脱サラして起業したいと考える方も多いのではないでしょうか。しかし、起業には資金面での不安がつきものです。そんな時に頼りになるのが、国や地方自治体が提供する補助金や助成金です。これらを上手に活用すれば、初期費用の負担を軽減し、ビジネスをスムーズに始められるでしょう。本記事では、脱サラして起業する方におすすめの補助金・助成金を厳選し、それぞれの特徴やポイントを詳しくご紹介します。
目次
補助金と助成金とは
補助金と助成金は、どちらも国や地方自治体が事業者を支援するために提供する資金であり、返済不要という共通点があります。
しかし、その目的や仕組みには違いがあります。補助金は、技術開発や生産性向上など特定の目的を達成するための事業計画を提出し、厳正な審査を通過した場合に支給されますが、助成金は主に雇用や人材育成を目的としており、一定の条件を満たせば申請できるため、比較的ハードルが低いのが特徴と言えるでしょう。
どちらも事前の情報収集や計画が重要であり、締切や要件を確認しながら適切に活用することが求められます。詳細な違いについては関連記事をご覧ください。
脱サラして起業する方におすすめの補助金・助成金15選
脱サラして起業する方におすすめの補助金・助成金15選を紹介します。
- 事業再構築補助金
- 小規模事業者持続化補助金
- IT導入補助金
- 創業支援事業費補助金
- 女性・若者向け創業支援補助金
- 農業・漁業関連補助金
- クラウドファンディング活用支援助成金
- ものづくり補助金
- 起業支援型地域活性化補助金
- エネルギー効率化設備導入補助金
- 観光業支援補助金
- 従業員スキルアップ助成金
- 地域商業活性化補助金
- 創業促進助成金(地方特例)
- インバウンド関連支援補助金
各補助金・助成金の実施者、対象者、補助率、補助上限額、申請要件を示し、それぞれの詳細を解説します。
- 補助率:補助対象となる経費のうち補助金がカバーする割合を指す(例: 補助率3分の2の場合、3分の1は自己負担)
- 補助上限額:補助金で支給される金額の最大値を指す(例: 補助上限額500万円の場合、補助対象経費が1,000万円でも補助金は500万円まで)
1. 事業再構築補助金
項目 | 内容 |
実施者 | 経済産業省 |
対象者 | 新事業に挑戦する中小企業 |
補助率 | 最大3分の2 |
補助上限額 | 100万円~1億円 |
申請要件 | 新分野展開、業種転換などの具体的計画 |
事業再構築補助金は、経済産業省が提供する新規事業の立ち上げや業種転換を支援する制度です。例えば、新分野への進出やビジネスモデルの転換を図る中小企業が対象で、計画書の審査を通過すると補助金が受け取れます。
特に、事業環境の変化に対応しながら競争力を強化したい事業者にとって、大きな後押しとなる制度でしょう。補助率は最大3分の2で、上限額は1億円に達します。申請書の作成には専門家の助言を受けると成功率が高まるでしょう。
経産省の提供する補助金とは?補助金のポイントや一般的な流れなども解説!
2. 小規模事業者持続化補助金
項目 | 内容 |
実施者 | 中小企業庁 |
対象者 | 小規模事業者 |
補助率 | 最大3分の2 |
補助上限額 | 50万円(特例の場合100万円) |
申請要件 | 販路拡大や生産性向上を目的とした事業 |
中小企業庁が提供する小規模事業者持続化補助金は、販路拡大や生産性向上を目指す小規模事業者を支援するものです。補助率は最大3分の2で、上限額は通常50万円ですが、特例により100万円まで引き上げられる場合もあります。
地域の商工会議所が窓口となり、申請から実施計画の立案までサポートが受けられるため、初めての申請でも安心でしょう。広告費、展示会出展費、設備投資費用など幅広い用途に利用可能ですが、事前に商工会議所に相談し、しっかりとした計画を立ててください。
参考:事例から学ぶ「持続化補助金」 | 経済産業省 中小企業庁
3. IT導入補助金
項目 | 内容 |
実施者 | 経済産業省 |
対象者 | 中小企業・小規模事業者 |
補助率 | 最大2分の1 |
補助上限額 | 450万円 |
申請要件 | ITツールを利用した業務効率化 |
IT導入補助金は、経済産業省が中小企業や小規模事業者向けに提供する支援制度で、業務効率化や生産性向上を目的としたITツールの導入を補助します。例えば、クラウド会計ソフトや在庫管理システムの導入費用が対象です。
デジタル化を加速したい事業者にとって、大きな助けとなる制度でしょう。補助率は最大2分の1で、上限額は450万円です。申請には、IT導入支援事業者を通じた手続きが必要で、適切なツールの選定や申請書作成のサポートを受けられます。
【2024年版】個人事業主が利用できるIT導入補助金について解説
4. 創業支援事業費補助金
項目 | 内容 |
実施者 | 地方自治体 |
対象者 | 起業後5年以内の中小企業・個人事業主 |
補助率 | 地方自治体ごとに異なる |
補助上限額 | 〃 |
申請要件 | 地域経済活性化への寄与 |
地方自治体が提供する創業支援事業費補助金は、起業後5年以内の中小企業や個人事業主を対象とした補助金です。補助率や上限額は自治体ごとに異なりますが、地域経済の活性化に寄与する事業が主な対象となります。
例えば、地元特産品を活用した新規ビジネスや、地域の雇用創出に寄与する事業が挙げられるでしょう。各自治体の募集要項に基づき、詳細な計画書の提出が必要です。地元の商工会議所や自治体窓口で相談すると、スムーズな申請が可能です。
地域創造的起業補助金とは?創業支援等事業者補助金に名称が変わった?知っておきたい基礎知識を解説
参考:創業助成金(東京都中小企業振興公社)|東京都産業労働局
5. 女性・若者向け創業支援補助金
項目 | 内容 |
実施者 | 内閣府または地方自治体 |
対象者 | 女性や35歳未満の若年層の起業家 |
補助率 | 最大3分の2 |
補助上限額 | 150万円 |
申請要件 | 起業計画書の提出 |
女性や35歳未満の若者が起業する際に活用できるのが、女性・若者向け創業支援補助金です。この補助金は内閣府または地方自治体が実施しており、補助率は最大3分の2、上限額は150万円です。
地域の支援機関が相談窓口を設けている場合も多いので、まずは現地の自治体に問い合わせるのが良いでしょう。主に、ライフスタイル関連や地域活性化に貢献する新規ビジネスが対象で、応募には事業計画書の提出が必須で、特に社会的意義や持続可能性が評価される傾向にあります。
女性起業家が受けられる融資は?創業時に使える助成金や補助金まとめ
参考:女性・若者・シニア創業サポート2.0|東京都産業労働局
6. 農業・漁業関連補助金
項目 | 内容 |
実施者 | 農林水産省 |
対象者 | 農業・漁業分野で新規事業を始める方 |
補助率 | 最大3分の2 |
補助上限額 | 500万円 |
申請要件 | 事業計画の提出と審査 |
農業・漁業関連補助金は、農林水産省が提供する新規事業の開始や既存事業の強化を支援する制度です。補助率は最大3分の2、上限額は500万円で、農機具の購入、施設整備、環境保護を目的としたプロジェクトが対象となります。
例えば、地域農産物のブランド化や漁業資源の保護に寄与する事業などが挙げられるでしょう。申請には、具体的な事業計画書と地域への貢献を示す内容が求められます。地方の農業協同組合や漁協がサポートを提供する場合もあるので確認してください。
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7. クラウドファンディング活用支援助成金
項目 | 内容 |
実施者 | 地方自治体 |
対象者 | クラウドファンディングを活用する起業家 |
補助率 | 地方自治体ごとに異なる |
補助上限額 | 地方自治体ごとに異なる |
申請要件 | プロジェクト実施後の報告義務 |
地方自治体が提供するクラウドファンディング活用支援助成金は、クラウドファンディングを利用して資金調達を行う起業家を対象としています。補助率や上限額は自治体によって異なりますが、プロジェクト立ち上げ費用や広報活動費などが主な補助対象です。
地域の特性を生かしたプロジェクトが評価されやすいため、地元自治体の支援窓口でアドバイスを受けるのが良いでしょう。申請には、具体的なプロジェクト計画書の提出と、実施後の報告義務が伴います。
参考:クラウドファンディングを活用した資金調達支援|東京都産業労働局
8. ものづくり補助金
項目 | 内容 |
実施者 | 中小企業庁 |
対象者 | 中小企業庁・小規模事業者 |
補助率 | 最大3分の2 |
補助上限額 | 1,250万円 |
申請要件 | 生産性向上を目的とした新製品・新技術開発 |
中小企業庁が提供するものづくり補助金は、生産性向上や新技術開発を目指す中小企業を支援します。補助率は最大3分の2、上限額は1,250万円で、設備導入費やシステム開発費が対象です。
特に、製造業やサービス業における革新性のある取り組みが評価される傾向にあるでしょう。申請には、具体的な事業計画書と期待される効果の詳細な説明が必要です。応募者向けの説明会も実施されており、専門家からのアドバイスを受けることで採択の可能性を高められるでしょう。
ものづくり補助金とは?公募要項や採択事例などをわかりやすく解説
参考:ものづくり補助金総合サイト|ものづくり補助事業公式ホームページ
9. 起業支援型地域活性化補助金
項目 | 内容 |
実施者 | 地方自治体 |
対象者 | 地域活性化に寄与する新事業を行う起業家 |
補助率 | 地方自治体ごとに異なる |
補助上限額 | 地方自治体ごとに異なる |
申請要件 | 地域経済活性化を目的とした具体的事業計画 |
起業支援型地域活性化補助金は、地方自治体が地域の経済活性化を目的に提供する制度です。補助率や上限額は自治体によりますが、地域資源を活用した新規事業や雇用創出に寄与する取り組みが主な対象です。
例えば、地域特産品を使った加工品開発や観光事業の立ち上げが挙げられるでしょう。計画書には、地域への具体的な貢献内容や持続可能性を示す必要があります。自治体の支援窓口を活用して、申請内容を具体化すると成功率が上がるでしょう。
10. エネルギー効率化設備導入補助金
項目 | 内容 |
実施者 | 環境省 |
対象者 | 中小企業・小規模事業者 |
補助率 | 最大2分の1 |
補助上限額 | 500万円 |
申請要件 | 省エネルギー機器の導入 |
環境省が提供するエネルギー効率化設備導入補助金は、省エネルギー化を推進する事業者を支援します。補助率は最大2分の1、上限額は500万円で、省エネ型の空調設備やLED照明の導入費用が対象です。
特に、事業活動におけるエネルギー消費削減を実現する取り組みが求められるため、環境負荷軽減を目指す事業者に最適な補助金と言えるでしょう。申請には、具体的な削減目標や効果を示す必要があり、設備導入計画の詳細が審査基準となります。
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参考:2024年度(令和6年度)二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金等に係る補助事業者(執行団体)について|環境省
11. 観光業支援補助金
項目 | 内容 |
実施者 | 観光庁 |
対象者 | 観光業関連の事業者 |
補助率 | 最大2分の1 |
補助上限額 | 1,000万円 |
申請要件 | 観光客誘致を目的とした施設改修など |
観光庁が提供する観光業支援補助金は、観光業を活性化するための施設改修や集客プロモーションを支援します。補助率は最大2分の1、上限額は1,000万円です。
ホテルや観光施設の改修、外国人観光客向けの設備導入、広告宣伝費が主な対象となります。観光客誘致や地域ブランド化を目的とした取り組みが評価されるため、観光事業者にとって成長を後押しする貴重な制度と言えるでしょう。
計画書には、具体的な集客戦略や目標数値を盛り込む必要があります。
12. 従業員スキルアップ助成金
項目 | 内容 |
実施者 | 厚生労働省 |
対象者 | 従業員を雇用する中小企業 |
補助率 | 最大3分の2 |
補助上限額 | 200万円 |
申請要件 | 従業員教育の実施計画書の提出 |
厚生労働省が提供する従業員スキルアップ助成金は、従業員の能力向上や専門スキルの習得を支援します。補助率は最大3分の2、上限額は200万円で、研修費用や講師派遣費用が対象のため、新しい技術の導入や業務効率化を目指した研修が優先されます。
従業員の成長が企業全体の競争力向上に繋がるため、積極的に活用してみてください。申請には、教育計画の作成と効果測定の報告が必要です。労働局や支援機関で申請サポートを受けられます。
13. 地域商業活性化補助金
項目 | 内容 |
実施者 | 地方自治体 |
対象者 | 地域で事業を営む中小企業 |
補助率 | 地方自治体ごとに異なる |
補助上限額 | 地方自治体ごとに異なる |
申請要件 | 地域経済活性化への寄与 |
地域商業活性化補助金は、地方自治体が提供する地域密着型の事業を支援する制度です。補助率や上限額は自治体ごとに異なりますが、主に商店街の活性化や地域経済の振興を目的としたプロジェクトが対象で、例えば、店舗改装やイベント開催費用が補助されます。
地元商工会議所や自治体窓口での相談を通じて、具体的な計画を練り上げることが成功への鍵となるでしょう。申請には、地域への貢献内容や長期的な事業計画が求められます。
14. 創業促進助成金(地方特例)
項目 | 内容 |
実施者 | 地方自治体 |
対象者 | 新たに起業を目指す方 |
補助率 | 地方自治体ごとに異なる |
補助上限額 | 地方自治体ごとに異なる |
申請要件 | 地域活性化を目的とした起業内容 |
創業促進助成金は、地方自治体が過疎地域での起業を促進するために提供する助成金です。補助率や上限額は地域ごとに異なりますが、特に地域資源を活用したビジネスや雇用創出に寄与する事業が対象となります。
応募には詳細な事業計画書と予算書が必要で、地域活性化にどのように貢献するかを明確に示す必要があるため、自治体や商工会のサポートを受けながら申請を進めましょう。
15. インバウンド関連支援補助金
項目 | 内容 |
実施者 | 観光庁 |
対象者 | 外国人観光客を対象とした事業者 |
補助率 | 最大2分の1 |
補助上限額 | 1,000万円 |
申請要件 | 外国語対応設備やマーケティング費用 |
観光庁が提供するインバウンド関連支援補助金は、外国人観光客向けの設備やサービスを整備する事業者を支援します。補助率は最大2分の1、上限額は1,000万円で、外国語対応の案内板や多言語ウェブサイトの制作費用などが対象であり、特に観光客誘致に繋がる具体的な取り組みが求められるでしょう。
申請には、明確な計画書と実現可能な目標設定が必要です。観光業界の国際競争力を高めるための重要な制度と言えます。
参考:宿泊施設インバウンド対応支援事業|宿泊施設インバウンド対応支援事業事務局
脱サラして起業する方が補助金・助成金を利用する際の3つの注意点
脱サラして起業する方が補助金・助成金を利用する際には以下3点に注意してください。
- 事前の要件確認が重要
- 計画書の完成度が審査を左右する
- 申請後のスケジュール管理
注意点1. 事前の要件確認が重要
補助金や助成金には、対象者や利用目的、申請条件が細かく設定されています。例えば、特定の地域や業種に限定された制度もあり、これを満たさない場合は申請が却下されるため、申請を始める前に、募集要項やガイドラインを熟読し、必要な条件を満たしているか確認しましょう。
また、不明点があれば早めに実施機関に問い合わせてください。これにより、余計な準備を避け、効率的に申請手続きを進められるでしょう。
注意点2. 計画書の完成度が審査を左右する
補助金申請の審査では、提出する計画書の内容が重要です。事業の目的、具体的な達成方法、予想される効果を明確に記載し、説得力のある内容に仕上げる必要があります。また、計画が実行可能であることを示す必要もあるでしょう。
専門家のアドバイスを受けたり、過去の採択事例を参考にすることで完成度を高められます。採択率を上げるためには、第三者の視点を取り入れるのが有効でしょう。
補助金申請は税理士に相談したほうがいい?依頼のメリットやコストについて
注意点3. 申請後のスケジュール管理
補助金や助成金の申請が受理された後も、報告書の提出や経費証明が求められる場合が多く、これを怠ると補助金が受け取れないリスクがあるため、各手続きの締切は厳守してください。
補助金の受給スケジュールを事前に把握し、必要な作業をスムーズに進めるために、タスク管理ツールなどを活用すると良いでしょう。事前に計画を立て、漏れのないように進めることが成功の鍵となります。
脱サラして起業するための補助金・助成金にお悩みの方は専門家に相談
補助金や助成金を有効活用するためには、詳細な要件理解や計画書の作成が必要です。しかし、初めての起業でこれを全て行うのは負担が大きいかもしれません。
小谷野税理士法人は、補助金・助成金申請の豊富な経験を持つ専門家が在籍しており、計画書作成や申請手続きのサポートを行っており、初めての方でも安心して相談いただけます。起業を成功させるために、ぜひ小谷野税理士法人にご相談ください。