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社員旅行は福利厚生費として認められる?計上できる条件や注意が必要なケースを解説!

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社員旅行における福利厚生のイメージ

近年、コロナ禍に伴い減っていた「社員同士のコミュニケーション」を深めるために、企業が社員旅行を活用するケースが増えています。しかし、社員旅行を福利厚生費として経費計上するには条件や注意点がありますので、しっかりと把握しておくことが大切です。この記事では、社員旅行を福利厚生費として経費計上するための条件やポイントについて解説します。節税対策や従業員への労いとして社員旅行の導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

社員旅行は経費として認められる?

社員旅行における福利厚生のイメージ

従業員のモチベーション向上やチームビルディングの一環として、多くの企業が導入している社員旅行は、福利厚生費として経費処理が可能な場合があります。計上できる範囲や条件について確認しておくことで、節税対策として活用することも可能です。

社員旅行は「福利厚生費」として経費処理が可能

従業員に提供する福利厚生の一環として、社員旅行を取り入れている企業も多いでしょう。社員旅行は、従業員のモチベーション向上やチームワークの促進、社員間のコミュニケーションの活性化につながるだけでなく、節税対策としても有効です。

企業における社員旅行は、一定の条件を満たす場合に限り「福利厚生費」として経理処理できます。福利厚生費は、従業員に対する非金銭的な給付の一つで、給与や賞与とは税務上の扱いが異なるものです。

社員旅行を福利厚生費として処理する際には、全従業員を対象としていること、原則として4泊5日以内で一人当たりの旅費が高額になり過ぎないことなど、さまざまな条件があります。

社員旅行は従業員の満足度を高め、企業文化を豊かにするための有効な手段であり、適切に管理されれば、福利厚生費として経費処理が認められます。これにより、企業は税務上のメリットを得ながら、従業員の満足度を向上させることも期待できるのです。

参考:国税庁|No.2603 従業員レクリエーション旅行や研修旅行

社員旅行で計上できる費用

社員旅行に関連する費用のうち、福利厚生費として計上できる費用は、宿泊費や交通費、飲食代などが該当します。社員の福利厚生を目的としたものであれば、経費計上が可能なため、企業にとってメリットがあると言えるでしょう。

具体的には、宿泊費にはホテルや旅館での宿泊にかかる費用が含まれ、交通費には移動手段に関わる費用、例えば電車やバス、飛行機のチケット代が含まれます。飲食代は、旅行中に発生する食事の費用のことで、ディナーや昼食会なども含まれることが一般的です。また、旅行先が海外の場合は、従業員のパスポート取得にかかる費用も福利厚生費として計上できる場合があります。

社員旅行にかかる費用を福利厚生費として計上する際には、領収書などの書類を保管しておく必要があります。また、「パスポートの取得費も会社で負担する」などの旨を就業規則に明記することで、従業員に周知できるとともに、経費として計上できます。

福利厚生費は原則として非課税

社員旅行が福利厚生費として認められる場合、その費用は原則として非課税です。これは、企業が社員に対して提供する福利厚生が、給与や賞与とは異なり、直接的な報酬ではないためです。福利厚生費は、社員の仕事の効率向上や健康維持を目的としたものであり、これによって社員の生活の質が向上します。

税法上、福利厚生費には一定の基準があり、これに従って適切に管理された費用は非課税となる可能性があります。非課税の対象となる福利厚生費は、社員一人ひとりにとっての追加的な所得とは見なされず、個人の所得税の対象外となるのです。企業にとっても、福利厚生費を非課税で処理することは、税負担を軽減できるため、経済的なメリットを得られるでしょう。

社員旅行の費用を福利厚生費とする条件

社員旅行における福利厚生のイメージ

社員旅行に関する費用を福利厚生費として計上するには、一定の条件を満たす必要があります。ここでは、以下の5つの条件について詳しく解説します。

旅行期間が4泊5日以内であること

社員旅行を福利厚生費として計上する際、国内旅行であれば4泊5日以内(移動中の宿泊含む)である必要があります。これは、長期にわたる旅行が福利厚生の範囲を超える恐れがあるためです。

海外旅行に関しては、移動中の機内での宿泊は含まれないため、実際に現地で過ごす日数が4泊5日以内であれば福利厚生費として認められるでしょう。

4泊5日を超える旅行は、税務上の福利厚生としての扱いが認められない可能性があるため、計画を立てる際は注意が必要です。

全従業員を対象とし、その半数以上が参加すること

社員旅行が全従業員を対象にしていること、そのうち50%以上が実際に参加することも条件の一つです。これは、特定のグループだけが恩恵を受けることを防ぎ、公平性を保つためです。

とはいえ、リモートワークが普及している現代では、全員の参加を得ることが難しい場合もあるでしょう。そのような特殊な事情がある場合、旅行参加者が全従業員の50%未満であっても、経費として認められるケースも存在します。例えば、3泊4日で旅行費用が15万円(内使用者負担7万円)のケースにおいて、参加割合が38%であったにもかかわらず、経費として認められることが国税庁のホームページ上で明記されています。

ただし、原則として参加割合は50%以上が条件となるため、特別な事情があって参加割合が条件に満たないときには税理士などの専門家に相談されることをおすすめします。

参考:国税庁|従業員の参加割合が50%未満である従業員レクリエーション旅行

一人当たりの旅費が10万円を大きく超えない

社員旅行の一人当たりの旅費は、10万円が目安です。これは、旅行中の過度な贅沢を防ぎ、福利厚生としての適正な範囲内に収めるためです。

具体的な会社負担費用の上限は法律で定められておらず、「常識的な範囲内」とされています。国税庁のホームページ上の事例では、一人あたりの会社負担額が10万円の場合は非課税と判断されています。一人あたり10万円を超える場合は、税務上の問題が生じる可能性があるため、予算計画には注意が必要です。

参考:No.2603 従業員レクリエーション旅行や研修旅行|国税庁

不参加者に旅費の代わりとする金銭を支給しない

社員旅行に参加しない従業員に対して、旅費相当の金銭を支給することは避けるべきです。これは、福利厚生としての社員旅行の趣旨から外れ、給与の一部と見なされるリスクがあるためです。

福利厚生は全員が平等に享受できるものでなければならず、不参加者に別途金銭を支給することはその原則に反します。

従業員以外の参加費用は会社が負担しない

社員旅行の際、従業員以外の家族や友人などの参加費用を会社が負担した場合、その費用は福利厚生費として計上できません。これは、福利厚生が従業員個人に対して提供されるべきものであり、その範囲を超える支出は税務上の福利厚生費とは認められないためです。

従業員以外の参加者がいる場合、その費用は個人が負担するか、従業員が自己負担する形で支払う必要があります。

社員旅行と研修・視察旅行との税務上の違い

社員旅行における福利厚生のイメージ

社員旅行は、業務と直接関係のない行事として実施されるものであり、社員の福利厚生を目的としています。これに対し、研修旅行や視察旅行は業務上必要な活動として行われ、その性質上、税務上の扱いが異なります。

社員旅行の税務上の扱い

社員旅行は、従業員のモチベーション向上やチームビルディングを図るための非業務的な活動です。このため、経費として計上する際には「福利厚生費」として扱われ、本記事で触れた一定の条件を満たす必要があります。

また、社員旅行の費用は、従業員の家族や取引先など、従業員以外の人々の費用を含めてはならず、不参加者に対する金銭的な補償も認められません。

研修旅行・視察旅行の税務上の扱い

研修旅行や視察旅行は、新しいスキルの習得や業務知識の向上、他社や施設の視察を目的としており、これらは業務の一環として必要な経費として計上されます。

研修や視察にかかる費用は、業務上の必要性が認められれば、「旅費交通費」として全額会社が負担することが可能です。これらの旅行は、従業員のスキルアップや業務効率の向上に直接つながるため、福利厚生費とは異なり、税務上の優遇措置を受けられます。

条件を満たせば「研究開発税制」における税額控除の対象とすることもできます。法人税額から試験研究費の25%までを控除でき、大きな節税効果が得られる場合があります。

参考:経済産業省|研究開発税制について

ワーケーションの税務上の扱い

最近では「ワーケーション」という新しい形式の社員旅行が注目されています。ワーケーションとは、仕事(ワーク)と休暇(バケーション)を組み合わせた言葉で、従業員が好きな場所でリモートワークをしながら、旅行やレジャーを楽しむことです。ワーケーションは、従業員のワークライフバランスや創造性を高めるだけでなく、業務の効率化やコスト削減にも貢献するといわれています。

ワーケーションは、法人が従業員に対して旅費や宿泊費などの補助を行うことで、社員旅行やレクレーションと同様に、経費として計上できる場合があります。しかし、ワーケーションにも、税法上の一定の条件があり、業務と関係のない場所や期間に行うことはできません。

ワーケーション補助金についての詳細は、以下の関連記事を参考にしてください。

関連記事:ワーケーション補助金の活用法とは?地域振興と働き方改革をサポートする最新情報をご紹介

参考:観光庁 国土交通省|税務処理の考え方について

旅行の目的によって税務上の扱いが異なる

税務上の違いは、旅行の目的と業務との関連性によって決まります。社員旅行が福利厚生としての性質を持つのに対し、研修や視察旅行は業務の効率化や知識の獲得という明確な業務目的を持っています。したがって、会社において旅行を経費計上する際には、目的と内容を明確にし、税務の面で適切に扱うことが重要です。

一度の旅行で社員旅行と研修旅行を兼ねている場合、税務上の扱いはさらに複雑です。このような場合、旅行の目的が明確に区分されている必要があり、それぞれの目的に応じた経費の割合を適切に計算し、分けて計上する必要があります。例えば、研修のための時間と費用は「旅費交通費」として、純粋なレクリエーションのための部分は「福利厚生費」として計上します。

社員旅行が福利厚生費と認められないケース

条件を満たさない場合、社員旅行が福利厚生費として認められず、課税対象となる可能性が高まります。特に、以下の6つのケースに注意しましょう。

旅行期間が1週間以上

福利厚生費として認められる社員旅行は、4泊5日以内の範囲に限定されています。1週間以上の長期にわたる大型旅行は、余暇活動の範囲を超え、私的な休暇と見なされるため、福利厚生費としての計上が認められません。これは、会社の費用で個人の長期休暇を賄うことを防ぐためです。

豪華すぎる高額旅行

福利厚生費として認められる旅行費用は、一人当たり「10万円前後」が目安です。過度に豪華で高額な旅行は、福利厚生の範囲を超えると見なされ、税務上の問題を引き起こす可能性があります。このような旅行は、会社の経費として不適切と判断されることが多いでしょう。

役員だけで行く旅行

役員のみが参加する旅行は、全従業員が対象の福利厚生とは認められず、特定の個人に対する利益供与と見なされます。福利厚生費としての計上は、全従業員が享受可能なものでなければならないため、役員限定の旅行にかかる費用は、福利厚生費として認められません。

取引先に対する接待旅行

取引先を招待する接待旅行は、福利厚生とは異なるカテゴリーに属します。これは、従業員の福利厚生ではなく、ビジネス上の接待や営業活動として扱われるため、福利厚生費としては計上できません。

私的旅行の要素が強い旅行

社員旅行が個人の趣味や娯楽に重点を置いた内容である場合、福利厚生費としての認定は難しくなります。旅行内容が私的な要素が強いと判断されると、税務上の福利厚生としての扱いを受けられません。例えば、結婚式や家族のイベントに参加するための旅行など、個人的な理由や目的で選ばれた目的地への旅行は、私的旅行の要素が強いと考えられます。

不参加者に金銭を支給する場合

社員旅行に不参加の従業員に対して旅費相当の金銭を支給する場合、これは福利厚生費としての計上が認められません。福利厚生は、実際に提供されるサービスや活動に基づくものでなければならず、金銭的な代替は許されないためです。

社員旅行を福利厚生費として経費計上するポイント

社員旅行の費用を福利厚生費として経費計上する際、証拠書類を保管しておくことや、就業規則に社員旅行についての要件を明記しておくことが重要です。ここでは、それぞれのポイントについて詳しく解説します。

証拠書類を保管しておく

社員旅行を福利厚生費として経費計上する際には、証拠書類の保管が重要です。例えば、以下のものが有効です。

  • 参加者一覧のリスト
  • 旅行のしおり(スケジュールや活動内容が分かるもの)
  • 旅行中に利用した領収書
  • 集合写真 など

これらの書類は、旅行が全従業員に開かれた福利厚生活動であったこと、そして経費が適切に使用されたことを証明するために必要です。税務調査時にこれらの書類を提示できるように、適切に整理し保管しましょう。

就業規則に明記する

福利厚生としての社員旅行を経費計上するためには、就業規則にその旨を明記することが必要です。具体的には「全社員を対象としていること」「福利厚生として定期的に実施するものであること」などの条件を記載しましょう

さらに、企業ごとに異なる対応が必要な事項についても、事前に全社員が把握できるように規則に盛り込むことが大切です。例えば、海外の社員旅行に参加するにあたり、パスポートが必要な場合、その取得費用を会社が負担するかどうかは企業の方針によります。このような費用の負担に関する規定は企業によって異なりますが、「会社がその費用を負担する」と定めていれば、福利厚生費の一部として計上することが可能です。

就業規則に社員旅行についての定めを記載することにより、社員旅行が会社の公式な福利厚生プログラムの一部であることを明確にできます。条件である「社員全員に向けた旅行であること」の条件を満たしやすくなり、税務上の問題を未然に防ぐことにつながります。

社員旅行を福利厚生費として適切に計上しよう

この記事では、社員旅行における福利厚生費としての計上のポイントについて、具体的な例とともに詳しく解説しました。福利厚生費を活用した節税は、企業にとって大きなメリットをもたらします。福利厚生費を最大限に活用し、従業員の満足度を高めながら、企業の経済的な利益を確保しましょう。

通常、社員旅行の費用は「福利厚生費」として経費に計上できます。ただし、この処理は一定の条件に基づくため、すべてのケースで自動的に経費として認められるわけではありません。

社員旅行にかかる費用は、個別のケースで税務上の扱いが異なる場合があります。社員旅行の正しい計上に不安がある方や、福利厚生費の節税効果についてさらに詳しく知りたい方は、私たち「小谷野税理士法人」が全力でサポートしますので、ぜひお気軽にご相談ください。

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。

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