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会社設立の基礎知識

メンテナンス費用の勘定科目は?会計処理時の注意点も解説

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メンテナンス費用の勘定科目は?会計処理時の注意点も解説

会社の設備や機器を維持する際に発生するメンテナンス費用ですが、適切な勘定科目が分からない方も多いのではないでしょうか。修繕費や保守料、資本的支出など、費用の性質に応じた処理が求められます。正しい会計処理を行うことで、財務状況の透明性を確保し、税務リスクを軽減できるでしょう。本記事では、メンテナンス費用に関する勘定科目の選び方と、知っておくべき会計処理時の注意点について分かりやすく解説します。

メンテナンス費用とは?

メンテナンス費用とは、設備や機器、建物などの資産を正常な状態で維持し、業務に支障がないようにするために必要な費用を指します。これには、定期的な点検や修理、予防保全に関連する支出が含まれ、その目的と費用の発生タイミングによって「修繕」または「保守」に区別されます。

修繕

「修繕」とは、設備や建物が故障した際にそれを元の状態に修復することを指します。修繕費は、損傷部分を修理して元に戻すために発生する「発生的費用」であり、通常は問題が発生した後に支出されます。

具体例として、壁のひび割れの補修や故障した機械の修理、電気配線のトラブル解消などが挙げられるでしょう。

保守

「保守」とは、設備や機器の正常な状態を維持するために行われる定期的なメンテナンスや点検を指します。これは、故障を未然に防ぐための「予防的費用」であり、通常は年間契約や定期点検サービスなどに基づいて支払われます。

具体的な例としては、エレベーターの法定点検、ビルの空調設備の定期メンテナンス、サーバーの保守契約などが挙げられるでしょう。

メンテナンス費用の勘定科目と仕訳例

プラットフォーム課税のイメージ

メンテナンスに関連する勘定科目にはいくつか種類があるため、それぞれの内容に応じて使い分ける必要があります。以下に、主な勘定科目とその説明を記載するので参考にしてください。

勘定科目

説明

修繕費

設備や建物を修理する(元の状態に戻す)ための費用

保守料

設備や機器の正常な状態を維持するための定期的な点検やメンテナンスにかかる費用

外注費

メンテナンスサービスを外部業者に委託した場合に発生する費用

※修繕・保守どちらにも該当するが、一時的・単発の依頼を指す)

前払費用

長期的なメンテナンス契約に基づいて、将来の点検や保守サービスに対して事前に支払った費用

※保守に該当する場合が多い)

減価償却費

資本的支出(後述)として計上されたメンテナンスや改良にかかる費用

維持管理費

建物や設備の維持管理に関する小規模な費用

※保守として扱う場合が多い

修繕積立金

共同住宅や施設の長期修繕計画に基づき積み立てられる費用(将来的な修繕費用に備えて積み立てるもので実際の修理費用ではい)

工事費

設備の改修やリノベーションなど大規模な工事にかかる費用※内容によっては修繕または資本的支出として扱う

修繕費の仕訳例

修繕費は、設備や建物の損傷を元の状態に戻すためにかかる費用を指し、修理や補修などが行われた際に、その費用を「修繕費」として当期の経費に計上してください。修繕費はその年の費用として損金算入が認められるため、税務上の即時費用化が可能です。

以下が仕訳の例です。

例)建物の外壁にひびが入ったので、10万円で補修工事を行った。

借方

借方金額

貸方

貸方金額

修繕費

10万円

現金

10万円

保守料の仕訳例

保守料は、予防保全のための費用であり、通常は年間契約や定期点検のサービスに基づいて発生するため、業務の安定的な運営をサポートする経常的な支出です。

以下が仕訳の例です。

例)建物の消防設備の法定点検に5万円を支払った。

借方

借方金額

貸方

貸方金額

保守料

50,000円

現金

50,000円

外注費の仕訳例

外注費は、外部の専門業者に依頼して行った作業やサービスに対する支払いを指しますが、一時的な修理や特定の作業を外部業者に委託した場合に外注費として計上してください。修繕費や保守料とは異なり、自社で対応できない業務を外部に委託する費用です。

以下が仕訳の例です。

例)建物内の電気配線トラブルがあったため、はじめての電気工事業者に8万円を支払って修理を依頼した。

借方

借方金額

貸方

貸方金額

外注費

80.000円

現金

80,000円

メンテナンス費用の会計処理時の注意点3つ

0円起業のイメージ

メンテナンス費用の会計処理を行う際は、以下3点に注意してください。

  1. 修繕費と資本的支出の区別
  2. 前払費用としての取り扱い
  3. 保守契約内容の再確認

1. 修繕費と資本的支出の区別

「修繕費」として計上される費用は、設備や建物の劣化や故障を元の状態に戻すための支出であり、通常その年度の費用として損金算入されます。

一方、設備の価値を向上させたり、耐用年数を延ばすための支出は「資本的支出」とされ、資産として計上し、減価償却を行わなければなりません。

この区別が適切でないと、税務調査で経費が否認され、追徴課税が発生するリスクがあるため慎重な判断が求められます。

以下が、資本的支出の具体例です。

  • 建物全体の外壁を耐久性向上のため改修
  • 機械設備に新機能を追加して生産性向上
  • オフィスの内装を改装し、耐用年数を延ばす
  • 防音性能を高めるため窓を二重ガラスに変更
  • 省エネ性能向上のためエアコンを最新型に交換する

以下が仕訳の例です。

例)オフィスの壁を全面改装し、耐久性を向上させるために10万円を支払った。

 (耐用年数が10年、定額法で年間減価償却費が10,000円の場合)

借方

借方金額

貸方

貸方金額

購入時

建物

10万円

現金

10万円

1年目

減価償却費

10,000円

減価償却累計額

10,000円

2年目

減価償却費

10,000円

減価償却累計額

10,000円

・・・

・・・

5年目

減価償却費

10,000円

減価償却累計額

10,000円

2. 前払費用としての取り扱い

保守料などのメンテナンス費用を一括で支払う場合、契約期間が1年を超えると、その一部を「前払費用」として計上し、契約期間にわたって費用を配分する必要があります。

こちらについても、適切に処理を行わないと、税務調査で否認されるリスクがあるため注意しましょう。以下が仕訳の例です。

例)2024年1月に、エアコン保守料3年間分36万円を一括で支払った(保守料10,000円 / 月)。

購入時(2024年1月)

借方

借方金額

貸方

貸方金額

前払費用

36万円

現金

36万円

決算時
1年分の保守料12万円(1万円 x 12)を費用として計上し、前払費用から振り替える

借方

借方金額

貸方

貸方金額

保守料

12万円

前払費用

12万円

これにより、当年度に対応する部分のみが費用化され、残りは翌年以降の前払費用として繰り越されます。

3. 保守契約内容の再確認

保守契約が更新される際、契約内容の変更(範囲拡大や費用の増加)に伴い、会計処理も見直しが必要になります。契約範囲が変わった場合、これに伴う費用がどのように扱われるべきか(例えば追加部分が資本的支出に該当するか等)を確認しましょう。

メンテナンス費用の会計処理(勘定科目の仕訳など)でお悩みの方は専門家に相談

メンテナンス費用の会計処理は、修繕費と資本的支出の区別や前払費用の取り扱いなど、判断が難しいケースが多くあります。適切に処理を行わないと、税務調査で問題になる場合もあるでしょう。

そうした複雑な会計処理にお困りの方は、ぜひ専門家のアドバイスを受けてください。小谷野税理士法人では、メンテナンス費用の会計処理に関するご相談に対応しております。専門的なアドバイスが必要な場合は、ぜひ小谷野税理士法人にご連絡ください。

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
税理士「今野 靖丈」

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