0120-469-383平日 9:00~18:00 税理士に相談(相談無料)
会社設立の基礎知識

従業員の雇用手続きは?採用後に必要な書類や加入保険について

公開日:

従業員の雇用手続きは?採用後に必要な書類や加入保険について

従従業員を新たに採用する際は、複数の手続きが必要です。各手続きは労働基準法や税法により定められている場合も多く、従業員が安定した生活を送るために必要な各種保険にも直接関わっています。そのため、会社も従業員の雇用手続きを正確に行わなければなりません。雇用手続きを適切に行うためにも、採用後に準備すべき書類や加入保険について十分に確認しましょう。

雇用手続きで従業員が準備する書類

従業員雇用手続きのイメージ

新たな従業員を採用する際には、さまざまな手続きが行われます。また、従業員からは複数の書類を提出してもらう必要があります。従業員がどのような書類を用意しなくてはならないのかを説明します。

源泉徴収票(前職のもの)

新たに採用した従業員に前職があったなら、その勤め先で受け取った「給与所得等の源泉徴収票」を提出してもらいましょう。

中途採用した場合、その年に前職の給与があるときには、年末調整で給与所得を合算します。

年末調整は所得税法によって定められた会社の義務であるため、適切に実施しなくてはなりません。

マイナンバー情報が分かるもの

健康保険・雇用保険・厚生年金など社会保険や税金の手続きを行うためにはマイナンバー情報が必要です。さらには、従業員に扶養家族がいる場合、その扶養家族が持つマイナンバーも従業員から提示してもらいましょう。

マイナンバーカード以外の提示を受ける場合には、マイナンバー情報の分かる通知カードと写真つき身分証が必要です。

基礎年金番号が分かるもの

年金の加入記録を管理している基礎年金番号は、社会保険の手続きに必要です。基礎年金番号は年金手帳や基礎年金番号通知書で確認できます。年金手帳は2022年から廃止されており、代わりに現在では基礎年金番号通知書が発行されています。

雇用保険被保険者証番号が分かるもの

「雇用保険被保険者証番号」は、雇用保険に加入している個人それぞれの番号です。

新たに採用した従業員が前職で雇用保険に入っていた場合は雇用保険被保険者証番号を提示してもらいましょう。

なお、アルバイトやパートタイムで勤めていた場合も、雇用保険被保険者証番号を保有しているケースがあります。

基本的に雇用保険被保険者証は勤務していた会社が保管しており、退職する際に従業員へと返却されます。

給与振り込み先が分かるもの

給与の振り込みを行うため、銀行名・支店名・口座番号など、新規に雇用した従業員から銀行口座番号を提示してもらう必要があります。

提示方法は、書類に給与振込先を記入してもらったり、通帳の口座情報をコピーし提出してもらうなど、会社で指定してかまいません。

従業員の雇用手続きで会社側が準備する書類

従業員雇用手続きのイメージ

雇用手続きにおいては従業員本人だけでなく、会社側でも書類を準備します。作成・発行が必要な書類には次のようなものがあります。

雇用契約書・労働条件通知書

雇用契約書は、事業主と従業員が労働条件について合意し、契約したことを証明する書類です。一方の労働条件通知書は、その契約の期間や賃金などの労働条件を記載した通知書です。

雇用契約書と労働条件通知書の内容はほぼ同じですが、法的には大きな違いを持っています

雇用契約書は法的に発行が義務づけられているわけではありません。しかし、雇用契約書は互いの合意が証明されているものであるため、のちのち認識の違いから生じる問題防止に役立ちます。

労働条件通知書は労働基準法によって交付が義務づけられています。

雇用契約書と労働条件通知書は、内容がほぼ同じであることから、時には「労働条件通知書兼雇用契約書」として1つにまとめて発行される場合もあります。

雇用保険被保険者資格取得届

会社の業種や規模を問わず、企業が一定の条件を満たす従業員を採用した際は、雇用保険に加入しなくてはなりません。

その際に提出する書類が「雇用保険被保険者資格取得届」です。

また、雇用保険の加入条件とは、雇用契約が31日以上であることや、所定労働時間が週20時間以上であることなどが挙げられます。

労働者が失業した際、雇用保険によって失業給付が行われます。

しかし、資格取得手続きが完了していないと、こうした給付を受けられずに従業員が不利益を被るかもしれません。

そのため、事業主は従業員を雇用した月の翌月10日までに、管轄のハローワークへと確実に雇用保険被保険者資格取得届を提出する必要があります。

健康保険・厚生年金被保険者資格届

常時5人以上の従業員がいる会社が新たな人材を採用した場合は、雇用後5日以内に「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届」を提出します。届出先は日本年金機構です。

健康保険・厚生年金被保険者資格届を提出する際に気をつけたいのがその適応範囲です。健康保険・厚生年金の被保険者資格は、正社員などフルタイムの従業員だけが加入対象とは限りません。

アルバイトやパートタイムの場合も労働時間が一般社員の4分の3以上であれば加入対象とされます。

また、現在は被保険者数101人以上の企業である場合、勤務時間が週20時間以上なら短時間労働者であっても厚生年金保険と健康保険の加入対象とされています。

さらには、この短時間労働者の健康保険・厚生年金への加入条件は今後拡大され、令和6年10月からは被保険者数が51人以上の企業にも適応されます。

健康保険・厚生年金被保険者資格届は、怠りや漏れがあると過去の分まで保険料を支払わなくてはなりません。

条件変更に注意し、従業員を雇用した際には必ずその月の翌月10日までに管轄のハローワークへと届け出ましょう。

参考:短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大のご案内|日本年金機構

採用通知書

採用通知書は従業員に対し採用を通知する書類です。また、採用通知書を送付する前に内定通知書を発行する場合もあります。

採用通知書にはその内定者に正式雇用を通知したり、最終選考通過の通知を行う役目があります。

採用通知書の発行には法律上の義務はありませんが、口頭だけではトラブルにつながりやすいため一般的に用いられています。

ただし、採用通知書を発行したあと、会社の都合で雇用を取り消すと違法になるため注意しましょう。

給与所得者の扶養控除等(異動)申告書

「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」とは、従業員が扶養控除や配偶者控除などを受けるために必要な書類です。

会社は従業員にこれを配布し、その年の最初の給与支払い前日までに回収しなくてはなりません。そのため年末調整の際、翌年の扶養控除等申告書を受け取るのが一般的です。

入社誓約書

入社誓約書は、雇用契約書や労働条件通知書で取り交わした労働条件の確認を主な目的としています。会社の就業規則を遵守すると誓約を行う内容です。

入社誓約書は法律で定められている書類ではないため、作成していない企業もあります。

従業員を雇用する際に必要な「各種保険」の手続き

従業員雇用手続きのイメージ

従業員を採用したあとに必要な各種保険の手続きは次のように行われます。

社会保険

社会保険の場合、従業員を採用後5日以内に年金事務所、もしくは事務センターに「健康保険・厚生年金被保険者資格取得届」を提出します。

ただし、全国健康保険協会(協会けんぽ)以外の場合は各健康保険組合でも別途手続きが必要です。

労災保険

労災保険は従業員を雇用している会社であれば基本的に強制加入です。と同時に労働者を対象としている保険であるため雇用主は加入できません。

手続きは、まず会社の所在地を管轄する労働基準監督署に行き、「保険関係成立届」を提出することから始まります。

次に「概算保険料申告書」を提出します。記載内容に問題がなければ「労働保険番号」が配布されます。その後は「納入済通知書」を受け取り、保険料を納付します。

雇用保険

新たな従業員を雇用した事業主は、その月の翌月10日までにハローワークへと「雇用保険被保険者資格取得届」を提出します。

雇用保険被保険者資格取得届は従業員ごとに届け出の必要があり、新たな雇用を行った際はその都度提出しなくてはなりません。

従業員の雇用における税金の手続きについて

従業員の雇用には住民税や所得税など税金の手続きも必要です。

住民税

住民税には「普通徴収」と「特別徴収」の2種類があります。個人事業主やフリーランスの場合は、従業員自らが手続きを行う普通徴収で納税します。

一方、企業では事業主が給与から住民税を天引きし、従業員に代わって納入する特別徴収を行います。

【特別徴収の手続き】

  1. 前年に支払った給与を合算し、1月31日までに従業員の居住地があるそれぞれの市区町村へと「給与支払報告書」を提出する。
  2. それぞれの市区町村から「特別徴収税額決定通知」が届く。
  3. 給与から特別徴収を行い、住民税を控除する。
  4. 給与から控除した住民税を翌月10日までに市区町村へと納付する。

所得税

会社は給与から源泉徴収を行い、従業員の代わりに所得税を納めます。その税額は従業員に配偶者がいるかいないか、扶養家族が何名いるかによって変わります。

そこで事業主は「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」へと従業員から記入してもらい、それをもとにして源泉徴収簿を作成し所得税の手続きを行います。

従業員の雇用における手続きのステップ

従業員雇用手続きのイメージ

ここまで従業員を採用したあとに必要な書類や加入保険について説明しました。最後に全体的なステップを確認しましょう。

労働条件の共有

採用が決定したら、まず雇用契約書や労働条件通知書によって、事業主と労働者の間で労働条件を共有します。

雇用契約書は業務を開始する数日前までには渡しましょう。

労働条件通知書は労働基準法により労働契約を結んだ時点で渡すことになっています。そのため入社日に渡すのが一般的ですが、会社によっては入社前に渡しているところもあります。

雇用契約の締結

労働条件の共有後には、同じく雇用契約書や労働条件通知書を介し、雇用契約を締結します。

なお、雇用契約の締結は、正社員だけでなく、パートタイムやアルバイトとも同様に交わさなくてはなりません。

各種保険への加入

労働保険・社会保険など各種保険への加入手続きを行います。各種保険は種類ごとに窓口が異なっています。

健康保険・厚生年金・介護保険などの社会保険は年金事務所、雇用保険はハローワーク、労災保険は労働基準監督署が窓口です。

各種書類の提出

住民税・所得税など税金を始めとしたさまざまな書類を各関係機関へと提出します。

住民税の場合は、前年1年間に従業員それぞれへと支払った給与額を給与支払報告書に記載し、1月31日までに市区町村へと提出します。

所得税は給与から源泉徴収し、翌月10日までに税務署に納税します。

従業員の雇用手続きで困ったときには税理士への依頼がベスト

雇用手続きに必要な書類は多岐に渡ります。しかも、いずれも重要な書類であり、法によって定められている手続きも少なくありません。

雇用手続きを行う際は書類の提出期限に遅れたり、記載漏れやミスが発生しないように細心の注意を払うことが重要です。

こうしたことからも雇用手続きを行う際には税理士を始めとした専門家に相談することをおすすめします。

小谷野税理士法人では経験豊かな専門家が会計・税務・財務の相談に乗っております。

雇用手続きを行う際にもぜひご相談してみてください。

この記事の監修者
税理士「今野 靖丈」

会社設立専門の税理士による
オンライン面談を実施中!

お電話でのお問い合わせ

0120-469-383 受付時間 平日 09:00~18:00

Webからのお問い合わせ

相談無料会社設立の相談をする 24時間受付中

税理士変更のご検討は
オンライン面談でもお受けします

お電話でのお問い合わせ

0120-469-383 受付時間 平日 09:00~18:00

Webからのお問い合わせ

税理士変更の相談をする 24時間受付中
オンライン面談