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医療法人化にベストなタイミング5つ!売上における目安やメリット・デメリットを解説

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医療法人化にベストなタイミング5つ!売上における目安やメリット・デメリットを解説

医療法人化をするか否かは、クリニックや病院の経営者にとって重要な選択肢の1つです。そして医療法人化を選択する場合は、タイミングを見極めることがその後の経営の成功を大きく左右します。ここでは、医療法人化に適した5つのタイミングと、売上における目安やメリット・デメリットについて詳しく見ていきましょう。

医療法人化に適した5つのタイミング

法人の投資信託イメージ

医療法人化に適したタイミングにはいくつかの基準があります。医療法人化に向いている基準をクリアしているかどうかを確認し、将来的にクリニックにどのような影響を与えるかを考えて判断しましょう。以下では、特に医療法人化に向いている5つのタイミングについて説明します。

1.年間所得が1,800万円を超える場合

医療法人化を検討する際の重要なタイミングの1つは、年間所得が一定額を超えたときです。一般的に病院を含め、個人事業主としての所得が1,800万円を超えると、法人化することで税務上のメリットが増すと言われています。

納税においては累進課税制度が採用されており、所得や資産が多い人ほど税率が高くなる仕組みとなっています。個人事業主の場合、仮に年間の事業所得が1,800万円を超えると税率が40%以上になります。しかし年間所得が多い場合は、個人事業主から法人化を行うことで、法人税が15%~23.2%まで抑えられます。つまり、個人病院も医療法人化することにより税率が低くなるというわけです。

個人病院として経営しているクリニックの所得が高い場合には、医療法人化することで節税効果が期待できます。ただし、医療法人化に伴う初期費用や運営費用も考慮しておきましょう。

参照:No.5759 法人税の税率 国税庁

2.社会保険診療報酬が5,000万円を超える場合

次に、社会保険診療報酬が一定の基準を超えたタイミングも医療法人化の考え時です。一般的には、年間の診療報酬が5,000万円~1億円を超えたタイミングで法人化を検討することが勧められています。通常、事業を運営していくために必要な費用を経費にできる「概算経費」というものがありますが、社会保険診療報酬が5,000万円を超えると、実際よりも多く経費計上できる可能性のある概算経費が利用できなくなってしまいます。

つまり、社会保険診療報酬が高いクリニックは経費を多めに計上できなくなってしまうため、医療法人化を行うことで経費として計上できる額の制限をなくすことが可能になります。経費として計上できる額が増えれば、クリニックを効率的に経営しやすくなるでしょう。

関連記事:開業医におすすめの節税対策9選!経費計上のポイントや税務調査に入られやすいケースもご紹介

3.開業から7年目の時期

クリニックを開業してから7年目の時期も、医療法人化に適したタイミングと言えます。まず医療機器の償却期間は6年目と決められています。つまり7年目以降は医療機器を減価償却費として計上できなくなるため、経費が減って税金が高くなる可能性が高まります。

また、クリニック開業から7年目の時期にもなると、患者数や売上、クリニックの経営状況が安定して分かりやすくなります。減価償却費や売上安定の時期に焦点をあてると、開業7年目に医療法人化を検討することで、将来的な経営リスクを分散させられるでしょう。

4.事業拡大を検討している場合

例えば新しい診療科を追加したり、新たな診療所を開設する場合など、クリニックとしての事業拡大を考えている場合も医療法人化に相応しいタイミングです。クリニックは医療法人化することで、個人開業医では難しい以下のことができるようになります。

  • 資金調達の選択肢が増える
  • 分院が可能になり、規模の大きな事業展開が可能になる
  • 従業員の採用や教育、福利厚生の充実が可能になる
  • 役員報酬の設定が可能になる

例えば診療所や病院としての経営だけではなく、介護老人保健施設や看護師学校などの開設も可能になるでしょう。クリニックとして経営する場合も、潤沢な資金と従業員の福利厚生によるモチベーションアップにより、質の高い医療サービスを提供する体制が整います。

5.事業継承を考えている場合

最後に、事業継承を考えている場合も医療法人化を検討すべきタイミングです。

個人経営のクリニックの場合、院長の引退や後継者への事業引き継ぎがスムーズに行えないケースや、引き継いだ人に多額の相続税がかかってしまうなどのケースが考えられます。

医療法人化することにより、事業継承の際は法人としての責任や権利が明確になるため、理事長を変更するだけで後継者への経営引き継ぎが可能となります。医療法人の持分がない場合、相続税がかからない点も医療法人化のメリットの1つでしょう。また、医療法人化することで従業員の信頼性やモチベーションも向上し、事業承継後も持続可能なクリニック運営が実現します。

医療法人化のメリット

医療従事者のイメージ画像

個人経営のクリニックから医療法人化を行うことで、様々なメリットがあります。具体的に、医療法人化にはどのようなメリットがあるのか見ていきましょう。

税務上の優遇措置を受けられる

医療法人化のメリットの1つが、税務上の優遇措置がある点です。個人事業主の所得税は累進課税のため、所得が増えるほど税率が高くなります。しかし、医療法人化すれば法人税が適用されるため、一定の税率で課税されるため節税がしやすくなります。

例えば個人病院の場合は最大税率45%の所得税がかけられますが、医療法人なら所得が800万円を超えた場合でも、法人税は最大で23.2%の税率にしかなりません。

また、医療法人は役員報酬を設定できるため、所得を分散することも可能です。

関連記事:医療法人における親族の役員報酬はいくらが適正?

社会保険・福利厚生等が充実する

医療法人化のメリットとして、社会保険や福利厚生の充実も挙げられます。医療法人として社会保険に加入することで、社会保険や退職金制度、住宅手当など従業員の福利厚生が充実し、クリニックに従事する従業員の働きやすさに繋がるでしょう。福利厚生をアピールすることにより、クリニックに優秀な人材を確保したり、従業員の定着率を向上させたりといったメリットに繋がります。

資金調達しやすい

個人事業としてのクリニックでは資金調達に限界がありますが、医療法人化することで金融機関からの信用が向上し、大規模かつ低金利での資金調達が可能になるでしょう。調達できる資金が増えることで、設備への投資や事業拡大がスムーズに行えるでしょう。

信頼性が向上する

医療法人化には、各都道府県知事の認可が必要です。認可を得るための手続きによって経営の透明性が増し、患者や取引先からの信頼性も向上します。また、法人組織になることで内部統制が強化され、経営面での不正やミスのリスク低減にも繋がるでしょう。経営の効率化と共に、クリニックとしての持続可能性や社会的信頼性が向上します。

関連記事:医療法人化とは?クリニックが法人化するメリット・デメリットや定義について解説

医療法人化のデメリット

医療法人化には多くのメリットがある一方で、注意すべきデメリットも存在します。事前に確認しておきたいデメリットは以下の通りです。

設立・運営にコストがかかる

まずデメリットとして挙げられるのは、医療法人の設立および運営にかかるコストです。法人設立には法務手続きや登記費用が必要となり、さらに公認会計士や税理士による財務・税務管理のサポートも必要になります。小規模なクリニックとして経営していた場合、医療法人化に際してのコストは負担となるでしょう。

また、経営や税務の専門家を頼る場合には、専門家への報酬もコストに入るため、予算は計画的に立てましょう。

経営が複雑化しやすい

医療法人としての運営は、個人事業主の時以上に法律や規制の遵守が求められるため、経営が複雑化します。中でも以下の手続きや業務には負担が生じやすいでしょう。

  • 定款の変更
  • 年次報告書の提出
  • 定期的な監査
  • 理事会の開催
  • 従業員の社会保険や厚生年金への加入

上記の手続きは法人化に置いて必須とされているため、事務処理にかかるリソースや業務負担も増加します。

利益配分において制限が生じる

医療法人化すると、利益配分の自由度が制限される点もデメリットです。個人事業主として運営しているクリニックであれば、利益を全て経営者の裁量で使うことができますが、医療法人は「非営利組織」という性質から、出資者などに利益の分配が許可されていません。

役員への貸付といった、事実上「分配」と見なされる行為も禁止されています。公共性や公益性が求められる医療法人では、得た利益を以下の用途で配分することがほとんどです。

  • 院内の設備投資
  • 施設の改善
  • 従業員への給与
  • 余剰金の内部保留金としての積み立て

個人としての資産運用に制約が生まれるのがデメリットと言えますが、節税効果や融資の受けやすさといったメリットも生まれやすいため、総合的に見ると医療法人化した方がメリットが大きいと判断できるケースも多いでしょう。

法人特有の責任が増える

医療法人化すると経営リスクが分散される一方で、法人としての責任も増大します。特に、法的なトラブルや損害賠償のリスクが発生した場合、法人全体での対応が必要です。

例えば患者との間で医療ミスなどが生じた場合、個人開業医なら個人が直接的に損害賠償責任を負うことになりますが、医療法人化した後では、経営陣である法人全体が責任を負う事になります。

法人全体でリスクマネジメントに対する意識を高め、クリニックの信頼性や職場環境を整えていく管理体制を強化していきましょう。

関連記事:医療法人化のメリット・デメリットと、適したタイミングを解説

医療法人化は節税効果が高いがコスト等もしっかり視野に入れて

医療法人化はクリニック経営者にとってメリットの多い選択肢ですが、タイミングと条件を慎重に見極めることが重要です。

年間所得や社会保険診療報酬が一定額を超える場合や、開業から7年目の時期、事業拡大や事業承継を考えている場合など、適したタイミングを見計らうことで、税務上のメリットや経営の安定化、さらには事業の持続可能性が向上します。クリニックの現状や将来のビジョンに合わせて、医療法人化が適切かどうかを判断していきましょう。

適切なタイミングでの医療法人化は、経営の効率化や信頼性の向上、優秀な人材確保など、多くのメリットをもたらします。ただし医療法人化にはコストや時間、事務手続きなども必要であると覚えておきましょう。

今回お伝えしたタイミング以外にも、個人クリニックや病院を法人化するか否かには様々な判断ポイントがあります。そのポイントを見極めるには、専門家のアドバイスも重要になります。

医療法人化を検討をする際は、ぜひ小谷野税理士法人にお問い合わせください。

関連記事:医療法人化するには?クリニックに必要な手続きや、スケジュールについて解説

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
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