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会社設立の基礎知識

廃業の手続きと費用、廃業後の確定申告について

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開業・廃業届

法人が事業を廃業をする際には、開業届の時と同様にさまざまな手続きをする必要があります。本記事では廃業時の手続きとそれにかかる費用、またその年の確定申告のやり方についてご紹介しています。あわせて廃業における注意点についても解説しているので、もし何らかの事情で廃業をすることになった場合には参考にしてください。

廃業とは

事業廃止届出書

廃業とは、会社や個人が行っていた事業を自らの意思でやめることを指します。大企業よりも、事業規模の小さい中小企業の廃業割合が多い傾向があります。

廃業の理由としてはさまざまな理由が考えられますが、特に中小企業の場合は、業績の低迷や事業の将来性の不安などにより廃業に至るケースが多いようです。

解散との違い

解散とは廃業する流れの一部にあたるもので、会社の事業を停止する手続きを指します。

廃業する際、個人事業主の場合は廃業届や事業廃止の届け出を出すだけでよいのですが、法人の場合は必ず解散手続きをしなければなりません。廃業をすることにより、株主や債権者などに影響が及ぶため、株主総会にて解散の承認や株主への解散通知を行う必要があります。

倒産や破産との違い

廃業や解散と似た言葉に「倒産」「破産」がありますが、それぞれの持つ意味は全く異なります。

一般的に、倒産とは資金不足などが原因で事業の継続が難しくなった状態のことを指します。法人や個人自らの意思で行うのではなく、弁済ができなくなり事業活動が行えなくなった状態のことです。

そして、破産とは倒産状態になった法人が清算のために行う法的な手続きのことを指します。

破産となった場合は、破産法に従い保有財産を債権者に公平に分配するための手続きが必要になります。

倒産と破産はどちらも事業活動が行えなくなった状態ですが、倒産する会社が破産しているとは限りません。

休眠とは

会社における休眠とは事業活動を長期間停止することです。法人の場合、役員の重任登記のため、10年に1度は必ず登記の更新が必要になります。しかし、最後の登記から12年を経過すると休眠会社になります。そうなると消費税や法人税、法人住民税の均等割の免除や、解散・精算時のコストが不要になるため、解散ではなく休眠というかたちをとる会社も少なくありません。

ただし休眠会社になると、役員変更等の申請や事業を廃止していない旨の届け出をしない限り「みなし解散」となってしまう点には注意が必要です。

廃業にかかる費用

法人が廃業する場合、以下のような費用が発生します。

  • 解散費用
  • 官報公告料
  • 在庫処分費用
  • 原状回復費用
  • 専門家への依頼料

以下よりそれぞれ詳しく解説します。

解散費用

会社が解散した場合、解散後2週間以内に解散登記をする必要があります。

法人が解散登記をする際は、登録免許税として3万円がかかります。また、会社解散後の清算手続きを行う清算人の登記もしなければなりません。

清算人には、原則として取締役か株主総会の決議により選任された者が任命されます。

清算人の選任登記にかかる費用は、登録免許税として9,000円がかかります。加えて、清算結了時に必要な清算結了登記には、登録免許税として2,000円がかかります。

官報公告料

解散後にはその事実をすみやかに債権者に伝えるため、官報公告をする必要があります。

公告にかかる費用は1行につき3,589円です。解散公告の目安は9~11行程度であるため、官報公告料として合計で3万円強から4万円弱程度の費用がかかることになります。

在庫処分費用

在庫の量が多ければ多いほど確定申告による税負担が大きくなるため、廃業にあたっては在庫をまとめて処分するのが一般的です。

しかし大量の在庫を一度に売り切るのは難しく、やむを得ず仕入れ価格より安い値で売らざるを得ない場合もあるでしょう。また、自社のみで全在庫を処分するのが難しい場合は処分業者に依頼することになり、その分の手数料も加算されます。

原状回復費用

物件を借りて事業を行っていた場合は、廃業に伴い物件を原状回復させる必要があります。内装や造作設備がある場合はすべて撤去し、元の状態に戻さなければなりません。

費用相場は、坪あたり数万~10万円ほどが目安とされています。ただし、元の設備位置を大きく変えていたりする場合、相場よりも多く費用がかかる可能性もあります。

専門家への依頼料

清算手続きを税理士や公認会計士などの専門家に依頼すると、別途専門家への依頼費用が発生します。事業規模にもよりますが、相場はおよそ数十万円程度となっています。

廃業手続きの流れ

社印を押印をするイメージ

廃業手続きは、一般的に以下の流れで行われます。

  1. 営業終了日を決める
  2. 株主総会で解散決議を行う
  3. 解散登記、清算人選任登記を行う
  4. 財産目録・貸借対照表を作成する
  5. 廃業の届け出を行う
  6. 官報で解散の公告を行う
  7. 清算人による清算をする
  8. 解散確定申告と清算確定申告を行う
  9. 株主総会で清算確定申告の承認を得る
  10. 法務局で清算結了登記を行う

以下よりそれぞれの手続きについて詳しく解説します。

営業終了日を決める

まずは会社の営業終了日を決定します。廃業にはさまざまな準備や手続きが必要になるため、数ヵ月先を営業終了日とするのが一般的です。

営業終了日が確定次第、取引先などに書面で廃業する旨を伝えましょう。あわせて、従業員への通知も行います。廃業により従業員は強制的に解雇となってしまうため、余裕を持って次の雇用先探しができるよう、できる限り早い段階での通知を心がけましょう。

株主総会で解散決議を行う

株主総会の解散決議では、株主の過半数が出席した上で、3分の2以上の賛成を得る必要があります。清算人を定めていない場合は清算人の選定も行います。もし清算人が不在の場合は、裁判所が選出する仕組みとなっています。

解散登記、清算人選任登記を行う

株主総会で解散決議を得たら、2週間以内に解散登記および清算人選任登記を行わなければいけません。どちらの手続きも清算人が担い、解散登記は、登記申請書や株主総会の議事録などを提出した上で登録免許税を支払います。清算人選任登記も解散登記と同じタイミングで行えば手間を省くことができます。

財産目録・貸借対照表を作成する

清算人は、会社解散時の財産目録および貸借対照表を作成する必要があります。

財務目録に記載する資産は、帳簿価額ではなく処分価格で計上する必要があります。作成を終えたら残りの財産を株主が把握できるよう、株主総会の承認を得ます。

廃業の届け出を行う

上記までの流れを終えたら、管轄税務署や市町村役場に廃業の届出をします。

従業員の解雇を伴う場合は、あわせて労働局や社会保険事務所への届出をする必要があります。

官報で解散の公告を行う

廃業の届出が済んだら、会社法の定めにより官報で解散公告を行います。

もし、個別で把握している債権者がいる場合は、それぞれの債権者に対しても通知をしなければなりません。2ヵ月以内に債権を申し出なければ、清算の対象とはならない旨も忘れずに記載します。

清算人による清算を行う

清算人によって会社に残っている財産を調べ清算を行います。債権回収と債務弁済を行った上で残った財産は株主へ分配します。

解散確定申告と清算確定申告を行う

解散確定申告は、解散日翌日から2ヵ月以内に行う必要があります。確定申告の対象期間は、事業年度の開始の日から解散日までです。

また、あわせて清算確定申告も行います。清算確定申告とは、財産確定日を事業年度終了として行う確定申告で、期限は残りの資産が明確になった日から1ヵ月以内です。

株主総会で清算確定申告の承認を得る

清算確定申告が完了したら、清算の決算報告書を作成し、株主総会の承認を受ける必要があります。株主総会での承認を得れば、その時点で会社は消滅となります。

法務局で清算結了登記を行う

最後は法務局での清算結了登記です。

清算結了登記は、株主総会で承認を得てから2週間以内に行わなければなりません。登記をする際には登記申請書や委任状、株主総会の議事録などが必要になるため、あらかじめ手元に用意しておく必要があります。

廃業後の確定申告について

減価償却費の計算の書類

廃業となった場合、その年の確定申告はどうすればよいのかわからないという方もいるでしょう。

以下では、廃業後の確定申告は必要かどうかや、特例についてなど詳しく解説します。

赤字であれば確定申告は不要

赤字廃業の場合は、基本的に確定申告は不要です。ただし、あくまでも税務上の所得が赤字の場合に限ります。税務上の所得と会計上の利益は算出方法が異なることから、会計上は赤字でも税務上の所得は黒字というケースもあるため、廃業理由が会計上の赤字であった場合は、確定申告が求められる可能性もあります。

なお個人事業主の場合は、赤字でも確定申告をすることで所得の証明ができたり、源泉徴収の還付を受けられたりといったメリットがあります。

廃業後の確定申告の期限

確定申告の期間は、翌年の2月16日から3月15日までです。個人事業主の場合は、廃業した年度の確定申告をする場合も同様です。法人の場合は、法務所で清算結了登記をしたタイミングで確定申告をしなければなりません。通常であれば、決算日から2ヵ月以内ですが、廃業の場合は期限が異なるため注意しましょう。

確定申告における特例について

廃業してから確定申告を行うまでの期間内で何かしらの支出が発生した場合、「事業を廃止した場合の必要経費の特例」を活用できます。たとえば廃業後の事務所の清掃や、在庫処分などにかかった費用を経費として計上可能になります。経費計上の可否は税務署の判断によっても異なりますが、計上できる経費が増えればそれだけ税負担の軽減にも繋がります。

参考:法第63条《事業を廃止した場合の必要経費の特例》関係|国税庁

減価償却について

10万円以上の固定資産を購入した場合は減価償却されます。そもそも減価償却とは、かかった費用を一括ではなく分割して計上する仕組みのことで、廃業後には年度初めから廃業月の分まで計上可能です。

廃業年度に計上しきれない場合、廃業後にもその固定資産を使い続けるのであれば確定申告時に特別影響を与えることはありません。資産を破棄したら確定申告時には損失扱いとなり、売却したら譲渡所得の取得費として計上する形になります。

廃業手続きの注意点

廃業手続きをする際には、いくつかの注意点があります。知らずに損をしたりペナルティを受けることのないよう、以下の点に注意してください。

届出の提出は必ず行う

単に事業活動をストップしたからといって、自動的に廃業になるわけではありません。必要書類を提出しないと事業が継続しているとみなされるため、納税の減額も受けられなくなってしまいます。

廃業を決めたら、必要な届出の提出は忘れないようにしましょう。提出期限は各手続きごとに異なるため、それぞれの期限をカレンダーなどで管理してしっかり把握しておくことが大切です。

廃業後も帳簿は保存しておく

廃業後に税務調査の対象になる可能性もあるため、廃業後も帳簿を保存しておく必要があります。

税法上、個人事業主は7年間、法人は10年間は関係書類の保存が義務付けられています。仮に廃業後に税務署から連絡がきたときに焦らないためにも、関係書類はきちんと整理したうえで大切に保存しておきましょう。

もし廃業に関する手続きや清算についてお悩みなら、ぜひ一度お気軽に「小谷野税理士法人」までご相談ください。

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。

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今野 靖丈

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