(税制改正特集)国内投資促進税制について
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はじめに
令和5年12月14日、自由民主党及び公明党による令和6年度税制改正大綱が公表されました。
その中から国内投資促進税制についてご紹介します。
1.イノベーションボックス税制
イノベーションボックス税制とは、国内で自ら行う研究開発の成果として生まれた知的財産から生じる所得に対して一定の所得控除を認める制度です。
具体的な要件等は以下のとおりです。
居住者若しくは内国法人に対する特定特許権等の譲渡又は他の者に対する特定特許権等の貸付け(以下「特許権譲渡等取引」という。)を行った場合には、次の金額のうちいずれか少ない金額の30%に相当する金額は、その事業年度において損金算入することができる。
(1)特許権譲渡等取引ごとの次の①×(③÷②)の金額の合計額
① 特許権譲渡等取引の所得の金額
② 令和7年4月1日以後開始事業年度の研究開発費の額のうち、その特許権譲渡等取引に直接関連する金額の合計額
③ ②に含まれる適格研究開発費(注)の額の合計額
(2)当期の所得の金額
(注)特定特許権等の取得費及び支払ライセンス料、国外関連者に対する委託試験研究費並びに国外事業所等を通じて行う事業に係る研究開発費の額以外のものをいいます。
2.スタートアップ関連税制
スタートアップ関連税制は、スタートアップ企業を、イノベーションを生み出す主体として、日本経済の潜在成長率を高める重要な存在であると位置づけ、様々な優遇措置を設けている制度の総称です。
(1)オープンイノベーション促進税制
オープンイノベーション促進税制とは、一定の条件下でスタートアップ企業への投資額の25%の所得控除(損金算入)を受けられる制度です。今回の税制改正大綱でその適用期限が2年延長されます。
(2)ストックオプション税制の拡充
有能な人材の確保や従業員等のインセンティブ向上を期待し、ストックオプション税制について、以下の拡充がされます。
① 交付株式につき、発行会社との一定の管理契約を締結している場合には、金融商品取引業者への交付株式の保管委託契約の要件は不要とする。(発行会社自身による株式管理スキーム)
② 権利行使価額の限度額につき、以下の見直しを行う。
ア 設立5年未満の会社は 2,400 万円
イ 設立5年以上20年未満の会社で未上場会社又は上場会社で上場後5年未満の会社は3,600万円
③ 適用対象となる特定従事者の範囲につき、社外高度人材範囲の拡大を中心に見直す。
④ 付与決議日に大口株主等に該当しない誓約書の書面提出に代えて、電磁的方法による提出ができることとする。
(3)暗号資産の期末評価の見直し
暗号資産の期末評価については、一定の要件の下で期末時価評価の対象外とする見直しがされます。
これにより、ブロックチェーン技術を活用した起業等が促進されることが期待されます。
3.戦略分野国内生産促進税制
戦略分野国内生産促進税制は、中長期的な経済成長をけん引し、供給力強化につながる分野については、集中的に国内投資を促していくことが重要との観点から創設されました。
その内容は、産業競争力基盤強化商品(仮称)の生産用の設備の新設又は増設をする場合において、産業競争力基盤強化商品生産用資産の取得等をし、国内にある事業の用に供したときは、その認定の日以後10年以内の日を含む各事業年度において、一定金額の税額控除ができることとされます。
おわりに
令和6年度税制改正大綱の詳しい内容は、自由民主党のホームページ(https://storage.jimin.jp/pdf/news/policy/207233_1.pdf)に掲載されています。
(担当:今野)