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受取利息の勘定科目は?仕訳例と注意点について

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受取利息の勘定科目は?仕訳例と注意点について

受取利息とは、銀行への預金や会社への貸付金などに対する利息のことです。受取利息の勘定科目は法人と個人事業主で異なるため、それぞれの仕訳方法について確認する必要があります。また、税務上の扱いや確定申告のポイントについても十分な理解が必要です。今回は受取利息の勘定科目や仕訳例、会計・税務処理について詳しく解説します。

受取利息とは何か

受取利息は銀行への預金や会社への貸付金などに対する利息です。この章では受取利息の概要や、受取利息に類似する用語との違いについて解説します。

受取利息の定義

受取利息は税務用語ではなく、銀行への預金や会社への貸付金などに対する利息を処理する際に用いる勘定科目です。簿記で用いられる呼称と言い換えられます。関東信越税理士会の公式サイトでは、「預金利息、貸金利息、受取割引料、有価証券利息等を処理する科目」と説明されています。

出典:関東信越税理士会公式サイト「受取利息-勘定科目集」

利息と似た言葉である「利子」は、元本に追加で払うお金を指す際に使うのが一般的です。支払う側は「利子」、受け取る側は「利息」という言葉を使うイメージです。

受取配当金との違い

受取配当金とは他社の株式など有価証券から得られる配当金です。受取利息と受取配当金の違いを2つ紹介します。

1.発生する時期や金額が事前にわかるか否か

受取利息はあらかじめ定められた利率で定期的に支払われます。そのため発生する時期や金額を事前に予想可能です。一方で受取配当金は、有価証券の発行主体である企業の業績が良い場合にのみ支払われます。支払われるタイミングは不定期であり、事前に金額の予想もできません。

2.法人税法上の扱い

受取利息は益金(収益)に算入されます。一方で受取配当金は、配当を支払う法人に対し法人税の二重課税を防ぐために益金不算入制度が採用されています。ただし、受取配当金の全額が益金不算入なわけではありません。配当等の種類によって益金不算入となる額が異なるため注意が必要です。

参考:国税庁「Ⅱ 受取配当等の益金不算入制度の見直し」

受取利息の計算方法

寄付金控除の上限に関するイメージ

受取利息の計算方法は「単利」「複利」の2種類があります。以下よりそれぞれの計算方法について詳しく解説します。

単利の計算方法

単利による計算式は以下の通りです。

利息 = 元本 × 金利

例えば、100万円を年利0.1%で運用する場合、受取利息は以下のようになります。

受取利息 = 100万円 × 0.1%=1,000円

単利の場合は、最初に預け入れた金額に対してのみが利息の対象です。そのため、運用期間の長さやこれまでに発生した利息の合計額に関係なく、毎年同額の利息が発生します。

複利の計算方法

複利とは、当初の元本と受け取った利子の合計に対して利子をつける方法です。運用で得た利益を再投資し、合計額を新たな元本として扱うイメージとなります。

複利による計算式は以下の通りです。

利息 = (元本+これまでの受取利息) × 金利

以下の例を用いて具体的な計算方法を紹介します。

元本:100万円

年利:0.2%

半年複利

預入から半年後、1年後、1年半後それぞれの受取利息の額は以下の通りです。

半年後

100万円 × 0.2% × 6/12 =1,000円

1年後

(100万円+1,000円) × 0.2% × 6/12 =1,001円

1年半後

(100万円+1,000円+1,001円)) × 0.2% × 6/12 =1,002円(円未満切り捨て)

運用期間が長くなるほど受取利息の額が増える仕組みです。

受取利息の仕訳方法と勘定科目

受取利息の仕訳方法と勘定科目は、法人と個人では異なります。以下よりそれぞれの仕訳方法について詳しく解説します。

法人の仕訳方法

法人の受取利息の仕訳方法は総額主義と純額主義の2種類で、原則的な処理方法は総額主義です。

総額主義は、入金された受取利息の額と源泉徴収された税額の両方を仕訳に起こす方法です。例えば入金された利息額が170円、源泉徴収された額が30円の場合、以下のように仕訳をします。

借方科目

借方金額

貸方科目

貸方金額

預金

170

受取利息

200

法人税等

30

受取利息の合計は「受取利息」、源泉徴収された税額は「法人税等」の勘定科目で仕訳します。入金額と源泉徴収された額の合計が受取利息になる仕組みです。

※源泉徴収額は「法人税、住民税及び事業税」「租税公課」で計上するケースもあります。

純額主義は入金された受取利息の額のみを計上する方法です。先ほどの例と同じく入金された利息額が170円、源泉徴収された額が30円の場合、仕訳は以下のようになります。

借方科目

借方金額

貸方科目

貸方金額

預金

170

受取利息

170

源泉徴収された分は考慮しないため、受取利息として計上するのも入金された額のみです。

なお、法人の受取利息勘定は営業外収益に該当します。

個人事業主の仕訳方法

個人の受取利息は利子所得に該当する所得であり、事業所得には含みません。そのため事業と関係のない入金・出金に使う「事業主借」「事業主貸」で仕訳を行います。

入金された利息額が170円、源泉徴収された額が30円の場合、仕訳は以下のようになります。

借方科目

借方金額

貸方科目

貸方金額

預金

170

事業主借

200

事業主貸

30

純額主義の場合は以下のようになります。

借方科目

借方金額

貸方科目

貸方金額

預金

170

事業主借

170

受取利息の税務上の扱い

適切な確定申告を行うためには、税務上の扱いについても確認が必要です。所得税・法人税・消費税それぞれにおける扱いについて詳しく解説します。

所得税法上の扱い

受取利息は利子所得に該当する所得です。そのため個人事業主の場合、事業所得とは分けて扱う必要があります。

受取利息は原則として源泉徴収の対象です。所得税15%、復興特別所得税0.315%、地方税利子割5%の計20.315%を差し引いた額が入金されます。

そして、受取利息は源泉徴収により納税が完結する「源泉分離課税」を採用しています。なお、源泉徴収が行われた受取利息の確定申告は不要です

参考:国税庁公式サイト「No.1310 利息を受け取ったとき(利子所得)」

法人税法上の扱い

法人が受け取る受取利息から源泉徴収された所得税額は法人税の前払いとして扱われ、法人税の額から控除できます。この仕組みを所得税額控除といいます。

所得税額控除を受ける場合、法人税申告書の別表6(1)「所得税額の控除に関する明細書」に源泉徴収額の記載が必要です。法人税申告書の別表については以下の記事をご覧ください

関連記事:【税理士監修】法人税申告書とは?別表の概要や必要書類、作成手順まで詳しく解説!

なお、所得税額控除を受けられるのは総額主義により仕訳をした場合のみです。源泉徴収済みの入金額だけで仕訳をする「純額主義」で処理をする場合は所得税額控除を受けられないためご注意ください。

受取利息の消費税法上の扱い

受取利息は非課税取引に該当します。非課税取引とは消費税の課税対象になじまない・社会政策的配慮が必要といった理由から消費税が課されない取引です。会計ソフトに入力する際は、税区分を「非課税」に設定しましょう。

なお、消費税が課されない取引として、非課税取引以外にも「不課税取引」「免税取引」が存在します。いずれも消費税が課されないという点は同じですが、その理由や課税売上割合の計算においては扱いが異なります。

非課税取引・不課税取引・免税取引の違いについては以下の記事をご覧ください。

関連記事:消費税の非課税取引とは|免税取引との違いや不課税、対象について

確定申告に関する注意点

最後に、受取利息が発生した年度の確定申告に関する注意点について、法人・個人事業主それぞれ解説します。

法人の確定申告のポイント

法人の場合、受取利息の仕訳を「総額主義」と「純額主義」どちらの方法で行なっているかによって扱いが異なります。

総額主義による仕訳をしている場合は、前章の「法人税法上の扱い」で紹介したように所得税額控除が可能です。法人税申告書の別表6(1)に必要事項を記載し、法人税額の調整を行います。

関連記事:【税理士監修】法人税申告書とは?別表の概要や必要書類、作成手順まで詳しく解説!

純額主義による仕訳をしている場合は所得税額控除を受けられません。そのため法人税の申告書を作成する際に、別表6(1)に源泉徴収税額を記載するのは誤りとなります。

個人事業主の確定申告のポイント

個人事業主が受け取る受取利息は事業とは関係のない入金であり、事業所得に含まれません。仕訳の際も事業主勘定を使って処理を行うため、受取利息による入金は事業所得と明確に区別されます。

受取利息は「利子所得」に該当する所得です。利子所得は原則として、支払い時に源泉徴収が行われ、源泉徴収により納税が完結する源泉分離課税の仕組みを採用しています。そのため源泉徴収が行われた受取利息について確定申告をする必要はありません

参考:国税庁公式サイト「No.1310 利息を受け取ったとき(利子所得)」

利子所得が源泉徴収された受取利息のみの場合、確定申告書第一表の「利子所得」欄の記入は不要です。

受取利息のまとめ

受取利息の仕訳方法や税務上の扱いは、法人と個人事業主で異なります。

法人の場合、源泉徴収前の額面を「受取利息」、源泉徴収された額を「法人税等」という勘定科目で仕訳をする総額主義による処理が原則です。総額主義による処理をした場合は、源泉徴収額については法人税から控除できます。

個人事業主の場合、受取利息は事業とは関係ない入金のため「事業主借」「事業主貸」を使った仕訳が必要です。また、源泉徴収された受取利息の確定申告は不要です。

受取利息の会計処理や確定申告方法を誤ってしまうと、税額もズレてしまい、正しい確定申告や納税ができません。そのため会計・税務の正しい知識が必要ですが、ルールが複雑なため専門知識のない人が正確に行うのはハードルが高いでしょう。

法人の受取利息の処理について疑問や不安があれば、専門家である会計士または税理士に相談するのが安心です。

受取利息の会計処理や確定申告についてお悩みの方は、小谷野税理士法人へご相談ください。

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
税理士「今野 靖丈」

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