出生時育児休業(産後パパ育休)について
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はじめに
厚生労働省は「令和3年度雇用均等基本調査」において、令和3年度の男性の育児休業の取得率を13.97%と発表しました。
男性の育児休業の取得率は、平成25年度から9年連続で上昇していますが、15%以下と低い水準にあり、令和3年6月には育児・介護休業法が改正され、令和4年10月1日より出生時育児休業(産後パパ育休)が新設されました。
今回はこの出生時育児休業について解説します。
1. 概要
①対象労働者
・男性労働者(但し、養子等の場合は女性も対象となります)。
・有期雇用労働者は、子の出生日又は出産予定日のいずれか遅い方から起算して8週間を経過する日の翌日から6か月を経過する日までに労働契約期間が満了することが明らかでない場合には対象となります。
※また労使協定の締結により対象外にできる労働者がいます。
a.入社1年未満の労働者。
b.申出の日から8週間以内に雇用関係が終了することが明らかな労働者。
c.1週間の所定労働日数が2日以下の労働者。
②期間
子の出生後8週間以内に4週間(28日間)まで取得することができます。
③申出期限
原則休業の2週間前までとされています。
※ ただし、雇用環境の整備などについて、法を上回る取組の実施を労使協定で定めている場合(=取得に関する定量的な目標を設定し、取得の促進に関する方針を周知すること等)は、1か月前までとすることができます。
④分割取得
出生時育児休業を2回に分割して取得する場合は、1回目の申出時に、2回分まとめて申出ることが必要になります。まとめて申出なかった場合には、2回目の申出を拒むことができます。
⑤休業中の就業
労使協定を締結している場合に限り、 労働者が合意した範囲で休業中に就業することができます。
なお、就業可能日や時間には上限があります。
a.休業期間中の所定労働日・所定労働時間の半分。
b.休業開始・終了予定日を就業日とする場合は当該日の所定労働時間数未満。
例)①所定労働時間が1日8時間、1週間の所定労働日が5日の労働者が休業2週間 ②休業期間中の所定労働日10日 ③休業期間中の所定労働時間80時間の場合。 ⇒ 就業日数上限5日、就業時間上限40時間、休業開始・終了予定日の就業は8時間未満となります。
2.給付金
出生時育児休業を取得した場合、育児休業給付の対象になります。
①支給要件
・休業開始日前の2年間に雇用保険の被保険者であった期間が12か月以上あること。
・休業期間中の就業日数が最大10日(10日を超える場合は就業している時間数が80時間)以下であること。
②支給額
・休業開始時賃金日額※1×支給日数※2×67%
※1.休業開始時賃金日額=育児休業開始前6か月間の賃金(賞与は含まない)÷180
※2.最大で4週間(28日)
③申請期間
出生日の8週間後の翌日から申請が可能となり、当該日の2か月後の月末までに提出する必要があります。
3.社会保険料の免除
育児休業期間中の給与・賞与の社会保険料が、被保険者本人負担分・事業主負担分ともに免除されます。
①支給要件
・その月の末日が育児休業期間中であること。
・同一月内で育児休業を取得し、その日数が14日以上であること。
・賞与に係る保険料は、1か月を超える育児休業であること。
おわりに
育児休業の取得率を上げるには、育児休業制度の周知と休業の取得意向の確認を正しく行うことが求められています。
(担当:白土)