる
  • さまざまな種類がある税額控除のため、必要書類が異なる
  • 住宅借入金等特別控除については用意する書類が多く、不備や漏れに注意が必要

税額控除を活用する場合は、あらかじめ活用の要件や、必要書類などについて確認しておくことが重要です。

適用する控除によっては提出物が増えるため、不備・不足のないように注意してください。

関連記事:個人事業主に適用される所得控除はいくつある?控除の種類や注意点を解説 

所得控除の種類一覧

所得控除は、納税者やその家族等が特定の支出や状況に応じて受けられる控除です。ここでは所得控除の種類を一覧で紹介するので、税の状況に応じた方法を選びましょう。

控除種類概要
基礎控除確定申告および年末調整において所得税額の計算をする際に総所得金額等から差し引くことができる控除のこと
配偶者控除納税者に所得税法上の控除対象配偶者がいる場合に受けられる控除
配偶者特別控除配偶者に48万円、令和元年分以前は38万円を超える所得があり配偶者控除が受けられない場合に配偶者の所得金額に応じて受けられる控除
扶養控除納税者に所得税法上の控除対象扶養親族に該当する人がいる場合に受けられる控除
障害者控除納税者自身や同一生計配偶者または扶養親族が所得税法上の障害者に該当する場合に受けられる控除
寡婦控除納税者自身が寡婦である場合に受けられる控除
ひとり親控除納税者がひとり親である場合に受けられる控除
勤労学生控除納税者自身が勤労学生であるときに受けられる控除
生命保険料控除納税者が生命保険料、介護医療保険料および個人年金保険料を支払った場合に受けられる控除
地震保険料控除納税者が特定の損害保険契約等にかかわる自身損害部分の保険料または掛金を支払った場合に受けられる控除
社会保険料控除納税者が自己または自己と生計を一にする配偶者やそのほかの親族の負担すべき社会保険料を支払った場合に受けられる控除
小規模企業共済等掛金控除納税者が小規模企業共済法に規定された共済契約に基づく掛金等を支払った場合に受けられる控除
医療費控除その年の1月1日から12月31日までの間に自己または自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために医療費を支払った場合に受けられる控除
寄附金控除納税者が国や地方公共団体、特定公益増進法人等に対して特定寄附金を支出した場合に受けられる控除
雑損控除災害または盗難もしくは横領によって、定められた要件に該当する損害を受けた場合に利用できる控除

参考:国税庁

所得控除は医療費控除や配偶者控除など該当する可能性の高い控除が多いです。年末調整や確定申告では、自身や家族に該当する控除はないかを確認しましょう。

関連記事:【税理士監修】特別償却と税額控除とは?節税のポイントや中小企業向けの控除について解説

控除を受けるには?適切な申告方法

医療費控除のイメージ

税額控除および所得控除を受けるにあたっては、年末調整や確定申告を行う必要があります。ここではそれぞれの申告方法について紹介します。

年末調整

年末調整は、給与所得者が年間の所得税を精算するための手続きであり、主に会社が行うものです。配偶者控除、扶養控除、生命保険料控除、地震保険料控除、社会保険料控除などが該当します。

これらの控除を受けるには、年末に配布される各種申告書に必要事項を記入し、必要な添付書類をそろえて会社に提出する必要があります。

例えば、生命保険料控除を受ける場合、保険会社から送付された控除証明書を添付するなどです。また、配偶者控除や扶養控除の場合は、家族の所得や生計要件を確認することが求められます。

確定申告

確定申告は、自営業者や年末調整だけでは控除しきれなかった控除を適用するための手続きです。確定申告では確定申告書を作成する必要があります。この場合、1月1日から12月31日までの所得と支出を正確に記載してください。

税額控除には住宅ローン控除や配当控除があり、直接税額を減らす効果に期待できます。

なお、医療費控除を受けるためには医療費の領収書や支出証明書の添付が必要です。

関連記事:【税理士監修】年末調整と確定申告の違いとは?両方が必要なケースや適用される所得控除を解説!

控除の上手な活用は専門家に相談しよう

各種控除の制度や適用条件、必要書類は複雑です。自身に合う控除について知りたいといった方は、税理士やファイナンシャルプランナーなどに相談し、手続きを一任することをおすすめします。適切な人への相談によって適切な控除が受けられるほか、納税の過不足や手続きの不備などを防げるでしょう。

税務の相談については、小谷野税理士法人でいつでも受け付けています。相談や質問などいつでも回答しているので、ぜひお気軽にご相談ください。

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
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