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投資キャッシュフローがマイナス・プラスの示す意味とは?原因や影響について

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投資キャッシュフローがマイナス・プラスの示す意味とは?原因や影響について

投資キャッシュフローとは、固定資産の取得や売却といった投資活動による現金の流れを表す指標です。投資キャッシュフローのマイナスは資産の購入や設備投資による現金の流出を示し、プラスであれば資産の売却や投資の回収による現金の流入を意味します。投資キャッシュフローを適切に分析すれば、企業が今後力を入れようとしている事業の展望が見えてくるでしょう。投資キャッシュフローの概要やマイナス・プラスによる影響などを解説します。

投資キャッシュフローとは?

キャッシュフロー

投資キャッシュフローとは、企業の投資活動に伴う現金の流れです。投資キャッシュフローに含まれる要素として、以下が挙げられます。

  • 固定資産の購入・売却
  • 有価証券の取得・売却
  • 貸付金の貸付・回収
  • 定期預金の預入れ・払戻し

例えば、工場の新設や設備の入れ替えなどがある年は、投資キャッシュフローがマイナスになる可能性が高いです。一方、使わなくなった資産を売れば、プラスに転じるでしょう。

投資キャッシュフローにより、企業が何に投資したのか、どの事業へ力を入れているのかが見えてきます。投資キャッシュフローのマイナス・プラスの意味を解説します。

投資キャッシュフローがマイナスの場合

投資キャッシュフローのマイナスは、新たな設備投資や不動産の購入、新規事業への支出などによって現金が流出している状態です。

投資キャッシュフローのマイナスは、必ずしも悪い兆候ではありません。将来の利益を見込んだ前向きな投資なら、企業の成長意欲の表れとも言えるでしょう。

ただし、支出が長期的に続くにもかかわらず、成果が見えない場合には注意が必要です。資金繰りが悪化すれば、外部からの信用にも影響する可能性があります。数字がマイナスだったとしても、その裏にある意図や戦略への適切な理解が大切です。

関連記事:負債比率の求め方とは?計算方法や目安をわかりやすく解説

投資キャッシュフローがプラスの場合

投資キャッシュフローがプラスの場合は、資産や有価証券の売却によって手元の現金増加が考えられます。過去の投資から得たリターンの回収や遊休資産の整理によって得られたお金かもしれません。

プラスだから安心という訳ではない点にも注意が必要です。例えば、資金繰りの厳しさから事業を縮小し、不要な資産を手放すことも考えられます。数字だけを鵜呑みにせず、背景や企業の意思決定を踏まえた判断が大切です。

投資キャッシュフローがマイナスになる原因・影響

企業が将来を見据えて積極的にお金を使えば、投資キャッシュフローはマイナスになります。例えば、新たな設備を導入したり、新規事業に踏み出したりするケースが挙げられます。

企業が成長していくためには投資活動が欠かせないため、マイナスの状態が悪いとは限りません。

ただし、マイナスが長期化すると話は別です。資金の流出が増える一方で成果が上がらなければ、資金繰りが苦しくなり、周囲からの信頼にも影響が出てきます。投資キャッシュフローがマイナスになる原因やその影響を押さえましょう。

マイナスになる主な原因

投資キャッシュフローがマイナスになる原因としては、資産の取得や新事業の立ち上げ、設備投資などの大きな支出が挙げられます。中でも、老朽化した設備の入れ替えや新たな工場の立ち上げなどがあった年は、大きなマイナスになりやすいでしょう。

また、資産の売却が予定通りに進まなかったり、貸付金の回収が滞ったりすることも、マイナスになる原因です。

加えて、景気の悪化や業界の低迷などが背景にあると、企業の投資意欲そのものが低下し、状況がさらに悪化することもあります。

マイナスによる影響

投資キャッシュフローのマイナスが長期化すると、経営に悪影響を及ぼす可能性があります。投資活動からの収益が得られない状態が何年も続くと資金繰りが悪化し、資金調達が必要になるためです。

金融機関からの信用が落ちると新たな融資も受けづらくなり、経営そのものに支障をきたす可能性もあります。そうなる前に、不要な支出の見直しや遊休資産の売却といった対応をして、資金繰りの改善に取り組みましょう。

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投資キャッシュフローがプラスになる原因・影響

投資キャッシュフローがプラスになる原因には、資産の売却や投資による収益の回収などが挙げられます。

例えば、使わなくなった設備を手放して得た資金や、有価証券の売却による収入などで現金が増えるとプラスになります。投資キャッシュフローがプラスになる原因や影響を確認しましょう。

プラスになる主な原因

企業が保有する土地や建物、株式などを売ると対価として現金が入り、投資キャッシュフローを押し上げます。また、事業縮小や撤退に伴う関連資産の売却も、プラスになる原因です。

ただし、プラスになる背景には注意が必要です。売却の理由が資金難によるものであれば、経営状況が悪化しているかもしれません。プラスだからといって、必ずしも良好な状態とは限らないのです。

一方で、他社への出資によって得られた配当金や貸付金の回収によって収入が増え、プラスに転じる場合もあります。この場合は、過去の投資活動が実を結んだ可能性が高いでしょう。

プラスによる影響

投資キャッシュフローがプラスである場合、手元資金に余裕が生まれやすく、財務面では安定した状態といえます。経営の選択肢が広がり、新事業の推進や新規市場の開拓に取り組む余地が生まれ、企業のさらなる成長に向けた投資を進めやすくなるでしょう。

ただし、プラスが事業の撤退や縮小の結果であったり、追加投資をしていない状況から来ていたりする場合には、企業の成長性に懸念が生じるかもしれません。数字の良し悪しだけで判断せず、背景や要因を含めた冷静な判断が大切です。

フリーキャッシュフローとの関係性

償却資産申告書とはのイメージ

フリーキャッシュフローとは企業が自由に使える現金の量であり、営業キャッシュフローから投資キャッシュフローを差し引いて求めます。フリーキャッシュフローは、企業の財務状態や経営の健全性を評価する際に用いる重要な指標です。

フリーキャッシュフローがプラスであれば、新規事業への投資や株主への配当金支払い、負債の返済などに資金を回す余裕が生まれます。フリーキャッシュフローと投資キャッシュフローの関係性を解説します。

フリーキャッシュフローとは

フリーキャッシュフローとは、事業を行う上で自由に使える現金がどの程度あるのかを表す指標です。フリーキャッシュフローは、以下の計算式で求められます。

フリーキャッシュフロー=営業キャッシュフロー ー 投資キャッシュフロー

プラスであれば、営業活動から得た利益の範囲内で投資活動を行えていることであり、追加投資の余裕があり、資金不足に陥りにくい状況と言えます。

逆にマイナスであれば、自由に使える現金が手元にないことを意味するため、コスト削減や資産の売却を通じてキャッシュを増やさなければなりません。健全な事業運営のために、資金調達が必要なこともあるでしょう。

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投資キャッシュフローとフリーキャッシュフローの関係

投資キャッシュフローとフリーキャッシュフローは、企業の資金運用において密接に関連しており、投資活動の結果がフリーキャッシュフローに影響します。

投資キャッシュフローがプラスの場合は、資産の売却や収益性の高い投資活動が行えていることを意味し、フリーキャッシュフローの増加につながります。

ただし、資産の売却を通じて事業規模を縮小しているのであれば、手元に増えた現金で売上増を目指すマーケティング戦略や新たな事業・設備投資などを検討する必要があるかもしれません。

一方、投資キャッシュフローがマイナスの場合は、フリーキャッシュフローも一時的にマイナスに転じるかもしれません。

しかし、将来の成長を見据えた新たな資産の購入や設備投資の結果である可能性が高いため、長期的に見ると競争力を強化でき、売上や利益増につながるでしょう。

投資キャッシュフローを適切に分析する方法

企業の成長性を評価するには、投資キャッシュフローの適切な分析が重要です。まずは現金の流出や流入を詳細に確認し、設備投資や新規事業に伴う支出が企業の利益創出にどの程度影響を与えているかを把握する必要があります。

また、投資キャッシュフローを分析する際は長期的な視点も重要です。多くの場合、投資の回収には時間がかかるものであり、短期的にはキャッシュフローがマイナスであっても、長期的にはポジティブな影響をもたらす可能性は大いにあります。

マイナス・プラスのバランスを評価する

投資キャッシュフローを分析する際は、マイナスとプラスの正しい評価が重要です。資産を有効活用できているかを見極めるには、投資による現金流入量を把握する必要があるでしょう。

投資キャッシュフローのマイナスは一般的に現金の流出を意味し、短期的には企業が成長するための投資として肯定的に見られますが、長期間継続すると経営に負担がかかります。

一方、プラスは現金の流入を意味し、財務健全性や将来の投資・事業拡大に向けた資金確保と捉えられますが、成長が停滞している可能性がある点には注意が必要です。

そのため、投資活動を評価する際にはマイナス・プラスが発生する要因や期間、今後の見通しなどへの正確な理解が大切です。企業がどのような局面にあるのかを正しく捉えられれば、改善に向けた適切な対策を取れるでしょう。

長期的な視点で分析する

投資キャッシュフローの正確な分析のためには、長期的な視点を持つことが大切です。目先の数字を重視しがちですが、企業が成長し続けるためには事業や設備への投資活動は避けられないでしょう。

例えば、設備投資や事業拡大のための一時的な支出が、数年後に大きな利益や市場競争力の向上へつながる可能性があります。

逆に、目先のキャッシュフロー改善のためには、早急な資産売却が必要な状況もあるかもしれません。短期的な収益や費用だけでなく、数年後の収益への影響やリスクも含めて検討を行い、適切な判断をしましょう。

投資活動による収益予測には、将来のキャッシュフローを現在の価値に割り引いて評価する「割引キャッシュフロー(DCF)」などの活用が有効です。

まとめ

投資キャッシュフローは企業の財務状況を理解するために欠かせない指標です。マイナスやプラスの状態を理由とともに把握すれば、企業の成長戦略や資金管理への適切な評価ができるでしょう。

マイナスが一時的であれば、現在の投資活動が将来利益をもたらす可能性は高いですが、長期間続くと経営へ悪影響を及ぼす恐れがあります。

一方、プラスは一時的には資産の効果的な活用や財務の安定性を意味しますが、長期的には成長の停滞につながる可能性があります。

一般的に、投資によって得られるリターンを回収するまでには時間がかかるものです。投資キャッシュフローを評価する際には、短期的な数字だけを追うのではなく、どのような将来像をもとに投資しているのかの確認が重要です。

キャッシュフロー分析・改善についてのお困りごとやご相談は、ぜひ「小谷野税理士法人」までお気軽にお問い合わせください。

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この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
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