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輸入消費税と関税の違いは?仕組みやポイントをわかりやすく解説

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輸入消費税と関税の違いは?仕組みやポイントをわかりやすく解説

輸入消費税と関税はどう違うのでしょう?海外から商品を輸入する際に発生するのが輸入消費税と関税ですが、目的や計算方法、適用対象には明確な違いがあります。これらの違いを正しく理解していないと、思わぬコストや手続きのミスに繋がる可能性があるでしょう。本記事では、それぞれの特徴を整理し、計算の仕組みや申告の流れについて詳しく解説します。

輸入消費税と関税の違いとは?

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輸入時にはさまざまな税金がかかりますが、その中でも輸入消費税と関税は、目的や計算方法、対象が異なる税金です。

輸入消費税

関税

目的

国内消費税の公平性を確保するため

国内産業を保護し税収を確保するため

対象

すべての輸入品

(非課税対象を除く)

一部の輸入品

(関税率に基づく)

税率

10%

(軽減税率対象は8%)

商品ごとに異なる

(0%~数十%)

計算基準

課税価格(CIF価格+関税+ その他の内国税額)

課税価格(CIF価格)

支払いタイミング

通関時に税関へ納付

「輸入消費税」は、日本国内で消費されるすべての輸入品に対して課せられる税金です。国内で販売される商品に消費税がかかるのと同じ理由で、国内外の商品に税負担の公平性を持たせるために導入されています。

もし輸入品だけ消費税がかからなかった場合、輸入品の方が安くなり、国内商品が不利になるため、輸入された商品にも消費税を課すことで国内市場との公平性を確保しています。

一方「関税」は、すべての輸入品に課される税金ではありません。特定の輸入品が対象で、主に国内産業の保護や税収の確保を目的として設定されています。

関税率は品目ごとに異なり、例えば、農産物や繊維製品などの国内産業を保護する目的で高い関税が設定されることが多く、反対に一部の電子機器や工業製品は低関税や無税で輸入できる場合もあります。

関連記事:輸入販売をする際の税金の種類と計算方法

計算方法

輸入消費税と関税の計算は、以下の計算式で算出されます。

  • 関税額 = CIF価格 × 関税率
  • 輸入消費税 = (CIF価格 + 関税額+ その他の内国税額)× 消費税率(10%または8%)

CIF価格(Cost, Insurance, and Freight)とは、輸入品の価格に保険料と運賃を加えた合計額を指します。

重要なポイントは、関税額は輸入消費税の計算対象に含まれているという点でしょう。つまり、輸入消費税は単に商品の価格に対してかかるのではなく、「商品の価格+関税+ その他の内国税額」の合計額に対して課税されます。

したがって、関税が高いほど輸入消費税の負担も増える仕組みになっています。

支払いのタイミング

手続きの流れ

内容

輸入申告

通関業者または輸入者が税関に申告する

税関の審査

輸入品の税率・分類を確認し、関税・消費税額を計算する

納税

関税・輸入消費税を税関に納付する

通関許可

支払いが完了すると、輸入品の引き渡しが可能になる

仕入税額控除(事業者向け)

確定申告時に輸入消費税を控除し、実質負担を減らす

輸入消費税と関税、どちらも通関前に支払う点は同じです。輸入手続きでは、通関業者または輸入者がまず輸入申告を行い、その後、税関が関税・輸入消費税の計算をします。

通関許可前に両方の税金を納付する必要があり、支払い完了後に正式な通関許可が下りるので貨物を受け取ることができます。

輸入消費税について知っておくべき5つの知識

外国税額控除額の算出イメージ

輸入消費税には、非課税対象や免除制度、特例申告制度など、事前に知っておくべき重要な5つのポイントがあります。

  1. 非課税対象について
  2. 特例申告制度について
  3. 免除制度について
  4. 仕入税額控除の適用条件
  5. 輸入消費税と国内消費税の違い

1. 非課税対象について

輸入品の中には、一定の条件を満たせば輸入消費税がかからないものがあります。ただし、非課税対象であっても適切な証明書類や手続きを行わないと、課税対象となる可能性があるため注意してください。

輸入消費税が非課税になるものの例】

  • 有価証券
  • 郵便切手類
  • 印紙、証紙
  • 物品切手類

関連記事:輸入消費税とは?計算方法や関税との違い、免税・非課税になる条件などを解説!

2. 特例申告制度について

通常、輸入消費税は通関時に納付しなければなりませんが、特例申告制度を利用すると、一定の条件を満たした輸入者は納付を延期することが可能です。

この制度は、AEO(Authorized Economic Operator)制度の認定を受けた事業者のみが利用でき、資金繰りの負担を軽減できるというメリットがあります。

具体的には、輸入消費税を毎回の輸入時に支払うのではなく、月単位で一括納付が可能になるため、事業者は一時的な資金負担を抑えつつ、効率的に資金を管理できるでしょう。

ただし、事前に税関の認可を受ける必要があるため、適用条件を確認し、計画的に導入を検討してください。

参考:AEO制度 Authorized Economic Operator

3. 免除制度について

一定の条件を満たした輸入品は、輸入消費税が免除される場合があります。これは、非課税対象とは異なり、本来は課税対象となる輸入品であっても、特定の条件を満たすことで税金の支払いを免除できる制度です。

【輸入消費税の免除対象の例】

  • 小額輸入の非課税措置:CIF価格が10,000円以下の輸入品は輸入消費税が免除
  • 外交・公用免税:外交官や国際機関が使用する物品は免税対象
  • 特定の研究・医療機器の免税:大学や研究機関向けの設備が対象となる場合あり
  • 国際郵便による免税枠:一定額以下の個人輸入品は非課税になることがある
  • 特定用途免税:公共事業や特定の産業振興を目的とした輸入品に適用される場合あり

免除を受けるには、税関への申請や特定の手続きが必要であり、適用条件を満たしていなければ課税対象となります。そのため、事前に税関のルールを確認し、必要な証明書類を準備してください。

4. 仕入税額控除の適用条件

事業者が支払った輸入消費税は、確定申告時に仕入税額控除の対象となり、税負担を軽減することができます。

ただし、控除を適用するには適正な記録を保持し、必要な書類を適切に管理することが求められます。具体的には、適格請求書(インボイス)の保存が必須であり、電子帳簿保存法に対応した管理を行ってください。

また、輸入消費税を正しく計上し、確定申告で適用しなければなりません。申告内容に誤りがあると税務調査の対象となる可能性があるため、正確な帳簿管理と適切な申告を行いましょう。

関連記事:仕入税額控除ってなに?インボイスとの関係についても解説

5. 輸入消費税と国内消費税の違い

輸入消費税と国内消費税には、課税のタイミングや基準、仕入税額控除の適用の有無など、いくつかの違いがあります。

項目

輸入消費税

国内消費税

課税のタイミング

輸入品が

日本国内に持ち込まれる際

国内で

商品やサービスが販売される際

計算基準

CIF価格+関税+ その他の内国税額

販売価格

輸入消費税は通関時に支払う必要があり、国内消費税は国内での取引時に発生する税金です。どちらも事業者であれば仕入税額控除が適用されるため、適切に記録し、確定申告時に控除申請を行うことが可能です。

なお、輸入消費税は関税も含めたCIF価格が基準となるため、国内消費税よりも課税対象額が大きくなる場合がある点に留意しておいてください。

関税について知っておくべき5つの知識

個人事業主の開業費のイメージ

関税は、輸入品に課される税金の一種で、国内産業の保護や税収の確保を目的としていますが、関税率の決定方法や優遇制度を知らないと、本来受けられる軽減措置を活用できなかったり、予想外のコストが発生する可能性があるでしょう。

ここでは、関税について知っておくべき5つの重要なポイントを解説します。

  1. 関税率の決定方法について
  2. FTA/EPAを活用した関税軽減
  3. 関税の優遇措置(関税割当制度)
  4. 課税価格の決定方法
  5. 輸入関税の払い戻し制度(関税の還付)

1. 関税率の決定方法について

関税率は、輸入品の種類ごとにHSコード(関税分類番号)によって決定されます。HSコードは世界共通の分類制度であり、日本ではWTO(世界貿易機関)の協定に基づいた基本税率が適用されます。

ただし、FTA(自由貿易協定)やEPA(経済連携協定)を活用することで、特定の国からの輸入品に対し優遇税率が適用される点は留意しておいてください。例えば、日EU経済連携協定(EPA)やRCEPでは、対象国からの輸入品の関税が軽減または免除されます。

関税負担を最小限に抑えるには、輸入品のHSコードを正しく分類し、適用可能な優遇措置を把握しておきましょう。

参考:品目分類とHS : 税関 Japan Customs

2. FTA/EPAを活用した関税軽減

FTA(自由貿易協定)やEPA(経済連携協定)は、加盟国間での貿易を促進するために、関税の軽減や免除を認める制度です。

例えば、日EU経済連携協定(EPA)では、日本とEU間の関税が削減され、RCEPではアジア諸国間の貿易で関税の優遇措置が適用されるなど、協定ごとに異なるメリットがあります。

関税の軽減を受けるには、原産地証明書(CO: Certificate of Origin)の取得が必要であり、書類の不備があると適用されないため、輸入前に必要な手続きを確認しましょう。

適切にFTA/EPAを活用すれば、輸入コストを削減し、価格競争力を高めることができるでしょう。

3. 関税の優遇措置(関税割当制度)

関税割当制度とは、一定の輸入数量までは低い関税率を適用し、それを超えた分には通常の関税率を課す仕組みです。主に農産品や繊維製品など、国内産業の保護が求められる品目に適用されることが多く、輸入量が多い企業にとってメリットでしょう。

関税割当制度を利用するには、輸入前に事前申請を行い、割当枠を確保する必要があります。

ただし、申請枠には限りがあり、一定の基準を満たさないと適用を受けられないことがあるため、計画的な輸入が求められます。適切な申請を行い、コスト削減に役立ててください。

4. 課税価格の決定方法

関税は通常、CIF価格を基準に計算されますが、税関が「適正価格」と判断した価格を基準にする場合もあります。例えば、申告価格が市場価格より著しく低いと判断された場合、税関は類似商品の平均価格を参考に課税価格を再計算することがあります。

これを回避するためには、正確なインボイスや取引記録を提出し、税関に透明性の高い価格設定を示しましょう。また、価格の誤申告は追徴課税のリスクがあるため、事前に正確な価格を設定し、適切な書類を準備してください。

5. 輸入関税の払い戻し制度(関税の還付)

輸入した商品を再輸出する場合、一部の関税が払い戻される制度があります。

例えば、海外から部品を輸入し、日本国内で加工した後に再輸出する場合、輸入時に支払った関税の一部が還付されるため、コスト削減に繋がるでしょう。また、一時輸入(展示会や修理目的)で再輸出する場合も、関税の払い戻しが可能なケースがあります。

ただし、適用を受けるためには、輸入時と輸出時の証明書類を揃え、税関に申請する必要があります。適切な手続きを行えば、関税負担を抑え、国際取引のコストを最適化できるため、活用を検討する価値はあるでしょう。

輸入消費税や関税の計算・申告でお悩みの方は専門家に相談

輸入消費税や関税の計算・申告は、適用税率や課税基準の違いがあり、専門的な知識が求められます。

特に、関税率の適用ミスや仕入税額控除の誤りは、税務調査の対象となる可能性があるため注意が必要です。また、FTA/EPAの活用や免税制度の適用には、適切な書類を準備しましょう。

税負担を最小限に抑え、正確な申告を行うためにも、輸入税務に精通した税理士や貿易コンサルタントに相談することをおすすめします。小谷野税理士法人は専門的なサポートが可能ですので、ぜひ一度ご相談ください。

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
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