2か月にわたる緊急事態宣言期間の間に、当所でも、それまで他人事であった在宅ワークやリモートミーティングが普通の事となりました。解除後も、在宅ワークやリモートミーティングは、その良い点、悪い点を、見極め、適宜利用を続けることになるでしょう。
一方で、在宅ワークの業務管理をどうするのかという課題も生じています。
最近「リンゲルマン効果」という言葉を知りました。
人間は集団になると怠け、一人で作業するよりも一人当たりの効率はかえって低下するという「社会的手抜き」現象をいいます。フランス人農学者のリンゲルマンさんが今から100年以上も前に実証したそうです。綱引き、荷車を引く、石臼を回すなどの集団作業時の一人あたりのパフォーマンスを数値化した結果、1人の時の力の量を100%とした場合、2人の場合は93%、3人では85%、4人では77%、5人では70%、6人では63%、7人では、56%、8人では49%と1人あたりの力の量は低下したそうです。
リンゲルマン効果が起こるのは、個人の努力が集団に隠れてしまって、見えなくなるということが原因と言われています。在宅ワークでは、さらにそれが見えにくくなり、リンゲルマン効果が悪化するかもしれませんね。
このリンゲルマン効果について、5年前のNHKの番組で行われた実験によると、一般人では確かにその効果が確認されたものの、綱引きのプロである綱引き連盟の人たちによる実験結果では、人数が増えたとしても一人あたりの力は全く低下しなかったとか。
自分の役割を自覚し、成果への意欲が十分に備わっているプロであれば、いかなる場面でも「手抜き」をしないのだと。
そうなれる風土の醸成や環境整備こそ、在宅ワーク下での業績管理に効果があるのだろうと思いたいです。