未成年の個人事業主の場合、確定申告をはじめとした税金関連の手続きには注意が必要です。この記事では、未成年が個人事業主になるために必要な情報から、確定申告の手順や注意点について、詳しく解説します。個人事業主としての一歩を踏み出す未成年や保護者の方は、ぜひ参考にしてください。
目次
未成年が個人事業主になるための基本事項
未成年が個人事業主になるためには、さまざまな手続きが必要です。年齢制限がある場合や、親の同意が必要なケースもあります。この章では、未成年が個人事業主になるための基本的な情報について、詳しくご紹介します。未成年の方でもスムーズに事業を始められるよう、事前に情報を確認しておきましょう。
個人事業主になるための年齢制限は?
日本では、未成年の個人事業主は法的に認められています。しかし、独立して事業を行う際には、親や法定代理人の許可が必要です。特に、18歳未満の未成年が個人事業主として契約を結ぶ場合には、親の同意が求められるケースが多いでしょう。一方で、18歳以上は民法改正により成年扱いのため、自らの責任で事業を行えます。
親の許可が必要な場合とは?
未成年が個人事業主になる際は、多くの場面で親の許可が必要です。特に、進学や学業に影響を及ぼす可能性がある場合には、慎重な判断が求められます。
大規模な資金調達が必要な場合や重要な契約を行う際には、親の正式な同意がないと、個人事業主としての契約そのものが無効となります。家庭内で十分に話し合っておきましょう。
関連記事:未成年で起業する方法は?手続きの流れや注意点を解説
未成年が個人事業主になるためのステップ
未成年の個人事業主として成功するためには、いくつかのステップを踏む必要があります。この章では、個人事業主として活動するために必須となる開業届の提出方法や、必要に応じた登記手続きについて、詳しくご紹介します。
開業届の提出について
未成年が個人事業主として活動を始めるには、まず税務署に「開業届」を提出する必要があります。開業届の提出が完了すれば、晴れて事業を始められます。
提出期限は事業を開始した日から1ヶ月以内で、所管の税務署に提出しましょう。手続きは無料です。書類の正式名称は「個人事業の開業・廃業等届出書」です。
未成年の場合は親や法定代理人の同意書が必要となる場合があるため、事前に確認しておくのがおすすめです。
必要な場合の登記手続き
個人事業主は、必ずしも法人登記が必要とは限りません。しかし、業種や事業内容によっては、法人登記が求められる場合があります。特に、一定の規模以上の事業を行う場合や、許可が必要な事業を行う場合には、法人登記が必須です。
法人登記の手続きは、事業内容や規模に応じて必要書類が異なります。事前に自治体の窓口や司法書士に相談するのがおすすめです。未成年が登記手続きを行う際は、親や法定代理人の同意が必要となるため、注意しましょう。
参考:登記-商業・法人登記-
未成年にも確定申告が必要か?
年齢に関係なく、一定の所得がある場合には確定申告を行う義務があります。未成年の個人事業主でも、毎年2月16日から3月15日に確定申告を行ってください。青色申告を選択すれば、節税のメリットも得られるでしょう。この章では、未成年が確定申告をするうえで知っておくべきポイントについて、詳しくご紹介します。
確定申告は年齢に関係なく必要
たとえ未成年であっても、所得が一定の基準を超えた場合や特定の条件を満たす場合には、確定申告を行いましょう。年間所得が基礎控除額を超えている場合、確定申告を行う義務があります。
確定申告を行う基準となる基礎控除額は、税制改正により変動します。国税庁のホームページで最新の情報を確認してください。また、副業での収入や株式投資による利益がある場合も、確定申告の対象となるため注意しましょう。
参考:所得税の確定申告
青色申告による節税のメリット
青色申告を行えば、最大65万円の控除が受けられるため、節税に繋がります。青色申告は、税務署へ事前に申請を行う必要があります。また、帳簿をしっかりと記入している必要があるため念頭に置いておきましょう。
青色申告は、家族を従業員として雇っている場合、給与を経費として計上できます。未成年の個人事業主でも、青色申告を正しく行えば、事業運営における税負担を軽減できるでしょう。
関連記事:未成年の個人事業主が払う税金は?扶養は外れる?確定申告も解説
未成年の個人事業主が支払う税金
たとえ未成年の個人事業主でも、事業で得た所得については税金を支払う義務があります。事業所得に対する税金は、所得税と住民税が主です。しかし、場合によってはその他の税金も発生する可能性があります。この章では、それぞれの税金の概要と支払い方法について、詳しくご紹介します。
所得税
所得税は、個人の所得に対して課される税金です。1年間の総所得から各種控除を差し引いた額に対して課税されます。
所得税は、翌年2月16日から3月15日に行う確定申告を通して金額を算出し、その年の所得に応じて税率が変動する累進課税方式を取り入れています。未成年でも、基礎控除や生命保険料控除などの各種控除を受けられるため、結果として税額が軽減される場合があるため覚えておきましょう。
住民税
住民税は、自身が居住している自治体に納める税金です。所得税と同様、1年間の課税所得に基づいて計算されます。
住民税には「均等割」と「所得割」があります。均等割は一定の金額を、住む市区町村と都道府県にそれぞれ均等に納める方式です。一方、所得割は、前年の所得に基づいて計算される方式です。学生や低所得者の場合、減額措置が適用される場合があります。
その他の税金
未成年の個人事業主でも、特定の事業を行っている場合には、その他の税金が発生する場合があります。例えば、消費税や事業税などです。消費税は、年間の課税売上高が1,000万円を超える場合に2年後に納税義務が発生します。
また、特定の業種によっては事業税がかかる場合もあります。事業の規模や業種によって納税額が異なるため、税務署や専門家に相談するのをおすすめします。
関連記事:【扶養内でフリーランスとして働く】知っておきたい基礎知識を徹底解説
未成年でも扶養家族でいられるのか?
未成年が個人事業主として収入を得ている場合も、扶養家族としての扱いになるのでしょうか?扶養家族としての資格を維持するためには、健康保険や所得税の要件に従う必要があります。この章では、扶養家族として資格を維持するための具体的な条件や、収入に関する制限について、詳しくご紹介します。
被保険者の収入で生計を維持すること
未成年の個人事業主が健康保険の扶養家族としての資格を維持するためには、被保険者(親など)の収入で生計を立てている必要があります。つまり、経済的に自立している場合には、たとえ未成年であっても被扶養者として認められないでしょう。親の収入が主な生計源であることが条件です。
年間収入が130万円未満であること
扶養家族として被保険者(親など)の健康保険に加入するためには、年間収入が130万円未満である必要があります。年間収入には、個人事業による収入も含まれます。アルバイトなどの臨時収入は一部例外の場合があるため、注意しましょう。
参考:被扶養者とは?
年間所得が48万円以下であること
税法上の扶養になるには、年間の所得が48万円以下である必要があります。個人事業主の場合、収入から経費を引いた金額が48万円を超えると扶養から外れるため注意しましょう。
健康保険の収入計算方法
扶養家族として認定されるためには、健康保険の収入計算方法も理解しておきましょう。収入の種類や計算方法が所得税と異なるためです。この章では、健康保険の収入計算の基本と扶養者資格の維持方法について、詳しくご紹介します。
健康保険と所得税の違い
健康保険と所得税は、収入の種類や計算方法が異なります。例えば、健康保険の130万円の収入計算では、給与収入だけでなく事業所得なども合算されます。また、収入計算のベースはあくまで年間収入であり、所得控除などは考慮されません。
一方、所得税は、各種控除を適用した後の金額に対して課税されます。税法上の扶養となるには、収入から経費を引いた金額が48万円以下になる必要があります。それぞれの違いを理解して、適切に対応しましょう。
扶養者資格を維持するための収入管理
扶養者資格を維持するためには、年間収入が基準を超えないように管理する必要があります。定期的に自分の収入状況を確認し、基準を超えないよう調整すると良いでしょう。特に、収入の多い月には注意が必要です。年末に向けて計画的に収入を管理してください。
まとめ
この記事では、未成年の個人事業主に関する基本事項や確定申告、扶養家族としての条件などについて、詳しくご紹介しました。税金や確定申告に関する複雑な手続きについては、専門家の助言を仰ぐのをおすすめします。最大限の節税効果を得たいとお考えの方は、小谷野税理士法人までお気軽にお問い合わせください。