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会社設立の基礎知識

スクイーズアウトとは?手法やメリット・デメリット、流れについて解説

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中小企業の事業承継イメージ

スクイーズアウトとは、少数株主を排除して企業の完全支配を目指すプロセスです。日本語で「締め出し」を意味する通り、100%の株式所有を実現し、企業の意思決定を迅速化する上で有効な手段です。ただし、実行する際には、プロセスや留意点をしっかり理解した上で、適切に進めることが求められます。本記事では、スクイーズアウトとは何か見ていきましょう。

スクイーズアウトとは

スクイーズアウトは、多数派の株主が少数株主を排除し、完全子会社化することを目的に行う株式取引の一種です。企業買収や再編の一環として実施されることが多く、特に経営方針や組織再編を迅速に進めたい企業にとって有効な手段といえるでしょう。

具体的な手法としては、株式買取請求権の行使や株式併合、株式交換などがあります。これらの手法を通じて少数株主の保有株式を強制的に買収し、最終的に完全子会社化を実現可能です。

一方、少数株主の立場からすると、強制的に株式売却を求められることを意味します。そのため、場合によっては不満につながり、訴訟などのトラブルに発展することもあるので注意しなければなりません。

スクイーズアウトを検討する際には、法的手続きの遵守と少数株主への適切な対応が必要であり、慎重な計画と実行が求められます。

スクイーズアウトの目的

中小企業の事業継承のイメージ

スクイーズアウトは、少数株主を排除することで、意思決定を迅速かつ効率的に行うことを可能にします。ここでは、その主な目的について詳しく説明します。

持ち株比率を100%にする

スクイーズアウトの主な目的のひとつは、持ち株比率を100%にすることです。買収企業は完全な支配権を獲得し、資産運用や組織再編、事業戦略の策定などをより円滑に行えるようになります。上場廃止や非公開化を進める際にもスムーズに実行可能です。

少数株主を排除する

スクイーズアウトのもうひとつの重要な目的は、少数株主を排除することです。少数株主が存在すると、企業の意思決定が遅れる場合があります。

また、少数株主は企業の方針や戦略に対して異なる意見を持つことが多く、これが企業全体の統一性を損なう可能性があります。スクイーズアウトによって少数株主を排除すれば、企業は一元的な意思決定を行い、迅速かつ効率的に経営戦略を実現可能です。

意思決定の迅速化

少数株主がいると、株主総会や取締役会での決議に多くの調整が必要となり、迅速な意思決定が難しい場合があります。しかし、スクイーズアウトを実施することで、企業は効率的な意思決定が可能になります。

スクイーズアウトのメリット

スクイーズアウトは、大株主が少数株主を排除して完全子会社化を進める手法です。迅速な意思決定が可能になる、長期的な視点で経営戦略を策定しやすくなるなどのメリットがあります。

意思決定が迅速になる

少数株主を排除することにより、株主間の合意形成が迅速になり、重要な経営戦略や方針の決定がスムーズになります。少数株主の反対や異議申し立てを避けられるため、特に、大規模なプロジェクトや投資案件についても迅速な実行も可能です。

また、スクイーズアウトは企業の資本効率を向上させ、長期的な成長戦略の実行に寄与するため、投資家にとってもメリットがあります。

長期的な経営が可能

スクイーズアウトにより少数株主がいなくなることで、大株主や経営陣は長期的視点で経営戦略を策定しやすくなるメリットがあります。

さらに、スクイーズアウトは外部からの敵対的買収を防ぐ強力な手段となり、一貫した経営方針を維持しやすいのも特徴です。結果として、企業価値の向上と安定した経営の双方を追求することにつながります。

スクイーズアウトのデメリット

スクイーズアウトとは、少数株主の株式を強制的に買い取ることで企業の完全支配を実現する方法です。しかし、スクイーズアウトにはいくつかのデメリットがあります。

対価の支払いが高額になる

スクイーズアウトを実施する際は、少数株主に対して正当な対価の支払いが求められます。この対価は市場価格や公正な評価額に基づいて算定されるため、一般的に高額になることが多いです。

特に対象企業の業績が好調で、成長性が高いと評価される場合、その対価はさらに増加します。買収企業は多額の資金流出を余儀なくされ、重い財務負担がのしかかる場合もあるでしょう。

慎重に資金調達計画を立案し、キャッシュフローを適切に管理することが求められます。

裁判に発展するリスク

スクイーズアウトによって強制的に株式を買い取られることに対し、少数株主が不満を抱くケースも少なくありません。

特に、少数株主が対価や手続きの公正性に異議を唱えた場合には、裁判に発展するリスクが高まります。裁判になった場合、法的手続きや弁護士費用が必要となるだけでなく、訴訟期間中の不確実性が企業にとって大きな負担となる可能性もあるでしょう。

結果として、企業の信頼性や評判を損なうことにもつながるため、事前に慎重な対策を講じなければなりません。

スクイーズアウトの手法

スクイーズアウトとは、一部の株主から株式を強制取得し、その企業を完全子会社化する方法です。ここでは、スクイーズアウトの手法について説明します。

株式等売渡請求

株式等売渡請求は、会社が90%以上の株式を保有している場合、少数株主から強制的に株式を取得できる方法です。

まず、株主総会で議決権を行使できる株主の過半数が出席し、出席した株主の3分の2以上の賛成が求められる「特別決議」を行い、売渡請求の承認を得る必要があります。その後、売渡請求を受けた少数株主は、公正な価格で株式を売却する義務があります。

参考:​​​​​​会社法第179条|e-GOV

株式併合

株式併合は、複数の既存株式を1株にまとめる手法で、企業の株式構成を整理するために用いられます。企業が設定する合併比率によって実施され、これにより少数株主の保有株式が端数となり、その端数株の買取請求が発生します。

全部取得条項付種類株式を用いる

全部取得条項付種類株式とは、特定の条件下で強制的に取得できる株式のことを言います。具体的な流れとしては、まず種類株式を発行し、その株式に全部取得条項を付与し、定められた条件が満たされた際に、会社が当該株式を全て取得します。

参考:​​​​​​会社法第171条|e-GOV

株式交換

株式交換は、被取得会社の全株式を取得会社が取得し、被取得会社を完全子会社とする方法です。

具体的な流れとしては、まず株式交換契約を締結し、株主総会での承認を得ます。次に、少数株主に対して適正な価格で株式を買い取る、あるいは取得会社の株式を交付する手続きを行います。

参考:​​​​​​会社法第767条|e-GOV

スクイーズアウトのやり方と流れ

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ここまで見てきた通り、スクイーズアウトは、企業が少数株主を排除して全株式を保有するための手法です。次に、具体的なステップと流れについて説明します。

株式等売渡請求のやり方と流れ

前項で説明したように、株式等売渡請求は、企業が完全支配を目指して少数株主から強制的に株式を取得する方法です。以下に具体的な手順を示します。

  1. 株式取得割合を確認する
  2. 少数株主に売渡請求通知を送付する
  3. 少数株主から株式を買い取る

上記の手段により、少数株主から株式を買い取り、持ち株比率を100%にします。

株式併合のやり方と流れ

株式併合は、既存の株式を再編し、少数株主の持ち株をほとんど価値のない形にするスクイーズアウトの手法の一つです。具体的な手順としては以下のように進めます。

  1. 株式併合の実行について決議する
  2. 株式併合の内容や実施日時を知らせる
  3. 株式併合の端株を会社が買い取る

なお、併合後に生じた端株は会社が買い取り、少数株主にはその代金が支払われます。

全部取得条項付種類株式のやり方と流れ

全部取得条項付種類株式の発行は、特定の株式を完全に買い取るために用いられます。以下のような流れで進めます。

  1. 全部取得条項付種類株式の発行を決定する
  2. 株主総会で特別決議を行う
  3. 新株発行の通知・公告を行う
  4. 指定された株式を取得する

最終的には、全部取得条項に基づいて指定された株式を完全に取得し、少数株主に代金を支払います。

株式交換のやり方と流れ

株式交換は、少数株主を排除する手法の一つで、他社と株式を交換することで実行されます。具体的な手法と流れは以下の通りです。

  1. 交換対象の株式の内容や条件を決定する
  2. 双方の会社で株主総会を開催する
  3. 株主に通知を行う
  4. 株式交換を実施する

指定された日時に株式交換を実施し、相手会社の株式を取得します。既存の少数株主には新会社の株式を割り当てる形で手続きが完了します。

まとめ

スクイーズアウトは、企業経営者や投資家にとって、経営を効率化する上で有効な手段の一つと言えます。目的やメリット・デメリット、具体的な手法について深く理解し、適切なステップで手続きを進めていくことが大切です。

スクイーズアウトには複数の方法があるので、どの方法で行っていくかの判断やそもそもスクイーズアウトを行うべきかを判断しなければなりません。経営陣のみで判断することが難しい場合は、専門家への相談も検討しましょう。

経営についてのお困りごとやご相談は、ぜひ「小谷野税理士法人」までお気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。

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