先日「九転十起」という本を読みました。
“京浜工業地帯の父”、“事業の鬼”と呼ばれた浅野総一郎さんという事業家の一代記です。
一代で財閥を築いた人の働きぶりが凄まじく描かれており、もうちょっと頑張ろうと元気でました。
この物語に、主人公の大恩人として登場する人物が“日本資本主義の父”といわれる渋沢栄一さんです。再来年の大河ドラマに取り上げられ、2024年には新一万円札の「顔」にもなるとのことで、著書「論語と算盤」の現代語訳も読んでみました。
その中では、 「本当の経済活動は、社会のためになる道徳に基づかないと、決して長く続くものではない」、 「論語(道徳)と算盤(経済活動)は一致すべきものである」と、いわゆる“道徳経済合一説”が謳われています。 これは、最近話題のSDGsにも通ずる気がします。
そういえば、最近読んだ新聞にも、米国の経営者団体が発表した声明で「企業の目的」は、従来の「株主・投資家の利益最大化」ではなく、「顧客、従業員、取引先、地域社会などのステークホルダー重視」を掲げたとの記事がありました。
その他にも、大蔵省の官僚をしていたときは、国の会計に複式簿記を導入しようとしたとか、女性の社会進出をすれば働き手が2倍となり国が豊になるとか、今まさに課題とされていることを、100年以上も前に提唱していて驚きました。
なんとも偉い方だなとも思いましたが。
私生活では女性関係に難あり、女系家族には評判が悪く、孫娘から「ヒヒじじい」と陰口をいわれていたとか。晩年に「婦人関係以外は、一生を顧みて俯仰天地に恥じない」とみずから語っていたというのは、なんだかユーモラスで、俄然身近に感じました。
<2021年大河ドラマ「青天を衝け」主演の吉沢亮>