フリーランスとしてコンサル業を営む人や、今後独立を考えているコンサルタントの人は多いのではないでしょうか。コンサルタント業界は拡大を続けており、フリーランスという働き方を選ぶ人も増えています。ただし、フリーコンサルとして働くのであれば、確定申告には注意すべきです。ここでは、フリーコンサルが確定申告で注意すべき点や、申告方法を解説します。
目次
なぜフリーコンサルは確定申告で注意すべきなのか?
フリーランスとして働く場合、コンサルタントだけに限らず確定申告が必要です。
とくにフリーコンサルは確定申告で注意すべき業種といえます。フリーコンサルが確定申告で注意すべきと言われる理由について解説します。
コンサルタントは税務調査で狙われやすい
フリーコンサルが確定申告で注意すべきという理由は、税務調査で狙われやすい業種だからです。
国税庁の令和4年の税務調査の統計によると、申告漏れ所得金額が高額な業種のランキングで1位がコンサルタントであることが分かっています。1件あたりの申告漏れ所得金額は3,367万円と他の業種よりも高額になっており、税務調査によって1件あたり676万円の追徴税が課せられています。
コンサルタントは5年連続で申告漏れ上位の業種です。このことから、コンサルタント業界が拡大して売上が伸びていると同時に、税務調査の対象になりやすいことが分かります。
参考:国税庁「令和4事務年度 所得税及び消費税調査等の状況」
コンサルタント料が税務調査で問題になりやすい
コンサルタントが税務調査の対象になりやすい理由のひとつに、コンサルタント料が問題になりやすい名目だということが挙げられます。
所得税は収益から経費などの費用を差し引いて算出されます。つまり、経費などの費用が多いほど所得は減少し、所得税を抑えることができます。
コンサルタント料は備品などの購入費用とは異なり、目に見えないサービスへの支払い対価です。そのため、請求書が発行されれば、経費として計上することができてしまいます。
子会社のコンサルティング会社や知り合いの経営者の名義を借りて、架空のコンサルタント料の請求書を発行するケースも実際に多く摘発されており、不正が行われやすいという現状があります。
そのため、税務局もコンサルタントの確定申告に不正がないか目を光らせており、税務調査の対象になりやすいといえます。
税務調査に関する詳しい内容は、下記の記事を参考にしてください。
関連記事:税務調査は個人にいくらからくる?個人に及ぶケースとその対策とは?調査対象となる金額の目安
フリーコンサルが確定申告で支払う税金
会社に属してコンサルタントとして働いていたい場合と、フリーランスとして独立してコンサルタント業を営む場合とでは、支払う税金が異なります。
フリーコンサルが確定申告で支払うことになる税金は、以下の通りです。
所得税
所得税は会社員とフリーランスでは計算方法に違いがあります。
会社員は給与所得になるため、給与収入から収入額によって定められた給与所得控除を引かれた金額を所得税として算出します。この給与所得から算出された所得税は、給与から天引きされ、年末調整によって過不足調整が行われます。
一方で、個人事業主は事業所得になるため、収入から必要経費を差し引き、算出します。そして、自身で確定申告によって納税しなければなりません。
住民税
住民税は、会社員の場合は給与から天引きされますが、フリーランスは自分で支払わなければなりません。支払は、確定申告後に自治体より納付書が発行されます。
住民税は、所得に応じて税率をかける「所得割」と、所得に関係なく低額で徴収される「均等割」で構成されます。
個人事業税
個人事業税は、一定の業種で個人事業主になると課される税金です。コンサルタントは個人事業税の対象となる業種になります。
個人事業税は290万円の控除があるため、所得から290万円を差し引いた金額に税率を掛けて算出します。税率は業種ごとに異なり、コンサルタントの税率は5%です。
消費税
消費税は、2年前の課税売上高が1,000万円を超えると課税事業者として消費税の支払いが発生します。フリーコンサルは売上が1,000万円を超えるケースが多いため、消費税の納税の有無の判断には注意が必要です。
また、インボイス制度の導入により、1,000万円以下でも適格事業者として登録していれば、消費税の納付が必要になります。
消費税は、所得税とは別途で確定申告が必要です。
関連記事:法人で利益が出過ぎた場合はどうする?知っておきたい節税対策を一挙にご紹介!
フリーコンサルが確定申告で注意すべきこと
フリーコンサルは税務調査の対象になりやすいため、確定申告は適切に行わなければなりません。フリーコンサルが確定申告で注意すべきことを紹介します。
確定申告の期日を守る
確定申告には期日があります。フリーコンサルとして事業を営むのであれば、確定申告の期日は必ず守りましょう。
確定申告の期日は、毎年3月15日です。
確定申告の義務があるにも関わらず期限内に申告手続きを行わなければ、無申告として無申告課税や延滞税などのペナルティが課されます。
期日が過ぎることで税務調査が入ってしまうリスクもあるため、確定申告の期日を守ることは大切です。
経費の計上に注意する
フリーランスとして事業を営む場合、収益から必要経費を差し引いて所得を計算します。つまり、経費として計上できるものが多いほど所得税を抑えることができます。
ただし、フリーランスが経費として計上できる範囲は法律などで細かく規定されていません。「業務として必要な経費」を自己判断して経費として計上することになります。
脱税目的で不正な経費計上をすれば、税務調査の対象になります。また、フリーコンサルの場合、経費として認められないものを意図せずに経費として計上してしまい、脱税と判断されてしまうようなケースもあるでしょう。
経費として計上しても問題ないものは、業務上に必要な費用であったことが説明できるものです。レシートや領収書は、いつ誰がどのような目的で経費として使用したのか確認できる証拠です。必ず保管しておくようにしましょう。
フリーランスの経費に関する詳しい内容は、下記の記事を参考にしてください。
関連記事:個人事業主が確定申告で経費にできる勘定科目について
必要な税金の申告を把握し、適切に申告する
確定申告と一言でいっても、所得税や住民税の申告が異なる場合があります。
通常は所得税の確定申告をすれば、その所在地の自治体に連携されるので住民税は別途申告する必要はありません。
しかし、フリーコンサルとして事業を始めたばかりで売上が少ない場合、確定申告が不要な場合もあるでしょう。個人事業主は所得が48万円以下ならば確定申告が不要ですが、住民税の申告は別途必要です。
所得税の確定申告が必要ない場合でも、忘れずに住民税の申告を行いましょう。
また、2年前の課税売上高が1,000万円以上もしくは適格事業者に登録している場合、所得税とは別に消費税の申告も必要です。
関連記事:厳選!すぐに採用したい経費削減アイデア集
フリーコンサルの確定申告方法
フリーコンサルだけに限ったことではありませんが、確定申告をする方法は大きく分けると「電子申告」「手書き」「税理士に依頼する」という3種類の方法になります。
それぞれの申告方法について解説します。
電子申告
近年はインターネットで確定申告ができる国税庁のシステム「e-tax」の利用が推奨されています。
電子申告ならば、パソコンやスマホがあれば好きな場所から確定申告をすることができ、手続きも簡易化されているので手軽に申告しやすいです。確定申告の時期は税務署の窓口が混雑するため、申告に並んだりする必要もないという点もメリットといえます。
電子申告では添付書類なども電子送信が可能ですが、申告期限から5年間は保存しておく必要があります。
手書き申告
確定申告の書類をホームぺージや窓口より入手し、手書きで書面を書く方法です。必要事項を書面に記入し、書類を提出します。
提出方法は、窓口持参と郵送の2通りがあります。
窓口持参の場合、税務署の開庁時間に合わせて行かなくてはなりません。しかし、確定申告に自信がない場合、相談コーナーや申告相談会場で分からない部分を職員に聞きながら作成できるというメリットがあります。
一方で、郵送での提出は好きな時間に投函できるという点がメリットです。ただし、書類に不備がある場合や、申告期限間際での提出は、受領に遅れが生じる可能性があるので注意が必要です。
税理士に依頼する
自分で確定申告する自信がない場合や、事業が忙しくて確定申告する時間がない場合などは、税理士に依頼するという選択肢もあります。
税理士は専門家なので、正確な内容で確定申告できる点が大きなメリットです。とくにフリーコンサルは税務調査の対象になりやすい職種ではあるので、正確に確定申告を行いたいものです。
また、税理士に依頼すれば、確定申告書の作成に必要な手間や時間を削減できます。確定申告書の作成に時間がかかれば、本業に影響が出る可能性があります。本業に集中できるように専門家へ依頼することも検討してみてはいかかでしょうか。
フリーコンサルの確定申告は税理士に相談を
フリーコンサルは税務調査の対象になりやすい業種になるため、確定申告は正確に行いたいものです。
脱税をしている意識はなくても、経費の計上に誤りがあるなどすれば、税務調査の対象になってしまうこともあります。
確定申告は電子申告で手軽に自分自身で行えるようになりましたが、正確な確定申告をしたいと考える場合は専門家である税理士のサポートを得ることも検討してみましょう。
小谷野税理士事務所では、経験と知識の豊富な税理士が在籍しており、さまざまな業種への対応が可能です。確定申告だけスポットで依頼するだけではなく、事業の設立から税務業務までワンストップで依頼が可能です。
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