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年末調整をしていない!そんな時の確定申告の正しいやり方を解説

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年末調整をしていない!そんな時の確定申告の正しいやり方を解説

勤務先で年末調整を受けていない場合や、退職後に再就職をしていない場合、正しい所得税額の計算および納付ができていない状態です。そのまま放置すると納付税額が足りずペナルティを課される恐れや、反対に本来の税額よりも納め過ぎになることもあります。このような事態を防ぐため、今回は年末調整をしていない場合の確定申告のやり方について詳しく解説します。

年末調整をしていない場合のリスクと対処法

年末調整と確定申告のイメージ

給与所得者が勤務先で年末調整を受けていない場合、正しい所得税額の計算や過不足の調整ができません。そのため、さまざまなリスクが発生します。以下では年末調整をしないことで発生するリスクや、年末調整をし忘れた場合に必要な対応について解説します。

年末調整をしないことで発生するリスク

年末調整をしないことで発生するリスクは大きく2つに分けられます。

1つ目は所得税の納め過ぎとなるリスクです。

そもそも年末調整とは、毎月の給与から天引きされた所得税の過不足を精算するために行う手続きです。1年間の給与収入および各種所得控除などを考慮して最終的な所得税額を算出した後、天引きした所得税との過不足を計算します。納め過ぎの状態であれば還付をし、不足していれば追加で徴収します。

源泉徴収税額はあくまで概算な上、所得控除等は一切考慮されていません。そのため一般的には、本来の所得税額よりも源泉徴収税額の方が多い状態になりやすいです。年末調整をすれば払いすぎている分の還付を受けられるため、払い過ぎの状態は解消されるでしょう。

しかし前述のように、年末調整をしなければ所得税の過不足を精算できません。そのため、所得税の納め過ぎになってしまう可能性が高いです。

2つ目は納め過ぎとは反対に、所得税の納付額が不足するリスクです。

源泉徴収では所得控除等が考慮されないため、本来の所得税額よりも源泉徴収税額の方が多い状態になりやすいと紹介しました。しかし、すでに支払った所得税の額が本来の所得税額より少ないケースもゼロではありません。

所得税の納付額が不足した状態で確定申告をせずにいると、以下のようなリスクがあります。

  • 延滞税を課される
  • 無申告加算税を課される
  • 税務調査

確定申告が必要なのに手続きを怠った場合のリスクについては以下の記事もご覧ください。

関連記事:確定申告は期限を過ぎても大丈夫?具体的な期限やペナルティについて解説

年末調整をしていない場合に必要な対応方法

年末調整をしていない場合、個人で所得税の確定申告が必要です。

給与所得者は年末調整で所得税額の計算および過不足の精算を行うため、原則として確定申告をする必要がありません。しかし年末調整を受けていない場合は、所得税の計算も過不足の精算もできていない状態です。

このような状態を放置すると、前項で紹介したリスクが発生します。したがって個人で所得税の確定申告を行う必要があります。

確定申告を行うべき人の条件と流れ

個人事業主の確定申告のイメージ

前章で、年末調整を受けていない場合は確定申告を行う必要があると紹介しました。正確には、確定申告が必要になるのは年末調整を受けていない場合には限りません。年末調整を受けている給与所得者でも確定申告が必要になるケースが存在します。

以下では給与所得者でも確定申告が必要になるケースの例と、確定申告の基本的な流れ・注意点について解説します。

給与所得者でも確定申告が必要なケースとは

給与所得者でも確定申告が必要になるケースとしては、主に以下の例があります。

  1. 勤務先で年末調整を受けていない
  2. 給与収入が年間2,000万円を超える
  3. 2ヵ所以上から給与の支払いを受けている
  4. 給与所得以外の所得が20万円を超える
  5. 年末調整で適用できない控除を受ける
  6. 災害減免法の対象者

1は本記事で既に紹介した通りです。主に必要書類の提出が間に合わず年末調整を受けられなかった人や、年内に再就職をしていない人が該当します。

2で確定申告が必要な理由は、給与収入が年間2,000万円を超える人は年末調整の対象外になるためです。1とは状況が異なりますが、勤務先で年末調整を受けていないために確定申告が必要になるという点は共通しています。

3~6の場合、年末調整だけでは正しい所得税額の計算や過不足の清算ができません。これらに該当する場合は、たとえ勤務先で年末調整を受けていても確定申告が必要です。

年末調整と確定申告の両方が必要になるケースについては以下の記事でも詳しく解説しています。

関連記事:【税理士監修】年末調整と確定申告の違いとは?両方が必要なケースや適用される所得控除を解説!

確定申告の基本的な流れ

確定申告の基本的な流れは以下の通りです。

  1. 必要書類を用意する
  2. 確定申告書を作成する
  3. 確定申告書を提出する
  4. 不足分の納税をする、もしくは払い過ぎた分の還付を受ける

確定申告の詳しい流れについては以下の記事で詳しく解説しています。

関連記事:【税理士監修】確定申告のやり方ガイド!いつからいつまでの収入?郵送のケースや必要書類・マイナンバーカードについて

なお給与以外の所得がない場合、必要書類や手続きは比較的シンプルです。

前提として、確定申告の必要書類は大きく以下の4つに分けられます。

  • 収入を証明する書類
  • 経費を証明する書類
  • 控除を証明する書類
  • マイナンバー確認書類

このうち経費を証明する書類は給与所得のみの人には必要ありません。給与所得者には経費という概念がなく、会社に代わって支払った分は立替経費としてすぐに精算されるためです。

収入を証明する書類は原則として源泉徴収票を使います。収入額や所得額は、源泉徴収票に記載された額を確定申告書へ転記するだけで済みます。

源泉徴収票を活用した確定申告の方法

支払調書と源泉徴収のイメージ

前章で紹介したように、給与所得者が収入を証明する書類として使うのは源泉徴収票です。源泉徴収票を活用した確定申告の方法について解説します。

源泉徴収票の主な項目

源泉徴収票に記載されている項目のうち、確定申告でも重要となる項目は以下の7つです。

  1. 支払金額:1年間に支払われた給与総額
  2. 給与所得控除後の金額:支払金額から給与所得控除を引いた額。この額が給与所得に該当する
  3. 所得控除の額の合計額:基礎控除、扶養控除、保険料控除など、年末調整で適用できる所得控除の合計
  4. 源泉徴収税額:給与から源泉徴収された所得税の額
  5. 社会保険料等の金額:給与から天引きされた社会保険料の額
  6. 生命保険料の控除額:生命保険料控除の控除額
  7. 地震保険料の控除額:地震保険料控除の控除額

ただし勤務先で年末調整をしていない場合、一般的に3、6、7の項目は使用されていないでしょう。年末調整の手続きをしていなければ控除額の適切な反映もされていないためです。

源泉徴収票から確定申告書へ転記するのは、通常は1、2、4、5の項目となります。

源泉徴収票を用いた確定申告書の作成方法

源泉徴収票の各項目を確定申告書に転記する方法を紹介します。

  1. 源泉徴収票の「支払金額」を、確定申告書第1表の「収入金額等」の「給与」欄に転記
  2. 源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」を、確定申告書第1表の「所得金額等」の「給与」欄に転記。給与所得以外に所得がない場合は「合計」欄にも転記
  3. 源泉徴収票の「社会保険料等の金額」を、確定申告書第1表の「所得から差し引かれる金額」の「社会保険料控除」欄に転記
  4. 源泉徴収票の「源泉徴収税額」を、確定申告書第1表の「税金の計算」の「源泉徴収税額」欄に転記

社会保険料控除以外にも所得控除の適用を受ける場合は、各所得控除の欄に控除額を記載しましょう。

参考:No.1100 所得控除のあらまし|国税庁

控除額の記入が完了したら、所得控除の合計や課税される所得金額、所得税額等の欄を埋めていきます。確定申告書の「所得税及び復興特別所得税の額」から「源泉徴収税額」を引いた額が申告納税額です。申告納税額がプラスの場合は納付が必要、マイナスの場合は還付を受けられます。

確定申告書第二表は、所得や控除の内容について詳しい記載が求められている様式です。確定申告書第一表に比べてどこに何を書くかわかりやすく明記されているため、記入例や説明に従って各項目を埋めていきましょう。

源泉徴収票がない場合の対処方法

源泉徴収票がない場合、まずは勤務先に問い合わせて源泉徴収票の発行を依頼しましょう。

給与所得者の確定申告は源泉徴収票を使うのが原則です。そのため、源泉徴収票がなくても確定申告ができる方法を考えるよりも前に、源泉徴収票の取得を試みるのが前提となります。

源泉徴収票の交付を受けられない場合、税務署に「源泉徴収票不交付の届出書」を提出しましょう。

源泉徴収票不交付の届出書は、源泉徴収票が支払者から交付されない旨を税務署に訴える書類です。届出によって税務署から会社に指導が入るため、源泉徴収票を交付してもらえる可能性が上がります。ただし、既に交付された源泉徴収票の再発行の場合は、源泉徴収票不交付の届出手続きの対象外です。

参考:F5-4 源泉徴収票不交付の届出手続|国税庁

源泉徴収票の再発行が受けられない場合や、倒産などで会社に発行してもらうのが不可能な場合、税務署へ相談しましょう。独断で別の書類を使うのではなく、税務署からの指示を仰ぎ、適切な対処をとることが大切です。

関連記事:源泉徴収する・しないの基準とは?対象の報酬・給与や計算法を解説!

まとめ:年末調整を忘れても確定申告でしっかり対応しよう

年末調整を受け忘れた場合、正しい所得税額の計算や、源泉徴収税額の過不足の精算ができません。この状態を放置していると、所得税の払い過ぎで損をしてしまうリスクや、反対に納付額が足りずペナルティを課されるリスクがあります。

勤務先で年末調整をしていない場合は、個人で所得税の確定申告が必要です。給与以外の所得がない場合、必要書類や手続きは比較的シンプルで済みます。確定申告が必要なケースや基本的な流れさえ押さえれば、スムーズな確定申告が可能となります。

年末調整をしていない状態の放置はせず、期日に間に合うようしっかり確定申告を行いましょう。

確定申告について不安なことがあれば、ぜひ小谷野税理士法人にご相談ください。

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
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