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法人成りしたら5日以内に社会保険手続きを!スムーズな手続きガイド

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法人成りしたら5日以内に社会保険手続きを!スムーズな手続きガイド

個人事業主が株式会社や合同会社などの法人を設立し、これまで個人で行っていた事業を新設した法人に引き継ぐことを「法人成り(法人化)」と言います。法人成りしたときは、会社設立登記が完了した日から5日以内に社会保険手続きが必要になります。本記事では、健康保険や厚生年金の加入の流れから社会保険料に関わる注意点まで、法人成り後に必要な手続きをスムーズに進める方法を紹介します。

法人成り後の社会保険手続きとは?

法人設立における社会保険料のイメージ

法人成りを行った際は、社会保険(健康保険・厚生年金)への加入が義務付けられています。加入手続きの期限は、法人設立登記が完了した日から5日以内です。

ここでは、健康保険と厚生年金の違いと会社設立後に社会保険が必要になる理由、手続きの期限と重要性について解説します。

健康保険と厚生年金の違い

健康保険と厚生年金は、それぞれ異なる目的を持つ社会保険制度です。

健康保険は、従業員が病気やけがをした際に医療費の一部を補助する仕組みで、これに加入することで安心して医療サービスを利用できます。一方、厚生年金は将来の老後に備えるための年金制度で、現役時代に支払った保険料が老後の生活費として給付される仕組みです。

このように健康保険は医療を、厚生年金は老後の保障を目的としています。企業はこれらの制度を理解し、それぞれの仕組みや重要性について正確な情報を従業員に共有する責任があります。

法人成り後に社会保険が必要になる理由

法人成り後には、社会保険加入が必要となる理由として、まず従業員の福利厚生を充実させることが挙げられます。適切な福利厚生を整備することで、人材の確保やモチベーションの向上が期待でき、結果として企業の成長に繋がります。

また、社会保険加入は法令によって義務付けられており、加入を怠ることは法的リスクを伴う上、企業の社会的信用を損ねる可能性もあります。法人にとって社会保険への加入手続きは原則として必須事項です。

関連記事:法人を設立したときにかかる社会保険料の負担と軽減する方法 

法人成り後の社会保険加入の流れ

法人成り後の社会保険加入の流れには、新規適用届や資格取得届の提出、扶養者情報の登録などが含まれます。ここではこれらの具体的な手続きについて解説をします。

健康保険と厚生年金の手続きと提出方法

健康保険と厚生年金保険の加入は、「健康保険・厚生年金保険 新規適用届」を会社本店の所在地を管轄する年金事務所へ提出することから始まります。提出時には、書類提出日から遡って90日以内に交付された法人登記簿謄本の原本を提示する必要があります。

会社設立時から従業員を雇用している場合は、「健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届」を提出し、従業員を健康保険・厚生年金保険に加入させます。また、従業員の家族を被扶養者とする場合は「健康保険 被扶養者(異動)届」を提出します。

健康保険の手続きでは、事業所が所属する健康保険組合や協会けんぽに所定の書類を提出する必要があり、必要書類には法人登記簿謄本や社員のマイナンバー確認書類などが含まれます。

厚生年金の手続きでは、「厚生年金保険の適用事業所設置届」と「厚生年金資格取得届」を提出し、適用を受ける必要があります。こちらも健康保険と同様に、年金事務所へ法人登記簿謄本や社員情報などの必要書類を提出します。

提出方法は、電子申請、電子媒体(CDまたはDVD)、郵送、窓口持参のいずれかから選択できます。

関連記事:会社設立時にする社会保険の加入手続き|費用は?いつから支払う?
関連記事:社会保険とは?種類や加入条件、負担割合などを解説

健康保険 被扶養者(異動)届について

健康保険の被扶養者(異動)届は扶養家族を正しく登録し、適切な医療給付を受けるために欠かせない手続きです。従業員が家族を被扶養者として登録すると、その家族も健康保険を利用できるようになり医療費の負担を軽減できます。これは役員や従業員が安心して生活できる大切な仕組みです。

届出にあたっては、扶養する家族の氏名・続柄・生年月日のみならず所得状況についても正確に記入することです。また、扶養家族の結婚や就職、収入に変動が合った際は、速やかに変更手続きを行うことも重要です。

会社設立と社会保険料の負担の実態

社会保険料の法人負担割合イメージ

社会保険料は基本的に会社と従業員の双方が負担することになっています。保険料は給与や役員報酬に基づき金額が決定します。ここでは、保険料計算の仕組みについて詳しく解説します。

健康保険料と厚生年金保険料の負担内容

法人成りを行う際、健康保険と厚生年金の保険料負担額を正確に把握しておくことは、会社の固定費を算出する上でも重要です。

健康保険料は法人と従業員が折半で負担し、従業員の給与額に基づいて算出されます。厚生年金保険料も健康保険料と同様に法人と従業員で半分ずつ負担します。そのため給与額が増加すれば、それに比例して健康保険料も増加し、企業の固定費にも直接的な影響を与えます。特に中小企業では、このような保険料の負担が経営上の大きな課題となる場合があります。

しかし、これらの社会保険料は単なるコストではなく、従業員への福利厚生の一環として捉えることが大切です。充実した福利厚生は、優秀な人材の獲得・定着を促進し、結果として労働環境の魅力向上に寄与します。そのため、予算策定段階で健康保険と厚生年金の概算費用を明確に把握しておくことが不可欠です。

関連記事:法人を設立したときにかかる社会保険料の負担と軽減する方法

役員報酬や給与による保険料計算の仕組み

社会保険料は給与額に基づくということはすでにお伝えした通りですが、具体的には給与額を基にした「標準報酬月額」で決まりますこの標準報酬は、月の給与を基準に一定の等級に振り分けられます。そのため役員報酬や給与の変更があると、保険料の計算にも影響を受けるかもしれません。

役員報酬に関しても同様で、役員自身の給与水準が高ければ高いほど、支払う保険料は増加します。かといって報酬を極端に低く設定すると、将来的な年金受給額や福利に悪影響を及ぼすため、慎重かつ計画的な設定が求められます。

また、報酬や給与の大幅な変更を行う際は、会社の運営資金への影響を十分に考慮することが重要です。

関連記事:一人社長の役員報酬の適正額はいくら?決め方にルールはある?

マイクロ法人の社会保険料について

マイクロ法人とは、明確な定義はありませんが、代表者1人だけまたはごく少人数で運営する小規模な法人のことを指します。

たとえ代表者1人だけでも法人成り後は、健康保険と厚生年金の加入が義務となっています。ただし、代表者の報酬が0円の場合は社会保険への加入義務はありません。その場合は国民健康保険・国民年金に加入することになります。

マイクロ法人は従業員数が少なく、自分自身で役員報酬を設定するケースが多いです。そのため社会保険に加入した場合は、役員報酬を低く設定することで社会保険料を低く抑えることができますしかし、そうなると将来の年金受給額に影響を及ぼす可能性があります。また、報酬額が基準報酬月額の最低基準を下回ってしまうと、社会保険の「被保険者資格」を喪失する可能性があります。

マイクロ法人が社会保険に加入する際は、報酬額の設定や保険料負担のメリットとデメリットについて考慮することが大切です。

関連記事:マイクロ法人で節約できるのは収入いくらから?社会保険料最安を狙おう

社会保険未加入のリスクとペナルティ

法人は健康保険と厚生年金の加入義務があるため、仮に未加入だった場合は法令違反となり、高額な罰金が科せられる可能性があります。

また会社側で負担しなかった場合、従業員が医療費や年金の支給を全額自己負担しなければならない状況になります。さらに従業員が病気や事故に遭った際も、企業の財務状況に多大な負担をかける恐れがあります。

さらに、社会保険未加入が発覚した場合には、企業の信用が損なわれます企業の信頼性が低下すれば、求人活動や取引先との関係にも悪影響を及ぼします。

加入時期が遅れる場合

法人成り後は、5日以内に社会保険への加入手続きを行わなければなりません。しかし、法人成り直後は、さまざまな手続きや煩雑な業務に負われ、期限を過ぎてしまうケースもあることでしょう。その場合、加入期間の5日を過ぎた場合でも、社会保険の加入手続きは可能です。

ただし、手続きには社会保険の加入要件を満たしていることを証明する登記簿謄本などの書類が必要になります。管轄の年金事務所に問い合わせて確認し、速やかに手続きを行いましょう。なお、加入開始時期は原則として会社設立日まで遡って加入することになり、その分の保険料も発生します。

手続きが遅れると行政指導を受ける場合もあるため、できるだけ早く申請しましょう。

法人成りに関するよくある質問

FAQ

法人成りに際しての社会保険の加入には、さまざまな手続きや注意点があります。以下より、法人成り後の社会保険加入に関するよくある質問をまとめました。

Q1: 法人成りした場合、社会保険に加入するメリットは?  

A: 社会保険に加入することで、従業員に医療や年金の保障を提供できるため企業の信頼度が向上します。また、これにより優秀な人材の確保につながることも期待できます。

従業員にとっては福利厚生が充実する点が魅力的であり、企業イメージの向上にも役立ちます。

Q2: 社会保険加入のデメリットは?  

A: 社会保険の加入によって、会社側には保険料負担が発生するため経費が増加します。特に小規模な企業では、この負担が経営に影響を及ぼす可能性があるため、事前に財務上の影響範囲をしっかりと検討しておくことが重要です。

Q3: 社会保険手続きの注意点は?  

A: 社会保険手続きでは、必要な書類の不備や提出期限の違反が原因となり、手続きが遅れるケースがあります。これを防ぐためには、事前に必要書類をすべて確認し、提出時に不足がないよう注意することです。

また、手続きには思った以上に時間がかかる場合もあるため、早めに準備を進めることをおすすめします。

Q4: 保険加入にあたって相談できる専門家は?

A: 加入にあたっては、なかには複雑な手続きもあります。正しく行われないと修正や手戻りで提出期限を過ぎてしまうこともあります。その際は社会保険労務士に相談をすると良いでしょう。

また、保険料は給与や報酬によって決まるため、会社の資本や財務状況を顧みて給与設定を行いたいケースもあるかと思います。その際は税理士に相談をしながら決定をすることもお勧めします。税理士であれば、法人成り後の事業プランや収入予測を立てながら適切な金額を算出してくれるでしょう。

小谷野税理士法人は、社会保険についても適切なアドバイスとお手続きをサポートします。

関連記事:開業時の相談先といえば?公的機関や専門家・相談事のポイントを解説!

Q6: 専門家を選ぶ際に注意すべき点は?  

A: 専門家を選ぶ際には、会社設立に強い専門家を選ぶことです。会社設立前はもとより、設立後もさまざまな手続きがあります。その一連の手続きに長けた専門家であれば、どのタイミングでどの準備をすればいいのかを漏れなくアシストしてくれます。

また法人成りをすると、社会保険以外にも個人事業主の時とは違った支出や税務も発生します。法人成り後も滞りなく事業を運営するためには、税理士による事前のアドバイスも有効です。

まとめ

法人成りは事業の拡大とともに、従業員を雇用する責任を負う立場になります。社会保険手続きは社会責任を果たすための必要な手続きとなります。その手続きには、給与の設定から保険料の計算など綿密な調整が必要となり、ときに自力での対応が難しい場合もあるでしょう。

そのため、税理士や社会保険労務士などの専門家に相談することも選択肢の1つとなります。専門家はそれぞれの分野に特化した深い知識を備え、頻繁に変更される社会保険や税制度の最新情報にも精通しており、適切なアドバイスを提供してくれます。

たとえば、税理士は法人税や消費税の申告業務を担当するだけでなく、会社設立に関する手続きから保険加入に関するアドバイスも行います。また、税理士に相談することで制度変更に伴うトラブルを回避し、効率的に手続きを進めることが可能です。より安心して経営に集中するために専門家の活用も検討しましょう。

法人成り後の社会保険手続きに関する相談は、ぜひ「小谷野税理士法人」にお問合せください。

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
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