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小切手廃止と電子化でどう変わる?廃止理由や電子記録債権(でんさい)について解説

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小切手廃止と電子化でどう変わる?廃止理由や電子記録債権(でんさい)について解説

長年にわたり日本の商取引に欠かせない決済手段として利用されてきた小切手ですが、デジタル技術の進化や企業の業務効率化の流れにより、全国銀行協会は決済システムの運用を2027年に終了する方針を固めました。今回は、小切手廃止に伴う電子化への流れやメリット、廃止までのスケジュールなどについて解説します。円滑な移行のために、正確な情報を押さえておきましょう。

小切手とは?

お金の代わりにやり取りできる有価証券の1つです。銀行で発行された専用の用紙に金額などの必要事項が記入されたもので、現金の代わりとして決済に用いられます。

小切手を支払銀行に持ち込めば、原則として記載された金額を受け取れます。多額の現金を持ち運ぶわけではないため、盗難や紛失のリスクが低く、入出金の事務負担も軽減できるため、主に金額の大きな取引で用いられるケースが多いです。

小切手を使用するには、事前に銀行で当座預金口座を開設し、審査を受ける必要があります。

関連記事:小切手を受け取ったらどうする?特徴や注意点・流れを解説!

小切手が廃止される理由

主に効率性やコスト削減、セキュリティの観点から来ています。小切手は決済に時間がかかるうえに、現預金に比べて現金化までに時間がかかります。

さらに大きな理由としては、キャッシュレス決済の普及です。クレジットカードやデビットカード、電子マネー、QRコード決済など、多様なキャッシュレス決済手段が登場し、利便性の高さから利用者が増加しています。

特に、個人間の取引においては、キャッシュレス決済が主流となりつつあります。

そのため、約束手形は電子記録債権、小切手はインターネットバンキングを利用した銀行振込に代えるという動きが出てきています。紙を使用することでコストや手間を削減し、取引の透明性を高められるでしょう。

関連記事:手形貸付とは?証書貸付との違いやメリット・デメリットなどをわかりやすく解説!

小切手廃止までのスケジュール

プラットフォーム課税のイメージ

小切手の廃止に関する具体的なスケジュールは、日本国内では2026年度末を目途に、段階的な廃止が進められるとされています。現時点で公表されている情報や想定される流れに基づいて紹介します。

2021年6月

政府が公表した「成長戦略実行計画」に次の事項が盛り込まれています。

  • 5年後の約束手形の利用廃止
  • 小切手の全面的な電子化

2021年7月

「手形・小切手機能の全面的な電子化に向けた自主行動計画」を一般社団法人全国銀行協会が公表しました。「2026年度末までに全国の手形交換所における手形・小切手の交換枚数をゼロにする」を目標に掲げています。

政府や全国銀行協会の公表を受け、金融業界などで、手形・小切手の発行停止など手形・小切手の全面的な電子化に向けた取り組みが開始されました。

2022年7月

下請中小企業振興法「振興基準」が改正され、2026年の約束手形の利用廃止に向けて次の事項が追加されました。

  • 約束手形、一括決済方式及び電子記録債権のサイトについては、60日以内とするよう努めるものとする
  • 約束手形は、できる限り利用しないよう努めるものとする

2026年度末まで

紙の小切手・手形の利用廃止、全面的な電子化が目標とされています。

2027年4月以降

期日管理を伴う手形・小切手の取立完全停止を予定しています。

小切手が完全に廃止される日程は、取引先の金融機関ごとに若干異なる可能性があるため注意しましょう。スケジュールは変更される可能性もあるため、定期的に最新情報を確認しましょう。

小切手廃止のメリット

小切手を廃止・電子化によって得られるメリットについて解説します。

事務負担の軽減

紙ベースの手形や小切手の処理が不要となり、書類管理や郵送コストが削減されます。Webで取引が完結するため、手形や小切手を受領する手間がなく、銀行への持込も不要です。

コスト削減

小切手には印刷・帳票管理・郵送費・手数料・人件費など、隠れたコストが数多く存在します。電子化によってコスト削減が可能となり、経済的なメリットも大きいでしょう。

リスクの低減

電子化により、現物の紛失リスクが大幅に低減されます。紙の手形や小切手を保管する必要がなくなり、紛失や盗難のリスクが最小限に抑えられます。また、紙の約束手形や小切手は、数字や内容を書き換えられたり、偽造されたりといったトラブルのリスクもあります。

資金繰りの改善

小切手は受け取り後に銀行での取り立て・清算を経るため、入金までに数日〜1週間程度かかることが一般的でした。電子送金の場合は即時反映されるため、資金繰りの見通しが立てやすくなります。

廃止・電子化による小切手の代替手段

一族経営のイメージ

小切手の廃止・電子化に向けて、支払手段としての機能や期日調整・証拠性といった役割を担える、いくつかの電子的な代替手段が存在します。

代替手段

特徴・機能

銀行振込

インターネットバンキングによるリアルタイム送金

最も一般的な代替手段で、高額な支払いにも対応

電子記録債権

(でんさい)

手形や小切手に代わる電子的な決済手段

手形と比べて事務負担の軽減、コスト削減、リスク低減

クレジットカード決済

クレジットカード会社が立て替えて支払うため、現金がなくても購入可能

法人カードも利用可

ファームバンキング

企業と銀行を専用回線や端末で繋ぎ、銀行に出向かなくても取引できるサービス

社内で銀行取引が完結できる

全銀EDIシステム

振込の際に、振込データに取引に関する詳細な情報を添付し、受取企業に連携できるシステム

電子請求書+振込

紙の請求書ではなく、電子データ形式(PDFなど)でやり取りされる請求書

保管場所が節約でき、検索・管理が容易

BtoB決済サービス

企業間の請求代行プロセスをすべて代行可能なクラウド型サービス

与信審査や請求書発行、入金確認、催促などを代行

小切手廃止に向けて、企業や個人は代替となる決済手段への移行を進める必要があります。目的に応じて複数の選択肢を使い分けましょう。

小切手の代わりになる電子記録債権(でんさい)とは?

「でんさい」とは「電子記録債権」の略称で、企業間取引などで利用される新しい決済手段の1つです。平成20年12月施行の電子記録債権法のもとで創設されました。株式会社全銀電子債権ネットワークにより運営されています。

従来の紙の手形や小切手に代わり、電子的に債権情報を管理することで、取引の迅速化やコスト削減の実現を金融機関のシステムを通じて記録し、発行や譲渡などの取引をスムーズに行い、書類の紛失や偽造のリスクを大幅に減少させるシステムです。

電子記録債権は、従来の金銭債権が抱える問題を克服し、法的に安定した信頼性の高い取引手段と言われています。

参考:でんさいネット

でんさいを利用するメリット

でんさいの大きな利点は、手続きがオンラインで完結する点です。物理的な移動や郵送の手間がなくなり、取引のスピードが劇的に向上します。

さらにコスト削減、事務負担軽減、リスク低減、資金繰り円滑化など、そのメリットは多岐にわたります。特に、ペーパーレス化により印紙代や郵送費が不要になる、手形の紛失リスクがなくなる、支払期日に自動入金されるなどのメリットもあります。

でんさいを利用するデメリット

でんさいを利用する場合、債務者と債権者のどちらもでんさいネットに加盟し、利用者でなければなりません。一方のみが利用登録していても取引できないため、でんさいを使いたい旨を取引相手に説明し、登録してもらうデメリットがあります。

さらに、でんさいを利用する場合は勘定科目などの会計処理に変更が発生します。会計システムを利用している場合は対応可能かの確認も必要です。また、会計処理の作業フローも変わるため、経理担当者への研修の実施やマニュアル作成などの事前準備が必要です。

小切手廃止の今後の課題

小切手

小切手の廃止は多くのメリットがありますが、その一方でいくつかの課題や懸念も残されています。次に、今後の主な課題について解説します。

システム対応

企業会計システムや、手形・小切手管理システムなどが、電子決済に対応するように改修する必要があるでしょう。

中小企業の中には、未だに小切手での取引に依存しており、電子化への対応が遅れているケースもあります。インターネット環境が不十分な場合の対応が課題です。

取引先との調整

約束手形や小切手を頻繁に使っている場合は、でんさいや振込などの代替手段への切り替えについて、早めに取引先に説明し、理解を得ることが重要です。一方的に電子化に切り替えると、関係悪化や取引停止のリスクもあるため、慎重な対応が求められます。

社内教育

小切手の廃止と電子化に伴って、社内の経理・財務・営業部門においても新たなシステムの操作やセキュリティについての社内教育が重要になるでしょう。

しかし、世代や部門によってITリテラシーに差があり、混乱を招く恐れがあります。現場の不安や抵抗感を最小限に抑えるためにも、慎重な対応が必要です。

よくある質問

小切手に関するよくある質問を回答とともに紹介します。

小切手の有効期限はある?

小切手には、呈示期間と呼ばれる、換金の有効期限があります。小切手の呈示期間は、原則として、この振出日の翌日から10日間です。

10日間の呈示期間を過ぎると、振出人は金融機関に決済の取り消しを求められるため、小切手を受け取ったら、できるだけ早めに換金手続きを行いましょう。

小切手はでんさいに切り替えられる?

可能です。ただし、小切手をでんさいに切り替える場合、支払期日を定めなければならないため、取引先と調整する必要があります。小切手には支払期日を記載する欄がないため、でんさいの支払期日は、発生日から最短で3営業日以降の日付に設定しましょう。

小切手の電子化に向けた補助金や支援制度はある?

小切手廃止に直接対応した補助金は少なく、最新の情報を各自治体や関連機関のサイトをご確認ください。各金融機関は、電子決済サービスへの移行に関するアドバイスや導入サポートを提供しているため、利用を検討してみるのもおすすめです。

​2026年度末の廃止までに早めに対応しよう

新たな技術や仕組みに柔軟に対応していくことが、これからの企業や社会に求められる姿勢です。電子化によって業務が効率化され、安全性が高まり、経営判断の迅速化が進むのであれば、それは大きなメリットといえるでしょう。

まずは、自社の支払い・受け取り業務の現状を整理し、でんさいやネットバンキング、クレジットカードなど、目的に合った代替手段の検討が重要です。混乱を最小限に抑え、スムーズに電子化移行するために早めの対策を心がけましょう。

小切手の電子化によって、生産性の向上やコスト削減など、事業者にとって多くのメリットがあります。取引銀行の担当者を始め、専門家の力を頼りに準備を進めるのもおすすめです。

小切手受取時の会計処理などについてのお困りごとやご相談は、ぜひ「小谷野税理士法人」までお気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
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