多摩大学の「現代世界解析講座XⅣ」をインターネット聴講しています。
7月1日収録分は、TBS”サンデーモーニング”のコメンテーターとしてお馴染み、毎日新聞の元村
有希子論説副委員長による「鳥の目 虫の目 科学の目」でした。
同氏は元来“まるで”文系でしたが、科学環境部に異動となってから科学に目覚め、今では科学に関する
著書も多数出版している文理融合の作家とのことです。
コロナと五輪の問題について、軽快な語り口で自説を披露して頂きました。
1.東京五輪の問題点
(1)なぜ日本で?
「被災地復興の証」として、「復興五輪」「コンパクト五輪」と喧伝されましたが、ヒト・モノ・カネ
が東京五輪に費やされた結果、実を言うと被災地復興とは真逆だったのではなかったかという疑問を
禁じえません。
(2)コロナ禍という上乗せリスク
専門家が指摘するように、人と人との接触を避けることがコロナ対策の肝、という共通認識があり
ながら、それと逆行する東京五輪について、政府は「安全安心な大会」と繰り返すばかりで、国民感情
に対する回答になっていません。
(3)責任者は誰か?
首相は、(確かに最終権限はIOCにありますが)延期の際は”延期”と提言しましたが、中止については
「私に(中止の)権限はない。」と逃げたり、組織委のガバナンスが機能不全だったりで、もし東京五輪
を開催してクラスターが発生した場合の責任の所在が不明です。
(4)五輪そのものの限界
もともとホスト国・都市に不利な契約の上、米国の放映権の関係で真夏に開催しなければならない
という商業主義の行き過ぎが課題となっており、抜本的な検証が必要です。
2.氏の結論
6月18日の毎日新聞社説において「無観客以外にない」という論を提起しました。
3.その後の結果
7月8日、東京都への第4回目の緊急事態宣言と共に、都内無観客開催が決まりました。
事ここに至っては、このために厳しい練習を積み重ねてきたアスリートが力を発揮できるよう応援する
ことに集中するということでしょうか。