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会社設立の基礎知識

「売掛金」と「未収入金」の仕訳はどうする?勘定科目やそれぞれの定義を解説

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「売掛金」と「未収入金」の仕訳はどうする?勘定科目やそれぞれの定義を解説

売掛金と未収入金は、どちらも回収予定の債権を表す勘定科目です。「まだ支払われていない代金」という点で意味合いが似ているため、混同することもあるかもしれません。しかし、売掛金と未収入金はそれぞれ異なる扱いを受けます。企業の信用評価でも重要視される項目であるため、両者の違いをしっかり把握しておくことが重要です。

「売掛金」の仕訳例

売掛金のイメージ画像

売掛金は、企業が商品やサービスを販売した際に、取引先からまだ支払われていない代金を指します。代金を後から支払う形にすることで、請求や支払い回数をまとめられ、取引の効率化につながります。

売掛金の計上は、売上が立った時点と実際に代金が支払われた時点の2回に分けて行われます。商品などを引き渡し、売上が立った時点で計上した後、実際に代金を回収した時点で「消込処理」が必要です。

まず、商品やサービスを提供し、売上が立った時点で売掛金を計上します。この際、売掛金は資産として借方に記帳され、売上は収益として貸方に記帳されます。

例えば、2024年8月に取引先に商品を税込11万円で販売し、まだ代金を受け取っていない場合の仕訳は、以下の通りです。

借方

貸方

売掛金

110,000円

売上

110,000円

次に、実際に代金が支払われた時点での仕訳を見てみましょう。実際に代金を回収した時点で、現金が増加するため借方に記帳し、売掛金が減少するため貸方に記帳します。例えば、2024年9月に取引先から代金を銀行振り込みで受け取った場合の仕訳は、以下の通りです。

借方

貸方

普通預金

110,000円

売掛金

110,000円

また、銀行振込で支払われたものの、振込手数料をこちらで負担する場合には、以下の仕訳が考えられます(振込手数料は400円とします)。

借方

貸方

普通預金

109,600円

売掛金

110,000円

支払手数料

400円

なお、2021年4月から適用された「収益認識に関する会計基準等」により、売掛金の計上タイミングは、履行義務が充足した時点、すなわち相手の検収が完了した時点で認識することが原則となりました。割賦販売においても入金に合わせた収益認識ができなくなり、より厳密な管理が求められます。

参考:企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準」等の公表|財務会計基準機構

「未収入金」の仕訳例

未収入金は、企業の営業活動以外で発生する未回収の金銭債権のことです。営業活動からの収益と非営業活動からの収益を明確に区別することで、企業の主要な収益源がどこにあるのかを明確に示すことにつながります。

未収入金の会計処理は、資産や損益を正確に把握するためにも「発生主義」に基づいて行います。発生主義とは、現金のやり取りが発生した時点ではなく、金銭のやり取りの有無に関係なく取引が発生した時点で記録を行う方法です。これに対して、現金主義は現金の受け取りや支払いがなされた時点でのみ記録する方法です。

例えば、2024年8月に会社の備品を10,000円で売却し、代金を翌月に受け取る場合の仕訳は以下の通りです。

借方

貸方

未収入金

10,000円

雑収入

10,000円

次に、実際に代金を受け取った時点での仕訳を示します。2024年9月に取引先から銀行振り込みで支払われた場合、以下の仕訳を行います。

借方

貸方

普通預金

10,000円

未収入金

10,000円

長期未収入金に振り替えられる場合もあります。例えば、2024年8月に会社の備品を10,000円で売却したが、1年以上回収の見込みがないと判断された場合の仕訳は以下の通りです。

借方

貸方

長期未収入金

10,000円

未収入金

10,000円

未収入金は流動資産として扱われますが、回収まで1年以上かかる場合は「長期未収入金」として固定資産に分類されます。貸借対照表での表示が異なり、流動資産と固定資産が別々に表記されるため、金額を混同しないよう注意が必要です。

関連記事:売掛金・未収入金の違いは?仕訳例や計上方法、注意点まとめ

「売掛金」と「未収入金」の違い

売掛金と節税に関するイメージ

売掛金と未収入金は、共に貸借対照表の資産の部で使用される用語ですが、混同しやすいため注意が必要です。どちらも債権を表しますが、その性質や発生する取引の種類に違いがあります。

「営業活動」か「それ以外」で生じた債権かで異なる

「売掛金」とは、企業間の取引で後日支払われる代金を指します。企業の主たる営業活動から生じる債権であり、例えば商品を販売したり、サービスを提供したりした場合に発生します。

売掛金を利用することで、取引のたびに現金を用意する手間を省き、効率的に業務を進めることが可能です。しかし、相手方が支払いを行わないリスクも伴うため、信用管理に気をつけなければなりません。

一方、未収入金は、企業の主たる営業活動以外から生じる債権を指します。有価証券や固定資産の売却、会社の余剰資金で購入したマンションからの家賃収入などが、その一例です。

未収入金は主軸事業から発生する費用ではないため、売掛金とは異なる扱いを受けます。また、決算期後1年以内に回収予定のものであることが前提です。

融資の際にも異なる評価を受ける

融資の審査のために決算書などの書類を提出する際、金融機関はこれらの細かい項目までチェックします。この時、売掛金と未収入金は会計上の扱いの違いにより、異なる評価を受けるのです。

売掛金は、企業の通常の営業活動から生じる未回収の債権であり、比較的短期間で現金化されることが期待されます。そのため、金融機関は売掛金を安定した収益源と見なし、ポジティブに評価する傾向です。

ただし、前期と同じ取引先や金額が計上されている場合、「回収できていない債権」と見なされるリスクがあります。そのため、事前にしっかりと説明を行うことが重要です。

一方、未収入金は営業活動以外で生じる未回収の債権であり、回収までの期間が長くなることが多いです。回収リスクが高いと見なされ、融資審査においてネガティブな影響を与えかねません。特に、未収入金が多い企業は、キャッシュフローの安定性が疑われることがあり、融資の際に不利になる可能性があります。

営業債権(売掛金)を誤って計上し、未収入金の金額が増えると、決算書の評価が下がる原因ともなりかねません。さらに、未収入金が過剰に計上されていると、不正会計の疑いを持たれることもあります。審査で不利となる可能性も出てくるため、注意が必要です。

関連記事:法人・個人で銀行から借入を受けるには?審査やメリット・デメリットなどについて詳しく解説!

売掛金には「時効」がある

売掛金には時効が存在し、これを無視すると回収が困難になるリスクがあります。2020年4月以降に発生した売掛債権の時効は、支払期日から5年間です。この期間内に請求を行わないと、債権は消滅し、回収が不可能になります。

相手が支払いを拒否し続けた場合、内容証明郵便を利用して催告を行うことで、時効の完成を6ヵ月間猶予することが可能です。ただし、この猶予は一度限りであり、再度の催告では効果がありません。

回収が困難な場合、裁判を検討することもありますが、小額の場合では弁護士費用が回収額を上回ることもあるため、慎重な判断が必要です。裁判は精神的・金銭的な負担が大きいため、可能な限り避けたいところです。

また、時効を中断する方法として、内容証明郵便の送付や訴訟があります。内容証明郵便は、相手に支払いを促す有効な手段ですが、その効果は6ヵ月間に限られます。定期的に送付することで時効を中断し続けることが可能ですが、相手が意図的に支払いを避けている場合には、根本的な解決にはなりません。

資金繰りを維持するために、売掛金に時効がある点に注意を払い、適切なタイミングでの請求や催告を行うことが重要です。時効が迫っている場合には、早急に対応策を講じることが求められます。

参考:民法の一部を改正する法律(債権法改正)について|法務省

関連記事:【税理士監修】「売掛金の節税対策」徹底ガイド:経営者に役立つ基本知識と対策

決算書では「売掛金」と「未収入金」の違いが重要

売掛金と節税に関するイメージ

融資を受ける際など、「未収入金」が多いと、あまり良い評価を受けないかもしれません。未収入金に売掛金などの営業債権が誤って計上されてしまうと、通るべき審査が通らなくなってしまう可能性もあるため、注意が必要です。ここでは、融資を受ける際などに注意したい決算書のポイントについて解説します。

売掛金を多く、未収入金を少なく計上した方が有利

一般的に、売掛金を多く計上し、未収入金を少なくすることが望ましいとされています。売掛金は営業活動から生じる債権であり、営業利益の高さを示すポイントです。一方、未収入金が多いと不正会計の疑いをかけられ、決算書の評価が下がる可能性があります。これらを混同すると、決算書の評価が下がるだけでなく、企業の信用にも影響を与える可能性があります。

売掛金として計上できる債権は、可能な限り売掛金として計上すると良いでしょう。例えば、所有している不動産で発生する家賃収入は「売掛金」として計上しても問題ないとされています。また、代理店業務などの副業から発生する債権も売掛金として計上することが可能です。

また、未収入金が多く計上されると、銀行などの金融機関からあまり良い印象を持たれないことが多いです。未収入金は1年以内に回収されるものは流動資産として扱われますが、1年以上かかる場合は固定資産として分類されます。この違いにより、決算書の評価が変わるため、正確な計上が求められます。

売掛金が売上を上回ると決算書の評価が低くなる

売掛金が高く計上されることは、営業利益を高く見せるためにも有利です。しかし、月の売上に対して売掛金が過剰に高い場合、決算書の評価が低くなるリスクがあります。

売掛金は、回収予定の金額であり、実際に回収されて初めて利益となります。売掛金の額が売上に見合っていない場合、回収が困難な不良債権を抱えていると見なされる可能性があるのです。

不良債権とは、売上として計上されているものの、回収が難しいと判断された債権のことです。売掛金が多いと、企業が回収に手こずっていることを示し、銀行や金融機関からの信用を損なう恐れがあります。

そのため、売掛金の早期回収が重要です。売掛金の回収が遅れると、企業の資金繰りが悪化し、信用を失うリスクが高まります。売掛金の管理を徹底し、早期回収を目指すことで、健全な財務状況を維持しましょう。

売掛金と未収入金の仕訳や違いを理解し正しく管理しよう

この記事では、売掛金と未収入金の仕訳や違いについて、詳しく解説しました。

売掛金は取引先からの未回収債権として資産に計上されます。一方、未収入金は固定資産や有価証券の譲渡、不動産の貸付などから生じる未回収の金額を計上します。

それぞれの勘定科目は似ていますが、異なる部分もあるため、会計処理を行う際には混同しないよう注意が必要です。

両者の仕訳に不安がある方や、融資審査に有利な決算書を作成したい方は、私たち「小谷野税理士法人」が全力でサポートしますので、ぜひお気軽にご相談ください。

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
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