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イベント売上の勘定科目は?仕訳例も紹介

公開日:

イベント売上の勘定科目は?仕訳例も紹介

イベントを開催した際、チケット販売や物販、スポンサー収入など、さまざまな形で売上が発生しますが、これらをどのように会計処理すれば良いか悩む方が多いのではないでしょうか。特に、売上ごとに適切な勘定科目を選び、正しいタイミングで計上することは、経理処理や税務申告において非常に重要です。この記事では、イベント運営における売上や経費の勘定科目、正確な帳簿管理を行うためのポイントについて解説します。

そもそも売上とは?

売上とは、商品やサービスの提供により得られる対価を指します。

イベントにおいては、チケット販売、物販、スポンサー収入などが主な売上として挙げられると思いますが、このように複数の収益源がある場合は、それぞれの売上形態ごとに勘定科目を正しく整理しておく必要があるでしょう。

ここで留意したいのは売上は「所得」とは異なるという点です。売上はあくまで事業活動によって得た収入の総額を指し、そこから経費やコストを差し引いた後の利益が「所得」となり、所得に対して税金が課されます。

税金は、売上ではなく所得に基づいて計算されるため、売上と所得の違いについて把握しておきましょう。

売上の計上基準

売上をいつ記録するかを決定する「計上基準」は重要な点です。主な基準として「発生主義」「実現主義」「現金主義」が挙げられるでしょう。

計上基準

概要

発生主義

取引が成立した時点で売上を計上する方法(契約が確定した瞬間に売上を記録)

実現主義

サービスが提供され、その対価が確定した時点で売上を計上する方法(イベント終了時に売上を記録)

現金主義

現金を受け取った時点で売上を計上する方法(現金決済の物販などに適用される)

「発生主義」は、取引が成立した時点で売上を計上するため、例えばチケット販売契約が締結された時に売上を認識します。

これに対し「実現主義」は、実際にサービスが提供されて対価が確定した段階で売上を計上します。イベント業界では、イベントが開催されたタイミングで売上を計上するケースが多く、この実現主義が適用される場面が多いでしょう。

「現金主義」は、現金の受取時に売上を計上する方法で、物販や飲食販売のようにその場で決済が行われる場合に採用されるのが一般的です。

これらの目的は、正確に収益を申告し、税務処理を適切に行うことなので、正確に申告されている限り、一事業者の会計内で計上基準が混在しても問題はありませんが、その場合、会計処理が複雑化し、売上のタイミングを誤りやすくなる可能性があるため注意は必要でしょう。

それぞれの基準を理解し、売上の性質に応じた計上方法を選択してください。

イベントの売上に関する勘定科目

チケット

前述したように、イベントで発生する売上には様々な種類があるため、以下のように、それぞれに適した勘定科目で管理する必要があります。

勘定科目

説明

売上高

イベントのチケット販売や、入場料など、イベントそのものによって得られた収入

受取入場料

イベントの入場料として受け取った収入

商品売上高

イベントでの物販による商品販売収入

受取スポンサー料

イベントに対するスポンサーシップや協賛による収入

受取出展料

イベント内でのブース出展による収入

広告収入

イベントに関連する広告掲載によって得られた収入

受取サービス料

イベント内でのVIP席や特別サービス提供によって発生する追加料金

受取広告料

イベントで提供される広告スペースに対して受け取った収入

受取寄付金

慈善イベントや寄付を募るイベントで受け取った寄付金

会場使用料収入

イベントで他の企業や団体にスペースを貸し出して得た収入

チケット販売の仕訳例

イベントの参加費や入場料は、「売上高」として計上します。

例)11万円のチケット販売が発生した場合

借方

借方金額

貸方

貸方金額

売掛金

11万円

売上高

10万円

仮受消費税

10,000円

物販収入の仕訳例

イベント中に商品を販売した場合、「商品売上高」として計上します。その際、消費税も「仮受消費税」として併せて処理します。

例)イベントで55,000円の商品を販売した場合

借方

借方金額

貸方

貸方金額

現金預金

55,000円

商品売上高

50,000円

仮受消費税

5,000円

スポンサー収入の仕訳例

スポンサーシップ契約による収入は、「受取スポンサー料」として計上します。契約内容によって、消費税の取り扱いが異なるため注意しましょう。

消費税が発生しない場合は、以下が考えられます。

例)20万円のスポンサー収入が発生した場合

借方

借方金額

貸方

貸方金額

普通預金

20万円

受取スポンサー料

20万円

イベント売上に関連する経費の勘定科目

イベント設備

イベントを行うためには多くの経費がかかります。これらの経費も、売上同様に適切な勘定科目で管理しましょう。ここでは経費の仕訳例を解説しますが、消費税に関しては省略しています。

勘定科目

説明

会場使用料

イベント会場のレンタル費用

広告宣伝費

イベントを告知・宣伝するためにかかった広告費やプロモーション費用

支払手数料

チケット販売プラットフォームやクレジットカード決済などにかかる手数料

旅費交通費

スタッフや出演者の交通費や宿泊費など

人件費

イベント運営に携わったスタッフへの報酬や給与

機材レンタル費

音響や照明、テント、ステージなどのレンタルにかかる費用

会場使用料の仕訳例

イベント会場のレンタル費用は「会場使用料」として計上します。

例)会場使用料として150,000円を支払った場合

借方

借方金額

貸方

貸方金額

会場使用料

15万円

普通預金

15万円

広告宣伝費の仕訳例

イベント告知やプロモーションにかかる費用は「広告宣伝費」として計上します。

例)80,000円の広告宣伝費を支払った場合

借方

借方金額

貸方

貸方金額

広告宣伝費

80,000円

普通預金

80,000円

支払手数料の仕訳例

チケット販売サイトや決済サービスの手数料は「支払手数料」として計上します。

例)15,000円の手数料が発生した場合

借方

借方金額

貸方

貸方金額

支払手数料

15,000円

未払金

15,000円

イベントの売上を仕訳する際のポイント3つ

公務員による企業のイメージ

イベントの売上を仕訳する際、以下3つのポイントに注意しましょう。

  1. 売上に応じた計上のタイミング
  2. 消費税の取り扱い
  3. 前受金や未払金の考慮

1. 売上に応じた計上のタイミング

イベントで発生する売上は、前述したように、その種類によって計上のタイミングが異なります。チケット販売やスポンサー収入は、「発生主義」に基づいて契約が成立した時点で計上するケースが多いですが、一方で物販や飲食など当日決済が行われる場合は、「現金主義」で売上を計上するなど様々です。

売上の性質に応じて計上タイミングを適切に管理することで、経理処理がスムーズに進むだけでなく、正確な帳簿の維持が可能になるでしょう。売上のタイミングを誤ると、税務申告に誤りが生じ、結果的に追徴課税のリスクが高まるので注意してください。

2. 消費税の取り扱い

イベントの売上には消費税が関わる場面が多く、正確な処理が求められます。売上に対して消費税を計上する際には、税抜き価格と税込み価格を区別し、それぞれの取引ごとに適切に処理しましょう。

特に、複数の売上源があるイベントでは、消費税の計上ミスが起きやすいため、取引ごとに管理を徹底してください。

3. 前受金や未払金の考慮

イベントの前売りチケットやブース出展料など、イベント前にお金を受けとることがあります。このような場合、前受金として計上し、イベント開催時に売上に振り替える処理が必要です。

また、イベント後に支払いが発生する場合、未払金として管理し、支払時に適切な勘定科目で処理します。前受金や未払金を正確に管理することで、売上や支出のタイミングを明確にし、経理処理をスムーズに進められるでしょう。

以下が仕訳例です。

例)10万円の前売りチケット販売時(チケット代金を受け取ったタイミング)

借方

借方金額

貸方

貸方金額

普通預金

10万円

前受金

10万円

例)イベント開催時に売上計上(イベントが開催されたため前受金を売上に振り替える)

借方

借方金額

貸方

貸方金額

前受金

10万円

売上高

10万円

例)イベント後に15万円の会場使用料が発生

借方

借方金額

貸方

貸方金額

会場使用料

15万円

未払金

15万円

例)後日会場使用料を支払いを行った

借方

借方金額

貸方

貸方金額

未払金

15万円

普通預金

15万円

イベントの売上の勘定科目でお悩みの方は専門家に相談

イベントの売上や経費の会計処理に関しては、特に複数の収益源や経費項目がある場合、適切な勘定科目の選定や仕訳処理が複雑になります。このような場合、専門家に相談することが最も確実な解決策でしょう。

小谷野税理士法人では、イベント運営における売上や経費の処理、勘定科目の選定について豊富な知識と経験を持つ専門家がサポートします。正確な会計処理を行い、税務リスクを軽減するためにも、ぜひ小谷野税理士法人にご相談ください。

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
税理士「今野 靖丈」

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