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経費は使ったほうが得?メリットや節税につながる仕組み、経費率の目安について解説!

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経費は使ったほうが得?メリットや節税につながる仕組み、経費率の目安について解説!

経費を上手に使うことで、節税効果を得られます。正しく活用すれば、税金を減らし、会社の利益を最大化することが可能です。しかし、経費においては誤解されやすいポイントも多く、注意が必要です。この記事では、経費の基本から節税につながる仕組み、売上に対する経費の目安まで、分かりやすく説明します。

経費は使ったほうが得?

経費計上のイメージ

経費を使うことで節税効果が期待できるため、経費を積極的に活用することは一見得策に思えます。しかし、経費の使い方には注意が必要です。特に個人事業主の場合、経費の扱い方を誤ると、思わぬ出費がかさむこともあるでしょう。

個人事業主や法人は節税につながる

所得税や住民税、国民健康保険料の額は、所得の金額に基づいて決まります。住民税は前年の所得に応じて計算される「所得割」と、定額で課される「均等割」の合計で決まるのです。

そのため、事業に関連する経費をしっかりと計上して所得を減らすことで、税額や保険料を余計に支払うことを防げます。個人事業主や法人にとっては、事業に必要な経費をもれなく計上する体制を整えることが重要です。

必要経費とは、収入を得るために必要な支出のことを指します。例えば、仕入れや人件費、仕事で使用する文房具、取引先との飲食代、交通費などが該当します。業務に必要な経費を過不足なく計上することで、税額を計算する際の基準となる「所得」を減らし、結果として納める税額や保険料を減らせます。

節税効果は得られるがお金が戻ってくる訳ではない

経費を計上することで節税効果が得られるため、経費を使うことが得策だと考える人も多いでしょう。しかし、経費を使ったからといって、使った分のお金が戻ってくる訳ではない点に注意が必要です。

会社員の場合、立て替えた費用は会社から全額返金されますが、個人事業主はそうではありません。経費を計上することで税金が減ることはあっても、支出そのものがなくなるわけではないのです。

つまり、経費を使う分だけ実際の出費が増えるため、無駄遣いには注意が必要です。経費を賢く使い、必要な支出だけを計上することが求められます。

関連記事:個人事業主はなんでも経費にできる?注意すべき5つのポイントも解説

経費が多いと税金が少なくなる仕組み

経費を正確に計上することで、課税所得が減少し、結果として所得税や住民税、国民健康保険料の負担が軽減されます。ここでは、具体例を挙げながら経費を計上しなかった場合の影響について説明します。

例えば、個人事業主で1年間の売上が500万円の場合を考えてみましょう。経費を計上しない場合、所得は売上から基礎控除額48万円を差し引いた452万円です。所得税の計算は、以下の計算で求められます。

所得税 = 課税される所得金額 × 税率 – 控除額

所得税の税率は累進課税制度を採用しており、所得が多いほど税率が高くなります。452万円の所得に対する税率は20%で、控除額は42万7,500円です。したがって、所得税の金額は以下の計算で求められます。計算を分かりやすくするため、復興特別所得税は含めていません。

452万円 × 20% – 42万7,500円 = 47万6,500円

つまり、売上500万円に対して、仮に経費を計上しなかった場合、47万500円の所得税を納めなければならないのです。

次に、経費を100万円計上した場合を考えます。所得は売上から経費100万円と基礎控除額48万円を差し引いた352万円です。

352万円 × 20% – 42万7,500円 = 27万6,500円

上記の場合、100万円を経費として計上することで、経費を0円とした場合と比較して約20万円の節税となります。

さらに、経費を200万円計上した場合を考えます。この場合、所得は売上から経費200万円と基礎控除額48万円を差し引いた252万円です。

252万円 × 10% – 9万7,500円 = 15万4,500円

このように、経費を計上することで所得が減少し、結果として納める所得税の金額も大幅に減少します。同じ売上であっても、経費を計上するかどうかで納める税金の額に大きな差が生じるため、経費をもれなく計上することが重要です。

参考:No.2260 所得税の税率|国税庁

経費として計上できる費用とできない費用

経費削減のイメージ

会計上、経費として認められる費用とそうでない費用があります。正しい経費処理を行うためには、これらの違いを理解し、適切に対応することが重要です。ここでは、経費として計上できる主な費用と、計上できない費用について詳しく解説します。

経費として計上できる主な費用

経費として計上できる費用は、以下が挙げられます。

  • 人件費:雇用に関連する給与や賞与など
  • 消耗品費:耐用年数が1年未満、または10万円未満の物品購入費用
  • 接待交際費:事業に関連する飲食代や謝礼など
  • 旅費交通費:業務上の移動にかかる費用
  • 研究開発費:新規サービスや事業の開発にかかる費用
  • 新聞図書費:事業で使用する書籍や情報サイトの登録料など
  • 通信費:インターネットや電話などの通信にかかる費用
  • 広告宣伝費:サービスを宣伝するための費用
  • 地代家賃:事務所や店舗の賃貸料
  • 減価償却費:事業用の固定資産の取得費用を分割して計上する費用
  • 福利厚生費:社員旅行や新年会など、従業員向けの費用
  • 修繕費:設備や建物の維持管理や修理にかかる費用
  • 支払手数料:金融機関への振込手数料など
  • 租税公課:事業税や印紙税、自動車税など

事業運営に直接関連する費用は、経費として計上することが認められています。適切な範囲で経費として計上することで、節税につなげられます。

経費として計上できない費用

一方で、以下の費用は経費として計上できないため、注意が必要です。

  • 事業に関連しない費用:飲み会費や趣味の道具の購入費、日用品代など
  • 法人税・法人住民税:事業の所得に対する税金
  • 社会保険料:個人事業主の国民健康保険や国民年金など

経費として計上できるかどうかは、事業に直接関連するかどうかが重要なポイントです。経費管理を正しく行い、健全な経営を目指しましょう。

経費を使いすぎるデメリット

ここまでの内容を踏まえると、経費を使えば使うほどお得に感じるかもしれませんが、実際にはデメリットも存在します。ここでは、経費を使いすぎるデメリットについて、以下の3点を解説します。

税務上の手間がかかる

経費を計上するためには、請求書や領収書、振込証明書などの書類を整理・保管し、経費申請書を作成・提出する必要があります。これらの事務作業は、経費の申請量が増えるとともに、申請する担当者の負担が増大します。

特に、個人事業主や小規模な法人では、これらの手続きに多くの時間と労力を割くことになり、本来の業務に支障をきたしかねません。税理士に依頼したり、会計ソフトを利用したりするなど、サービスの利用を検討すべきでしょう。

利益が減少する

経費を計上することで節税効果が得られる一方で、実際の出費が増えることには変わりありません。経費を使いすぎると、事業の利益が減少し、最悪の場合、赤字に陥るリスクもあります。赤字決算になった場合、金融機関に「業績回復の見通しが立たない」と判断されると、融資額が減少したり、審査が通りにくくなったりするリスクもあります。

そのため、節税を目的に無駄な経費を計上することは避け、必要な支出だけを経費として計上することが重要です。使いすぎは、事業の健全な運営を妨げる可能性があります。

事業に関係のない費用まで経費にするとリスクが大きい

経費として計上できるのは、事業に直接関連する支出に限られます。事業に関係のないプライベートな費用まで経費として計上すると、税務調査の際に脱税を疑われるリスクが高まります。

正当な経費であることを証明するためには、取引年月・取引先名・金額が明記された書類を残しておくことが大切です。普段から事業用とプライベート用の支出を区別し、領収書やレシートなどの証拠書類の保管を徹底しましょう。

関連記事:経費の節税におすすめ!計上できる項目や損金との違い、判断ポイント

売上に対する経費の目安とポイント

消費税と電卓のイメージ

収入に対する経費の割合を「経費率」と呼びます。節税と税務調査のリスク軽減を両立するためにも、経費率の目安を知っておくことが大切です。ここでは、経費率の相場や目安、ポイントについて解説します。

売上に対する経費の相場は60%

売上に対する経費の割合は、一般的に約60%が目安とされています。ただし、これはあくまで一つの基準であり、事業内容や業種によって異なることがあります。

例えば、材料費や仕入れが多い製造業や卸売業では経費率が高くなる傾向がありますが、サービス業やフリーランスでは低くなることが多いです。重要なのは、経費が事業にとって必要かどうかを判断し、適切に計上することです。

経費が60%を超えても、正当な理由があれば問題ありません。計上できる経費の上限は定められておらず、業務に直接関わるものであれば、基本的に経費として認められます。ただし、経費がどのくらいかかるかはビジネスや業種によって異なるため、50%未満でも問題視される場合があります。

経費計上は節税に直結するため、経費割合を意識することは重要ですが、過度に気にし過ぎる必要はありません。割合を気にし過ぎて無理に経費を控えるのは損ですので、必要経費を正しく計上しましょう。

経費率の目安は粗利に対して80%以下が理想

経費率は、企業の経費管理やコストコントロールにおいて重要な指標です。適正な経費率を把握することで、経営の健全性を維持しやすくなります。

一般的に、経費率は「( 経費 ÷ 売上 )× 100」で計算されますが、この方法では売上に対する経費の割合しかわかりません。より正確なコスト管理を行うためには「売上総利益(粗利)」に対する経費率を用いると良いでしょう。

売上総利益に対する経費率の目安としては、80%以下が理想的とされています。これは、経費が売上総利益の80%以内に収まっていれば、企業の経費管理が良好であることを示します。具体的には、以下の基準を参考にしてください。

  • 80%以下:優良水準(経費管理が非常に良好であることを示す)
  • 90%以下:標準水準(一般的な経費管理が行われている状態)
  • 100%以下:改善の余地あり(経費が収益を圧迫している可能性があり、見直しが必要)
  • 100%以上:危険水準(経費が収益を超えており、赤字経営のリスクが高い状態であるため、早急な経費削減が必要)

上記のように、売上総利益に対する経費率を基準にすることで、より公平で合理的なコスト目標を設定できます。

経費率が高すぎると税務調査のリスクも高まる

経費率が高すぎると、税務署から脱税の疑いを持たれ、税務調査の対象となるリスクが高まります。例えば、年収600万円のエンジニアが交通費として250万円を計上した場合、打ち合わせなどの理由があっても、その金額が不自然に高いと判断される可能性があります。このような場合、税務署は不当な経費計上を疑い、詳細な調査を行うことがあるのです。

税務調査の結果、悪質な脱税行為と認定されると、追徴課税や罰金が科される恐れがあります。経費の割合が極端に高く、一般的ではない項目が多い場合、特に注意が必要です。税務署は、経費の正当性を確認するために詳細な調査を行うことがあります。その際に不正が発覚すると、企業にとって大きなリスクとなります。

税務リスクを回避するためにも、適正な経費計上を行うことが重要です。経費が事業にとって必要かつ合理的であることを証明できるよう、日頃から経費の管理を徹底し、領収証やレシートを保管しておきましょう。そうすることで、税務調査のリスクを最小限に抑え、健全な経営を維持できます。

関連記事:個人事業主の経費はいくらまで?経費にできる上限と割合について解説

経費を正しく計上して賢い経営を目指そう

経費を過不足なく計上することで、税金や保険料の支払い金額を適正にできます。消耗品費や交通費など、業務に直接関係のある費用を経費として計上し、賢い経営を目指しましょう。

ただし、「経費を使えば使うほど得である」とも言い切れません。売上に対して経費率が高いと、赤字経営に陥るリスクや、税務調査に入られやすくなる可能性があります。業種やビジネススタイルによっても異なりますが、「売上の60%」や「粗利の80%」などの一般的な経費率の目安を参考にし、必要経費が利益を圧迫している場合には無駄な支出がないか見直すことも必要です。

しかし、経費計上の処理には手間や時間がかかります。本業に集中し、効率的にビジネスを展開していくためには、税務の専門家によるサポートを利用することも一つの手です。税理士をお探しの方や、自身のビジネスに合った節税対策を知りたい方は、私たち「小谷野税理士法人」が全力でサポートしますので、ぜひお気軽にご相談ください。

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
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