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設備資金・運転資金の返済期間はどれくらい?返済が難しいときの対処法も解説

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設備資金・運転資金の返済期間はどれくらい?返済が難しいときの対処法も解説

融資によって借り入れるお金の資金使途は、設備資金と運転資金に大別されます。同じ融資制度でも、資金使途が設備資金と運転資金のどちらであるかによって設定できる返済期間が異なります。適切な資金計画を立てるためには、資金使途別の返済期間について事前に知っておくことが大切です。今回は設備資金と運転資金それぞれの返済期間について詳しく解説します。

設備資金とは

設備資金とは事業のために必要な設備を用意するための資金です。設備資金の例を紹介します。

  • オフィス用物件の取得費
  • 賃貸物件の敷金や権利金
  • 内装工事費
  • 社用車の購入費
  • 機械装置や各種OA機器の購入費
  • 電気やネット回線等の設置工事費
  • デスクや椅子などの什器類
  • Webサイト制作費

固定資産に関する支出や、創業時・新事業展開時等の初期費用として発生する支出の多くは設備資金に該当します。

運転資金とは

運転資金とは日々の事業活動を続けるために必要な資金です。ランニングコストのための資金ともいえます。

運転資金によって賄う支出として以下の例が挙げられます。

  • 商品や材料などの仕入
  • 消耗品費
  • 人件費
  • 業務委託費
  • 支払手数料
  • 広告費
  • 通信費
  • 家賃
  • 水道光熱費

設備資金や余剰資金以外の資金はすべて運転資金と考えて良いでしょう。

関連記事:運転資金融資のすべて!成功のカギを握る資金調達方法を徹底解説

融資における設備資金・運転資金の違い

フリーキャッシュフローのイメージ

融資における設備資金・運転資金を比べると、設備資金の方が返済期間として設定できる年数が長いです。

運転資金は日常業務に必要な資金であり、毎月の収益ですべて賄うのが前提です。融資で運転資金を借りる場合、返済期間は3年程度、最長でも10年程度と短めとなります。

一方、設備資金は固定資産の購入など設備投資に用いられる資金です。一度に多額の支出が発生する上、設備投資の効果が収益に反映されるまでに時間がかかります。そのため設備資金の返済期間は短くても数年、ケースによっては10年以上と長めの期間になるのが一般的です。

なお設備資金は融資額の大きさや返済期間の長さから、運転資金に比べて審査が厳しいといわれています。

設備資金・運転資金の返済期間は何年?

設備資金と運転資金では返済期間として設定できる年数に違いがあります。それぞれの返済期間の目安を紹介します。

設備資金は最長20年以内(据置期間込)

設備資金の返済期間は据置期間込みで最長20年以内が目安です。日本政策金融公庫における設備資金の返済期間を最長20年に設定できる融資の例を2つ紹介します。

融資制度

設備資金の返済期間

新規開業資金

20年以内(うち据置期間5年以内)

企業活力強化資金

20年以内(うち据置期間2年以内)

据置期間とは元本の返済を猶予してもらい、利息のみを支払う期間です。安定した収益が出るまで時間がかかりそうな場合に、返済負担を抑える目的で設定されます。

なお、20年はあくまでも最長の年数です。資金使途が設備資金であっても、返済期間として設定できる最長の年数が20年よりも短い制度は多く存在します。たとえば同じ日本政策金融公庫でも、一般貸付制度の設備資金の返済期間は10年以内(うち据置期間2年以内)となっています。

参考:日本政策金融公庫「新規開業資金」「企業活力強化資金」「一般貸付

運転資金は最長5~10年以内(据置期間込)

運転資金の返済期間は据置期間込みで最長5~10年以内が目安です。例として、設備資金で紹介した日本政策金融公庫の3つの融資制度「新規開業資金」「企業活力強化資金」「一般貸付」の運転資金の返済期間を紹介します。

融資制度

運転資金の返済期間

新規開業資金

10年以内(うち据置期間5年以内)

企業活力強化資金

7年以内(うち据置期間2年以内)

一般貸付

5年以内 ただし特に必要な場合は7年以内
(うち据置期間1年以内)

日本政策金融公庫に限らず、いずれの融資制度も設備資金より運転資金の方が設定できる返済期間が短めです。

参考:日本政策金融公庫「新規開業資金」「企業活力強化資金」「一般貸付

関連記事:日本政策金融公庫の創業融資(新創業融資)とは?必要書類や申し込みの流れなどを詳しく解説!

設備資金・運転資金の返済が難しいときの対処法

資本金運用

融資の返済が難しくなったときにできることは限られています。無理なく返済ができるよう、融資申し込みの段階で適切な対処をとるのが理想です。融資を無理なく返済するため事前にとるべき対処法と、万が一返済が難しくなってしまったときの対処法を紹介します。

借入時に措置期間を設定する

収益が安定するまでに時間がかかる見込みであれば、借入時に措置期間を設定するのがおすすめです。

据置期間とは元本の返済が猶予され、利息のみを支払う期間です。創業直後や新事業展開の直後などは売上が安定せず、収入に対して返済負担が重くなりすぎる恐れがあります。返済額を確保するためにほかにコストをかけられず、結果として事業が上手くいかないというケースも起こり得ます。

据置期間を設定するかは自由ですが、当面の収益に不安があれば据置期間の設定を検討しても良いでしょう。

借入時に返済期間を長めに設定しておく

借入時に返済期間を長めに設定しておくのも1つの手段です。

返済期間が長ければ毎月の返済額が少なくなります。完済までに時間がかかるというデメリットはありますが、資金繰り悪化の恐れは抑えられます。

借入条件や返済計画の変更を相談する

現状の返済計画での返済が難しい場合はなるべく早く金融機関に借入条件や返済計画の変更(リスケジュール)を相談しましょう。滞納を起こす前に相談すれば、返済額や返済日の変更の対応をしてもらえる可能性があります。

「返済が難しいと相談したら今後の取引に悪影響を与えるのでは」「条件を変更なんてできないだろう」このように考える人もいるかもしれません。

しかし金融庁から金融機関に対して、中小企業への円滑な資金供給や貸付条件等の柔軟な変更に対応するよう要請が行われています。そのためリスケジュールの要請をした場合に、金融機関から門前払いをされてしまう可能性は低いでしょう。

最も避けるべきなのが、金融機関に何もいわず返済遅延や滞納を起こすことです。無断で滞納等を起こすと債権回収のための手続きが進んでいき、最終的には強制執行による財産差し押さえの恐れもあります。

一度滞納を起こして信用を失った後に柔軟な対応をしてもらえる可能性は低いでしょう。滞納を起こす前の段階で金融機関に相談するのが大切です。

参考:金融庁「中小企業等に対する金融円滑化対策について

まとめ

設備資金は事業のために必要な設備を用意するための資金です。一度に多額の支出が発生する上、効果が収益に反映されるまでに時間がかかるため、返済期間は長めに設定されています。設備資金の返済期間は据置期間込みで最長20年以内が目安となります。

運転資金とは日々の事業活動を続けるために必要な資金です。運転資金の返済期間は据置期間込みで最長5〜10年以内と、設備資金の返済期間よりも短く設定されています。

設備資金と運転資金はそれぞれ設定できる返済期間の長さが異なります。より実態に即した資金計画を立てるため、設備資金と運転資金の返済期間の違いについて押さえることが大切です。

万が一返済計画通りの返済が出来そうにない場合、なるべく早く金融機関に相談しましょう。無断で滞納を起こすのは厳禁です。返済負担を抑えるため、借入時に据置期間を設定する、もしくは返済期間を長めに設定するのも1つの手段です。

資金繰りの悪化を起こさず融資を上手く活用するためにも、適切な返済期間を設定しましょう。

返済期間の決め方や返済が難しい場合は、融資サポートの実績が豊富な小谷野税理士法人へご相談ください。

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
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