自分の子どもの将来や資産形成のために、口座を作ろうかとお悩みの保護者の方も多いのではないでしょうか。また、子どもの口座でも確定申告をすべきなのかなど疑問は尽きないかと思います。そこで本記事では、未成年口座の概要や確定申告の必要性、確定申告の際の注意点やポイントについて解説します。これから子どもの口座を作ろうとしている方は必見の内容のため、ぜひ最後までご覧ください。
目次
未成年口座とは?
未成年口座とは、満18歳未満の未婚者を対象とした証券総合口座や銀行口座です。未成年者の財産を管理することを目的としており、原則として親権者が取引の主体となります。未成年口座の開設にあたって年齢の下限が存在せず、0歳であっても開設ができます。
取引可能な商品は成人とさほど変わりませんが、FXなどのリスクが大きい信用取引は認められていません。また未成年口座を作るためには親権者全員の同意などいくつかの条件を満たす必要があります。
未成年口座のメリット・デメリット
続いて、未成年口座を作る上で理解しておくべきメリット・デメリットを表でまとめて解説します。
メリット | デメリット |
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未成年口座は将来に備えた資産形成がしやすいなどのメリットも多いですが、利用には注意が必要です。
親だけで口座を開設するのではなく、金融教育の一環として子供と一緒にお金の管理について話し合うことも大切です。メリットとデメリットを理解した上で、子供の状況に合わせて検討しましょう。
関連記事:未成年が個人事業主になるには?確定申告の方法や手続き方法について
未成年口座は確定申告が必要?
未成年者名義の証券口座(未成年口座)で投資を行い、利益が発生した場合、確定申告が必要かどうかは、口座の種類や利益額によって異なります。
口座の種類・源泉徴収の有無 | 確定申告が必要かどうか |
源泉徴収ありの特定口座 | 不要 |
源泉徴収なしの特定口座・一般口座 | 年間利益が48万円を超えたら必要 |
また、未成年者であっても、本人に所得がある場合は確定申告が必要となるケースがあります。
次章では、未成年者が確定申告しなければならないケースを解説していきます。
未成年が確定申告が必要なケース
確定申告は一般的に労働者本人が利益(所得)を税務署に申告するものですが、未成年においても1年間で利益があれば確定申告が必要です。ここからは、さらに具体的に未成年が確定申告が必要なケースについて解説します。
アルバイトをしている
アルバイトや日雇いなどの労働で得た収入は、給与所得として扱われます。給与所得がある場合でも、以下のいずれかに該当する場合は確定申告が必要です。
- 副業等で20万円を超える所得がある
- 複数の会社から給与があり、年末調整されていない給与が20万円を超えている
- 年末調整では適用されない控除(医療費控除、住宅ローン控除など)を受けた
個人事業主である
個人事業主としてビジネスを行う場合、税務署への開業届の提出が必須です。開業届を提出することで、正式に事業を行っていることが認められます。確定申告の際には「事業所得」として申告することができます。
ここで注意すべきは、開業届を出さずに事業所得として確定申告した場合のリスクです。特に未成年者が事業を行っている場合、何らかのトラブルが発生した際に不利益を被る可能性が高まります。
雑所得がある
「事業」と呼ぶには至らない規模のビジネスで得た利益は、雑所得として扱われます。例えば、請負の仕事やフリマアプリでの商品販売などがこれに該当します。
このような場合、原則として所得が発生すれば確定申告を行う必要があります。未成年者の場合、雑所得以外の所得がないと仮定すると、所得税が発生する目安となるのは基礎控除の48万円です。
つまり、雑所得としての利益が48万円を超える場合は、確定申告が必要になります。
関連記事:未成年の個人事業主が払う税金は?扶養は外れる?確定申告も解説
未成年の確定申告をするときのポイント
未成年が確定申告をするときに知っておきたい2つのポイントについて解説します。
2種類の扶養から外れないかチェックする
未成年者の場合、多くは親の扶養に入っているかと思います。しかし確定申告によって所得が増えると、扶養から外れてしまう可能性があります。扶養には、所得税の扶養と社会保険の扶養の2種類があり、それぞれ条件が異なります。
- 所得税の扶養:年間の合計所得金額が48万円以下
- 社会保険の扶養:年間収入が130万円未満
確定申告を行う前に、自身の所得金額がこれらの条件を超えていないか確認しましょう。もし超えてしまう場合は、扶養から外れることで親の税金や保険料が増加する可能性があります。
親が代わりに税金を支払うのはNG
税金の支払いは、原則として本人(未成年者)が行う必要があります。親が代わりに税金を支払うことは、贈与とみなされる可能性があります。贈与税には基礎控除がありますが、場合によっては贈与税がかかることもあるので注意しましょう。
関連記事:相続税と贈与税の違いとは?控除や節税のポイントも解説
未成年口座を作るときに知っておきたいポイント

■被写体の預金通帳は撮影用に作成した架空のものです。イメージです。
続いて、未成年が口座を作る前に知っておきたいポイントについて解説します。特にFXなどの証券口座を作る際は注意すべきポイントが多いため、しっかり押さえておきましょう。
未成年口座への投資は「贈与」扱いとなる
未成年口座への入金は、親や祖父母からの贈与とみなされる可能性があります。年間110万円を超える贈与があった場合には、贈与税の申告が必要になります。贈与税には基礎控除があり、110万円までは非課税となりますが、それを超える場合には申告が必要です。
基礎控除48万円の節税対策ができる
未成年者の場合、年間所得が48万円以下であれば、所得税はかかりません。これは、基礎控除と呼ばれる制度によるものです。未成年口座を活用することで、この基礎控除を有効活用することができます。
利益が多いと扶養控除の対象外になる場合もある
未成年口座で得た利益が多い場合、親の扶養控除の対象外となることがあります。扶養控除の対象となるためには、年間所得が一定額以下である必要があります。扶養から外れると、親の税金や保険料が増加する可能性があります。
未成年口座を使うときの注意点
未成年口座を使うときの注意点を以下にまとめました。
特に注意すべき点は管理方法です。口座名義は子ども自身のものですが、口座の管理は親権者がサポートすることも可能です。口座の運用状況や税金に関する情報は、子どもと共有するようにしましょう。
- 未成年口座の運用資金は、原則として子ども自身のもの
- 親権者であっても、お子様の許可なく運用資金を自由に使用することはできない
- 成人後は未成年口座は成人口座に切り替わる
- 成人後は、親権者であっても子どもの口座を自由に操作できない
- 金融機関によって未成年口座の開設条件や取扱商品が異なる
- 子どもと一緒に運用について話し合う
上記に挙げた注意点を守り、未成年口座を上手に活用しましょう。不明な点があれば、税務署や税理士などの専門家に相談することをおすすめします。
未成年口座の確定申告に関するよくある質問
最後に未成年口座の確定申告に関するよくある質問をまとめました。以下の内容も参考にして、確定申告を進めましょう。
親が代理で確定申告してもいい?
はい、未成年者の確定申告は親権者が代行できます。民法では、18歳未満を未成年者と定めており、親権者は未成年者に対して財産管理権を有しています。この権利に基づき、親は子供の確定申告の代行が可能なのです。
未成年が確定申告しないとどうなる?
未成年であっても、所得税の支払い義務がある場合は確定申告が必要です。申告を怠ると、延滞税や無申告加算税などの罰則が課せられます。
所得税法では、年齢による区別はありません。確定申告を怠ると、延滞税は利息のように増加し、無申告期間が長くなるほど負担が大きくなります。
また年末調整が行われていない源泉徴収の場合、確定申告をしないと還付されるはずの所得税が戻ってきません。確定申告をしないことによるメリットはないため、必要に応じて確定申告を行いましょう。
ジュニアNISAはもう使えないの?
ジュニアNISAは2023年末で終了しました。2024年からは新NISA制度が開始され、ジュニアNISAは新規口座開設ができなくなりました。ジュニアNISAは、未成年者が非課税で運用できる制度でしたが、2024年以降は新NISA制度に移行しています。
関連記事:未成年で起業する方法は?手続きの流れや注意点を解説 –
まとめ
この記事では、未成年口座の確定申告に関する基本的な知識や、申告の際の注意点、よくある質問などをまとめました。
未成年口座は、お子様の将来のための資産形成に役立つ手段のひとつです。しかし、中には確定申告が必要となるケースや、注意すべきポイントがいくつか存在します。
お子さんが確定申告が必要な場合、お悩みがある場合は税理士への相談がおすすめです。小谷野税理士法人では、未成年口座を持つ方の確定申告のご相談にも対応しています。確定申告の方法に不安がある方は、ぜひ「小谷野税理士法人」までお気軽にお問い合わせください。