宿直手当や日直手当は、一定の条件を満たす場合には非課税として取り扱うことができます。ただし非課税限度額というものがあり、限度額を超えた部分は課税対象となるため、手当の支給額は慎重に定めなければなりません。本記事では、従業員に宿直手当・日直手当を支給する際の税務処理や非課税と認められる基準や注意点について詳しく説明します。
目次
宿直手当・日直手当とは
宿直手当は、通常の勤務時間外に宿泊を伴いながら業務を行う従業員に対して支給される手当です。日直手当は、通常の勤務時間外に出勤し、業務を担当する従業員に支払われる手当です。日曜日や祝日に勤務する場合に支給されることが一般的です。
ここでは、宿直手当と日直手当の支給条件について説明します。
宿直手当・日直手当の要件
宿直手当・日直手当は、どちらも特別な時間帯に勤務することで発生する手当です。このような宿直手当および日直手当は、総称して「宿日直手当」と呼ぶこともあります。
【宿日直手当の要件】
区分 | 要件 |
宿日直手当 |
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宿直手当 |
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日直手当 |
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通常、宿日直手当は宿直業務や日直業務に従事する従業員に対して労働の対価として支給されますが、同時に実費弁償的な性格も持ち合わせています。
そのため、手当の支給条件や基準を明確に定める必要があります。特に、宿日直手当については国税庁が税務上の指針を示しており、企業はその内容を正確に理解し、遵守することが求められます。
宿直手当・日直手当は原則として非課税
宿直手当や日直手当は一般的に非課税とされています。ここでは、宿直手当・日直手当が非課税とされる背景と非課税限度額について詳しく解説します。
宿日直手当が非課税とされる背景
宿日直とは従業員が通常の労働時間外に行う特殊な労働形態であり、その手当は従業員の心身的負担、経済的な負担を伴います。宿日直手当には、それらの負担を補填する意味合いがあります。
そして宿直手当や日直手当が非課税とされる背景には、通常の勤務とは異なる負荷が生じることへの「役務の対価」や「実費弁償的な要素」が含まれることが関係しています。
役務の対価とは、特別な勤務に対する報酬のことです。たとえば、宿直では夜間に待機し、十分な睡眠がとれないなどの負担が発生します。また、日直では休日に勤務することで家族や友人との時間が制限されるなどの負担が生じるため、その補償として支給されます。
実費弁償的な要素とは、宿直や日直によって通常の勤務では発生しない追加の費用を補填するという意味があります。夜間勤務により外食をする費用がかかったり、深夜・早朝の移動にタクシーを利用する必要があるなどのケースが考えられます。
そういった際に宿日直手当によって、従業員は労働環境と生活の安定を保障するのです。また企業としても、宿日直により業務の効率化や生産性の向上につながります。宿直手当や日直手当が非課税であることは、従業員・企業双方にとって労働環境改善の一環として重要な役割を果たしているのです。
非課税となる宿直手当・日直手当の条件
宿直手当や日直手当が非課税となるためには、以下の条件が満たされている必要があります。
- 宿直や日直が通常の業務ではなく、臨時的な勤務であること。
- 主な業務が監視や緊急対応であること。
- 手当の額が非課税限度額以下であること。
- 宿直手当・日直手当:1回あたり4,000円まで
- 労働時間にカウントされず、割増賃金の対象でないこと。
これらの条件を満たしている場合、宿日直手当は非課税となりますが、事項で記載する宿直手当・日直手当の非課税限度額を超えた場合は課税対象になります。
実費弁償的な性格を持つ部分に対しては、課税対象外とされ、従業員だけでなく、支給する企業側にも給与関連のコスト負担軽減というメリットがあります。
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宿直手当・日直手当が課税対象となるケース
宿日直手当は基本的に非課税とされる場合が多いですが、特定の条件に該当する場合には課税対象となることがあります。ここでは、どのような場合に課税対象になるのかを解説します。
通常の勤務時間に含まれる場合
宿日直手当が課税対象となる条件の1つは、宿直や日直の勤務が従業員の通常の勤務時間に含まれてしまう場合です。
たとえば、従業員が日常の業務の一部として宿直や日直を行う場合、この手当は非課税の範囲を超えるものとみなされ所得税の対象となります。これは宿日直が特別な業務ではなく、通常の業務とみなされるからです。シフト制勤務の夜勤も給与所得として課税されます。
また、特定の雇用条件となっている従業員の場合は課税対象となります。たとえば休日や夜間のみで勤務する従業員の場合、給与は全額課税対象となることが考えられます。
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給与に比例して支給される場合
従業員の給与に比例して宿日直手当の支給額が決まるケースについても注意が必要です。
企業によっては、宿日直手当を基本給の一部として支給するところもあります。このような場合、非課税手当ではなく通常の給与の一部として扱われ課税対象となってしまいます。
また、非課税限度額を超える支給額はすべて課税の対象となるため、企業はその区分を正確に行わなければなりません。
このように、宿日直手当が課税となってしまうケースや非課税限度額の適用は、それがどのような目的で支払われ、どのように計算されるかによって異なります。企業がこれらの要件に留意し、正確な手当計算を行うことは、従業員への透明性を保つ上でも、不必要な税務トラブルを防ぐ上でも重要です。
関連記事:従業員に源泉徴収票はいつ渡す?作成方法や発行のタイミングは?
所得税がかからない手当一覧
所得税がかからない手当は、従業員に対する経済的負担を軽減するための重要な手段であり、いくつかの種類があります。これらは「国税庁」の定める基準や条件に従うことで、非課税として取り扱われます。
手当の種類 | 内容 |
宿日直手当 | 本記事で紹介している通り、特殊な勤務形態を伴う業務に従事した際に支給される手当であり、1回につき4,000円以下であれば非課税として認められます。 |
通勤手当 | 従業員が職場まで通勤する際の交通費を補助するために支給されるこの手当は、公共交通機関は月15万円まで、マイカー・自転車は31,600円までが金額まで非課税となります。実費精算が基本であり、支給額や管理方法について明確にすることが求められます。 |
出張手当 | 出張時に必要となる食事代や宿泊費を補助するためのもので、実費相当額として支給される場合に限り、非課税の対象となります。適切な証拠書類の提出や運用が必要です。 |
資格取得手当 教育訓練手当 | 受講料・教材料などを会社が費用を直接負担する場合や業務に必要な資格取得費用を実費精算する場合は、福利厚生・研修費として処理され、非課税となります。 |
「国税庁」の基準を理解し、手当を適切に利用することは、従業員の経済的負担を抑えるために重要です。非課税手当を効果的に活用することで、従業員が安心して働ける環境を整備することが可能となります。
参考:No.2508 給与所得となるもの|国税庁
参考:給与所得の範囲|国税庁
まとめ
宿日直手当や日直手当は、非課税とされる点が魅力で、従業員にとっても企業にとってもありがたい手当です。ただし、この非課税措置には条件があり、限度額の範囲内においてのみ非課税が適用されます。この制度により、企業の経済的負担が軽減され、従業員は安心して業務に集中できる環境が整います。
非課税限度額を超えた場合、その金額は課税対象となってしまいます。これを防ぐためには、手当金額や勤務時間、どういった業務に該当するかの把握と振り分けを行うことが大切です。これにより、企業と従業員双方がトラブルを避け、適切な手当支給が可能となります。
宿日直手当以外にも、通勤手当や出張手当といった非課税対象の手当が複数あります。これらを効果的に活用することで、従業員の手取りが増え、モチベーションや満足度を向上させることが期待できます。ただし、それぞれの手当についても非課税限度額が設定されているため、その範囲内での適切な支給が求められます。
また、税制や法令は随時改正される可能性があるため、最新の情報を常に確認することが重要です。宿日直手当や日直手当を正しく理解し、非課税限度額を念頭に置きながら運用することで、適切な労働環境の構築と従業員の働きやすさの向上につなげましょう。