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資本金の増資で節税?メリットとデメリット・自分でする方法を解説!

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資本金の増資で節税?メリットとデメリット・自分でする方法を解説!

資本金の増資による節税効果は期待できません。1,000万円や1億円など、資本金が一定額を超えると各種税金の額が増えるためです。資本金を増資するときは、メリットとデメリットを把握したうえで適切な判断をすることが求められます。今回は、資本金の増資の概要や節税効果、手続きを自分でする方法などを解説します。最後まで読めば、資本金を増資すべきかについて、参考にできるでしょう。

関連記事:資本金を使ってしまったあなたへ!会社設立後の資本金の必要性を解説!

資本金の増資とは

グラフとパソコン 資本金の増資とは、会社設立後に資本金を増やすことです。増資の方法として、以下の2つがあげられます。

有償増資

新たに株式を発行し直接払込金を受け取る方法で、以下の3種類ある

  • 株主割当増資:既存株主に対し、持株比率に応じた新株を発行し、出資を受ける
  • 第三者割当増資:融資先の金融機関など、特定の第三者に対して株を発行し、出資を受ける
  • 公募増資:一般投資家に対して上場企業が新株を発行し、出資を受ける

無償増資

  • 利益剰余金か資本剰余金を振り替えし、株式を発行せずに増資する方法
  • キャッシュを準備したり投資家を見つけたりする手間を省ける

中小企業が有償増資する場合、株主割当増資か第三者割当増資のいずれかから選択するのがポイントです。無償増資はお金を払込むものではなく、純資産の金額が変わらないため、対外的な信用力の向上にはつながらないと知っておくとよいでしょう。

中小企業が増資する目的として、以下の点があげられます。

  • 信用度の向上
  • 財務状況の改善

増資により会社の預貯金が増えるため、債務超過を改善できたり対外的な信用度をあげられたりします。

一方で、増資によって資本金が一定額を超えると、税負担が増えるケースもあります。増資をするときは、増資した結果どのような影響を受けることになるのか、正しく理解しておくのがポイントです。

自社のみで判断せず、税務の専門家である税理士へ相談しておくと安心できます。

関連記事:会社設立の資本金はいくら必要?払込方法や最低金額などを詳しくご紹介

資本金の増資では節税できない

資本金を増資する場合、基本的に節税効果は期待できません以下の通り、資本金が一定額を超えると各種税金が増える可能性があるためです。

資本金の額

税制上の変更点

1,000万円以上

以下の通り、消費税が課される

  • 期首資本金が1,000万円以上あると生じる税金
  • 免税取引の輸出事業者など、消費税の課税事業者になる方が有利なケースもある

1,000万円超

  • 法人住民税の均等割の金額があがる

※自治体によって納税する金額が決められている

〈例〉

  • 従業員数50人以下の場合、11万円程度あがる
  • 従業員数50人超の場合、60,000円程度あがる

(資本準備金と合わせ)1,000万円超

1,000万円超の場合と同様に、法人住民税均等割の金額があがる

※均等割とは、期末の従業員数と資本金などの額によって法人住民税を計算する方法である

1億円超

以下の外形標準課税が適用される

  • 法人事業税の課税方式で、事業規模によって税額が異なる
  • 赤字のときでも課税されるケースがある
  • 所得割・付加価値割・資本割に特定の税率をかけ、合計すると求められる
  • 適用される税率は各自治体によって異なる

以下の税制優遇を受けられなくなる

  • 欠損金の繰越控除の100%損金算入
  • 法人税率の軽減措置
  • 欠損金の繰戻還付
  • 少額減価償却資産の特例
  • 交際費の特例
  • 貸倒引当金の損金算入など

節税効果は期待できない一方で、納税額が増える基準は決められているのが特徴です。後述する通り、増資によるメリットがあるため、よく理解したうえで決めるとよいでしょう。

関連記事:【節税の基礎知識】所得税や消費税の節税方法やポイントを紹介!

資本金を増資するメリット

投資家が法人化する目安のイメージ

資本金を増資するメリットについて、以下の表にまとめました。

財務状況を改善できる

  • 増資した資本金は返済する義務がない
  • 使途は自由に決められる
  • 金融機関や役員からの借入れとは異なり利子が発生しない

対外的な信用度をあげられる

  • 資本金の金額が低い会社と比べると、求職者は安心して応募しやすくなり、優秀な人材を採用できる可能性がある
  • 貸借対照表の純資産が増えるため、経営基盤を安定させられたり金融機関や取引先に信用してもらいやすくなったりする

会社の信用度をあげられたり財務状況を改善できたりする可能性があるため、増資によって経営基盤の強化が期待されます。事業拡大するときなど、増資を検討すると効果的です。

関連記事:会社設立における資本金はいくら必要?最低金額や平均も解説

資本金を増資するデメリット

資本金の増資にはメリットがある一方で、以下のデメリットがあります。

キャッシュが必要

  • 毎月の役員報酬などから差し引くなど、増資するためのお金を用意しておく必要がある
  • 土地や不動産などの「現物出資」で増資できるものの、現金の増資に比べると手間がかかりやすい

時間や各種費用がかかる

  • 法務局で手続きをする必要がある
  • 登録免許税として、増資した金額の1,000分の7or30,000円の高い方がかかる
  • 法務局での手続きを司法書士に依頼する場合、手数料がかかる※増資する金額によって変動するケースがある

税制優遇を受けられなくなる

  • 資本金1億円を超えるときが該当する
  • 中小企業の区分から外れるため

資本金を増資するには登記などの手続きが必要なケースもあります。書類を用意したり登録免許税を納付したりなど、時間やお金がかかるのがデメリットとしてあげられます。

増資したあと、2週間以内に登記をしないとペナルティを課される可能性があり、注意が必要です。増資の前には、あらかじめやるべきことを押さえておき、適切に対処していくことが求められます。

資本金の増資の手続きを自分でする方法

増資の手続きを自分でするには、書類を用意したうえで管轄の法務局にて手続きをする必要があります。登記事項である資本金の額と、発行済み株式の数が変わるためです。

大まかな流れは以下の通りです。

  1. 株主総会を招集:開催の2週間前までにするのが基本
  2. 株主総会の特別決議:増資に関しては株主の半数以上の出席かつ、出席株主の3分の2以上の賛成が必要
  3. 増資の募集:申込希望者へ通知し、法務局の公式サイトで入手できる「募集株式申込証」をもらう
  4. 株式の割当先を決定:株主総会の特別決議を通し、割当先や株数などを決定したあと通知する
  5. 出資金の払込:申込者から期限までに指定口座へ払込んでもらう
  6. 法務局での手続き:払込日から2週間以内に法務局で手続きをする
  7. 名簿へ記載:新しい株主の名前や株数を株主名簿に記載する

提出書類に不備があると、期日までに手続きを終えられない可能性があります。自分で手続きをする場合、特に正確な書類作成がポイントだと言えます。

参考:「商業・法人登記の申請書様式」法務局

資本金の増資に関するよくある質問

Q&A

資本金の増資に関してよくある質問をまとめました。ここから詳しく解説します。

資本金を増やさない方が納める税金は少なくなる?

いいえ。

増資によって以下の条件に該当すると、税金の金額が増えます。

  • 期首の資本金1,000万円以上の場合:消費税が課される(基準期間から2年後or特定期間から1年後)
  • 資本金と資本準備金の額が1,000万円超の場合:法人住民税均等割の額が増える
  • 資本金が1億円超の場合:法人税率の軽減措置など税制優遇を受けられなくなったり、外形標準課税されたりすることで税金の金額が増える可能性がある

節税の観点において、増資は避けるのが賢明です。

資本金の増資は社長のみの判断で決められる?

決められないケースがあります。

第三者割当増資などの場合、既存株主の利益に影響を及ぼす可能性があります。株主総会での決議など会社法で決められているため、社長のみの判断では増資の判断をできないのが特徴です。

社長本人が株主の1人会社の場合、株主総会の「みなし決議・報告」制度を通し、社長本人の同意のみで増資の判断をできます。

参考:「会社法」e‐GOV

会社経営や節税の相談は税理士へ

資本金の増資の概要や期待される節税効果、メリットとデメリットなどを解説しました。増資によって資本金が一定金額を超えると、各種税金を課されるようになるケースがあるため、節税効果は期待できないと言えます。

増資には時間や費用がかかるなどデメリットがある一方、財務状況の改善など事業者にとって恩恵を受けられる可能性があります。会社が置かれている状況によって、増資の判断は分かれるのが特徴です。

「どうすればいいのか分からない」とお悩みの場合は税理士を頼りにすると、的確な答えを導き出してもらえるでしょう。

小谷野税理士法人は、中小企業様から上場企業様まで4,000社以上サポートしてきた実績があります。まずはお気軽に無料相談をご利用ください。

関連記事:税理士監修】法人が税理士に依頼する費用の相場はいくら?依頼内容別の相場と費用を抑えるポイントをご紹介!

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
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