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インボイス制度に廃止の可能性はある?問題視される原因と政党の反応

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インボイス制度に廃止の可能性はある?問題視される原因と政党の反応

2023年10月から開始されたインボイス制度は、開始前からあった反対の声は未だ治まっていません。実際のところ、インボイス制度に撤回の動きはあるのでしょうか?そこで、この記事では、インボイス制度に廃止の可能性があるかどうかを探っていきます。反対されている原因やその問題点を確認していきましょう。また、インボイス制度に対する各政党の反応も紹介しているため、参考にしてみてください。

インボイス制度に廃止の可能性はあるのか

インボイス登録の取り消しイメージ

2024年時点では、インボイス制度に廃止の動きはありません。ただし、インボイス制度については、対応への複雑さや難しさなどもあって、廃止・見直しを求める声があがっていることは確かです。

また、インボイス制度に対する対応が、政党ごとに異なっている点も注視しなければなりません。仮に政権交代が起これば、インボイス制度への政府の対応も変わる可能性があります。

インボイス制度に対し廃止の可能性が問われる原因

インボイスは、2023年10月1日から始まった新たな制度ですが、開始後も廃止が求められ続けています。その理由とはどこにあるのかを確認してみましょう。

仕入税額控除のために適格請求書(インボイス)が必要

インボイス制度では、仕入税額控除の適用を受けるために、適格請求書が必要です。

仕入税額控除とは、事業者が消費税を支払うときに、売上の消費税から仕入れの消費税を差し引ける仕組みです。これにより、事業者は消費税の二重課税を解消できます。

適格請求書の発行は、適格請求書発行事業者のみに許されており、インボイス制度において免税事業者は対応できない決まりです。

つまり、インボイス制度では、取引相手が免税事業者の場合には仕入税額控除が適用されず、請求書を発行された側は税金の負担が増えてしまいます。

課税事業者と免税事業者との取引に摩擦が生じる

インボイス制度では、二重課税の負担を避けるため、適格請求書を発行できない免税事業者との取引を見直す必要があります。

そのため免税事業者にとっては、これまで通りに取引を行うことが困難になるかもしれません。また、こうしたことから、新たな取引先を見つける際、免税事業者が不利に立たされることも想定されます。

免税事業者が課税事業者に変わると税の負担が増加する

免税事業者が課税事業者に変わると、消費税の支払い義務が生じるため、納税額そのものが増えます。とはいえ免税事業者のままでは、取引の見直しを行われたり、新たな業務依頼が少なくなったりと、収入が減少してしまう可能性があります。

そのため、免税事業者から課税事業者に変わる際には、経営状態をしっかりと見極め、慎重に判断する必要があります。

免税事業者が課税事業者に変わると経理の負担が増加する

免税事業者から課税事業者に変わった場合、消費税の申告と納税義務が発生します。また、仕入税額控除のために、適格請求書とそれ以外の請求書も分類して計算しなければなりません。

こうしたことから、今までよりも経理担当者の業務量が増加します。場合によっては、新たな担当者を雇ったり、外部に経理業務を委託したりする必要があります。

関連記事:【税理士監修】インボイス制度について「よくある質問」を図解でわかりやすく解説!

インボイス制度に対する事業者の負担軽減措置

インボイスで悩む個人事業主

インボイス制度は経理の負担もあって、開始前から廃止・見直しを要望する声が上がっています。こうした経緯もあり、インボイス制度には事業者の負担を軽減するいくつかの措置が取られています。

2割特例:小規模事業者に対する負担軽減措置

2割特例とは、特に小規模事業者に対し、インボイスの負担軽減や緩和措置として設けられた制度です。2割特例が適用されると、売上にかかる消費税額から、売上税額の8割を差し引いて納付税額を計算できます。

ただし、この2割特例は、インボイス制度の開始をきっかけとして、免税事業者から課税事業者に変わった場合のみ対象とされます。

また、2割特例には適用期間が設けられており、2023年10月1日から2026年9月30日までの間に利用可能です。

参考:2割特例(インボイス発行事業者となる小規模事業者に対する負担軽減措置)の概要|国税庁

少額特例:事務負担の軽減措置

インボイス少額特例とは、税込1万円未満の経費に対して、インボイスを保存することなく、記帳だけで仕入税額控除を利用できる制度です。

ただし、少額特例の対象となるためには課税方式が本則課税であり、次の要件のどちらか1つを満たす必要があります。

  • 個人事業者は2年前の1月から12月まで、法人は2期前の事業年度の課税売上が1億円以下
  • 個人事業者は前年1月から6月まで、法人は前事業年度の開始日以後の6ヵ月における課税売上高が5千万円以下

本則課税とは消費税における原則的な計算方法で、売上にかかる消費税から、仕入れにかかる消費税を差し引くことを指します。

また、この少額特例の適用により、事業者は事務負担の軽減を図れます。

参考:少額特例(一定規模以下の事業者に対する事務負担の軽減措置の概要)の概要|国税庁

少額な返還インボイスの交付義務免除

返還インボイス(適格返還請求書)とは、商品の返品や値引きなどを行った際に交付する書類やデータを指します。

仕入税額控除は、返金で減額された消費税額を差し引かないと、正しい計算がなされません。そのため課税事業者には返還インボイスの交付が義務化されています。

ただし、「少額な返還インボイスの交付義務免除」により、その金額が税込1万円未満の場合には交付の義務が発生しません。

また、この少額な返還インボイスの交付義務免除には、期間が限定されていません。対象も定められておらず、すべての事業者が利用可能な点がインボイス少額特例との違いです。

参考:少額な返還インボイスの交付義務免除の概要|国税庁

関連記事:【税理士監修】インボイス制度とは?中小企業にとっての影響と導入時の注意点やメリット・デメリット

インボイス制度の負担を軽減する補助金

インボイス制度の対応に負担を感じる場合は、補助金を活用してみてはいかがでしょうか。インボイス制度の負担軽減には、次のような補助金の利用が有効です。

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金は、その名称通り小規模事業者が、商工会や商工会議所からの支援を受けられる補助金です。

この場合の小規模事業者とは、常に雇用している従業員数が20人以下、または、宿泊業と娯楽業を除いた商業・サービス業であれば従業員5人以下を指します。

補助金の額は50万円から200万円であり、免税事業者から課税事業者に変わる場合は、インボイス特例により一律50万円が上乗せされ、最大250万円が適用可能です。

注意点として、小規模事業者持続化補助金は、受付開始から応募締切の期間が決まっています。

応募が締め切られていた場合には、次回の募集を待って申請しなければなりません。そのため、受付のタイミングを見逃さないように確認が必要です。

IT導入補助金

IT導入補助金は、新たなIT環境を整える必要がある場合に、その費用を支援するため設置されました。

インボイス制度を導入する際には、従来の紙媒体に限らず、電子データを取り扱う電子インボイスへの対応も求められます。

こうした経緯から、IT導入補助金にはインボイス対応に活用可能なインボイス枠があります。

そのインボイス枠は、電子取引類型とインボイス対応類型へとさらに分かれています。

電子取引類型では、インボイスに対応した受発注ソフトが、インボイス対応類型は、会計や決済ソフト、パソコン・タブレットなどが主な補助の対象です。

補助額は最大450万円であり、スケジュールが設けられているため、各締め切りに合わせて申し込む必要があります。

ものづくり補助金

ものづくり補助金とは、中小企業や小規模事業者が、ものづくりに関する設備投資や人材育成などを行う際、国からの補助を受けられる制度です。

ものづくり補助金には、省力化(オーダーメイド)枠・製品・サービス高付加価値化枠・グローバル枠があります。

インボイス制度への対応で人手が足りず、その解消に向けてITの専用設備(オーダーメイド設備)を導入した場合には、ものづくり補助金が適用される可能性があります。

ものづくり補助金の省力化枠は、補助上限額が従業員数により異なっています。従業員5人以下の場合の750万円から、従業員100人以上の場合の8,000万円までが上限です。

ものづくり補助金を活用したいのであれば、公募開始日と申請開始日・申請開始日を確認し、その期間に合わせて申請しましょう。

関連記事:適格簡易請求書(簡易インボイス)とは?レシートでもいいのかを詳しく解説

インボイス制度に対する政党の対応

インボイスと海外取引のイメージ

インボイス制度に対しては政党ごとに対応が異なっています。党の方針に異論を唱える議員もいますが、政党ごとの概ねの対応は次の通りです。

インボイス制度の廃止を訴える政党の対応

インボイス制度の廃止を訴えている政党は野党であり、インボイスの導入前から下記のような対応をしています。

それぞれの政策や対応には少しずつ違いが見られますが、野党ではインボイスの廃止や中止、導入前には延期を求めています。

政党

対応

国民民主党

  • 政策でインボイス制度を導入しないと提示

社会民主党

  • 制度の導入時点から反対意見を述べる
  • インボイス制度の反対集会に党首が参加
  • インボイス制度の中止を訴える請願書を提出

日本共産党

  • 「STOP!インボイス対策チーム」の立ち上げ

立憲民主党

  • 制度の導入前から延期を呼びかけ
  • 衆議院にインボイス制度廃止法案を提出

れいわ新選組

  • 政策で消費税廃止と制度の導入撤回を提示
  • 「STOP!インボイス街宣!」の実施

野党では、2022年11月に国会議員による「インボイス問題検討・超党派議員連盟」が結成され、インボイス制度を中止するよう声を上げています。

また、国民民主党以外の党は2022年6月に「時限的消費税減税法案」を共に提出しています。これは消費税の減税と、インボイス制度の廃止を求める内容でした。

インボイス制度を促進する政党の対応

インボイス制度を促進している政党とその対応は次の通りです。

インボイス制度には、公明党・自民党(自由民主党)・日本維新の会が促進に賛成していますが、その積極性や対応には差が見られます。

政党

対応

公明党

  • 公平な課税と電子化推進の観点からインボイス制度の導入に賛成
  • インボイス制度の円滑な導入と定着に向けて各種支援策を推進

自民党(自由民主党)

  • インボイス制度を含む税制改正を閣議決定
  • 制度の導入に向け支援策を追加

日本維新の会

  • インボイスに関する質問に、導入は必要だが、時期の延期や支援は検討すべきと回答

インボイス制度は事業者への負担が大きいために、導入前から廃止の可能性が言及され、批判の声も多く上がっています。

今後は、こうした声にどのように対応していくかが、インボイス促進派の政党にとって課題となるでしょう。

関連記事:【個人事業主】インボイス制度は青色申告・白色申告に影響する?

廃止の可能性を含め、インボイス制度のことは税理士に相談を!

導入開始されたインボイス制度は、さまざまな支援策が用意されているものの、まだ十分とは言えず、事業者には負担も残されています。

こうした負担を軽くするためにも、インボイス制度への対応は、税の専門家である税理士への相談がおすすめです。

現在のところ動きはありませんが、政権交代などが今後あった場合には、インボイス制度廃止の可能性もゼロではありません。

その際も税理士であれば、税制改正に素早い対応が可能です。

私ども小谷野税理士法人では、インボイス制度を含め、さまざまな税のお悩みに対し相談を受け付けています。

気になることがあれば、いつでもお問い合わせください。

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
税理士「今野 靖丈」

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