会社設立に際しては手続きの複雑さや必要書類の多さから、1人で全てをこなすのは大変です。会社設立の代行は業者によって対応範囲や料金、電子定款への対応状況、さらには顧問契約の条件などが大きく異なります。自分に合ったサービスを選ぶためには、コストやサービス、サポート体制の確認が欠かせません。そこで今回は東京都で会社設立代行をしてもらう際の選び方や費用相場、メリットについて解説します。
目次
東京での会社設立は代行がおすすめ
東京で会社を設立する場合、手続きが複雑なうえ、ビジネス環境も競争が激しく、スピード感が求められます。そのため設立手続きを専門家に任せれば、時間と労力を大幅に削減できるでしょう。
代行先の選択肢としては行政書士や代行会社が挙げられます。しかし、設立後の税務・会計まで一貫して支援してもらえる点で、税理士法人への相談がより安心で効果的な選択と言えるでしょう。
東京での会社設立代行を税理士法人に依頼するメリット
税理士法人に会社設立を依頼することには、単なる「登記代行」では得られない数多くのメリットがあります。ただし、税理士に依頼しても登記の代理はできませんが、提携している司法書士を紹介されるかもしれません。ここでは、他の代行業者とは異なる“税理士法人ならではの強み”を解説します。
ここでは、他の代行業者とは異なる税理士法人ならではのメリットを解説します。
税務・会計の専門知識を活かしたサポートが受けられる
税理士法人の最大の強みは、税務と会計のプロフェッショナルである点です。設立時の事業計画や資本金の金額は、今後の税務処理や節税対策に直結する重要な要素です。これらを総合的な視点でアドバイスできるのが税理士法人ならではの魅力と言えるでしょう。
例えば消費税の課税・免税事業者の選択や、青色申告承認申請書の提出タイミングは、節税の成否を左右します。こうした実務に精通したアドバイスを受ければ、設立後の経営もスムーズに進むでしょう。
設立後も一貫したサポートが可能
税理士法人は、会社設立後の経理・決算・税務申告まで一括してサポートできます。なぜなら設立時だけでなく、毎月の会計処理や年次の決算・申告も本来の業務範囲に含まれているためです。
例えば設立後の初年度には、法人住民税の均等割や源泉所得税の納付など、設立直後でも避けて通れない税務業務が発生します。
これらを見落とすと、ペナルティや信用低下につながりかねません。ワンストップで対応できる体制がある税理士法人なら、設立後も継続して伴走し、会社の成長に応じた柔軟な提案が可能です。
融資や補助金の活用にも強い
税理士法人は、創業融資や補助金の申請支援にも豊富な実績を持っています。税理士法人では事業計画の策定支援や金融機関とのやり取りに慣れています。そのため、数字に裏付けられた説明資料を的確に作成できるのです。
例えば日本政策金融公庫の創業融資では、返済能力を示す収支計画や資金繰り表の提出が求められます。
もし、これを税理士がサポートすれば、審査通過率が大きく高まるでしょう。「設立直後だから資金調達は難しい」とあきらめず、活用できる支援制度を逃さないためにも、税理士の力を借りることが大切です。
節税対策まで見据えた法人設計ができる
税理士法人に依頼すれば、設立時から「将来を見据えた節税設計」が可能です。これは税務に精通しているからこそ、資本金・役員報酬・決算期などの設定に戦略的なアドバイスができるためです。
もし資本金を1,000万円未満に抑えられれば、最大2年間の消費税免除を受けられる可能性があります。また決算期をうまく調整できるとで、法人税の納付タイミングを後ろ倒しにできるケースもあります。
このように単なる「設立」ではなく「経営戦略」まで踏み込んだ提案ができるのは、税理士法人だからこそ可能な強みなのです。
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東京での会社設立代行の選び方
会社設立を専門家に代行してもらう場合、どこに依頼するかによってサポートの内容が大きく異なります。ここでは、東京での会社設立代行を選ぶ際にチェックすべきポイントを解説します。
対応可能な業務の範囲を確認する
まず押さえておきたいのが「どこまで手続きを任せられるか」についてです。定款の作成だけなのか、認証・登記まで含めて一括で対応してもらえるのか、業務範囲を事前に確認しておきましょう。
依頼先によって対応できる内容は異なります。自分で一部の手続きを行うのか、それともすべてを任せるのか、自身の希望も踏まえて選ぶのが大切です。
電子定款に対応しているかどうか確認する
定款の提出方法には「紙の定款」と「電子定款」の2種類があります。電子定款にすると印紙代(40,000円)が不要となるため、コストを抑えることが可能です。
設立にかかる費用を少しでも軽減したい方は、電子定款に対応している税理士法人を選ぶと良いでしょう。
顧問契約の有無や条件を事前に確認する
税理士などの専門家が設立代行を提供している場合、「顧問契約が前提」となっているケースもあります。初期費用が安く見えても、後から毎月の顧問料が発生する場合があるため注意が必要です。
設立手続きのみを依頼したい場合は、顧問契約が不要なプランを提供しているかどうかを事前に確認しておきましょう。条件をよく理解したうえで、自分に合った代行先を選ぶことが、後々のトラブル防止にもつながります。
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東京都内での会社設立で必要な手続き
以下では会社設立までの標準的な流れと、東京都内ならではのポイントを整理して解説します。
STEP①会社の概要を決める
会社設立の第一歩は、基本情報を固めることです。なぜなら、商号(会社名)や事業目的、本店所在地、資本金、役員構成などは定款に記載する必要があるためです。つまり最初に明確に会社の概要を決めておかなければ次の手続きに進めません。
例えば、事業目的が曖昧だと後の許認可取得や銀行口座開設で問題になることがあります。商号についても、他社と類似していないか、使用可能かどうかの確認が重要です。この段階で設立後の事業計画まで視野に入れて検討しましょう。
STEP②法人用の実印を作成する
次に、法務局に提出する登記書類や契約書、銀行手続きなどで使用される会社の印鑑を用意しましょう。例えば代表者印は、設立登記の際に法務局に届け出る必要があります。銀行印は法人用口座の開設に、角印は日常的な社内文書に使用されます。
ネット注文でも作成できますが、「印鑑証明書の登録が可能なサイズ」であることを確認しましょう。印鑑は会社の「顔」になるため、信頼性のある印鑑を選ぶのがポイントです。
STEP③定款を作成し、認証を受ける
会社の「憲法」ともいえる定款は、公証人の認証が必要です。定款には会社の基本事項(目的、商号、本店所在地、設立時役員など)を記載し、公証役場で認証を受けなければ登記ができません。
特に株式会社の場合は公証役場での定款認証が義務付けられており、電子定款を利用すれば印紙代4万円の節約も可能です。
さらに税理士などの専門家に依頼することで、ミスのない定款作成ができ、電子認証にもスムーズに対応できます。将来の経営や許認可申請に影響するため、内容は慎重に設計しましょう。
STEP④出資金(資本金)を払い込む
定款認証後は、資本金の払い込みを行います。これは、出資者が定めた資本金を発起人の個人口座へ一度払い込み、その通帳を証明資料として提出する必要があるためです。
出資金100万円を払込む場合、通帳に「100万円が振り込まれた記録」と「口座名義が発起人である証拠」が必要となります。
資本金は1円からでも設立可能ですが、あまりに少ないと銀行口座の開設や信用面に不利になる恐れがあるため注意しましょう。適切な資本金額を検討し、通帳のコピーも忘れず準備してください。
STEP⑤登記申請書類を作成し、法務局で申請する
最後に、法務局へ設立登記を行えば法人が正式に設立します。必要書類は、登記申請書・定款・発起人決定書・印鑑届書など多岐にわたります。書式や記載内容に不備があると、補正対応が求められ設立日が遅れる恐れもあるので要注意です。
例えば設立日を月末に設定していた場合、不備があると月をまたいでしまい、法人住民税の負担が増える可能性もあります。書類作成は専門知識が求められるため、不安な方は専門家への依頼を検討すると良いでしょう。
関連記事:【税理士監修】会社設立前と設立後のやること一覧 一人で会社を作る場合や手順
会社設立代行の費用相場
会社設立代行の費用相場は以下の通りです。
項目 | 株式会社 | 合同会社 |
定款認証手数料 | 15,000〜50,000円 | 不要 |
定款の謄本手数料 | 約2,000円 | 不要 |
定款に貼付する収入印紙 | 40,000円(※電子定款なら不要) | 40,000円(※電子定款なら不要) |
登録免許税(設立登記) | 最低15万円(資本金×0.7%) | 最低60,000円(資本金×0.7%) |
合計費用(紙定款の場合) | 約24万円 | 約10万円 |
合計費用(電子定款の場合) | 約20万円 | 約60,000円 |
さらに資本金や専門家への依頼費なども加わるため、実際にはある程度資金の余裕を持って準備しておくことが大切です。
関連記事:【税理士監修】一人で会社を作る際の費用と維持費について
東京での会社設立代行を依頼する際の注意点
最後に東京での会社設立代行を依頼する際の注意点についてまとめたので、代行を依頼する際はぜひ参考にしてください。
代行の内容を確認する
まずは依頼先がどの手続きを代行してくれるのかが明確に示されているかをチェックしましょう。内容が明記されている依頼先を選べば、自分がどの部分を任せられるか、現在の進行状況がどうなっているのかを把握しやすいです。
会社設立代行には、費用だけを受け取って手続きを行わないような悪質な業者も存在します。信頼できる代行先を見極めるには、対応内容やサービス詳細が丁寧に説明されているかどうかをしっかり確認しましょう。
「手数料無料」の条件に注意する
「手数料無料」を強調している場合、実際には他のサービスの利用が前提となっていることがあるため注意が必要です。例えば税理士による無料代行の多くは、一定期間の顧問契約が必須となっているケースがほとんどです。
そのほかにも、特定の業務ソフトの年間契約や、一定額以上の備品購入が条件になっている場合もあります。
このように手数料がかからないとされる代行サービスでも、実際には何らかの条件が設けられていることが多いです。そのため、契約前に内容をよく確認しましょう。
まとめ
会社設立代行を依頼する際は、対応可能な業務範囲や電子定款に対応しているか、顧問契約の有無などを事前に確認するのが大切です。
しっかりとしたサポートを受けるためにも、専門家選びは慎重に行いましょう。さらに、設立後の税務や経営に関するアドバイスが必要な場合は、税理士に相談するのがおすすめです。
税理士は会社設立だけでなく、税務・会計の面でも強力なサポートを提供してくれるため、設立後も安心して経営を続けられるでしょう。小谷野税理士法人では、東京都の会社設立代行の担当実績が豊富な税理士が在籍しております。