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年末調整の計算方法を徹底解説!ミスを防ぐポイントも紹介

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年末調整の計算方法を徹底解説!ミスを防ぐポイントも紹介

年末調整は、会社員やパート・アルバイトなど給与を受け取っている方にとって、1年間の所得税を正しく精算する手続きです。特に年末調整の「計算」は、所得控除の内容や源泉徴収額との比較など、正確性が求められます。しかし、実務では「計算の流れがわかりづらい」といった悩みも少なくありません。本記事では、年末調整に関わる経理担当者や個人事業主の方に向けて、計算の基本的な流れから注意点までを徹底解説します。

年末調整とは?計算が必要な理由を押さえよう

良い税理士のイメージ

年末調整とは、給与から毎月天引きされている所得税を年末に精算する手続きです。月々の源泉徴収税額は概算のため、年間の収入や控除の実態に応じて正確な税額を再計算する必要があります。

例えば年の途中で扶養家族が増えた場合は、月々の計算では反映されていない控除が加味されて納めすぎた税金が戻ってくる可能性があります。年末調整は納税者にとって不利益を防ぐ役割を担っているのです。

年末調整の対象と確認方法

年末調整の計算はすべての人に必要なわけではありません。ここでは、誰が対象となり、誰が対象外となるのかを明確にしていきます。

対象者

一般的には会社から給与を受け取っている人で、年末時点でも在籍している従業員が年末調整の対象です。年末調整は、会社がその年の「給与支払総額」を把握できる場合に行うものであり、継続的に雇用関係があることが前提となります。

対象者には、正社員のほか、一定条件を満たすパート・アルバイトも含まれます。一方、年の途中で退職した人や、副業で複数の会社から給与を受けている人の「副業分」は対象外です。

対象者かどうかを正しく判別しなければ、計算漏れや不要な作業の原因になります。年末時点での雇用状況をしっかり確認しましょう。

参考:No.2665 年末調整の対象となる人|国税庁

対象者の確認方法

対象者に関しては年初に提出される「扶養控除等申告書」の有無によっても判断できます。

この申告書を提出している従業員は、「主たる給与所得者」としてその会社で年末調整を受ける前提となっているためです。

例えば複数の会社に勤めている人は、扶養控除等申告書を提出した1社のみが年末調整を行います。申告書を提出していない人には、年末調整を行う必要がありません。

関連記事:【税理士監修】年末調整と確定申告の違いとは?両方が必要なケースや適用される所得控除を解説!

年末調整の基本的な計算手順

年末調整の計算は一見複雑に思われがちですが、実は決まった手順に沿って進めれば正確に対応できます。以下では、基本の計算手順を簡潔に解説します。

ステップ

概要

年間の収入と控除額を把握する

1年間の給与の総額、支払った社会保険料、そして源泉徴収された所得税の合計額を確認

給与所得を計算する

総支給額から給与所得控除額を差し引き、給与所得の金額を算出

課税所得金額を求める

給与所得から、生命保険料控除や扶養控除などの所得控除額を差し引いて、課税される所得金額を確定

所得税額を算出する

課税給与所得金額に所得税率を乗じて、年間の所得税額を計算

税額控除を適用する

住宅ローン控除など、税額から直接差し引ける控除額があれば、その金額を差し引き

年調年税額を確定する

計算された所得税額に、復興特別所得税額を加算し、最終的な年間の所得税額(年調年税額)を算出

源泉徴収税額との過不足を確認する

1年間に源泉徴収された所得税額と、算出した年調年税額を比較し、過払いまたは不足額を確認

再計算が必要な場合は対応する

計算に誤りがあったり、控除額に変更が生じたりした場合は、年末調整を再度行う

年間の所得税を正しく精算するために、年間の収入、社会保険料、生命保険料などの各種控除額を正確に申告することが基本です。申告漏れや誤りがあると、追徴課税や還付遅延の原因となります。

そのため源泉徴収票や控除証明書をしっかり確認し、期限内に手続きを行いましょう。不明な点は税務署や税理士などの専門家に相談するのがおすすめです。

関連記事:年末調整をしていない!そんな時の確定申告の正しいやり方を解説

年末調整の計算で使う控除項目

控除

年末調整にはどのような控除があるのか、代表的な控除を表にしてまとめました。

控除名

概要

主な適用条件

控除額の目安

基礎控除

すべての納税者が対象となる所得控除

合計所得金額が2,400万円以下であること

2,400万円以下:48万円(所得に応じて段階的に減少)

扶養控除

扶養親族がいる場合に受けられる控除

年間の所得額が48万円以下

16歳以上の扶養親族がいること

一般:38万円

特定扶養:63万円

老人扶養:48万円など

生命保険料控除

支払った生命保険料に応じて所得控除が受けられる

一定の生命保険契約に保険料を支払っていること

最大12万円(新・旧制度合計)

地震保険料控除

地震保険料または旧長期損害保険料に対する控除

地震保険(または旧長期損害保険)に加入し保険料を支払っていること

最大5万円

小規模企業共済等掛金控除

共済制度などに掛金を支払っている場合に受けられる控除

小規模企業共済・確定拠出年金(個人型)などの掛金を支払っていること

全額控除

社会保険料控除

支払った社会保険料が全額控除される

健康保険・厚生年金・国民年金・介護保険などを納付していること

支払額全額

障害者控除

本人または控除対象配偶者・扶養親族が障害者の場合に受けられる控除

手帳の交付や特定の状態に該当すること

一般:27万円

特別:40万円

同居特別:75万円

ひとり親控除、寡婦控除

配偶者と離婚・死別後、扶養する子などがいる場合に適用される控除

所得が500万円以下などの条件を満たすこと

ひとり親:35万円

寡婦:27万円

勤労学生控除

学生で一定の収入以下であれば受けられる控除

勤労学生で所得条件(給与所得以外10万円以下など)を満たすこと

27万円

年末調整では、扶養親族の状況や生命保険料、地震保険料の支払い、住宅ローンなど、さまざまな控除が用意されています。これらの控除を適切に申告すれば、所得税額が調整され、払い過ぎた税金が還付されたり、不足額を納付したりできます。

年末調整を終えた後の手続きと注意点

せどりで税理士に依頼するイメージ

年末調整が完了した後も、いくつかの重要な手続きと注意点があります。これらをしっかりと実施することで、トラブルを未然に防ぎ、翌年の税務処理もスムーズに進めることができます。

源泉徴収票の交付と保管

年末調整が完了したら、必ず源泉徴収票を従業員に交付しましょう。源泉徴収票はその年の収入と税額などが記載された重要な書類であり、従業員の確定申告などにも必要です。そのため、交付期限は必ず守りましょう。

原則として翌年の1月31日までに交付しなければならないため、遅延しないように注意してください。また源泉徴収票のコピーを会社側でも保管し、必要に応じて確認できる体制も整えておくのが望ましいです。

過不足調整後の支払額の確定

年末調整の結果、過不足税額が発生している場合、従業員の給与にその調整分を反映させる必要があります。過剰に徴収されていた税額は12月の給与で還付し、不足している税額は翌年1月の給与で徴収することができます。

もし過剰徴収分があればその金額を12月に支給する給与の中で還付し、不足分があれば、1月の給与から差し引くのが一般的です。調整後の支払い額や徴収額を正確に伝え、従業員に納得してもらえるよう配慮するのも大切です。

参考:No.2675 年末調整の過不足額の精算|国税庁

年末調整後の変更があった場合はすみやかに対応

年末調整後でも、従業員から税務関連の変更報告が入る場合があります。その場合、速やかに対応できる体制を整えておきましょう。

例えば年末調整後に扶養家族が違うことがわかった、保険料控除に変更があった場合などは、再調整を行う必要が出てくる可能性もあります。

これらの変更があった場合は、従業員に早急に知らせ、再調整が必要であればその手続きを行います。変更があると、適切な納税額が反映されない恐れがあるため、慎重に対応しましょう。

関連記事:ダブルワークの年末調整や確定申告は必要?判断方法と手続きまとめ

年末調整の計算ミスを防ぐ方法

年末調整は多くの情報を取り扱うため、計算ミスが起きやすいプロセスです。ミスを防ぐためには、いくつかのポイントに注意して進める必要があります。

最新の情報を従業員から提出させる

年末調整の精度を保つためには、従業員からの申告情報が正確かつ最新であることが欠かせません。扶養家族の増減や保険料の支払い状況は、年末調整の控除額を左右する大きな要素のため、情報更新を忘れずに行いましょう。

例えば年の途中で結婚や出産があった場合、その後に控除対象となる扶養家族が変わることがあります。この情報が抜けていると、誤った税額が計算されてしまうので要注意です。全員から必要書類を集めるタイミングを徹底し、誤った申告情報を防ぐ体制を作りましょう。

源泉徴収票の内容と照らし合わせる

源泉徴収票の内容と年末調整の計算結果をきちんと照らし合わせて確認することも大切なステップです。源泉徴収票に記載された金額と、年末調整で計算した金額が一致しているかどうかを確認することで、ミスを早期に発見できます。

月々の給与支払額や社会保険料の額が変更された場合、それが反映されていないと源泉徴収額と差異が生じます。年末調整の前に、源泉徴収票と給与明細を照らし合わせて、誤った記入や不備を防ぎましょう。

自動化ツールやチェックリストを活用する

年末調整の計算を手作業で行う場合、どうしてもミスが発生しやすくなります。そこで、自動化ツールやチェックリストを活用するのがおすすめです。会計ソフトや専用の年末調整ツールを導入すれば、人為的な計算ミスを減らせます。またこれらのツールは、最新の税法や控除項目にも対応しており、税額計算を自動で行ってくれます。

またチェックリストを作成して、計算時に見落としがないか再確認する習慣をつけましょう。特に計算ミスが起こりやすい項目をリスト化して、ダブルチェックを徹底するのが望ましいです。

関連記事:年末調整(令和5年) 主な変更点

まとめ

年末調整を正しく行えば、従業員の納税額が適切に決まり、税務リスクを回避できます。しかしこれらの手続きを誤ると、従業員や税務署とのトラブルに繋がりかねません。適切に対応すれば、翌年の税務処理もスムーズに行えるでしょう。

もし少しでも不安がある場合や時間が取れない場合は、早めに税理士に相談すればミスのない確実な税務処理ができます。

小谷野税理士法人では、年末調整の計算方法に関する知識や実務経験が豊富な税理士が在籍しています。「年末調整の計算方法に不安がある」という方は、お気軽に一度小谷野税理士法人にご相談ください。

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
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