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会社設立の基礎知識

民泊事業における収入について|かかる税金や確定申告の必要性を解説

公開日:

民泊事業を始めたばかりのオーナーや経営者にとって、収入に対してかかる税金の額は気になる項目のひとつです。民泊事業の収入は税法上事業所得または雑所得として扱われ、一定の所得を超えると所得税が課されます。1年間の所得が基礎控除額を超える場合は確定申告をしなければいけません。この記事では、民泊事業にかかる税金や確定申告について正しく理解するための情報を整理しましたので、参考にしてください。

民泊事業は確定申告が必要か

所有している空き家や自宅の空き部屋を貸し出す民泊事業は、近年注目を集めている事業のひとつです。物件の立地や設備によっては毎月まとまった収入になる可能性もあるため、不動産を有効活用して収入を得たいと考えて始めた人もいるでしょう。

結論から言うと、民泊事業によって得た収入から必要経費を引いた所得が一定以上の金額であれば、確定申告が必要となります。

確定申告は、1年間の所得を税務署に報告し、適切な所得税を納めるための手続きです。民泊事業によって収入が増えると、所得税や住民税の負担も増加するため、正確な申告をする必要があります。

民泊事業における所得の種類

減価償却のイメージ

民泊事業を副業として行うのか、それとも主たる事業として行うのかによって必要経費や控除の取り扱いが変わってきます。民泊事業の確定申告を行う上で、まず所得の種類の判断基準について把握しておきましょう。

事業所得に該当するケース

民泊事業の収入が事業所得に分類されるケースにはいくつかの条件があります。事業所得として扱われる主なケースは次の通りです。

  • 民泊経営を事業として継続している
  • 民泊事業規模が大きい(複数の所有物件で民泊事業を展開しているなど)

ただし、事業規模や物件の状況によって異なるため、専門家のアドバイスを受けるとよいでしょう。

雑所得に該当するケース

主たる収入源が他にあり民泊事業を副業として行うなら、その収入は雑所得として扱います。

  • 賃貸期間が短期である
  • 自分が所有する賃貸物件で行う

上記の場合は基本的に雑所得とします。

短期間の賃貸で収入を得る民泊事業は、雑所得ではなく一時所得として申告するのが適切に思えるかもしれません。しかし、一時所得とは、営利目的で継続的に行う行為以外の所得を指すため、民泊事業には当てはまらないと考えてよいでしょう。

不動産所得か雑所得かの判断が難しい場合は、税務署や顧問税理士に確定申告前までに確認しておくのがおすすめです。

不動産所得に該当するケース

賃貸業を営んでいる人が、賃貸として貸し出しているアパートやマンションの入居者が見つからない間、一時的に民泊として貸し出す場合は、民泊事業における所得は不動産所得に分類が可能でしょう。

民泊事業の確定申告の方法

年末調整と確定申告のイメージ

会社員として働きながら副業で民泊事業を始めたオーナーにとって、確定申告は初めての経験だけにハードルが高いというイメージがあるかもしれません。民泊事業における正しい確定申告の流れを理解しておきましょう。

確定申告のステップ

民泊事業の確定申告は、簡単にまとめると「民泊事業で得た収入から必要経費を引いた所得をもとに申告書類を作成し、税務署に提出して税金を納付する」という流れです。ここでは民泊事業の収入を雑所得として申告する場合の手順を紹介します。

  1. 民泊事業の収入と必要経費を記帳した会計帳簿を作成する
  2. 会計帳簿の内容に基づいて収支内訳書を作成する
  3. 収支内訳書の内容を踏まえて申告書を作成する
  4. 申告書が完成したらe-Taxで送信するか、申告書を印刷し事業所のある自治体の税務署に郵送もしくは直接持参する
  5. 申告した税金を納付する
  6. 関係書類をまとめ保存する

会計帳簿は、税務署の監査に対応する際にとても重要となる資料となるため、費目や金額を正しく記載しましょう。

申告に必要な書類

民泊事業の確定申告において必要な書類は、申告前に急いで準備するのではなく、事業を行っている段階からこまめに対応しておくのがおすすめです。

確定申告書類を作成する段階で慌てずに済むため、計上ミスや記載ミスを防げる可能性が高くなります。申告に必要な書類を以下にまとめますので、事前に準備しておきましょう。

  • 宿泊料の領収書などの収入関連書類
  • 光熱費やクリーニング代、修繕費用などの請求書や領収書といった経費関連書類
  • 事業用銀行口座の通帳
  • 税務申告書(税務署から提供される用紙)

これらの書類を事前に揃え、まとめて保管しておけば、確定申告署をスムーズに作成できます。

民泊事業の必要経費として認められる支出

初めて民泊事業の確定申告を行う際に、必要経費として認められる支出か認められない支出かの判断に迷うことは多いものです。「必要経費」ですから、基本的には民泊事業を行うために必要な支出は認められます。主な必要経費として認められる支出は以下が考えられます。

  • 光熱費:キッチンや浴室、トイレで使用する電気代・ガス代・水道代
  • 通信費:Wi-Fiの設定費用、利用料
  • 清掃道具代:室内の清掃に使う雑巾やスポンジ、洗剤、ウエットティッシュなど
  • 宿泊に必要なアイテムの購入費:布団、シーツ、枕、毛布など
  • 室内の備品代:各部屋の照明器具、非常用懐中電灯、カーテン、ハンガーなど
  • メンテナンス費用:シーツのクリーニング代、エアコンのクリーニング代、内装や設備の修理代など
  • 広告宣伝費:民泊物件サイトへの掲載料、チラシ作成費など
  • その他:損害保険料、賃貸の対象となる部分の固定資産税

民泊事業を行う家や部屋の室数はいくらか、どの程度の仕様にするかなどによってかかる必要経費の対象は異なるでしょう。

ベッドやテーブル、椅子などの家具、冷蔵庫や電子レンジなどの電化製品、部屋の内装代など1取引10万円以上の固定資産は減価償却費として計算します。

また、所有する不動産の一部で民泊事業を行う場合は、民泊業の届出の際に決めた民泊事業利用分の床面積や、民泊を行った日数などに従って按分し、必要経費として計上してください。

民泊事業における所得税と消費税の取り扱い

適格簡易請求書のレシートのイメージ

民泊事業を行うと、利益に対して所得税や住民税がかかるだけでなく、消費税がかかる場合もあります。所得税および消費税、宿泊税の取扱いについて詳しく見ていきましょう。

所得税

民泊事業の収入に対する所得税は、事業収入から必要経費を差し引いた所得にかかる税金です。1年間の民泊事業の収入から事業運営に必要な経費を差し引いた所得に対して、累進課税制度に基づく所得税率が適用され、納付額が決まります。

消費税

民泊事業では消費税の取り扱いも重要です。民泊事業の年間収入が1,000万円を超えると消費税の課税事業者となり、消費税率(2023年時点では10%)を適用して納付すべき消費税額を計算します。

なお、必要経費にも消費税が課税されているため、その分の税額については仕入れ税額控除を適用しましょう。

宿泊税について

宿泊税は、観光振興や都市環境の改善を目的として地方自治体が宿泊客から徴収する税金です。

2024年5月現在、全国9つの地方自治体が宿泊税を導入しており、例えば東京都では1泊の宿泊料金が10,000~15,000円の場合100円、15,000円以上の場合200円の宿泊税を徴収しています。

民泊事業を行う物件がある地方自治体で宿泊税を導入しているかを確認し、導入している場合は税額や税率、課税対象を把握した上で計算してください。

民泊事業者が確定申告をしなかった場合のリスク

民泊事業を始めたばかりで税務について分からないことが多くても、「難しいから」「よく分からないから」といった理由で確定申告を怠ることは認められません。万が一確定申告を行わなかった場合に考えられる主なリスクについて説明します。

追徴課税される

確定申告をしないままでいると、追徴課税という重大な問題に発展する可能性は高いです。申告漏れとなった所得に対して延滞税や無申告加算税が課されると、支払わなければならない税額が大幅に増えてしまいます。

ペナルティを受ける可能性がある

確定申告をしなかったことによるペナルティは、追徴課税だけではありません。長期間の未申告や多額の申告漏れが確認され悪質とみなされた場合は、行政罰が加わるか、最悪の場合には刑事罰が科される可能性もあります。

税務署から厳しい調査を受けて、他の所得隠しや経費の不正計上が発見されてしまうと、さらに状況は悪化するでしょう。

こうした事態にならないためには、正確な確定申告を期限内に完了させることです。民泊事業を健全に続けていけるよう、適切な対応を心がけましょう。

まとめ

民泊事業を始めたばかりのオーナーや経営者にとって、収入に対する税金や確定申告の方法は複雑でなかなか理解できないかもしれません。しかし民泊事業を健全に、そして継続的に行うには避けて通れないことです。

民泊事業の税金や手続きに不安がある場合は、税の専門家である税理士に相談してみましょう。

民泊事業の税金や確定申告に関するお困りごとやご相談は、ぜひ「小谷野税理士法人」までお気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。

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今野 靖丈

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