「今日の仕事が終わったらすぐに、電話をしようと思っていた。
仕事中かもしれないけれど、それでもどうしても話したかった。
同じ場所にいるだけでなにも言わなくてもわかることが、
電話の向こうとこっちで別々の景色を見ながらいくらしゃべってもきっと伝わらないって、
決定的にわかり始めていた。
だけど、そのことを、電話をかけて、確かめたかった。電話の向こうに伝えたかった。」
柴崎由香 著『やさしさ』より。
さて、『蜆縮涼鼓集』というものを知っていますか。
”けんしゅくりょうこしゅう”と読みます。1695年ころに書かれた本です。めっちゃ昔の本でしたね。
この本はですね、日本で初めてしじみやちぢみ、すずみやつづみといった「ジ」「ヂ」「ズ」「ヅ」の使い分けについて取りまとめた本です。
蜆や縮み、涼みや鼓といった・・・あ!蜆縮涼鼓集!!!すごくないですか?これ、すごくないですか?
ネット文化が発展した現在では特にこういった使い分けは難しくなってきています。
しかしそれを400年以上前にまとめた方がいたわけですね。
会って話すより、離れて通話するより、文章にするほうが圧倒的に気持ちが伝わりにくいですからね。
せめてその文字くらいはきちんと使っていきたいものですが。
ではまた。