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新創業融資制度が廃止!変更点や2025年時点で利用できる融資を紹介

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新創業融資制度が廃止!変更点や2025年時点で利用できる融資を紹介

日本政策金融公庫の新創業融資制度は2024年3月31日に廃止されました。現在は単体の融資制度ではなく、創業者を対象とした特例という形に変更されています。創業融資と創業者の特例を組み合わせることで、新創業融資制度と似たような融資の活用が可能です。今回は新創業融資制度の廃止に伴う変更点や、現在も利用できる創業融資について解説します。

新創業融資制度の廃止に伴う変更点

変更点

新創業融資制度とは、かつて日本政策金融公庫が実施していた融資制度です。新たに事業を開始した、もしくは税務申告2期を終えていない事業者(以下「創業者」)を対象としていました。2024年3月31日に廃止されており、現在は創業者のみを対象とした単独の融資制度は存在しません。ただし制度の廃止とあわせて、創業者向けの支援体制が手厚くなりました。

以下では新創業融資制度の廃止に伴う変更点について解説します。

無担保・無保証人で融資を受けられる

創業者は原則として無担保・無保証人で融資の利用が可能です。

日本政策金融公庫の融資制度の多くは、担保や保証人は相談によって決めるものとされています。しかし創業者であれば無担保・無保証人での契約が可能です。そのため担保や保証人を用意できないという理由で不利になることはありません。

なお、かつて存在した新創業融資制度も原則として無担保・無保証人でした。単独の制度自体は廃止されたものの、現在は創業者向けの特例という形に変わったといえるでしょう。

関連記事:連帯保証なしで融資は可能!受けられる融資の種類や経営者保証が求められるケース

利率引き下げ

創業者の融資契約では原則として利率が0.65%、雇用の拡大を図る場合は0.9%引き下げとなります。利息が軽減されるため、毎月の返済負担を抑えられるでしょう。

自己資金要件が撤廃された

新創業融資制度には税務申告1期を終えていない場合「創業資金の10分の1以上の自己資金を用意する」という要件がありました。

しかし現在、創業者を対象とした自己資金要件の定めはありません。自己資金がない・少ない場合でも融資を申し込めます。

なお理論上は自己資金がなくても申し込めますが、実際のところ、審査に通過する可能性を高めるには多くの自己資金を用意するのが理想です。

関連記事:自己資金なしでも創業融資を受けることは可能?自己資金なしで起業・創業を成功させるポイントを解説!

関連記事:開業資金の融資はどうすれば受けられる?自己資金なしでも可能?資金の集め方や貯め方などを解説!

【新規開業・スタートアップ支援資金】返済期間が延長

新規開業・スタートアップ支援資金とは、創業者や事業開始後おおむね7年以内の事業者を対象とした融資制度です。以前は「新規開業資金」という名称でしたが、2025年3月に名称が変更されました。

新創業融資制度の廃止に伴い、新規開業・スタートアップ支援資金の返済期間が以下のように変わりました。

旧制度

現在

設備資金

20年以内
(据置期間2年以内)

20年以内
据置期間5年以内

運転資金

7年以内
(据置期間2年以内)

10年以内
据置期間5年以内

運転資金の返済期間が7年から10年に、据置期間が5年以内に延長されました。長期での返済が可能なため、毎月の返済負担を抑えられます。

新創業融資制度に代わって利用できる創業融資

建物の減価償却費

創業者が利用できる融資制度は現在も複数存在します。以下では2025年4月現在でも利用できる創業融資を4つ紹介します。

新規開業・スタートアップ支援資金

対象者

新たに事業を開始する、もしくは事業開始後おおむね7年以内の事業者

融資限度額

7,200万円(うち運転資金4,800万円)

返済期間

設備資金:20年以内

運転資金:10年以内

いずれも据置期間5年以内

利率

原則として基準利率

ただし一定の要件を満たす場合は特別利率

【特別利率の適用対象になる例】

  • 女性
  • 35歳未満または55歳以上
  • 創業塾や創業セミナーなどを受けて事業を開始する
  • 廃業歴等があり、創業に再チャレンジする
  • Uターンで創業する

主な特徴

  • 事業内容や業種の定めがないため多くの事業者が利用できる
  • 特別利率の適用対象になる要件が多数用意されているため、より低い利率で融資を受けられる可能性も期待できる

出典:新規開業・スタートアップ支援資金|日本政策金融公庫

最大の特徴として、対象者の範囲が広い点が挙げられます。前述のように、事業内容や業種の定めはありません。申し込み要件を満たすのが容易なため、創業融資の中でも特に利用しやすく人気といえるでしょう。

また、「利率」や「主な特徴」の欄で述べたように、特別利率の適用対象となる要件が多く設けられています。

挑戦支援資本強化特別貸付(資本性ローン)

対象者

次の1、2いずれの要件も満たす事業者

1.融資制度

以下いずれかの制度の要件を満たす

  • 新規開業・スタートアップ支援資金
  • 新事業活動促進資金
  • 企業再建資金
  • 企業活力強化資金
  • 海外展開・事業再編資金
  • 事業承継・集約・活性化支援資金
  • ソーシャルビジネス支援資金

2.その他条件

以下2つの要件を満たす

  • 地域経済活性化にかかる事業を行う
  • 税務申告1期以上行なっている場合、原則として所得税等を完納している

融資限度額

7,200万円

返済期間

5年1ヵ月以上20年以内

利率

直近の業績および返済期間に応じた利率を適用。詳しくは後述

主な特徴

  • 本制度による借入額は、金融機関の資産査定で自己資本とみなすことができる
  • ケースに応じて適用される利率が異なる
  • 期間中の返済は利息部分のみであり、元本は最終回の一括返済となる

出典:挑戦支援資本強化特別貸付(資本性ローン)|日本政策金融公庫

挑戦支援資本強化特別貸付(資本性ローン)の最大の特徴は、金融機関の資産査定において債務を自己資本とみなせる点です。財務体制の強さが重視される場面でマイナスの印象を与えてしまうのを避けられるでしょう。

ケースによって異なる利率が適用される点も特徴です。直近の税引後当期純利益率が黒字の場合と赤字の場合で税率は以下のように異なります。

返済期間

5年1ヵ月以内

5年1ヵ月超
7年以内

7年超
10年以内

10年超
15年以内

15年超
20年以内

0円以上(黒字)

3.25%

3.40%

3.65%

3.80%

3.95%

0円未満(赤字)

0.50%

0.50%

0.50%

0.50%

0.50%

業績が好調な場合は高い税率が、赤字のときは低い税率が適用される仕組みです。

また、元金は期限一括返済です。融資期間中は元金の返済が不要なため、資金繰り負担を抑えられます。ただし最終回の一括返済により多額の支出が発生するため、一時的に資金繰りが大きく悪化する恐れがある点に注意が必要です。

生活衛生新企業育成資金

生活衛生新企業育成資金は、生活衛生関係の事業を営む者を対象とした融資制度です。

本制度は振興計画認定組合の組合員とそうでない場合で条件が以下のように異なります。

振興計画認定組合の組合員

左記以外

資金の使い道

設備資金および運転資金

設備資金

融資限度額

振興事業貸付と同様

設備資金:1億5,000万円~7億2,000万円

運転資金:5,700万円

一般貸付と同様

設備資金:7,200万円~4億8,000万円

返済期間

設備資金:20年以内

運転資金:10年以内

(据置期間5年以内)

設備資金:20年以内(据置期間5年以内)

出典:生活衛生新企業育成資金(新企業育成・事業安定等貸付)|日本政策金融公庫

適用される利率は基準利率または特別利率A~Cのいずれかです。担保や保証人は申込者の希望を伺いながら相談して決定すると案内されています。

参考:金利情報|国民生活事業(主要利率一覧表)|日本政策金融公庫

自治体の制度融資

制度融資とは自治体・金融機関・信用保証協会の3社が連携して提供する融資制度です。多くの自治体では創業者向けの制度融資を設けています。

自治体の制度融資の特徴として以下の3点が挙げられます。

  1. 銀行のプロパー融資に比べて金利が低い
  2. 対象の自治体に事業所や住居があり、保証協会の保証対象となる事業を営んでいる場合のみ利用できる
  3. 自治体と信用保証協会の2社による補助が入るため、銀行のプロパー融資に比べて審査のハードルが低い

自治体・金融機関・信用保証協会の3者それぞれで審査や手続きが行われるため、融資実行までにかかる期間が長めです。そのため早急な資金調達が必要な場面には適さない可能性があります。

なお、実際に審査や貸付を行うのは自治体ではなく金融機関です。自治体は受付窓口や各種手続きの代行、さらには信用保証料の補助などの役割をもちます。制度融資の金利や保証料がプロパー融資よりも低いのは、自治体の補助があるためです。

制度融資の条件や申し込みの方法は自治体によって異なるため、詳しくは自治体の案内をご確認ください。

新創業融資制度の廃止後に創業者向けの支援は拡充

新創業融資制度の廃止により、融資の選択肢が狭まったと思うかもしれません。しかし創業者向けの支援は拡充されています。新創業融資制度という単独の制度はなくなったものの、特例・支援という別の形に変わったといえるでしょう。

現在も、新規開業・スタートアップ支援資金をはじめとした創業融資は複数存在します。創業融資を上手く活用し、創業や開業に必要な式員を調達しましょう。

創業融資についてのお困りごとやご相談は、ぜひ「小谷野税理士法人」までお気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
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