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不動産の等価交換は非課税って本当?特例の仕組みや税金について

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不動産の等価交換は非課税って本当?特例の仕組みや税金について

不動産の等価交換とは不動産の有効活用を目的とした手法です。等価交換方式で一定の要件を満たす場合、交換時点では所得税や住民税が課されません。ただし非課税になるわけではなく、あくまで課税の繰延である点に注意が必要です。今回は不動産の等価交換について詳しく解説します。

等価交換方式とは?

等価交換方式は具体的には、土地所有者が土地をデベロッパーに提供し、その対価として新たに建設された建物の所有権を受け取る仕組みです。

等価交換方式による土地活用の大まかな流れは以下のようになっています。

  1. 土地の所有者が開発会社(デベロッパー)に土地を出資する
  2. 開発会社が建築費を出資し、1の土地に建物を建築する
  3. 建設完了後、出資した土地と等価になるように建物の所有権を受け取る

形式的には土地の所有者が開発会社に土地を売却し、売却した土地と等価になるように建物の一部を取得するというイメージです。

なお、土地をすべて譲渡する方法を全部譲渡方式、土地の一部のみを出資する方法を部分譲渡方式といいます。

等価交換方式のメリットとデメリット

M&Aによって発生する税金

等価交換方式には土地所有者側と開発会社側でそれぞれ異なるメリット・デメリットがあります。以下より等価交換方式のメリットとデメリットを詳しく解説します。

土地所有者側のメリット

土地所有者側の主なメリットは3つです。

1.自己資金やローンの負担なく建物を取得できる

等価交換方式は出資した土地と等価の建物を取得できる仕組みのため、建物を取得するために別途資金を用意する必要がありません。

2.交換の時点では譲渡所得税が課されない

等価交換において一定の要件を満たせば「固定資産の交換の特例」の適用対象になり、交換時点では譲渡所得税が課されません。詳しくは「等価交換方式の税金について」で解説します。

3.相続税対策にも効果的

土地を更地のままにするよりも、賃貸住宅などを建てる方が相続税評価額を減額できるため節税につながります。また、土地そのままの状態よりも建物の方が遺産分割をしやすい面もあります。

詳しくは「相続税対策としての等価交換方式」で解説をします。

開発会社(デベロッパー)側のメリット

等価交換によって開発会社(デベロッパー)側が得られる大きなメリットは、土地を用意するための負担を軽減できることです。

等価交換方式を採用する場合、デベロッパーは土地所有者から直接土地を調達できます。そのため、以下のような効果を得られます。

  • 土地購入費のための資金調達や高額の支出が必要ない
  • 土地の購入による資金繰りの悪化を防げる
  • 資金調達~土地購入までの手間を省略できる(等価交換の契約が成立すればすぐに土地開発に着手できる)

土地所有者側のデメリット

等価交換方式における土地所有者側のデメリットを3つ紹介します。

1.土地の所有権を手放す必要がある

土地の出資分と等価の建物を交換するという仕組み上、提供した土地の所有権は失われます。ただし、分譲マンションの場合は「敷地権」という形で土地の一部に関する権利が与えられます。

2.交渉成立までに時間がかかりやすい

等価交換ではお互いの所有持分や建物の設計・施工、土地の評価額などさまざまな面で交渉が発生します。両者が納得するまで何度も交渉を重ねる必要があるため、どうしても時間がかかりやすいです。

3.デベロッパーに主導権を握られてしまう恐れがある

建設する建物の方針は不動産市場や開発会社のビジョンに左右されやすいため、デベロッパー主体になりやすい面があります。土地所有者側に専門知識がないことを理由に、不利な条件を提案するデベロッパーが存在するのも事実です。

不利な契約内容にならないよう、デベロッパー選びを慎重に行うこと、毅然とした態度で交渉することが大切です。

開発会社(デベロッパー)側のデメリット

デベロッパー側のデメリットとして自社で土地を購入した場合よりも自由度が低い点が挙げられます。土地所有者との交渉を行う必要があるため、土地を確保してすぐに建設に着手できるわけではありません。

デベロッパー側のメリットは、土地を用意するための負担を軽減できることですが、その代わり建設着手までの負担は重くなる恐れがあります。

等価交換方式の税金について

従業員を雇用したときの税金のイメージ

等価交換方式による交換が一定の要件を満たす場合、「立体買換えの特例」の適用対象になるでしょう。

買換え特例と呼ばれる制度には複数の種類が存在しますが、等価交換方式で適用される可能性が高いのは「中高層耐火共同住宅建設のための買換え特例」です。同特例の適用対象になれば、交換を行った際には課税所得税が課されません。交換によって取得した建物を将来売却するタイミングまで課税が繰り延べられます。

参考:国税庁「措置法第37条の5《既成市街地等内にある土地等の中高層耐火建築物等の建設のための買換え及び交換の場合の譲渡所得の課税の特例》関係」

なお、固定資産の交換には「固定資産の交換の特例」という制度があります。「固定資産の交換の特例」は同じ種類の固定資産同士を交換した場合に適用される制度です。等価交換方式では土地と建物という異なる固定資産を交換するため、固定資産の交換の特例は適用対象外となるケースがほとんどです。

参考:国税庁「No.3502 土地建物の交換をしたときの特例」

参考:国税庁「No.3511 土地建物と土地を等価で交換したとき」

納税免除になるわけではない

等価交換の特例によって納税が免除されるわけではありません。「等価交換をすれば非課税になる」という認識は誤りのためご注意ください。

特例の適用対象になった場合、等価交換を行った時点では譲渡所得税が課されることはありません。しかし将来的に、等価交換によって取得した建物を売却した際には所得税が課税されます。

等価交換の特例は譲渡所得税が免除されるわけではなく、あくまで課税の繰り延べ制度といえるでしょう。

等価交換方式は節税になるケースもあるものの、節税対策として必ずしもおすすめできる手法ではありません。狙って実施できる手法ではない上、そもそも非課税になる制度ではないためです。

不動産投資の節税対策については以下の記事で詳しく紹介しているので、ぜひこちらをご覧ください。

関連記事:不動産投資は節税対策になる?ならない?節税効果や仕組みについて詳しく解説!

等価交換方式を活用した事例

等価交換方式を活用した事例を2つ紹介します。

【事例1】資金面の負担なく自宅の建て替えと賃貸経営を実施

【土地所有者の状況・要望】

  • 現在住んでいる家のリフォームまたは建て替えをしたい
  • マンション経営に興味があるものの、マンションを建てるほどの現金はなく、リスクを考えるとローンを組んでまで踏み出すことはできない
  • 土地の広さは十分で評価額も高い

【等価交換方式による解決方法】

まずは等価交換方式に基づき、出資した土地と等価になるようマンションの数部屋を取得します。そのうちの一室を自身の居住用とし、残りの部屋で賃貸経営を行えば、自宅の建て替えとマンション経営への着手の両方をクリアできます。

等価交換方式により土地所有者の希望が叶った事例といえるでしょう。

【事例2】相続対策の悩みを等価交換方式で解消

【土地所有者の状況・要望】

  • 所有している土地は更地状態であり、全く活用できていない
  • 子供が複数人いるため今のうちから分割対策をしておきたい

【等価交換方式による解決方法】

土地はそのままの状態では遺産分割がしにくく、相続トラブルの原因になりやすいです。そこで、等価交換方式で土地を提供し、提供した土地に分譲マンションを建設します。マンションは一戸単位で処分や換金が可能なため、分割対策として効果的です。

等価交換方式により、土地活用および相続対策という両方の要望が叶います。

法人による等価交換方式の利用

等価交換方式による土地活用は、個人だけでなく法人が行うケースもあります。法人が等価交換方式を利用する場面として以下の例が挙げられます。

  • 使用していない倉庫や稼働していない工場などを取り壊し、店舗や賃貸物件などを建てる
  • 古い自社ビルを等価交換方式により立て直し、自社利用分以外を賃貸オフィスとする
  • 広大で活用しきれていない土地に商業施設や大規模マンションを建てる

採算性の低い自社保有の不動産がある場合、等価交換を行うメリットが大きいといえるでしょう。

不動産取得税と等価交換方式

不動産取得税とは土地や建物などの不動産を取得した際にかかる税金です。所有権移転登記をする・しないに関係なく必ず発生します。

不動産取得税は等価交換方式により不動産を取得した場合にも発生します。計算式は以下の通りです。

不動産取得税=不動産の価格×税率4%

※取得した不動産が宅地等の場合は税率3%です。

相続税対策としての等価交換方式

等価交換方式は相続税対策の効果も期待できます。

相続税対策につながる理由は、土地と建物を比較すると、取得価額は等価でも相続税評価額を抑えられる可能性が高いためです。

前提として、土地が単なる更地の場合は相続税に関する特例の適用は基本的に不可能です。相続税評価額をそのまま相続税の計算に用いる必要があります。

一方で等価交換により建物を取得し賃貸経営を行うのであれば、以下のような理由から不動産評価額を減額できます。

  • 土地部分は入居割合に応じて評価額が減額される(貸家建付地としての評価)
  • 建物部分の評価額は借家権割合を差し引いて計算する
  • 要件を満たせば小規模宅地等の特例を利用できる

また、土地は更地状態では遺産分割が難しくトラブルが起こりやすいです。一方、アパートやマンションは部屋ごとに分けて相続が可能、収益による分割がしやすい等のメリットがあります。

このように等価交換は節税対策だけではなく、遺産分割をしやすくし相続トラブルを防ぐ効果も期待できます。

不動産の税金対策は専門家に相談を

等価交換方式はデベロッパーに土地を提供し、出資した土地と等価になるように建物の所有権を受け取る方法です。土地活用法の1つであり、資金面での負担がない・相続税対策にもつながる等のメリットがあります。

また、等価交換では一定の要件を満たせば、交換したタイミングでは譲渡所得税は課されません。ただし納税が免除されるわけではなく、取得した建物を売却するタイミングで課税されます。

等価交換方式はさまざまなメリットがあるものの、仕組みが複雑かつデメリットも存在する手法です。税金対策を目的とするのであれば、等価交換方式だけでなく、他の手法も検討するのが良いでしょう。

不動産の税金対策のためには法律や税制に関する深い理解が必要です。条件によって適用される特例の種類や評価額の計算方法が異なるケースも多く、専門知識のない人が対応するのは容易ではありません。より適切な税金対策のためには、専門家である税理士に相談するのが安心です。

不動産の税金対策はぜひ小谷野税理士法人にご相談ください。

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
税理士「今野 靖丈」

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