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会社設立の基礎知識

単元株制度とは?メリット・デメリットや設定・変更の手続きをわかりやすく解説

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単元株制度とは?メリット・デメリットや設定・変更の手続きをわかりやすく解説

株式会社を経営する方々にとって、単元株制度という言葉は馴染みがあるでしょう。しかし、単元株制度の具体的な内容や影響について、十分に理解している方は少ないかもしれません。単元株制度には、会社側と株主側の両方にメリットとデメリットがあります。この記事では、単元株制度について、メリット・デメリットや設定・変更の手続きをわかりやすく解説します。単元株制度に関心のある方は、ぜひ最後までお読みください。

単元株とは

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単元株とは、株式の最低売買単位のことです。株式は通常1株単位で売買できますが、単元株制度を導入している会社では「単元株式数」と呼ばれる一定の株式数を1単元として、その単位でしか売買できないようにしています。

たとえば、単元株式数が100株の会社では、100株、200株、300株などの単元株でしか株式を売買できません。単元株制度は会社法によって認められており、会社の定款に規定することで導入できます。

単元株制度を導入している会社では「単元株式数」という概念があります。単元株式数とは、1単元を構成する株式の数のことで、会社の定款によって定められます。上場会社では100株の単元株式数が定められることが一般的ですが、50株や10株などの単元株式数を設定している会社もあります。

単元株制度の特徴は単元未満株主に対して、議決権や配当金などの株主権の一部を制限できる点です。単元未満株主とは、単元株式数に満たない株式を保有する株主のことです。たとえば、単元株式数が100株の会社で、99株以下の株式を保有する株主のことを指します。

単元未満株主は、株主総会に出席しても議決権を行使できません。また、配当金や株式分割などの株主優待の対象にならないこともあります。さらに、単元未満株式の売買には、制限がかかることもあります。

単元株制度は、会社の経営に対する株主の関与度や株式の流動性に影響を与える重要な制度であるため、導入を検討する際には注意が必要です。

単元株制度の背景と目的

単元株制度は、2001年10月施行の改正商法により導入された制度です。単元株制度は株式の最低売買単位を会社の定款で定めることで、株式の流動性と株主の質を調整することを目的としています。

単元株制度を導入することで、単元未満株主に対して議決権や配当金などの株主権の一部を制限でき、管理費用を抑えられます。単元未満株主とは、単元株式数に満たない株式を保有する株主のことで、一般に、短期的な売買を目的とする投資家や、会社の経営方針に関心のない投資家とされます。これらの株主は会社の長期的な成長にとって、望ましくないと考えられます。

単元株制度を導入することで、これらの株主を排除でき、株主の質を向上できました。株主の質とは、株主の属性や目的の違いのことで、株主の質が高いほど、会社の経営に対する様々な意見や要望が反映されます。

単元株制度は、株式市場の発展とともに、多くの上場会社に採用されてきました。しかし、近年では、単元株制度のメリットとデメリットについて、再考する動きも見られます。単元株制度について、メリットとデメリットを詳しく知ることで、会社と株主の両方にとって、最適な株式実務を行えるでしょう。

単元株制度のメリット・デメリット

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単元株制度には、会社側と株主側の両方にメリットとデメリットがあります。ここでは、それぞれの観点から、単元株制度のメリットとデメリットを見ていきます。

会社側のメリット①:株主管理コストの削減

単元株制度の最大のメリットは、株主管理コストの削減です。単元株制度を導入すると、単元未満株式を保有する株主は、株主総会に出席できなくなります。これにより、株主総会の開催にかかる費用や手間が減ります。

また、単元未満株式を保有する株主に対しては、配当金や株主優待などの権利を認めないとすることも可能です。これにより、配当金や株主優待の支払いにかかる費用や手間も減ります。さらに、単元未満株式を保有する株主に対する情報開示やコミュニケーションの必要性も低くなります。これにより、情報開示やコミュニケーションにかかる費用や手間も減ります。

会社側のメリット②:株主の質の向上

単元株制度を導入すると、単元未満株主は株主権の一部または全部を行使できなくなります。単元未満株主とは、単元株式数に満たない株式を保有する株主のことで、一般に短期的な売買を目的とする投資家や、会社の経営方針に関心のない投資家とされます。これらの株主の多くは、会社の長期的な成長にとって望ましくないと考えられます。

これにより、単元未満株主は会社に対する関心や影響力が低くなります。その結果、単元株以上の株式を保有する株主が会社の主要な株主となります。

これらの株主は、会社に対してより深い関心や理解を持ち、会社の経営方針や戦略に対してより積極的に意見や評価を行うことが期待されます。また、単元株以上の株式を保有する株主は、会社の長期的な成長や利益を重視する傾向があります。

これに対して、単元株に満たない株式を保有する株主は、会社の短期的な株価変動や配当金による利益を重視する傾向があります。したがって単元株制度を導入することで、会社の経営にとって有益な株主の質を向上させられます。

会社側のデメリット①:株式の流動性の低下

単元株制度の最大のデメリットは、株式の流動性の低下です。単元株制度を導入することで、株式の最低売買単位が上がることになります。これにより、株式の流動性が低下することがあります。

株式の流動性とは株式の売買が容易に行われる度合いのことで、株式の流動性が高いほど株式の需給が安定し株価の変動が抑えられます。単元株制度を導入すると、単元株に満たない株式を保有する株主は株式の売買が制限されます。これにより、株式市場における株式の需給が減少し、株式の流動性が低下します。株式の流動性が低下すると、株式の価格が下落するリスクが高まります。

また、株式の流動性が低いと株式の取引にかかるコストが高くなります。株式の取引コストとは、株式の売買にかかる手数料や税金などのことです。株式の取引コストが上昇すると、株式の投資効率が低下します。以上のように、単元株制度を導入することで、株式の流動性が低下し、株式の価格や取引コストに悪影響を及ぼすことがあります。

会社側のデメリット②:株主の多様性の低下

単元株制度のもう一つのデメリットは、株主の多様性の低下です。株主の多様性とは株主の属性や背景、目的や価値観などのことを指します。株主の多様性が高いということは、株主の視点や意見が多様であるということで、株主の多様性が低いということは株主の視点や意見が一様であるということです。株主の多様性が高いほど、会社の経営に対する様々な意見や要望が反映されるといえます。

単元株制度を導入すると、単元株に満たない株式を保有する株主は、株主権の一部または全部を行使できなくなります。これにより、単元株に満たない株式を保有する株主の声が会社に届かなくなることが懸念されます。

その結果、単元株以上の株式を保有する株主の声が会社に優先されます。これらの株主は会社に対してより深い関心や理解を持ちますが、同時に、会社に対してより高い要求や期待を持っていると考えられるでしょう。会社の経営に対するフィードバックも少なくなり、会社の成長にとって有益な情報や刺激が失われる可能性も出てきます。

また、単元株以上の株式を保有する株主は、会社の長期的な成長や利益を重視する傾向がありますが、同時に会社の短期的な業績や株価に対しても敏感に反応します。したがって、単元株制度を導入することで、株主の多様性が低下し、会社の経営にとって有害な株主の声が強まる可能性があります。会社の社会的な信用や評判が低下することもあるかもしれません。

株主側のメリット:出資金額の最低単位の低下

単元株制度のメリットは、株主側にもあります。その一つは、出資金額の最低単位の低下です。出資金額の最低単位とは、株式を購入する際に必要な最低限の金額のことです。

単元株制度を導入すると、単元株に満たない株式も売買できるようになります。これにより、株式の売買単位が1株になります。つまり、株式の価格が1株の価格になります。

たとえば、1単元が100株で、株式の価格が1株あたり1,000円だった場合、株式を購入するためには、最低でも100,000円が必要でした。しかし、単元株制度を導入すると、株式を購入するためには、最低でも1,000円が必要になります。これにより、出資金額の最低単位が大幅に低下します。

出資金額の最低単位が低下すると、株式の購入が容易になります。また、出資金額の最低単位が低下すると、株式の分散投資が容易になります。株式の分散投資とは、株式を複数の会社に分散して購入することです。株式の分散投資をすると、株式のリスクを低減できます。

単元株制度を導入することで出資金額の最低単位が低下し、株式の購入や分散投資が容易になることがあります。

株主側のデメリット①:株主権の一部の制限

単元株制度のデメリットは株主側にもあります。その一つは、株主権の一部の制限です。株主権とは、株式を保有することによって得る権利のことです。株主権には議決権や配当権などの財産権、株主総会や株主優待などの社会権などがあります。

単元株制度を導入すると、単元株に満たない株式を保有する株主は株主権の一部または全部を行使できなくなります。具体的には、以下のような制限があります。

  • 議決権:単元株に満たない株式を保有する株主は、株主総会に出席できないため、議決権を行使できません。議決権とは、株主総会で会社の重要な事項について意見や決定を行う権利のことです。議決権を行使できないということは、会社の経営に対する発言権や影響力がないということを意味します。
  • 配当権:単元株に満たない株式を保有する株主は、配当権を行使できません。配当権とは、会社の利益の一部を株主に分配する権利のことです。配当権を行使できないということは、株式の保有に対する報酬がないということを意味します。
  • 社会権:単元株に満たない株式を保有する株主は、社会権を行使できません。社会権とは、株主総会や株主優待などの株主としての特典やサービスを受ける権利のことです。社会権を行使できないと「株主としてのメリットが少ない」ととらえる株主もいることでしょう。

単元株制度を導入することで、株主権の一部の制限を受けることがあります。株主権の一部の制限を受けると、株式の保有に対するメリットやインセンティブが低下することがあることも把握しておくことが大切です。

株主側のデメリット②:株式の売買の制限

単元株制度のもう一つのデメリットは、株式の売買の制限です。株式の売買の制限とは株式の売買において、一定の条件や手続きが必要になることです。

単元株制度を導入すると、単元株に満たない株式を保有する株主は株式の売買において、以下のような制限を受けることがあります。

  • 売買の相手方の制限
    単元未満株主は、株式の売買の相手方を会社や単元株以上の株式を保有する株主に限定されることがあります。これは、単元未満株主が増えることを防ぐためです。売買の相手方が制限されると、株式の売買の機会や選択肢が減少することがあります。

 

  • 売買の価格の制限
    単元未満株主は、株式の売買の価格を会社が定める価格に従わなければならないことがあります。これは、単元未満株式の価格が市場価格と乖離することを防ぐためです。売買の価格が制限されると、株式の売買において、適正な価格で取引できないことがあります。

 

  • 売買の手続きの制限
    単元未満株主は、株式の売買の手続きにおいて、会社に対して買取請求権や売渡請求権を行使しなければならないことがあります。これは、単元未満株式の売買を円滑にするためです。買取請求権とは、株式を会社に買い取ってもらう権利のことです。売渡請求権とは、株式を単元株以上の株式を保有する株主に売り渡してもらう権利のことです。売買の手続きが制限されると、株式の売買において、時間や費用がかかることがあります。

以上のように、単元株制度を導入することで株式売買の制限を受けることがあります。これにより、株主は株式売買の自由度が低下することになり、株式の価値や需要に応じて株式の売買を行うことに支障が出る可能性があります。

たとえば、単元株制度を導入している上場会社では、単元未満株式の買取請求権や売渡請求権を設けられますが、これらの権利は会社の裁量によって行使されるものであり、株主の意思によって行使されるものではありません。

このように、単元株制度を導入することで、株主の売買の選択肢が限られることがあります。

単元株制度に関するご質問やご相談がありましたら、ぜひ私たち「小谷野税理士法人」へお気軽にご相談ください。

単元株制度のルールと影響

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単元株制度には、以下のようなルールがあります。あわせて「考えられる影響」も解説していくため、合わせて確認してみてください。

1単元の株式数の制限

単元株制度を導入するには、「1単元の株式数」を設定しなければなりません。1単元の株式数とは、単元株を構成する株式の数のことです。たとえば、1単元が100株と設定されている場合、100株が1単元の株式数となります。

1単元の株式数は会社が自由に決められますが「1単元の株式数は、100株以下でなければならない」という一定の制限があります。これは、証券取引法第165条の2に基づいて定められています。

1単元の株式数が100株以下でなければならないということは、単元株制度を導入しても株式の売買単位が1株になることを保証するためで、1単元の株式数が100株以下であれば単元株に満たない株式も売買できます。1単元の株式数を設定するときは、この制限に注意しなければなりません。

単元株制度を導入する場合、会社は定款に単元株式数を規定する必要があります。単元株式数は会社の裁量で設定できますが、株式の流動性や株主の利益に影響を与えるため注意が必要です。

単元株式数を大きくすると株式の最低売買単位が高くなり、株式の購入が難しくなることがあります。単元株式数を小さくすると株式の最低売買単位が低くなり、株式の購入が容易になるリスクがあります。

議決権以外の権利の制限も可能

単元株制度を導入すると、会社は単元未満株主に対して議決権以外の株主権の一部を制限できます。

たとえば、配当権や社会権などの財産権や社会権も制限できます。これは、会社法第108条の2に基づいて定められています。

議決権以外の権利を制限することは、会社側にとっては株主管理コストの削減につながりますが、株主側にとっては株式の保有に対するメリットやインセンティブがさらに低下します。

議決権以外の権利を制限するときは、株主の不満や離反を招く場合もあるため、株主の利益やモチベーションを考慮しなければなりません。

参考:e-Gov法令検索|会社法 第百八条 異なる種類の株式

単元未満株式の買取請求権

単元株制度を導入すると、単元未満株主は株式の売買が制限されますが、会社法第192条に基づき、会社に対して「買取請求権」を行使できます。

買取請求権とは株式を会社に買い取ってもらう権利のことです。第三者へ単元未満株式を譲渡することが困難な場合も考えられるため、単元未満株主が投下資本の回収できるよう、買取請求権が与えられています。

単元未満株式を譲渡することで、株式の売買の機会や選択肢が増えます。

参考:e-Gov法令検索|会社法 第百九十二条 単元未満株式の買取りの請求

単元未満株主の売渡請求権

会社法第194条に基づき、株式会社は「単元未満株主が当該株式会社に対して、単元株となる数の単元未満株式の売渡請求できる旨」を定款で定められるとされています。

つまり、単元未満株主が保有する単元未満株式と会社から買い取った単元未満株式とを合わせて1単元とすることも可能です。

参考:e-Gov法令検索|会社法 第百九十四条 第三款 単元未満株主の売渡請求

単元株の設定・変更に必要な手続き

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単元株の設定や変更を行う際には、定款変更や登記申請などの手続きが必要です。ここでは、単元株の設定や変更に必要な手続きについて、簡単に説明します。

定款変更

単元株の設定や変更は定款に規定する必要があります。定款変更には株主総会の特別決議が必要で、議決権の過半数を有する株主が出席し、出席株主の3分の2以上の賛成を得なければなりません。

定款とは会社にとって重要な根本規則が定められたものですので、定款変更には「株主総会の特別決議」という株式会社で特に厳格な手続きが必要とされています。株主総会の特別決議は、株主総会が意思決定を行うための決議の中でも特に重要な事項を決定する場合に必要とされるものです。

特別決議とは、単元株式数を減少または廃止する場合には、取締役の決定(取締役会設置会社であれば取締役会の決議)で定款変更を行えますが、この場合には、株主に対して単元未満株式の買取請求権を付与する必要があります。

単元株制度をすでに設定していて、1単元の株式数を増やしたい場合にも同様の手続きが必要です。しかし、単元株制度の変更に関わる場合でも、以下の場合には「株主総会の特別決議」は不要で、「取締役の決定」のみによって行えます。

  • 単元株式数を減少させるとき(会社法第195条)
  • 単元株式数についての定款の定めを廃止するとき(会社法第195条)
  • 単元株式数を増加する場合に、単元株式数変更後の各株主の議決権数が変更前の議決権数以上であるとき(会社法第191条)
  • 単元株式数についての定款の定めを設ける定款の変更をする場合に、単元株式数変更後の各株主の議決権数が変更前の議決権数以上であるとき(会社法第191条)

以上の場合には、株主の権利制限を緩和する変更となるため、株主総会の決議によらないで、取締役の決定または取締役会の決議のみによって行えることになっています。

変更の登記申請

単元株の設定や変更を行う際には、定款変更とともに登記が必要です。登記とは、会社の設立や変更などの事項を法務局に届け出て、公示することです。登記をすることで、会社の事項が第三者に対して効力を持つようになります。

登記の申請は、定款変更の効力発生日から2週間以内に行う必要があります。登記の申請には、登記申請書や定款変更の決議書などの書類が必要で、登記手数料がかかります。

単元株の設定や変更に伴い、税務や会計処理に影響を及ぼすことがあります。その場合は、税理士に依頼することが有効です。

単元株制度に関するご質問やご相談がありましたら、ぜひ私たち「小谷野税理士法人」へお気軽にご相談ください。

単元株制度の内容や効果を正しく理解しよう

この記事では、単元株制度について、メリット・デメリットや設定・変更の手続きをわかりやすく解説しました。単元株制度は、会社の経営や株主の利益に大きな影響を与えると同時に、会社と株主の両方に影響を及ぼす重要な制度ですので、その内容や効果を正しく理解しておくことが必要です。

また、単元株の設定や変更には、定款変更や登記申請などの手続きが必要ですので、会社の担当者や税理士に相談することも有効です。

単元株制度に関するご質問やご相談がありましたら、ぜひ私たち「小谷野税理士法人」へお気軽にご相談ください。

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
税理士「今野 靖丈」

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