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会社設立の基礎知識

個人事業主は廃業届をいつ出すべき?その書き方と廃業方法

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個人事業主の廃業届に関するイメージ

節税や事業の発展のため、法人化し会社を設立するなど、個人事業を廃業する理由はさまざまなものが挙げられるでしょう。どのようなケースであれ、個人事業を畳むのであれば廃業届の提出などの手続きが必要です。その廃業届とはいつ出すべきなのか、ここでは提出するタイミングや廃業届の書き方、ほかにどのような書類が必要なのかを説明します。

個人事業主は廃業届をいつ出す?適切なタイミング

個人事業主の廃業届に関するイメージ

所得金額がいくらになれば、個人事業を畳み、法人化を検討すべきなのか。廃業届の提出期限と、具体的にはいつ出せば手続きがスムーズに進むのか。個人事業主が廃業を届け出るタイミングについて、異なる3つの視点から考えてみましょう。

個人事業主を廃業し法人化する所得の目安

個人事業主の所得には所得税が課せられ、会社や企業などの法人には法人税が課せられます。所得税は5%から最大45%と、所得が高くなればなるほど税率の上がる累進課税制度が用いられています。

一方、法人税の税率は15%から23.2%と、所得税より上限が低く抑えられているため、個人事業主が法人化すると節税できる可能性があります。

法人税は、資本金1億円以下の法人であれば、所得800万円以下の部分に15%が、800万円超の部分に23.3%が課せられます。

所得税は900万円未満の税率が23%で、900万円以上になると税率は33%に上がります。

こうしたことからも、所得が800万円台に達した時点で法人化の準備をし始めることをおすすめします。

ただし、慌てて準備すると、手続きのミスや書類の記入漏れ発生のリスクが高まります。個人事業主の廃業をゆとりを持って検討するのであれば、そのタイミングはもっと早く、所得800万円に到達する前に税理士などの専門家に相談してみてはいかがでしょうか。

参考:No.2260 所得税の税率|国税庁

参考:No.5759 法人税の税率|国税庁

廃業届の提出期限は廃業日から1ヵ月

個人事業主が法人化するためには、現在の事業を一旦畳む必要があります。その際、廃業届の提出が必要です。事業を廃止した年月日や理由などを記載し、国と都道府県の両方に提出します。

廃業届の提出期限は、廃業した日から数えて1か月以内であり、事業の拠点を管轄する税務署と都道府県税事務所に廃業届を提出し、現在の業務に関わる納税義務や徴収義務がなくなったことを報告します。

年度末を廃業日にすると手続きがスムーズ

廃業届を提出するにあたり注意したいのが、廃業した年の所得も確定申告が必要という点です。廃業してすぐに事業所得の申告が不要になるわけではないので注意しましょう。

また、この確定申告があることから、廃業する理由や事業の状況にもよりますが、廃業日を12月31日に近づけることでスムーズに手続きを行えます。

個人事業の事業年度は1月1日から12月31日までと定められています。そのため、この事業年度に合わせたタイミングで廃業することで、確定申告などの書類作成の負担も軽減できます。

個人事業主が廃業届を出すときの書き方

個人事業主の廃業届に関するイメージ

個人事業を畳む際には、事業の拠点を管轄する税務署と、都道府県税事務所に廃業を報告するため、まず廃業届を用意しましょう。廃業届の用紙は、開業届の用紙を兼ねており、正式名称は「個人事業の開業・廃業等届出書」と言います。

税務署に提出する用紙は国税庁のサイトからダウンロードでき、郵送や窓口への持参のほか、e-Taxからの提出も可能です。廃業届には、用紙の上方に納税地・氏名・生年月日・職業・屋号の記入項目があります。項目の個人番号の欄には、マイナンバーを書き入れます。

次に、用紙の中央にある届出の区分では、廃業に印をつけ、その理由を記載します。さらに該当する所得の種類に印をつけたあと、複数の事業を行っているのであれば、廃業するのが全部か一部かを選択します。

廃業した日付を記入し、廃業後に会社を設立する際には設立法人名・代表者名・法人納税地の記載が必要です。

最後に、開業・廃業に伴う届出書の提出の有無があれば、この欄にも印を書き加えましょう。

参考:A1-5 個人事業の開業届出・廃業届出等手続|国税庁

個人事業主の廃業手続きに関する提出書類について

個人事業主が事業を畳む際には、廃業届だけでなく、ほかにもさまざまな書類の提出が必要です。各書類の概要と提出先を紹介します。

所得税の青色申告の取りやめ届出書

個人事業主として青色申告を行っていた場合は、事業を畳む際に「所得税の青色申告の取りやめ届出書」を所轄の税務署に提出するといいでしょう。

上記は、名称の通り、青色申告の停止手続きのための書類です。提出期限は青色申告をやめる年の翌年3月15日までです。

廃業届はあくまで廃業したという事実を通知するためのものです。青色申告を停止するための書類ではないため、別途提出が必要です。

廃業届と同時に「所得税の青色申告の取りやめ届出書」を税務署に届ければ、何度も足を運ぶ必要がなくなります。結果的に、手続きの手間を軽減できるでしょう。

また、書類では青色申告を停止する理由の記載が求められています。一般的には事業の廃業と記しますが、法人化する場合は会社設立を理由としても問題ありません。

事業廃止届出書

廃業した後、消費税の課税事業者だった場合は、事業廃止届出書を所轄の税務署に提出します。

事業廃止届出書は消費税に関わる届出であり、名称の似ている廃業届とは異なるため混同しないよう注意しましょう。

また、所得税と同じく、廃業した年の消費税にも申告義務があります。

所得税及び復興特別所得税の予定納税額の減額申請書

予定納税の義務がある個人事業主は、事業を畳む際に所轄の税務署へと、所得税及び復興特別所得税の予定納税額の減額申請書を提出できます。予定納税額の減額や免除の適用を受けることが可能です。

減額申請書を提出しない場合には、事業を行っているときと同じように予定納税が発生してしまいます。また、この減額申請書とともに、申告納税見積額の計算の根拠を書類として提出する方法もあります。

所得税及び復興特別所得税の予定納税額の減額申請書には、第1期分と第2期分とに提出期限が分かれています。第1期分と第2期分は、その年の7月1日~15日までの間で、第2期分のみの提出期限はその年の11月1日~15日までです。

参考:A1-3 所得税及び復興特別所得税の予定納税額の減額申請手続|国税庁

給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出書

従業員を雇用し、給与を支払っていた場合、その個人事業主は廃業から1ヵ月以内に「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書」を管轄の税務署へ提出する必要があります。

これは源泉徴収の手続きであり、事業を行っていた間に給与から天引きした源泉所得税を、廃業日の翌月10日までに納付しなければなりません。

事業開始(廃止)等申告書

事業開始(廃止)等申告書も、廃業届と似た名称で紛らわしいですが、それぞれは別の申告書です。

廃業届が所得税に関わる書類であるのに対し、事業開始(廃止)等申告書は個人事業税に関わります。

個人事業税を納める管轄の都道府県税事務所へと、事業を畳んだ日から10日以内に届け出ましょう。

提出期限は都道府県によって異なるため、事前に確認するといいでしょう。

個人事業主の廃業に関するQ&A

個人事業主の廃業届に関するイメージ

個人事業をやめる際の状況はさまざまで、ときには複数の選択肢が浮かぶこともあるでしょう。ここでは個人事業の廃業に関する疑問点にお答えします。

廃業ではなく休業したい場合は?

開業届や廃業届が存在する一方で、所得税に関する手続きに休業届というものはありません。個人事業主に関しては、休業そのものの概念がないためです。

実際に休業状態であったしても、その後に事業を再開する予定があるのであれば、廃業届の提出は不要です。仮に廃業届を提出してしまうと、事業を再開する際に開業届の提出など、複数の手続きを行う必要があります。

もし廃業届を出さなかったら?

廃業届を適切に提出しなかった場合、本来支払う義務のない税金まで課せられる可能性があります。

廃業届を受け取っていない税務署は、まだ事業が継続しているものと判断し課税を行います。

さらには、納税者が課税の通知に応じないでいると、税務署から指摘を受けたり、追徴課税の発生や税務調査の実行といったリスクがあります。

実は、廃業届の未提出には、法律上の罰則は設けられていません。とはいえ、廃業届の提出を怠ったり無視していると、税制上の問題が生じる場合があるため注意しましょう。

個人事業の廃業届を出す前にまずは税理士に相談を

ここまで説明してきた通り、個人事業の廃業には廃業届を始め、複数の提出書類と手続きが存在します。

また、それらの書類も、必ずしも節税に都合の良いタイミングで提出できるとは限らず、事業の状況や廃業日によってはケースバイケースの場合もあります。

そのような日程の調整も含め、個人事業の廃業と、さらにその先の会社設立を考えているのであれば、まずは事前に税理士などの専門家に相談をすることをおすすめします。

私ども小谷野税理士法人でも、会社設立に対するさまざまなお悩みに、一貫した体制で対応しています。

その事業や会社の状況へと、柔軟な姿勢で応じていますので、お気軽に問い合わせください。

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。

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