顧問税理士の中には、積極的に節税したがらないケースもあります。限界まで節税対策をすると、税務調査の結果、追徴課税を課されるリスクが高まるためです。なるべく節税したい場合は、節税を積極的に実施している税理士を探すのがポイントです。今回は、顧問税理士の仕事の範囲、相場、顧問契約するメリットとデメリットなどを解説します。
目次
顧問税理士が節税してくれない原因とは
顧問税理士が節税してくれない主な原因は、追徴課税などのリスクを回避したいという心理だと言えます。最終的に経費として認められるのかを判断するのは税務署で、税理士ではないためです。税理士による節税対策は、言わずもがな法律で認められている範囲内です。
一方、経費だと言い切れないグレーゾーンに関して、判断は難しいところです。事業者にとって、積極的に合法的な節税対策をしてもらえるのは嬉しいかも知れませんが、税務調査で指摘されるリスクも上昇します。
税務調査の結果、経費として認められないと判断されると、追徴課税を課せられ、余分に税金を納める必要があります。もし追徴課税を課された場合、責任の所在は税理士となるのが特徴です。
税理士によっては、節税対策に消極的な姿勢・考えを持っているケースもあると、理解しておきましょう。
関連記事:追徴課税とは?加算税の種類や計算方法、対象期間について解説
顧問税理士の仕事の範囲はどこまで?何をする?
顧問税理士とは、毎月・毎年の定額支払により、定期的な税務相談や資金繰りなど経営面のサポートをする税理士を示します。税理士と顧問契約を結ぶと長期的にアドバイスを受けられるため、専門知識が求められる税務を改善する上で有効です。
事業主と同じレベルで事業内容・実情を把握しているため、悩みや不安などを相談できる唯一の頼れる存在となるケースもあります。顧問税理士の仕事の範囲は以下にまとめました。
年末調整 |
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給与計算 |
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記帳代行 |
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会計指導 |
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資金調達サポート |
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会社設立サポート |
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経営アドバイス |
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事業承継 |
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事業再生 |
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税務調査の対応 |
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税理士との顧問契約には費用がかかるものの、費用以上の効果を見込める可能性はあります。事業が成長してきたときなど、資金面で余裕が生まれてきたタイミングで、顧問契約を検討するのが1つの方法です。
関連記事:顧問税理士とは?税理士と顧問契約を結ぶメリットや注意点を解説
顧問税理士とスポット契約の税理士の違い
税理士と契約する場合、継続的なサポートを受けられる「顧問契約」と単発の「スポット契約」の2つから選べます。上述の通り、顧問契約を結ぶと受けられるサポートはより広く・深くなるのが特徴です。
一方で、スポット契約とは、以下の通り必要なときのみ税理士へ依頼するものを示します。
- 記帳代行
- 確定申告など税務書類の作成
- 事業承継の相談
- 法人成りの相談
- 相続税・贈与税の書類作成
スポット契約の場合、中長期的な観点からのアドバイスを受けられなかったり、取引内容を正確に把握してもらいにくかったりするのがデメリットです。
税理士とのやり取りが限定的なため、スポット契約で大きな費用対効果を望むのは困難でしょう。決算・確定申告のみ依頼するなど、事業者の経営状況に応じて柔軟に対応してもらえるのがスポット契約のメリットです。
例えば、「費用を削減するために日々の記帳は自分でやりたいけど、税務調査の対応だけは任せたい」などのケースがあげられます。税理士事務所・法人によって対応してもらえる内容が異なるため、よくチェックしておくのがポイントです。
顧問税理士の顧問料の相場
税理士の顧問料の相場は以下に示します。
- 法人:月50,000円程度
- 個人:月30,000円程度
依頼する税理士事務所・法人の規模や内容などによって異なるため、あくまでも目安として捉えておくのがポイントです。税理士へ支払う顧問料の中で、主な割合を占めるのは人件費です。
以下の通り、税理士の訪問回数・時間が多くなったりサポート内容が増えたりすると、その分顧問料は高額になると知っておくとよいでしょう。
- 事業者の売上
- 従業員数
- 面談の回数や時間
- 記帳代行の有無
事業者の規模が大きくなったり従業員数が増えたりすると、税理士の業務量ややり取りの回数が増えるため費用も高額になるのが特徴です。顧問契約を結んだあと、契約内容に応じて税理士との面談が組まれ、頻度に応じて費用への影響が生じます。
レシートなどを渡し、税理士に帳簿作成を依頼する場合、基本的に仕訳数によって費用が決まります。報酬の計算方法は以下に示します。
月額費用✕12ヵ月+決算申告費用+オプション費用
なるべく報酬を抑えたくなるかも知れませんが、税理士からのサポートの量を増やすと事業にとってよい影響が期待できます。単純に値段のみで決定するよりも、サポート内容や必要性などの観点から検討するとよいでしょう。
関連記事:【税理士監修】法人が税理士に依頼する費用の相場はいくら?依頼内容別の相場と費用を抑えるポイントをご紹介!
税理士と顧問契約を結ぶメリット・デメリット
税理士と顧問契約を結ぶ前には、メリットとデメリットの両方を正しく把握しておくと、納得したうえで決断できるでしょう。顧問契約のメリットとデメリットについては、以下の表でまとめました。
【メリット】
税務関係の書類を作成してもらえる |
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帳簿へ記帳してもらえる |
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税務調査に対応してもらえる |
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確定申告・決算申告をしてもらえる |
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経営に関するアドバイスを受けられる |
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【デメリット】
費用がかかる |
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顧問税理士のデメリットは、費用がかかる点です。黒字倒産するケースがある通り、事業者にとってお金は生命線です。契約する前には、収支状況や今後の見通しなどを踏まえたうえでの決断が求められるでしょう。
一方、費用の面をクリアできる場合、事業者にとって税理士との顧問契約には5つのメリットがあります。帳簿づけや税務書類の作成などの依頼を通じて、事業者は貴重な時間を手にできます。
失ったお金は取り返せるものの、時間は取り戻せません。税理士との顧問契約により、お金で時間を買い、事業の発展のために最大限の時間を投資できるため、事業の成長を加速させるうえで効果的です。
関連記事:個人事業主こそ節税対策は税理士に相談!依頼するメリット・デメリットも解説
顧問税理士選びのポイント
税理士と顧問契約を結ぶ前に、押さえておきたいポイントは複数あります。以下のポイントを押さえておくと、契約したあとでWin‐Winの関係を築きやすくなるでしょう。
業務の範囲 |
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人間性 |
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実績 |
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費用 |
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節税対策 |
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自社のクラウド会計ソフトへの対応 |
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事務所の規模 |
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「安いからいい」などとシンプルに決めるよりも、さまざまな観点を踏まえたうえで総合的に判断できると理想的です。税理士に求めるサービスを明確にしたうえで、探し始めるとよいでしょう。
同業者の友人・知人がいる場合、信頼できる税理士を紹介してもらうのが効果的な方法の1つです。原則として、税理士と直接あったうえでの判断が重要です。
顧問税理士に関するよくある質問
顧問税理士に対してよくある質問をまとめました。ここから具体的に見ていきましょう。
節税や資産形成のアドバイスを受けられる?
顧問契約を結ぶ税理士によって異なります。特に資産形成に関しては、税理士の専門分野ではなく、一般的にファイナンシャルプランナーの業務内容となるためです。
一部、資産形成のアドバイスに関して実績のある税理士もいるため、WebやSNSなどでリサーチするのも1つの方法です。
関連記事:個人事業主ができる所得税の負担を軽減する15の節税方法
節税対策してもらえないケースもある?
税理士によってはありえます。
税務調査の結果、追徴課税を課されると税理士が責任を問われるためです。節税するうえでは、法改正など最新の情報を入手している必要があります。
最低限の節税対策はしてもらえるものの、積極的に節税対策してもらえるのかは税理士によって判断がわかれるポイントです。契約する前の面談において節税の相談をしたうえで、税理士の考えをしっかり聞いておくとよいでしょう。
節税に関する相談は顧問税理士へ
顧問税理士に節税してもらえない原因や仕事の範囲、顧問料の相場、メリット・デメリットを解説しました。合法的に節税するうえでは、どこまで経費にできるのかを適切に判断することが求められます。
明確な線引が難しかったり最新の情報を入手しておく必要があったりするため、必要以上に節税したがらない税理士もいるといえます。
「なるべく節税し、少しでも事業にお金を回したい」と考える事業者は、節税対策を積極的に実施している税理士と顧問契約を結ぶのがポイントです。
小谷野税理士法人は、最適な決算戦略の策定を通し、税負担の軽減を全力でサポートしてきた実績があります。節税に関する疑問や不安などがある場合、まずはお気軽に無料相談をご利用ください。
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