(税制改正特集)扶養控除と子育て支援等
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はじめに
令和5年12月14日に公表された『令和6年度税制改正大綱』では、子育て世帯に対する税制面での支援も論点になりました。
今回は、扶養控除と子育て支援等について解説します。
1.扶養控除等の見直し
児童手当の支給対象を所得に関わらず高校生まで拡大するのに伴い、所得税などの扶養控除を縮小します。
具体的には、所得税の控除額は年間38万円から25万円に引き下げられ、住民税の控除額は年間33万円から12万円まで引き下げられます。
しかし、児童手当支給額が扶養控除の負担分を上回り、全ての世帯で手取り額は増加するとされています。
なお、扶養控除の適用時期については、所得税が令和8年度から、住民税は令和9年度から予定されています。
2.ひとり親控除の拡充
ひとり親の所得要件について、現行の合計所得金額500万円以下を1,000万円以下に引き上げます。
また、ひとり親控除の所得税の控除額については、現行の35万円を38万円に引き上げ、住民税の控除額については、現行の30万円を33万円に引き上げます。
3.子育て世帯に対する生命保険料控除の拡充
一般生命保険料控除について、23歳未満の扶養親族を有する場合には、現行の4万円の適用限度額に対して2万円の上乗せをします。
なお、生命保険料控除全体の合計適用限度額は、現行の12万円から変更はありません。
また、一時払生命保険については、この控除の適用対象から除外されます。
4.住宅ローン控除と住宅リフォーム税制の拡充
(1)住宅ローン控除
① 対象者:子育て特例対象個人(要件a~c)
1. 年齢40歳未満であって配偶者を有する者
2. 年齢40歳以上であって年齢40歳未満の配偶者を有する者
3. 年齢40歳以上であって年齢19歳未満の扶養親族を有する者
借入限度額:認定住宅等の新築等を取得して、令和6年中に居住した場合の借入限度額は次の通りになります。
住宅の区分 | 借入限度額 | |
改正前 | 改正後 | |
認定住宅 | 4,500万円 | 5,000万円 |
ZEH水準省エネ住宅 | 3,500万円 | 4,500万円 |
省エネ基準適合住宅 | 3,000万円 | 4,000万円 |
② 新築住宅の床面積要件を40 ㎡以上に緩和する措置(合計所得金額1,000万円以下の年分に限る。)について、建築確認の期限を令和6年12月31日に延長されます。
(2)住宅リフォーム税制
子育て特例対象個人が、所有する居住用の家屋について一定の子育て対応改修工事を行い、令和6年4月1日から12月31でに居住した場合、その工事に係る標準的な工事費用相当額(250万円を限度)の10%に相当する金額をその年分の所得税の額から控除することができます。
ただし、上記の税額控除は、その年分の合計所得金額が2,000万円を超える場合には適用されません。
おわりに
その他の『令和6年度税制改正大綱』の主要な項目についても「会計・税務の知識」の中でご紹介しておりますので、ご確認いただけると幸いです。
(担当:白土)