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会計税務の知識ブログ
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(税制改正特集)特定中小会社が設立の際に発行した株式取得費の控除特例の創設等

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最終更新日:

はじめに

 

2023年度税制改正大綱の中において、「特定中小会社が設立の際に発行した株式取得費の控除特例」が創設され、併せてエンジェル税制が見直されることとなりました。

今回はその内容について記載します。

 

 

 

1.株式取得費控除特例の概要

 

事業化前段階(プレシード・シード期)は、事業成功の見通しが不透明かつ、投資リスクが高いため、機関投資家が投資しにくい現状があります。

また、現行制度では実質的に自己資金による起業が対象となっていない点も踏まえ、スタートアップへの出資をこれまで以上に支援するため、優遇税制の創設・見直しが行われました。

 

 

 

2.株式取得費控除特例の内容

 

(1)投資時

スタートアップ企業により設立時に発行された株式(特定株式)を払込みにより取得した居住者等(※)は、取得した年分の一般株式又は上場株式に係る譲渡所得の金額から、特定株式取得費を控除します。ただし、譲渡所得の金額を限度とします。

(※)発起人であること又は自らが営んでいた事業の全部を承継させた個人等に該当しないこと等の要件を満たす者に限ります。

 

(2)譲渡時

特定株式の取得価額は、その取得に要した金額から(1)で控除した金額のうち20億円を超える部分を控除した金額とします。

また、譲渡損が生じ、他の株式譲渡益と相殺できない場合には、3年間に渡り繰越控除が可能です。

 

 

 

3.対象となるスタートアップ企業の要件

 

以下の要件を満たすスタートアップ企業が対象となります。

 

①設立後の期間が1年未満の中小企業者

 

②販売費及び一般管理費の出資金額に対する割合が100分の30を超えることその他要件を満たすこと

 

③特定の株主グループの有する株式総数が発行済株式総数の100分の99を超える会社でないこと

 

④金融商品取引所に上場されている会社でないこと

 

⑤発行済株式の総数の2分の1を超える数の株式が一の大規模法人及び当該大規模法人と特殊な関係のある法人の所有に属する会社又は発行済株式の総数の3分の2以上が大規模法人及び当該大規模法人と特殊な関係のある法人の所有に属している会社でないこと

 

⑥風俗営業又は性風俗関連特殊営業に該当する事業を行う会社でないこと

 

 

 

4.エンジェル税制の見直し内容

 

(1)取得価額調整計算の見直し

特定株式の取得価額について、20億円までは非課税となるよう、取得価額調整計算が見直されました。

 

 

(2)適用要件の追加

(1)の適用を受けるためには、エンジェル税制の従前の要件に加え下記の要件を全て満たす必要があります。

 

①その設立の日以後の期間が5年未満であること

 

②設立後の各事業年度の営業損益金額が零未満であること

 

③当該各事業年度の売上高が零であること又は前事業年度の試験研究費その他中小企業等経営強化法施行令第3条第1項に規定する費用の合計額の出資金額に対する割合が100分の30を超えること

 

④その他の要件を満たすこと

 

また、①~④を満たす場合には、外部資本要件が緩和されます。

具体的には、特定の株主グループの有する株式総数の割合要件が、発行済株式総数の6分の5から20分の19を超える会社でないことへ変更されます。

 

 

(3)添付書類

都道府県知事へ提出する申請書への添付資料のうち、一定のものは添付を要しません。

 

 

(4)寄附金控除

寄附金控除についても、外部資本要件及び添付書類について、上記と同様に緩和されます。

 

 

 

おわりに

 

極めて高い水準の所得に対する負担の適正化との調整が望まれます。

(担当:三浦)

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