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前渡金(前払金)と前払費用・仮払金の違いとは?仕訳例も解説!

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前渡金(前払金)と前払費用・仮払金の違いとは?仕訳例も解説!

勘定科目の前渡金と前払金は同義語で、前払費用や仮払金などとは明確に異なるのが特徴です。難しく感じるかも知れませんが、特徴を押さえると正しく仕訳できます。今回は、前渡金の特徴や仕訳方法、間違いやすいポイントなどを説明します。最後まで読めば、前渡金と似ている勘定科目の特徴、仕訳するときに抱きやすい疑問点を解消できるでしょう。

前払金と前渡金に違いはない!

経費と損益計算書

前払金と前渡金は同義語で、状況に応じた使い分けなどの決まりはありません。事業者によって、2つの呼び方に分けられるのが特徴で、以下の通り実務上での取り扱い方を変えるケースもあります。

  • 前払金:商品など将来的に処理するもの
  • 前渡金:販管費など、暫定的なサービス利用で発生する費用

上記の通り、2つに分けると各々の金額を明確に管理できます。原則的に同じ意味であるものの、各事業者によって意味付けが異なるケースがあると理解しておくのがポイントです。

そもそも前渡金(前払金)とは

サービスなどを買い、一部もしくはすべての金額を先払いするとき、使う勘定科目を前渡金といいます。該当するものに関しては、具体的に以下に示します。

  • 予約注文時の支出
  • 仕入れ時に支払う支出
  • 出張で宿泊費や交通費を予約するときの支出
  • 不動産購入時の支出

計上する場合、タイミングに応じて2回処理する必要があるのが前渡金の特徴です。原則として、支払い時は資産として処理し、サービス提供されるときは費用とする点に注意が必要です。

後述する通り、前渡金と近い意味を持つものが複数あり、特徴を押さえておく必要があります。前渡金を受け取る場合は前受金となることから、仕訳を変える必要がある点は知っておくとよいでしょう。

参考:「No.6165 前受金や前払金などがあるとき」国税庁

前渡金(前払金)の仕訳方法

仕訳のブロックと電卓

前渡金の具体的な仕訳方法に関しては、以下の通り個々の状況によって異なるのが特徴です。

  • 支払う側
  • 受け取る側

それぞれ詳しく見ていきましょう。

支払う側

仕訳でのポイントは、やり取りをするタイミングに応じて、それぞれ適切に処理することです。例えば、20万円の商品を買う場合の処理の仕方は以下に示します。

【支払いのタイミング】

借方

貸方

前渡金

20万円

現金

20万円

【商品など受け取るタイミング】

借方

貸方

仕入

20万円

前渡金

20万円

例えば、20万円のサービスを買うときにまず30,000円現金払いし、引き渡されるときに17万円支払うとすると、処理の仕方は以下の通りです。

【支払いのタイミング】

借方

貸方

前渡金

30,000円

現金

30,000円

【商品など受け取るタイミング】

借方

貸方

仕入

20万円

前渡金

30,000円

現金(買掛金)

17万円

受け取る側

商品などを販売する側になると、前渡金から前受金へと扱いが変わります。商品などを引き渡すとき、改めて会計処理するのがポイントです。

例えば、20万円の商品を現金で販売し、前受金として現金で30,000円もらった場合の仕訳方法は以下に示します。

【前受金をもらうタイミング】

借方

貸方

現金

30,000円

前受金

30,000円

【商品などを引き渡すタイミング】

借方

貸方

前受金

30,000円

売上高

20万円

現金

17万円

関連記事:売掛金・未収入金の違いは?仕訳例や計上方法、注意点まとめ

参考:「No.5380 短期前払費用として損金算入ができる場合」国税庁

前渡金(前払金)と間違いやすい勘定科目

前渡金と似た意味を持っており、特に注意したい勘定科目を以下に示します。

  • 前払費用
  • 支払手付金
  • 貸付金
  • 建設仮勘定
  • 仮払金

ここから詳しく解説します。

【税理士監修】サブスク勘定科目の全知識:経費の仕訳徹底解説

前払費用

前払費用とは継続するサービスに契約する場合、将来的に受ける分も合わせ、事前に支払う費用のことです。前払費用としてあげられるものは具体的に以下に示します。

  • 各種保険
  • 家賃
  • 倉庫
  • 機器レンタル
  • アプリ
  • 駐車場など

前払費用は長期前払費用と短期前払費用の2つに分けられ、各々の特徴は以下の表の通りです。

長期前払費用

  • 前払費用の中で、決算日の翌日から1年超えの部分
  • 投資その他の資産として計上する

短期前払費用

  • 支払い日から1年以内にサービスが提供される前払費用

短期前払費用の特例とは、受けるサービスに関して、以下の条件を満たすと経費として認められる制度を示します。

  • 支払い日より1年以内に受ける
  • 毎年継続して利用する

例えば、本来は翌期の経費となる家賃でも、年間の料金を支払うタイミングで計上すると、特例の適用によって当期に経費算入できます。原則として、買うときではなく、提供されるタイミングでの仕入れ適用とする点は押さえておくとよいでしょう。

【税理士監修】短期前払費用を徹底解明 | 正しい会計処理と節税対策

支払手付金

前渡金と似ている勘定科目の1つとして、支払手付金があげられます。支払手付金とは、以下の通り契約解除できる権利として契約時に支払われるお金を示します。

  • 買い主:支払手付金の棄却で解除可能
  • 売り主:支払手付金の倍額支払いで解除可能

一般的に、手付金は金額の一部に含まれる傾向にあり、すぐに商品などを受け取らないことから資産として処理します。

不動産売買の場合、売買契約を結び一定期間を経たあとで、受け渡しなどが実施される傾向にあるのが特徴です。契約時の支払手付金の支払いによって、契約成立を示せるという意味合いがあります。

貸付金

自社の役員や取引先など、資金援助目的で利用する勘定科目を貸付金といいます。将来的に返済してもらうのが前提のお金で、計上するときは資産の増加とみなすのがポイントです。

 

以下の通り、貸付けする期間によって会計上の扱いは異なります。

  • 1年以内:短期貸付金
  • 1年超え:長期貸付金

自社の役員などを対象とする場合「役員貸付金」として計上し、明確に分ける方法もあります。

参考:「No.2606 金銭を貸し付けたとき」国税庁

建設仮勘定

建設仮勘定とは、自社で利用する建物など、完成までに発生する費用が対象の勘定科目です。建設仮勘定の対象となる費用は、具体的に以下に示します。

  • 構築物
  • 機械・装置
  • 船舶・運搬具
  • 車両
  • 工具
  • 土地など

名前の通り仮の勘定で、建物完成時には固定資産として振り替え処理する必要があります。消費税法において、建設などに必要な資材購入などの課税仕入れは、仕入れをした課税期間に仕入額控除の対象とするのが特徴です。

一方で、その都度課税仕入れとせず、建物完成などで引き渡しを受けた日が属する課税期間に計上してもよいとされています。販売を目的に建設する建物などに関しては、建設仮勘定の対象外で、棚卸資産として扱う点には注意が必要です。

参考:「No.6483 建設仮勘定の仕入税額控除の時期」国税庁

仮払金

仮払金とは、以下の通り具体的な数値が分からないものの、一定の支払い確定時に用いられる勘定科目を示します。

  • 出張時の交通費など
  • 取引先に対する接待費

出張や接待などが終わり、具体的な数値が確定した時点で、なるべく早く振り替え作業をするのがポイントです。会計上は従業員に対して貸付しているとみなされ、資産で処理するのがポイントです。

前渡金(前払金)のポイント

公務員による企業のイメージ

前渡金のポイントとして押さえておきたいのは以下の点です。

  • 資産として計上する
  • 引き渡し時に消費税を計上する

それぞれ詳しく見ていきましょう。

資産として計上する

将来的に商品などを受け取る権利を得るとみなされるのが理由で、前渡金の支払い時点では資産として計上するのがポイントです。

会計制度の正常営業循環基準において、仕入れから販売という流れで発生する資産は流動資産としての計上が定められています。

一方で、商品などを受け取ったあとは将来的な権利を失うことから、費用へと振り替え処理をする必要があります。取引先の経営破綻などやむを得ない理由によって、1年以上回収できないと判断できる場合、流動資産として計上しません。

引き渡し時に消費税を計上する

ポイントの1つとして押さえておきたいのは、商品などの引き渡しを受けるタイミングで消費税を処理する点です。税法により、商品などを引き渡されたタイミングでの課税仕入れが求められるためです。

消費税を含んでいる場合、まずは前渡金として処理し、引き渡しのタイミングで再度処理します。例えば、税込み11万円の商品を仕入れ、前渡金として10,000円支払う場合の会計処理は以下に示します。

借方

貸方

前渡金

10,000円

現預金

10,000円

実際に商品を受け取ったとき、処理の方法は具体的に以下に示します。

借方

貸方

仕入れ

10万円

買掛金

10万円

消費税

10,000円

前渡金

10,000円

参考:「No.6165 前受金や前払金などがあるとき」国税庁

【税理士監修】個人事業主の消費税の扱いは?インボイス制度の免税業者や免除されているケースなど

前渡金(前払金)の処理に関する相談は税理士へ

前渡金(前払金)の特徴や仕訳方法、間違いやすい勘定科目、ポイントなどを解説しました。前渡金とは資産とみなされる勘定科目のことで、原則的に商品などの引き渡し時に再度処理するのが特徴です。

意味合いが似ている勘定科目が複数存在したり、短期特例制度があったりする点には注意が必要です。前渡金の処理に関して、複雑に感じている方もいるでしょう。

疑問や不安な点がある場合、専門家の力を頼るのが望ましいです。小谷野税理士法人では、プロの税理士による適切なアドバイスをさせていただきます。まずはお気軽にお問い合わせください。

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この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
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