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一般社団法人の活用で節税するスキームとは?法改正の影響を解説!

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一般社団法人の活用で節税するスキームとは?法改正の影響を解説!

以前は一般社団法人の活用によって節税できるケースがありました。2018年の法改正によって、節税目的に一般社団法人を設立したり、活用したりするのは困難な状況です。今回は、一般社団法人の特徴や節税スキーム、法改正による変更点、設立のメリットなどを解説します。最後まで読めば、一般社団法人と節税の関連を理解できるでしょう。

一般社団法人とは

一般社団法人とはどのようなものなのか、以下の通り基本情報を押さえておくとよいでしょう。

  • 特徴
  • 特定一般社団法人との違い

それぞれについて、詳しく解説します。

特徴

一般社団法人とは、法律にもとづいたうえで設立された非営利法人のことで、公益を目的とするのが特徴です。ボランティアと間違いやすいかも知れませんが、非営利とは株式会社のように、利益分配しないことを示す言葉です。

公益を目的とする条件を満たせば、収益や共益のみを目的とする事業展開も許されています。例えば、趣味のパン作りサークルの場合、手続きをすると「一般社団法人パン作りを楽しむ会」などを設立できます。

一般社団法人の特徴は以下の表の通りです。

資本金がない

  • 出資者やオーナーがいないため、会社を所有する人がいない
  • 今までにない法人組織

社員の定義が異なる

  • 意思決定機関の社員総会に出席し、議決権を利用できる人を社員と定義する
  • 株式会社における株主のような立場になる
  • 株式会社と同じく、貢献度合いに応じた報酬を受けとれる

官庁からの許可がいらない

  • 公証人役場(全国約300ヵ所)や法務局で手続きをするのみで設立できる
  • 管轄官庁がなく、原則として行政からの指導など干渉を受けない
  • 相応しくない行動をとると、公的機関から指導を受けるケースがある

2人以上で設立する必要がある

  • 組織構成する社員が2人以上必要
  • 株式会社の場合は一人でも設立できる

一般社団法人を設立する場合、以下の手順で手続きを進めます。

  1. 定款(会社の基本情報や規則)を作成し、認証を受ける
  2. 設立時理事(法人設立時に理事となる方)を選任する
  3. 設立手続きの調査をする
  4. 法務局か地方法務局で、登記(国が管理する登記簿への登録)申請する

一般的に、一般社団法人の設立には1週間から10日ほどかかる傾向にあります。

参考:「一般社団法人及び一般財団法人制度Q&A」法務省

特定一般社団法人との違い

以下のいずれかの条件を満たす一般社団法人は、特定一般社団法人として扱われます。

  • 被相続人の相続開始の直前におけるその被相続人にかかる同族理事の数が、理事の総数に占める割合が2分の1を超える
  • 被相続人の相続の開始前5年以内において、同族理事数の総理事数に占める割合が2分の1を超える期間の合計が3年以上である※平成30年3月31日より前の期間は対象外

特定一般社団法人における同族理事とは、具体的に以下の通りです。

  • 被相続人
  • 被相続人の配偶者か3親等以内の親族
  • 被相続人と事実婚の関係にある配偶者、その方と生計をともにする配偶者or3親等以内の親族
  • 被相続人の使用人、その方と生計をともにする配偶者or3親等以内の親族
  • 被相続人から金銭を受け生活している方
  • 次の法人の役員か従業員:被相続人が役員の法人or上記に該当する方と特殊関係がある法人判定の基礎とする場合に、同族会社に該当の法人

特定一般社団法人の理事が亡くなった場合、特定社団法人に相続税が課せられ、2割加算されるのが特徴です。

参考:「特定の一般社団法人等に対する課税のあらまし」国税庁

【法改正以前】一般社団法人を活用した節税スキーム

変更登記を自分で行うイメージ

法改正以前、一般社団法人には相続税が課されなかったことから、個人の財産を移すと納税を回避できました。一般社団法人の場合、持分(会社に対する所有割合)の定めがなく、保有財産は相続財産の対象とならないためです。

相続税とは、亡くなった親からお金や土地などの財産を受け継いだとき、発生する税金を示します。

一般社団法人を設立し、お金や株式、土地などの譲渡を終えた場合、該当する分に関しては納税を避けられる仕組みでした。例えば、親の死後に子どもを一般社団法人の理事にすると、相続税を支払わずに財産を引き継げます。

同様の方法で、孫からひ孫へと相続税を支払わずに、未来永劫財産を引き継ぎ続けることもできました。個人の資産を法人に移すためにはコストがかかるものの、将来的にプラスになることから、富裕層を中心に利用されてきた節税対策です。

【法改正後】一般社団法人を使った節税は難しくなった

一般社団法人の設立によって租税回避(税法の想定しない方法での節税)する方が相次いだため、2018年に法改正が実施されました。

法改正により、以下に該当する場合は特定一般社団法人として扱われ、相続税を支払う義務が生じました。

  • 定款などで、理事などに占める3親等内の親族割合を3分の1以下にすると定める
  • 一般社団法人に関係する特定の方に特別な利益を与えない
  • 解散時の残余財産(負債を返済したあとで残る財産)は、国などに納める旨を定款などで定める
  • 一般社団法人に法令違反や隠蔽などがない

課税の対象となる金額は以下の計算式で算出されます。

【純資産額÷(同族理事の人数+1)】

法改正前は相続税対策として一般社団法人の設立が効果的だったものの、法改正によって流れが変わりました。一般社団法人の設立による節税は抜け道だったことから、しかるべき対応をとられたといえます。

参考:「特定の一般社団法人等に対する課税のあらまし」国税庁

一般社団法人の活用による節税が向いている人

法人の節税のイメージ

一般社団法人の設立による節税が向いているのは、以下の条件に当てはまる方です。

不動産を分割したくない方

  • 株式会社でも分割しない方法を採用できるものの、一般社団法人の場合は非収益事業が非課税
  • 資産価値をキープしたまま所得を得たい場合に適している

家族に所得分散したい方

  • 利益の配当はできないものの、理事や監事として働く家族に給与や退職金を支払える
  • 所有する財産を贈与したり、解散するときに残余財産を分配できたりする

不動産の分配方法として4通りあげられ、具体的には以下の通りです。

現物分割

  • 1人の相続人が相続したり、分筆(不動産を分け登記し直す)して相続したりすること
  • 手続きがシンプル
  • 公平性を感じてもらいにくい

代償分割

  • 1人の相続人が相続したあと、法定割合で算出した代償金を分配する方法
  • 分筆できない土地や建物に対しても、公平に相続しやすい
  • 不動産の価値を適正に評価するのが難しい
  • 代償金を支払うための資金が必要

換価分割

  • 法定割合に従い、不動産売却したお金を相続人の間で分配する方法
  • 不動産の評価方法を選ぶ必要がなく、相続人の間で言い争いに発展するケースがない
  • 売却方法によって、金額が左右されやすい

共有

  • 不動産を分けない方法
  • 法定相続割合に応じて、相続人の間で共有すること
  • 共有持分権者の同意のもとで、不動産の売却などができる

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一般社団法人を設立するメリット

一般社団法人を設立するメリットとして、以下の点があげられます。

登記の手続きが簡単

  • 公益財団法人や公益社団法人を設立するには審査に通る必要がある
  • 自治体からの認可が不要で、法務局での登記申請のみで設立できる
  • 書類作成などの手続きに時間や労力がかかりにくく、すぐに事業を始めやすい

自由に事業を選択できる

  • 同じ非営利法人のNPOの場合、20業種から選ぶ必要がある
  • 活動範囲が決められておらず、興味・関心や適性のある分野で事業展開できる
  • 収益事業を選択し、活動資金として利用してもよい

収益事業でない(*1)場合に非課税

  • 公益事業などは法人税の対象外となる
  • 株式会社の場合、事業内容に関係なく法人税の対象となる
  • 株式会社と比べ、節税するうえで効果的

社会的な信用を得られる

  • 法律上の人格(法人格)が認められ、個人事業主よりも信用を得やすい
  • 公益性のある名前によって、さまざまな企業や人から信頼を獲得しやすい
  • 病気や事故など代表者にトラブルが発生しても、取引を継続してもらいやすい
  • 登記簿謄本を通して、第三者は事業内容を確認できる

入会の条件を設定できる

  • NPO法人の場合、入会希望者を拒否できない
  • 協会ビジネスなどを展開しやすい
  • 活動内容に合致している会員にのみ入会してもらえる

行政に対して報告しなくてもよい

  • NPO法人の場合、監督制度がある
  • 監督制度がなく、事業報告や事業目的の変更などのために、所轄庁に書類提出などの手続きを必要がない

設立コストを抑えられる

  • 出資金不要なため、0円で設立できる
  • 約11万円の法定費用は発生する
  • 株式会社の場合、法定費用は約24万円

*1と認められている業種は以下の通りです。

  • 物品販売業
  • 請負業
  • 仲立業
  • 遊覧所業
  • 不動産販売業
  • 印刷業
  • 問屋業
  • 医療保健業
  • 金銭貸付業
  • 出版業など

一般社団法人の設立にはメリットがあるから、多くの人から選ばれる傾向にあります。

参考:「一般社団法人及び一般財団法人制度Q&A」法務省

一般社団法人の設立サポートは税理士へ

良い税理士のイメージ

ここまで、一般社団法人の特徴や設立のメリット、節税スキーム、法改正の影響などを解説しました。事業を継続するうえで、適切な節税対策による資金確保は重要なポイントの1つです。

2018年の法改正により、一般社団法人の活用による節税は現実的なものではなくなったといえます。

一方で、これから一般社団法人の設立を検討している方もいるでしょう。一般社団法人の税務は複雑で、正しく節税するには税理士などの専門家に依頼するのが無難です。

小谷野税理士法人では、社会法人設立や運営などの面において、実績ある税理士がアドバイスやサポートをさせていただきます。まずはお気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
税理士「今野 靖丈」

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