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飲食店の開業に必要な手続きとは?営業許可申請などを届け先別に解説

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飲食店の開業手続きイメージ

自分の店を持つことを目標としている方は多いのではないでしょうか。コーヒーとパンにこだわったカフェや健康志向の和食店、ラーメン店や蕎麦屋など、夢は広がります。しかし、飲食店を開業するためには、さまざまな準備や手続きが必要です。仮に、その準備や手続きが不十分である場合、営業できない可能性もあります。ここでは、飲食店を開業するために必要な準備と手続きを届け出先ごとにまとめ、分かりやすく解説します。

飲食店の開業手続きの提出先と期限の一覧

飲食店の開業手続きイメージ

飲食店を開業する際には、複数の準備と手続きが必要です。

その準備や手続きは、ただ単に書類を出せば終わりというわけではありません。提出してから承認されるまでに期間を要する場合や、職員による検査が必要なものもあります。

また、届出先や提出期限も手続きごとに異なっています。

そこで、ここではまず、その届出先や提出期限を分かりやすく表にまとめたものを紹介します。

準備や手続きを無視したり適当に行うと、営業できない可能性もあります。事前にきちんと手続き内容を把握してから店舗の開業を行いましょう。

届け先

届出の種類

対象

届出期限

税務署

個人事業の開業・廃業等届出(開業届)

全対象

開業日から1ヵ月以内

税務署

所得税の青色申告承認申請

青色申告の申請を行う場合

開業日から2ヵ月以内

(青色申告を予定している年の3月15日まで)

税務署

給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出

従業員を雇用する場合

開設日から1ヵ月以内(法人のみ)

保健所

飲食店営業許可申請

全対象

店舗が完成する日の10日前まで

消防署

防火対象設備使用開始届

全対象

建物の使用開始7日前まで

消防署

火を使用する設備等の設置届

火を使う設備を設置する場合

設置する7日前まで

消防署

防火管理者選任届

建物の収容人数が30人以上の場合

営業開始日まで

警察署

深夜酒類提供飲食店営業開始届出

深夜0時以降に酒類を提供する場合

営業開始日の10日前まで

年金事務所(日本年金機構・社会保険事務所)

社会保険の加入手続き

従業員を雇用する場合

雇用開始日から5日以内

公共職業安定所(ハローワーク)

雇用保険の加入手続き

従業員を雇用する場合

雇用開始日の翌日から10日以内

労働基準監督署

労災保険の加入手続き

従業員を雇用する場合

雇用開始日から10日以内

飲食店を開業するために調理師免許は必須と思われがちですが、実際には持っていなくても営業が可能です。

ただし、調理師免許はこのあと説明をする食品衛生責任者の必須要件に該当しているため、飲食店を開業する上で決して無駄になるものではありません。

国家資格であることから、保有していると店舗の社会的な信用を高められるというメリットもあります。

届け先別|飲食店に必要な開業手続き

飲食店の開業手続きイメージ

飲食店を開業するためには、必要書類の提出などを異なる場所ごとに行わなければなりません。
ここでは届出先別に、飲食店の開業で必要な手続きを紹介します。

税務署

税務署では、飲食店を営業するための開業届・青色申告承認申請・給与支払事務所等の開設届出などの手続きが行われます。

書類は、開業する飲食店や事務所の所在地を管轄する税務署へと提出します。

【個人事業の開業・廃業等届出(開業届)】

開業届は、個人事業の開業・廃業等届出が正式名称で、廃業の際にも同じ用紙が使われます。

所得税法の規定により、飲食店を営業するため個人事業主となる場合、開業届の提出が義務づけられています。

法で定められている開業届ですが、提出しなくても特に罰則は設けられていません。しかし、提出せずにいると、後述する青色申告を行えないという事態に陥ります。

開業届の提出期限は開業後1ヵ月以内ですので、忘れずに手続きを済ませましょう。

参考:A1-5 個人事業の開業届出・廃業届出等手続|国税庁

【所得税の青色申告承認申請】

青色申告は、事業所得・不動産所得・山林所得を得ている個人事業主が利用可能な確定申告方法です。

飲食店の経営は事業所得に該当するため青色申告を利用できますが、そのためには所轄の税務署にて青色申告承認申請を行う必要があります。

確定申告には青色申告と白色申告があり、青色申告のほうが白色申告よりも税制的に優遇されていることから、適用を受けることでより節税できます。

ただし、青色申告は帳簿づけが複雑であったり、事前の申請が必要であったりと、手続きに時間を要します。

また、青色申告を受けるためには、税務署へとすでに開業届を提出しているか、もしくは同時に届け出なくてはなりません。

所得税の青色申告承認申請の提出期限は、新たに事業を始めた場合、一般的には開業日から2月以内です。

一旦承認されれば、翌年以降も継続して青色申告が適用されるため、毎年申請する必要はありません。

【給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出】

給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出は、源泉所得税を支払うため手続きであり、正社員・パートタイム・アルバイトなど、雇用形態に関わらず従業員を雇った際に提出義務が発生します。

法人が従業員を雇用する場合には、この届出の提出が必須です。

一方、個人事業主が新たに飲食店を開業する場合には、この届出は基本的には不要です。開業届に「給与等の支払の状況」の記入欄があることから、別途、給与に関する支払い状況を提出する必要がないためです。

法人の場合は、従業員を雇用し、事務所を開設してから1ヵ月以内に給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出の提出を行わなければなりません。

提出期限に遅れたとしても特に罰則などは設けられていませんが、未申請の場合には、源泉所得税を適切に納めていないと判断されかねません。

その場合、税務署から追徴課税を求められるなど、本来よりも支払う税金が増える恐れがあります。

保健所

保健所で行われる飲食店の開業に関する手続きには、食品衛生責任者の設置と飲食店営業許可申請があります。

飲食店営業許可は、食品衛生責任者を設置しなければ申請が通らないために、2つの手続きは切り離せません。

まずは食品衛生責任者を設置し、それから営業許可申請を行いましょう。

【食品衛生責任者の設置】

食品衛生責任者は、飲食店を始め、コンビニやスーパーマーケットなど、食品の製造や販売を行う店舗に必要な資格です。

食品衛生責任者の資格を得るためには、次のいずれかの条件を満たしていなければなりません。

  1. 栄養士・調理師・製菓衛生師・食品衛生管理者などの有資格者
  2. 都道府県の食品衛生責任者になるための講習会、または都道府県がが適正と認める講習会の受講を修了した者
  3. 食品衛生責任者の養成講習会の受講者

食品衛生責任者になるための講習会はさまざまな場所で行われており、店舗の所在地がある都道府県以外のどこで受けても問題ありません。

新たに食品衛生責任者に就く場合は、調理師免許証や食品衛生責任者手帳などを持参し、各地域の保健所にて手続きを行います。

詳しくは各都道府県のホームページなどで確認しましょう。

ちなみに、食品衛生管理者は食品衛生責任者と言葉は似ていますが、異なる資格です。

食品衛生責任者は食品に関わる大半の店舗で必要な資格ですが、食品衛生管理者は国家資格であり、食品の製造・加工に関して、特に衛生の注意が必要な食品を製造する工場で選任されます。

参考:食品衛生責任者について|一般社団法人東京都食品衛生協会

【飲食店営業許可申請】

飲食店の開業にあたっては、保健所での飲食店営業許可の申請が法律で義務づけられています。

飲食店営業許可証を取得することで、飲食店での料理の提供や、午前0時まで酒類を販売できます。

飲食店営業許可は、店舗が完成する日の10日前までが申請が必要であり、保健所の検査に合格する必要があります。

また、食品衛生責任者の設置には特に期限が定められていませんが、飲食店営業許可申請のために必要な資格であることから、それ以前に取得しておかなくてはなりません。

万が一、飲食店営業許可を取得せずに営業すると、食品衛生法違反により罰則が課せられます。

消防署

消防署では、飲食店の開業に関し、防火対象設備使用開始届・火を使用する設備等の設置届・防火管理者選任届の3種類の手続きを行います。

ただし、飲食店の設備や規模によっては、必要な場合と不要な場合とがあります。

【防火対象設備使用開始届】

防火対象設備使用開始届は、飲食店だけに限らず、すべての全業種で必要な手続きです。

建物や建物の一部を使い始める7日前までに、必ず消防署に届け出なくてはなりません。

【火を使用する設備等の設置届】

火を使用する設備等の設置届は、名称の通り、建物に火を使う設備を設置する際に必要な手続きです。

管轄の消防署へ、設置の7日前までに届け出を行います。

原則的に、届け出をしたあとには消防署からの検査を受ける必要があります。

【防火管理者選任届】

飲食店・店舗・劇場・ホテル・病院など、不特定多数が集まる収容人数30人以上の建物では、防火管理者の選任が必要です。

これは防災管理制度に基づいたもので、その防火管理者選任届は、飲食店などの営業開始日までに消防署へと提出します。

警察署

飲食店が深夜0時以降にも酒類を提供するためには、深夜酒類提供飲食店営業開始届の手続きが必要です。

営業開始日の10日前までに、必要書類をそろえ、警察署へと届け出ましょう。

ただし、深夜酒類提供飲食店営業開始届出には、営業可能地域や営業所の構造基準など要件があるため、それを満たさなくては許可を得られません。

事前に要件を確認し、準備してから手続きに移りましょう。

もしも、届け出することなく酒類の提供を行った場合には、罰金を科される恐れがあるため注意しましょう。

参考:性風俗関連特殊営業、深夜酒類提供飲食店営業の届出 警視庁

年金事務所(日本年金機構・社会保険事務所)

開業する飲食店で従業員を雇用する場合には、社会保険の加入が必要です。社会保険は健康保険と介護保険、そして厚生年金保険の総称です。

雇用開始日から5日以内に、年金事務所にて社会保険加入の手続きを行いましょう。

また、年金事務所は、以前まで社会保険事務所と呼ばれていましたが、その後に日本年金機構へと転身し、現在の名称に変わっています。

公共職業安定所(ハローワーク)

従業員を雇用する場合は、社会保険のほかに雇用保険の加入手続きも必要です。

雇用保険は、従業員が失業した場合の生活保障や雇用促進を目的とした保険です。

雇用開始日の翌日から10日以内に、公共職業安定所(ハローワーク)に必要書類を提出しましょう。

労働基準監督署

労災保険は、従業員がケガや病気をした場合に保険を給付し、社会復帰を促す目的で設置されている保険です。

この労災保険も、社会保険や雇用保険と同様に、従業員を雇う際に必要な手続きです。

雇用開始日から5日以内に、労基署と略されることもある労働基準監督署に届け出ましょう。

飲食店の開業手続きの流れ

飲食店の開業手続きイメージ

飲食店の開業にはさまざまな手続きを要しますが、その中にはすべての業種を対象とする必須のものが4つあります。

それが、開業届の提出・食品衛生責任者の設置・飲食店営業許可申請・防火対象設備使用開始届です。

ここでは、その4つの手続きの流れを説明します。流れに合わせ、4つの手続き以外にそれぞれ必要な届け出を行ってください。

  1. 税務署で個人事業の開業届を提出する
  2. 事前に保健所に相談し食品衛生責任者を設置する
  3. 保健所で飲食店営業許可申請を行う
  4. 保健所の検査を受ける
  5. 飲食店営業許可証の交付を受ける
  6. 消防署に防火対象設備使用開始届を提出する
  7. 飲食店の営業開始

注意点として、飲食店営業許可証申請の手続きだけでも約2~3週間ほどかかることを念頭に置いておきましょう。

保健所が申請を処理するまでに10日程度、検査から許可証の交付までは5日程度を要します。

また、保健所に事前の相談をしたのち、申請書を作成するまでに数日間が必要です。

税理士のサポートで飲食店の開業手続きがスムーズに!

飲食店を開業するためには、土地や建物の購入・賃貸に始まり、設備の設置、外装や内装のデザイン、スタッフの確保など、準備が山積みです。

寝る間も惜しむ忙しさの中で、税務署や保健所を始めとした複数の施設で手続きを行うことは、負担が大きいと感じる場合もあるでしょう。

また、税などの知識を求められる手続きもあるため、必ずしもすべてがスムーズに行くとは限りません。

そんなときは負担の軽減のためにも、税など手続きの専門家である税理士を頼ってみてはいかがでしょうか。

私ども小谷野税理士法人では、開業はもちろんのこと、飲食店経営の力になれるさまざまなサポートを提供しています。

皆様からのご相談をお待ちしています。

この記事の監修者

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税理士「今野 靖丈」

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