給与所得者の中には、還付申告すると納めすぎた税金を返還してもらえるケースがあります。仮に税金を納めすぎた場合でも、税務署からの連絡はありません。確定申告の期限をすぎた後でも還付申告はできるのが特徴で、流れや対象者などを知っておくと効果的でしょう。今回は、還付申告のやり方や確定申告・年末調整との違い、対象者、必要な書類などを解説します。
目次
還付申告とは
還付申告とは、実際に納める所得税額よりも以下の所得税額が多い場合、確定申告すると還付金をもらえる制度を示します。
- 源泉徴収された額
- 予定納税によって納めた額
所得税を納めすぎていたとしても税務署からの連絡はないのが特徴で、納税状況について自分で把握する必要があります。勤務先で年末調整してもらっている方の場合でも、医療費控除や寄付金控除などを受けたい場合は、還付申告するのがポイントです。
年末調整においては、処理できる控除と処理できない控除に分けられるためです。確定申告の必要がない方の還付申告は、課税対象年の翌年1月1日から5年間が対象期間で、確定申告で混雑する時の申告を避けられるのも還付申告のメリットだといえます。
還付申告をするためには、確定申告書の作成のほか、支払調書や源泉徴収票などの書類を用意する必要があります。
還付申告のやり方
還付申告の手続きの流れは、具体的に以下の通りです。
- 確定申告書を用意する:税務署かダウンロードにより入手、もしくは公式サイトの専用コーナーを利用する
- 第一表の所得金額等(収入と同じ項目がある)、所得控除額(年間の収入額に応じて指し引ける控除)を記載する
- 所得税額を記載する:所得金額などの合計から、所得から差し引かれる金額の合計を差し引いた課税所得を基に算出する
※100円未満の端数は切り捨て - 還付先を記載する:預貯金口座への振込かゆうちょ銀行・郵便局の窓口で受け取る方法がある
※振込の場合、申告者本人の名義が条件 - 第二表を作成する:第一表の内容について詳細に記載する
※所得の欄に書ききれない場合、所得の内訳書をダウンロード - 必要書類を用意・提出する:控除証明書や本人確認書類等を用意したうえで、税務署に提出する
- 還付金が返還される:申告から1ヵ月から1ヵ月半を目安に、受け取れる傾向にある※e-Taxで提出した場合、3週間ほどが目安
還付申告をする場合、e-Taxを利用するとスムーズに受け取りまで完了しやすいといえます。
還付申告と確定申告・年末調整の違い
還付申告と意味を混同しやすいものとして、以下の通り確定申告と年末調整があげられます。
還付申告と似ている制度 | 概要 |
確定申告 |
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年末調整 |
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一人社長でも年末調整は必要?種類の作成方法や計算方法について
還付申告の対象者
還付申告の対象となるのは、具体的に以下が考えられます。
還付申告の対象者 | 概要 |
年の途中での退職によって、源泉徴収税を納めすぎている方 |
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借入金によって特定の改修工事をした方 |
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マイホームを改修工事した方 |
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認定住宅などの新築などをした方 |
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耐震改修工事をした方 |
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災害や盗難などで被害に遭った方 |
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特定支出控除の対象となる方 |
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医療費が一定額を超える方 |
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特定の寄附をした方 |
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上場株式などの譲渡損失を上場株式等の配当所得から控除した方 |
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還付申告の対象で条件を満たす場合、払いすぎた税金を返納してもらえる可能性があります。
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還付申告で必要な書類
還付申告するには、以下の書類を用意したうえで手続きを進める必要があります。
還付申告の必要書類 | 概要 |
確定申告書 |
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給与所得の源泉徴収票 |
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各控除証明書 |
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本人確認書類 | 【個人番号確認のための書類】
【身元確認のための書類】
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還付申告できる期間
還付申告できる期間は、その年の翌年1月1日より5年間と定められています。青色申告特別控除などの特例を適用したい方の場合、原則としてその年の翌年の3月15日までに申告するのがポイントです。
もし、還付申告で金額を誤って申告した場合、「更正の請求」制度を適用すると、納めすぎた税金を返還してもらえます。更正の請求を適用するには、以下のうち遅い日をもとに、5年以内に手続きを終える必要があります。
- 還付申告書を提出した日
- 所得税の法定申告期限(原則として3月15日)
書面か公式サイトの確定申告書等作成コーナーで「所得税及び復興特別所得税の更生の請求書」を作成したあとで、税務署に提出します。
還付申告に関する相談は税理士へ
ここまで、還付申告のやり方や確定申告・年末調整との違い、対象者、必要な書類などを解説しました。勤務先で年末調整してもらっている方の場合、税金のシステムについて関心を持ちにくいかも知れません。
医療費控除や寄付金控除などを適用すると、払いすぎた税金を返納してもらえる可能性があります。税金を払いすぎている場合でも、税務署からの連絡はないことから、自分で納税の状況を把握しておくのがポイントです。
一方で、還付申告や確定申告などの制度を複雑に感じ、よく分からないと嘆いている方もいるでしょう。
小谷野税理士法人では、確定申告や還付申告などの税務全般のサポートに関して、豊富な実績があります。まずはお気軽にご相談ください。